星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

347 / 467
クレアと過ごす船旅

 ノーム人のクレアと申します。逃げ延びた宇宙ステーションで救助されて数日が経過しました。私を助けてくれたのは、アード人の少女ティナさんです。

 デバイスを失い、少しだけ分かるアード語で何とかコミュニケーションを取っている状態ですが、ティナさんを含めて皆嫌な顔をせず親切に対応してくれています。本当に有り難いことです。

 ただ、アード人の服を借りているのですがちょっと大胆な感じでビックリしました。露出が多い。

 リーフ人に関してはローブのようなゆったりとした服を着ているのですが、下半身が大胆です。フィオレさんに至っては、常日頃から裸足です。

 アード人もリーフ人も、履き物は多分植物と革で編んだ原始的なサンダルのみ。これも衝撃的でした。つまり、基本的に裸足の生活です。

 用意してくれたものを使用していますが、正直落ち着かない。文明レベルは高そうですが、服装に関しては原始的な種族なのでしょうか。

 ノーム人は金属を仕込んだ分厚い衣類にブーツ、厚手の靴下が基本です。星の海へ漕ぎ出す前は鉱山で暮らしていたと聞きますから、その名残でしょう。我が儘は言えないから、我慢しますが。

 

 

 

 服装面は置いておくとして、先ずは私達の間にあるコミュニケーションの問題をどうにかしなければいけません。

 私の使っていたデバイスはほとんどガラクタ同然の状態でした。フィーレさんが頑張って修理してくれているみたいですが、彼女にとって未知の機材です。修繕は不可能と考えるべきでしょう。

 少しでもアード語を勉強していて良かった。幸い精霊達も元気ですし、魔法……精霊術も問題なく使えます。

 後は私がアード語をマスターするか、あちらがノーム語を理解すれば円滑なコミュニケーションが成り立ちます。

 

 

 

「うーん、なにこれ?楔文字?それとも象形文字?何かの記号?」

 

 

 

 試しに簡単なノーム文字を書いてみましたが、ティナさん達も首をかしげてしまいました。まあ、未知の文字ですからね。私がアード語をマスターして翻訳するのが確実でしょう。

 

 

 

「焦らなくて良いよ、時間はたっぷりあるからゆっくり覚えていこう」

 

 

 

 何を言っているかほとんど分かりませんが、彼女が私を落ち着かせようとしてくれているのを感じます。ティナさんは底抜けに優しくて、不思議な女の子です。

 アード人はブロンドの髪だと聞いていましたが……なにか事情があるのでしょう。とにかく、アード語をマスターするために頑張らないと。

 それと、アード、リーフの文化に馴染まないといけません。私達には変わった習慣は無い……筈。

 

 

 

 

 フェラルーシアです。マルス星系で助けたノーム人の女の子、クレアさんと生活を共にして数日が経過しました。

 そろそろ地球へ到着する事になりますが、私達の異星人交流は難航しています。

 礼儀正しくてこちらを尊重してくれるのは感じますし、文字や文化を覚えようと資料室に入り浸りつつ私達と積極的に交流してくれるのですが。

 例えば、おやつ代わりに地球の果実で作った果汁ジュースを出したんですけど。

 

 

 

「これ……何……です……か?」

 

 

 

「それは、果汁ジュースですよ。とても甘くて美味しいです」

 

 

 

「か……かじゅ……う?」

 

 

 

「ほら、こうやって飲むのよ。美味しいわよ」

 

 

 

 フィオレちゃんが実践としてジュースを飲んでみせたら、恐る恐る口にしました。うん、反応は微妙です。もしかして、甘いのが苦手なのかもしれません。

 そしてどうやらノーム人は、私達リーフ人と対照的な部分があることも分かりました。

 私達は明るくて自然に囲まれた場所を好みますが、逆にクレアさんは暗くて人工物に囲まれた環境が落ち着くということが分かりました。

 植物園を案内した時嫌そうな顔をしていなかったから、自然が嫌いというわけではなさそうです。うーん、地球もそうですが文化の違いを見つけると面白いです。ティナの気持ちも分かりますね。

 

 

 

「甘いものが苦手かぁ。逆に辛いものが好きだったりするかな。ちょっと待ってて」

 

 

 

 そう言ってティナが持ってきたのは……地球の唐辛子と呼ばれるとても辛い植物でした。私達リーフトリオは論外、里長も涙目になるような辛さです。

 こんなものを食べる地球人に衝撃を受けたのは良い想い出です。

 唐辛子を幾つか乗せたお皿をテーブルへ置いて、クレアさんに勧めています。あっ、里長が一つ食べた。

 

 

 

「かっ……辛ひぃ……」

 

 

 

「ばっちゃんが身体を張らなくても……」

 

 

 

 予想通り里長は涙目になりました。直ぐにお水の入ったコップを手渡しました。それで、クレアさんは……。

 

 

 

「……!~!」

 

 

 

 食べた瞬間目をキラキラと輝かせて、聞き取れない言語を口にしました。多分ノーム語なのかな?

 

 

 

「うん、間違いないね。クレアは辛いものが好きなんだ」

 

 

 

「良くあんな辛いものを食べられるわねぇ」

 

 

 

「フィオレも食べる?」

 

 

 

「遠慮しておくわ」

 

 

 

 あっ、里長が治癒魔法を使っていますね。クレアさんは唐辛子を食べながら、それを興味深そうに観察しています。

 

 

 

「フェルも食べる?」

 

 

 

「私も辛いものはちょっと……」

 

 

 

 唐辛子だけではなく、地球の調味料には香辛料と呼ばれるものがあります。ほんの少しなら大丈夫なのですが、やっぱり辛いものと私達リーフ人は相性が悪そうです。

 

 

 

 

 クレアです。昨日食べさせていただいた植物は大変美味でした。残念ながらティナさん達は苦手らしく、甘いものを好む様子。この辺りは種族の違いによるものなのでしょうね。

 

 

 

『目的地に到着、ゲートアウトします』

 

 

 

 皆さんに連れられて展望室へやって来ました。極彩色の空間はちょっと目に悪いのですが、何らかのアナウンスが流れた瞬間極彩色の空間がなくなって、代わりにどこまでも広がる星々の輝きが視界いっぱいに広がりました。

 超長距離を移動するためのワープ技術も優れている様子。何より私を驚かせたのは、直ぐ側にある青い星。ここがアード?

 

 

 

「クレア、ここは地球だよ。私達とはまた違う種族が住んでいるんだ」

 

 

 

「ち……チキュ……ウ……」

 

 

 

 名前が違う。ということは、アード本星ではないと。アード勢力圏の星系でしょうか。どちらにせよ、こんなにも美しい星を側に見たのは初めてです。広い海があるから、水資源も豊富な筈。豊かな惑星なのですね。

 

 

 

「色々あったと思うけど、先ずはここで心と身体を休めてほしい。焦らずにね」

 

 

 

 何を言っているか分かりませんが、気遣ってくれるのを感じます。本当に優しい女の子です。彼女に助けてもらった幸運に感謝しないと。

 

 

 

 

 ただ、気になることがあるとするなら、彼女のマナには枷のようなものが掛かっている点です。これでは満足に魔法も使えないんじゃ……?

 枷から僅かに漏れているマナは信じられないくらいの濃度です。もし枷が外れたら……とんでもないマナを持つことになるでしょう。それこそ、ノームの大魔道師達が霞むくらいに……自覚していないみたいですが、なにか理由があるのかな。

 恩返しの一環として枷を取り払うお手伝いをしよう。このままじゃ不便でしょうから。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。