星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
おっはろーん!☆皆のアイドル☆銀河一美少女ティリスちゃんだよ☆
女王陛下から罰として甘味禁止を言い渡されたのはちょっと辛いけど、今日も元気一杯に人生を謳歌していくよ!☆
細かいことは気にしないのが楽しく生きる秘訣かな~☆
ティナちゃんを評議会の定例会に参加させて、取り敢えずメンバーに顔を覚えさせた。
大半のメンバーはティナちゃんの素性を知っているわけだけど、今はまだティナちゃんに感付かれないように釘を刺しておいた。女王陛下はまだ時期尚早だとお考えだからね☆
こんな時だけは、ティナちゃんのちょっと心配になるくらいの鈍さがありがたいんだよねぇ☆
バレる事無く顔見せは終わったし、交流の主役はティナちゃんだから余計な干渉をするなってメンバーに釘を刺すことにも成功した。
今後の交流もティナちゃんを主軸に進めていくし、将来のためにもたくさんの経験を積ませてあげないといけない。ティリスちゃん大忙し☆
まっ、フェルちゃんとの仲を見てたらアードとリーフの将来の安寧は約束されているようなものだからね☆
人口問題も解決の目処が立ったし、後はミドリムシをどうにかしてセンチネルの問題を解決すれば永い栄華を満喫できると思う。
ミドリムシはまだしも、センチネルについては逃げの一手しかないのが現状だけどねぇ。どうにか打開策を考えているんだけど、全く浮かばない。
でもなんだろう、ティナちゃんならきっとなんとかしてくれるような気がする。
まだまだ子供のあの娘に色々背負わせるわけにはいかないし、ティリスちゃんが頑張らないとね☆
で、夕方になって夕食はティナちゃん達と一緒に食べようかなって考えてたらパトラウスから呼び出された。なんだろ?
「パトラウス、ティリスちゃんが来たよ!☆」
執務室に居たパトラウスは、相変わらず胃が痛そうな顔してる☆
「姉上、パルミナから緊急の報告を受けました。例のリーフ人の少女が結界を無理矢理突破し、ヴァルキリーを威圧して女王陛下のお許しを得て謁見を果たしたとか」
「……はい?」
え?フェルちゃんが!?そんなに大胆なことをするような娘だとは思わなかったなぁ。
「最初に相手を自分のマナで威圧する技法、姉上が吹き込んだのではありませぬか?」
「あー、どうだったかなぁ?☆ティリスちゃん分かんない☆」
「はぁ……ともあれ、前代未聞の事ですぞ。女王陛下がお許しになされた故に大事となりませんでしたが、下手をすればヴァルキリーと衝突していたのです。自重するように改めて伝えていただきたく」
「分かってるよ、パトラウス。女王陛下とお会いしたってことは、フェルちゃんも自分の秘密を知ったって事だよね。なにか変化は?」
「いえ、そのまま里へ戻られた様子です。特に変わったことは無かったと」
「ふぅん?」
変化がない?フェルちゃんのマナならミドリムシを一掃するのも簡単なんだけど……なにかあったかな?
「伯母様、あの娘何者なの?あんなマナ感じたこともないんだけど」
ちょっと考え事をしていたら、パルミナちゃんが声を掛けてきた。どうやら部屋にあるソファーで休んでいたみたいだ。
「パルミナちゃん、うちの娘がビックリさせちゃってごめんね☆」
「私は別に良いけど、先輩のお姉様達が戦慄していた」
「フェルちゃんなら仕方ないかなぁ」
「姉上、やはり彼女は」
「まっ、そうなるね。他言無用だよ?もちろん、パルミナちゃんもね」
パトラウスも気付いたか。いや、リーフ王族と関わりがあった人はフェルちゃんの隠された正体に気付いてる。特徴的な金の髪と二対の羽根は忘れる筈がない。
でも、リーフ人は違う。あの会戦で脱出したのは一部の老人を除いて子供ばかりだった。
更にリーフもアードと同じく女王は神聖不可侵の存在、庶民は姿を見ることすら叶わない。
身近で接する機会があった近衛は全滅しているし、面識がある大半の大人達も私達と一緒にセンチネルへ立ち向かい、宇宙へ散っていった。
つまり、今のリーフ人の大半はフェルシア女王陛下を含めた王族の特徴を知らない。あのミドリムシ共、フリーストや老人共以外はね。
あの異端についての出鱈目はいつの間にか発生していた。私達がその出鱈目に気付いたのは、ティナちゃんがフェルちゃんをアードへ連れ帰った時だった。
フェルちゃんを一目見て王族の生き残りだと確信した私は、リーフ人達が狂喜乱舞するんじゃないかと微笑ましく思っていたら、訳の分からない出鱈目が周知されていた。あのミドリムシ共だ。
会戦終盤で起きた女王ご一家と近衛が全滅した悲劇についても、不審点は山ほどある。でも、証拠は一切存在しない。あの会戦で我が軍も甚大な損害を被ったし、何より戦場は混乱していた。
まして最前線に居て死にかけた私に真相が分かる筈もない。ただ、ミドリムシ共があの混乱を利用したのは事実だ。
首脳陣を一度に失ったリーフを率いることになったあの老人達は、常日頃から体制への不平不満を口にしていた連中だ。誠実な者達が死に絶え、奴らが生き延びて実権を握った。
どう考えても怪しいけど、当時の私は夫、息子、大半の部下達を失って、死ぬことも許されず禁忌で無理矢理生かされた状態だった。ドルワの里の長になるまで数十年間、パトラウスの下で脱け殻のような生活を送っていた。そしてその年月は、ミドリムシが根を張ってあらゆる証拠を消し去るには十分な時間だ。
初動の遅れが悔やまれるな。
「リーフの王族?あの娘って異端者扱いされてなかった?」
「不思議だよね~☆」
「いやいや、リーフ人に伝えないの?」
「フェルちゃんが公表するつもりなら、公表するよ。多分しないと思うけど」
今事実を公表するのはあまりにも危険だ。何がなんでもあの娘を始末したい連中に格好の材料を渡す事になり、下手をすれば種族間の対立を招く。
その結果凄惨な内戦になれば、文字通り共倒れだ。これがミドリムシ問題を難しくしている。
フェルちゃんは聡い娘だから、慎重に動くはずだ。この後お話を聞いておかないと。あの娘がミドリムシ問題を解決する妙薬であることは間違いない。
……あんな子供に背負わせるようなものじゃないんだけどね。
パトラウスと今後の事を軽く打ち合わせて、パルミナちゃんを愛でて里へ戻って一休みしようとしたらAIが着信を告げてきた。
『マスター、調査船オリンポスよりメッセージを着信。マスターティルが地球の地域名日本で行方不明、地球人と協力して捜索中であると』
「おっふぅ……」
メッセージを聞いたティリスは胃の痛みを耐えつつ、星空を見上げて深々とため息を吐いた。