星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

348 / 467
今回の内容は激しく悩みました。悩みに悩んで、ここで怒らないならいつ怒るんだと開き直りました(白目)


ティナだって怒る時は怒る

 途中でクレアを拾うイベントが発生したけど、何とか無事に太陽系へ辿り着くことが出来た。

 最初は太陽系外に有ったゲートも、自動航行システムに従ってゆっくりと移動している。いつの間にか月の軌道上に静止しているんだから、意外と速い。

 こちらとしても移動の手間が省けるから助かるよ。もちろん隠蔽魔法で隠されているから、地球からは観測できないんだけどね。

 

 

 

 星の海を見るのも良いけど、青い地球は何度見ても飽きが来ない。クレアもじっと見つめている。この感動を共有したいところだけど、焦りは禁物だ。

 

 

 

『地球圏のネットワークへ接続、情報の共有を開始します』

 

 

 

 プラネット号を残しているし、何より異星人対策室本部にはフィーレが突貫で仕上げた大規模なサーバーがあるから、アリアは地球圏に自分の……まあ大雑把に言えば分身体を残して管理させている。分身体だから本体に比べれば性能は落ちるみたいだけど、それでも一般的なAIより高性能だ。

 

 

 

 

『共有完了……ティナ』

 

 

 

「なにかあった?」

 

 

 

『ティナ達が不在の間に、マスターティアンナ率いる調査団が来訪していることは承知ですね。その間にマスターティルの誘拐未遂事件が発生しています』

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 直ぐにアリアがレポートを見せてくれた。ティルの転移魔法が暴発して、夜の東京を舞台に大きな騒ぎが起きた。某国の工作員が介入して、朝霧さんの息子さんの大活躍によってティルは怪我をすること無く無事に保護された。

 それは良い。それは良いんだけど、彼らはティルに向かって発砲した。まだ小さなティルが防護魔法を使える筈もない。

 つまり、もし銃弾が当たっていたら大ケガを……下手をすれば死んでいたかもしれない。

 

 

 

 ……私はアード人の中でも飛び切りのお人好しだと言われているし、自覚もしている。

 ミサイルを打ち上げたり私を妹扱いしたりと前世の頃から変わらないなぁ、なんて呑気に構えていた。地球の事情に介入するのは不味いだろうなぁってね。

 ……でも、私だって怒らないわけ無いよね。大切な妹の命を狙われて、それでも呑気にしていられるほどバカじゃない。

 

 

 

『既に実行犯はマスターティアンナによって処理されていますが、その他に対する報復は行われていません』

 

 

 

「そっか……」

 

 

 

 お母さん、わざと残してくれたのかな?多分ハリソンさんや美月さん達が頑張ってくれていると思う。

 

 

 

「ばっちゃん」

 

 

 

「何かな?ティナちゃん☆」

 

 

 

 私の心中を察しているだろうに、ばっちゃんはいつものように応じてくれた。正直有難い。

 

 

 

「お母さんが報復したのは実行犯だけ。背後にはなにもしていない」

 

 

 

「そうだね☆」

 

 

 

「これは地球の人達に任せたと判断して良いのかな?それとも、私のために残したと思って良いのかな?」

 

 

 

「んー、ティアンナちゃんは政治的な判断って奴を嫌うからなぁ。もし全部を任せるつもりなら、実行犯についても地球人に任せているだろうし☆」

 

 

 

「でもお母さんは直接手を下した」

 

 

 

「レポートの内容的に異空間魔法を使っているから、地球側は何が起きたのか理解していないだろうね」

 

 

 

「分かった……ばっちゃん、ごめん。やっぱりちょっと我慢できない。もしかしたら、ばっちゃんが裏で頑張ってくれていることを台無しにしてしまうかもしれない」

 

 

 

「良いよ、ティナちゃんは優しすぎるんだ。これでなにもしなかったら、一部のアオムシは益々調子に乗るだろうね」

 

 

 

「そうよ、ティナ。私がアンタの立場だったらブッ飛ばしてるわ。アンタが甘いだけのお人好しだって勘違いしてるバカに分からせてあげなさい」

 

 

 

「ティナ、たとえどんな決断をしても私はティナの味方ですよ」

 

 

 

「やっちゃえティナ姉ぇ」

 

 

 

「皆……ありがとう」

 

 

 

 クレアだけは首を傾げているから、追々説明してあげないと。

 ……よし、やろう。

 

 

 

 

 この日、地球全土を震撼させる出来事が発生した。銀河一美少女ティリスちゃん号が地球の衛星軌道へ戻ってきたのだが、ティナ達は地球へ降りなかった。それどころか。

 

 

 

『先日日本で発生した事件の詳細を知りました。私の妹が大変なご迷惑をお掛けして、ごめんなさい。探すために頑張ってくれた皆さんに心からのお礼をさせてください。本当にありがとうございます。

 そして、私は全容を正しく理解しています。隠し事は無駄です。一日待ちます。悪心を起こしてしまった方は、名乗り出てください。そして法の裁きを受けてください。名乗り出た場合は、情状酌量をお願いします。

 私は、地球の方々の良心を信じています』

 

 

 

 全世界へ向けて声明を発表したのだ。この期に及んで地球の良心を信じるという発言に。

 

 

 

「自分の妹の命を狙われても甘いのか、バカだな」

「パリでもお咎め無しだった。つまり、アード人には何をしても良いって訳だ」

 

 

 

 一部の者達はティナの姿勢を観て嘲笑したが。

 

 

 

「いかんな、これは。ティナ嬢達から目を離すな!」

 

 

 

「これは……ティナちゃん、相当怒っているわね。何が起きても対応できるように備えて!」

 

 

 

 合衆国のハリソン大統領や日本の椎崎首相は声明を重く受け止め。

 

 

 

「さて、眠れるドラゴンの前で火遊びをやり過ぎた者がどうなるか。人類はまた一つ過ちから学ぶだろう」

 

 

 

 チャブル首相は愛用の葉巻を片手に愉しげな笑みを浮かべた。

 結局その日は誰も名乗り出ることはなく、後継者問題で揺れている某国も遠回しに名指しされたが黙殺していた。どうせ遺憾の意で終わる。そう考えたのだ。

 

 

 

「発射」

 

 

 

 その結果は恐ろしいものであった。某国にある巨大な広場。大規模な式典や軍事パレード等が開かれる某国の象徴的なその場所へ、軌道上の銀河一美少女ティリスちゃん号から容赦なくビーム砲による砲撃が加えられたのである。

 象徴する建造物を含めて広場に有ったものは全て一瞬にして蒸発し、まるで最初から何もなかったような更地となったのだ。

 尚、人的被害はゼロである。これは砲撃前にフェルが現地へ転移して、人払いの結界を張って人々を遠ざけたためである。

 

 

 

「次、緑化ミサイル発射」

 

 

 

 それで終わりではない。次に一発のミサイルが叩き込まれたが、着弾と同時に広場だった更地全体になにかをばら蒔いた。

 数分後、更地の地面から一斉に植物が芽を出して凄まじい速度で急成長していき、瞬く間に更地は豊かな森へ生まれ変わったのである。

 これはテラフォーミング技術と魔法を応用したものであり、今回使用された植物は全て地球のものである。

 

 

 

 この様子はリアルタイムで全世界へ向けて放映され、象徴だった広場が一瞬にして豊かな森へ生まれ変わる様は各国に衝撃を与え、為政者達に凄まじい胃痛を与えることとなる。

 アード脅威論を唱える者達を勢いづかせてしまった面もあるが、改めて双方のパワーバランスを正しく理解する者もまた少なくなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。