星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
宇宙ステーションで見付けた異星人の女の子は、辿々しくだけど確かに助けを求めてきた。義を見てせざるは勇なきなり!絶対に助ける!
「アリア!直ぐに解析をはじめて!この娘を連れていく!」
「ちょっとティナ!?」
『畏まりました、直ちに解析を開始します』
「フィオレ、話は後で!ここで生きていけたんだから、大気の成分も似ているのかもしれない!」
全く未知の存在を受け入れるのは当然リスクがあるけど、その辺りは問題ない。リーフ人との交流で様々な知識や技術が生まれているし、地球との交流でも活用できている。
つまり、この娘を連れ帰っても問題ない環境が整っている!
「だからってアンタ、いきなりこんな……」
「リスクがあるのは承知の上だよ!それでもこの娘を見捨てるなんて出来ない!」
アード人だからじゃない、私がこの娘を助けたい。助けなきゃいけない気がする!
すると室内に若草色の魔法陣が現れて、フェルが姿を現した。
「ティナ!フィオレちゃん!もう時間がありません!直ぐに……」
フェルも女の子を見て目を見開いた。
「フェル!この娘も一緒に行ける!?」
「行けます!」
「フェルまで……どうなっても知らないわよ!」
「ありがとう!フェル、お願い!」
「はい!」
フェルは私達三人を抱きしめて、そのまま銀河一美少女ティリスちゃん号の船内へ転移した。
ブリッジに現れた私達を見て、ばっちゃんは目を見開いた。そりゃビックリするよね。
「あー、色々聞きたいことはあるけど後回しに!ティナちゃんはその娘を医務室へ連れていって!」
「分かった!アリア、ゲートを起動!宇宙ステーションとゲートを自爆させる用意も忘れないで!行き先はアード!」
未知の異星人を見付けたんだから、本星へ連れ帰らないと!
そう思ったんだけど、ばっちゃんが止めた。
「待った!行き先は予定通り地球へ!」
「ばっちゃん!?」
「今その娘を連れ帰るわけにはいかない。パトラウスには私から連絡しておくから、従って。お願い」
ばっちゃんにも考えがあるのかな……?
「アリア」
『マスターティリスの提案を受けるべきかと。当艦には充分な医療設備と異星人交流用の設備も充実しています』
「分かった、目的地は地球!このままゲートへ!」
『畏まりました……っ!?ワープアウト反応多数検知!センチネルが来ます!』
フィオレと一緒に女の子を抱えて医務室へ向かおうとした刹那、ブリッジから外を見ると宇宙空間に数え切れないほどの閃光が走った。センチネルだ!
「センチネルスターシップを確認しました!数は……千……万……まだ増える!?」
フェルの悲鳴が混じった声が聞こえるけど、何とか間に合った!
「ばっちゃん!後をお願い!フィオレ、手伝って!」
「分かってるわよ!」
二人でブリッジを出て、通路を飛びながら医務室へ向かう。
この娘、私と同じくらい小柄なんだけど……ちょっと重い。
見た目はスレンダーなんだけど、種族的なものなのかな?一瞬だけ前世で見たファンタジー作品に出てくるドワーフが頭に浮かんだ。
飛んでいる最中、船がちょっと揺れた。この感じ、ゲートへ突入してハイパーレーンへ入ったかな。
『ティナ、間に合いました。宇宙ステーション、ゲートの自爆も問題なく実行しました』
「ありがとう、アリア」
わざわざアリアが知らせてくれた。ありがたい。
そのまま医務室へ飛び込むと、フィーレが医療ポットを用意してくれていた。
「おねーちゃん、ティナ姉ぇお疲れ~。用意しとけって言われたから起動しておいたよ」
「ありがとう、フィーレ」
「じゃ、寝かせるわよ。フィーレ、手伝いなさい」
「あーい」
三人でポッドに女の子を寝かせて、ほとんど意味を為さない衣服を剥ぎ取る。同性同士だから大丈夫……個人的にはちょっと慣れないけどさ。
見た目は小柄なエルフだ。いや、ドワーフ?分からないけど。尖った耳とエメラルドグリーンの髪以外は地球人と変わらない容姿だ。
『それでは各種検査と解析を開始します』
私達が女の子を寝かせたのを確認したアリアが、ポッドの蓋を閉じる。するとポッド内をナノマシンの液体が満たしていく。後は検査が終わるのを待つだけだ。
「はぁ、取り敢えず一段落ね。フィーレ、ちょっと見てて。ティナ、汗をながしに行くわよ」
「そうだね、ちょっと疲れたし。フィーレ、留守を任せたよ」
「いてらー。暇潰しにラ◯ディーン観とく」
「声を武器にするのは止めようね?」
豪徳寺さんのチョイスでスーパーロボット系をたくさん観てるからなぁ。またなにか造りそうで怖いけど。
ティナ達が汗を流すために浴室へ向かった頃、ブリッジではティリスが深々と溜め息を漏らしていた。
「ティナちゃんの拾い癖は理解していたけど、またとんでもない拾い物をしたねぇ☆」
「見棄てられなかったみたいです。ティナらしくて微笑ましいです」
その拾い物第一号であるフェルは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「まあ、見棄てるのはティナちゃんらしくないかぁ☆」
「ふふっ……それより里長、どうして地球へ?アードへ戻るべきじゃないんですか?」
状況が落ち着いたためか、フェルはティナの代わりに疑問を問い掛けた。
「ん~今のアードに新しい異星人を急に連れ帰るのは、ちょっと危ないかなって思ったんだ。アード人はまだしも、ミドリムシ達がどんな反応を示すか分からない。
アイツらは基本的に排他的な種族だ。アード人相手には上手く擬態しているけど、他の異星人相手にどんな動きを見せるか不安でね」
「それで地球に……」
「パトラウスには未知の異星人を保護したってメッセージを送っておいた。私達が戻るまでに場を整えてくれるよ」
とんでもない案件を丸投げされたパトラウスの胃痛は限界突破を迎えるが、ティリスは笑顔である。南無。
「それじゃあ、それまでにあの娘と仲良くなれるように頑張らないといけませんね」
ニコニコしているフェルを見て、ティリスはちょっとした悪戯心を起こした。
「ティナちゃんを取られちゃうかもよ?☆」
「ティナの良さを理解してくれる人が増えるんですよ?それはとても素敵なことじゃないですか」
目映い笑顔であった。
「アッ、ハイ。これが正妻の余裕かぁ……」
げんなりするティリスを見て、フェルは不思議そうに首をかしげるのだった。