星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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アード永久管理機構とティナ

「おかえり、ティナちゃん☆女王陛下とゆっくりお話が出来たかな?」

 

 

 

「緊張しすぎて冷や汗がとんでもない。今すぐに水浴びがしたいくらいだよ……」

 

 

 

 女王陛下との謁見を終えた私は、ハロン神殿の中庭にある噴水の側で待っていてくれたばっちゃんと合流した。皇室からの贈り物を献上した後、少しだけ世間話をしたんだ。

 色々と興味を持ってくださっているのか、私に関する質問が多かったような気がする。もちろん全て隠さずにお答えして、これからも地球との交流に全力を尽くすって答えたら、無理をしないようにって言われてしまった。

 何だか皆に同じことを言われているような気がする。ジャッキー=ニシムラ(常識的なバニーボーイ)さんにも、薄氷の上を歩いているようなものだって言われたなぁ。

 

 

 

「あはは、ティナちゃんとお話が出来て女王陛下も喜ばれたと思うよ☆」

 

 

 

「私なんかのために貴重なお時間を割いてもらっちゃって、物凄く申し訳無くて恐縮だよ……」

 

 

 

 もちろんティナ自身は知る由もないが、セレスティナ女王としては可愛い姪っ子の元気な姿を直接確かめられて、更にちょっとしたお喋りも出来たのだ。彼女が上機嫌になるのは当然と言えた。閑話休題。

 

 

 

「疲れちゃってるティナちゃんを休ませてあげたいけど、もうひとつあるんだよねぇ☆今から大会議室へ行くよ。評議会に参加するからね☆」

 

 

 

「ちょっと待って、聞いてないよ!?」

 

 

 

 評議会とは、まあアード永久管理機構の首脳部みたいなものだよ。パトラウス政務局長を頂点とした政治機構で、基本的には合議制、らしい。あんまり詳しくはないけどさ。

 って、そうじゃなくて!私が参加!?なんで!?フェルと一緒に料理をして癒される予定だったのに!

 

 

 

「そりゃティナちゃんは交流の中心人物で、大使だからだよ。大丈夫、参加者の大半は私が面倒を見てきた子達だし、主催者はパトラウスなんだから」

 

 

 

「ばっちゃんからすれば弟さんだろうけど、私からすれば雲の上のお方なんだからね!?」

 

 

 

 ちなみにティナの参加はティリスが急遽組み込んだものであり、隠された素性を知るパトラウス等の胃に甚大なダメージを与えたのは言うまでもない。南無。

 

 

 

「パトラウスとは何度も会ってるし、大丈夫大丈夫☆それに、ティナちゃんの活躍が正当に評価されたらザッカルちゃんも助かると思うな☆」

 

 

 

「そこで局長の名前を出すのはズルいよ、断れないじゃんか……」

 

 

 

 宇宙開発局の皆には色々迷惑を掛けてるからなぁ。私が思い付きで飛び出した結果、まさかの銀河の反対側で文明との交流が始まっちゃったからなぁ。

 ……最初は個人的に地球とアードを往き来できれば良いと考えてたのに、いつの間にか大事になっちゃった。まあ、センチネルが居る以上地球に色々警告するのは避けられなかったとは思うけどさ。

 

 

 

 そのままばっちゃんに連れられて参加した定例会だけど、緊張しすぎて自己紹介の時に噛むし、後は置物になってた。

 いや、アードの重役ばっかりの場所で何を話せば良いのさ!?

 挨拶をして顔を覚えてもらうことが大切なのはサラリーマン時代に痛感してるけど、相手の身分があの頃の比じゃないからね!?

 

 

 

 で、会議が終わって色んな意味で疲れ果てた私は早く里に、具体的にはフェルの胸にダイブしたくて転送ポートを目指して歩いていたんだけど。

 

 

 

「これは大使殿。先の定例会では緊張されていたようだ。お疲れかな?」

 

 

 

 後ろから声をかけられて振り向いたら、そこにはリーフの族長フリーストさんが居た。

 ……はっきり言って私はこの人が大嫌いだ。フェル達への仕打ち、忘れないからね。それに、先日のお父さんの件も!

 

 

 

「随分と警戒しているようだな、友よ」

 

 

 

「フェルに対する仕打ち、忘れてないから。それにフィーレやフィオレのことも」

 

 

 

「誤解があるようだ。我が一族の習わしに従っただけであり、若者に危害を加えるような決断は決して本意ではないと理解していただきたいものだが」

 

 

 

「私は事実を見て言ってるんだから、誤解なんて無いと思うんだけど」

 

 

 

 仲良くなるつもりはないし、相手がリーフの族長だからって遠慮はしない。

 

 

 

「悲しいことだ、友よ。双方の誤解を解くために、私から提案があるのだ」

 

 

 

 私みたいな小娘に拒絶されているのに、顔はまるで能面みたいに変化がない。尚更不気味だよ。

 

 

 

「なに?」

 

 

 

「例のフェラルーシア、及びフィオレ、フィーレ姉妹と正式に和解したいのだ。

 私が自ら謝罪し、賠償として里の一等地に邸宅を用意しよう。

 もちろん、衣食住も全て一族で保障させていただく。どうだろうか?」

 

 

 

「私が首を縦に振るとでも?」

 

 

 

 ふざけてるのかな?

 

 

 

「本人の意思を尊重したい。どうか私の提案を受け入れて、彼女達との和解の場を整えていただきたいのだ。

 アード、リーフ双方に生じた不幸な行き違いは是正されなければならない。当然、我が一族の埒外者が貴殿のお父上に危害を加えてしまった件についても正式に謝罪したいのだ」

 

 

 

 ……私、色々勉強不足でものを知らないポンコツだけど、この人だけは信用しちゃいけないってことは分かるよ。だって、口振りが他人事なんだから。

 フェルは命を狙われて、フィオレ達は里から追い出されて、お父さんは大ケガをした!その中心に居たのがこの人なんだから!

 思いっ切り拒絶してやろうかと思った瞬間。

 

 

 

「ミ~ド~リ~ム~シ~☆」

 

 

 

 声がして二人で振り向いたら、そこには笑顔を浮かべたばっちゃんが居た。でも、目は笑っていない。

 

 

 

「これはティリス殿、ごきげんよう」

 

 

 

「私はご機嫌最悪なんだけど。うちの子にちょっかい出すの止めてくれない?迷惑だから」

 

 

 

 うわっ!ばっちゃん辛辣!

 

 

 

「誤解があるようだ。私はただ……」

 

 

 

「喋るなって、ティナちゃんの耳が腐る。この子をお得意の策謀に巻き込むなら容赦しないよ、ミドリムシ」

 

 

 

「手厳しい言葉だ。残念ながらティリス殿はなにやら誤解されている様子。今すぐにでも誤解を解きたいが、大使殿も多忙であろう。先ほどの提案、是非とも検討していただきたい。では」

 

 

 

「二度と来んな。ほら、ティナちゃん。帰るよ」

 

 

 

「うん」

 

 

 

 さっさとフリーストさんを追い払ったばっちゃんに連れられて私達はドルワの里へ戻った。何か、一気に疲れた。

 直ぐに自宅へ飛んで、玄関の前に辿り着くとフェルが出迎えてくれた。小さなサンダルがあるから、フィーレが来てるのかな?まあ良いや。

 出迎えてくれたフェルの胸にそのまま飛び込んだ。

 

 

 

「ティナ、どうしました?」

 

 

 

 フェルはちょっと驚きながらも優しく抱き留めてくれた。嬉しい。  

 

 

 

「ごめん、フェル。色々あって、疲れちゃった。ちょっと、休ませて」

 

 

 

「はい、ゆっくりと休んでくださいね」

 

 

 

 優しく背中を撫でられながら、私は心地好い睡魔に身を委ねた。

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