星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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もうちょっと政治のお話が続くっ……
あーーーっっ!!!イチャコラ書きてーーーっっ!!


四日後

 某国の広場を緑化してから四日経った。その間私達は銀河一美少女ティリスちゃん号と月面の居留地を行き来するだけで地球へ降りていないし、何のアクションも起こしていない。これはばっちゃんの助言だ。

 ……今思えばとんでもないことをしてしまったと反省してる。ティルの命を狙われたと聞いて、頭に血が上っちゃった。これまでの交流を台無しにしてしまうような失態を演じちゃったと落ち込んだけど。

 

 

 

「むしろここでなにもしなかったら益々事態は悪化しちゃったよ。だから、ティナちゃんの決断は間違いじゃない。

 ちゃんとティルちゃんのために怒れて偉い!後はティリスちゃんにお任せだよ☆」

 

 

 

 ばっちゃんに励まされて、後を任せることにした。後始末を押し付ける形になって、益々申し訳ない気持ちになる……って、駄目だ駄目だ!ウジウジしてても意味はない。切り替えないと!

 

 

 

 四日間アクションを起こさなかったけど、もちろん個人的な連絡は欠かせない。ジョンさんと美月さんにはちゃんと経緯を伝えた上で謝罪した。

 

 

 

『君にこんな決断をさせてしまったことを、地球人として改めて謝罪するよ。辛かっただろうに』

 

 

 

 ジョンさんはどこまでも優しくて、不覚にも泣いちゃったのは二人の秘密だ。

 

 

 

『まあ、何と言うか気持ちはよく分かるわよ。日本でも大きな混乱は起きていないし、大半の国民の意見は……有り体に言えば、ザマァミロ。かしらね』

 

 

 

 美月さんは私を安心させるためにおどけた様子で教えてくれた。実際に日本最大のコミュニティサイトを見てみたんだけど。

 

 

 

『なんだろう、大変なことなのに何かスカッとした』

『ティナちゃんは定期的にモヤモヤを晴らしてくれるよなぁ』

『ティナちゃんは清涼飲料だった?』

『正直ザマァミロとしか言えない』

『あいつらティナちゃんの妹ちゃんを殺そうとしたらしいな』

『それ、信用できる情報なのか?』

『地球のイザコザから完全に部外者のアードが嘘を吐く理由があるのか?』

『宇宙人の策略かもしれんぞ』

『メリットはなんだよ?』

『わざわざ地球の政治に介入するかなぁ』

『親アードを増やすためのパフォーマンスだ。地球でも山ほど事例はあるだろ』

『まあ確かになぁ』

『まあ、なんだ。俺達は困らないし別に良いんじゃね?』

 

 

 

 うーん、やっぱり反対意見もあるか。仕方無いけどさ。ただ、概ね好意的だ。これが他の国だったらまた違ったんだろうけど、かの国には前世の頃から随分と困らされてきた背景があるからなぁ。

 

 

 

 

 月面の居留地にアードから運んできた物資を送り届けて、セシルさんと近況についてお話しする機会も出来た。

 

 

 

「地球の月面基地を介して少しずつ地球側とコンタクトを取っています。ただ、地球側も意見が纏まらないみたいで、本格的な交流はまだ先の話になりそうです。ラーナフラワーの量産も急いでいますが、数が揃っていませんし」

 

 

 

「焦らなくて大丈夫ですよ。当面の必要なものは私達が運びますから、新しい環境に慣れることを優先してください」

 

 

 

「分かりました。ありがとうございます、ティナさん」

 

 

 

 年上のお姉さんにさん付けで呼ばれるのは慣れないけど、そこは大使として慣れていくしかないんだろうなぁ。個人的にはもっとフレンドリーな感じが良いんだけど。

 

 

 

「貴女は私達の命の恩人、これくらいはさせてください」

 

 

 

 研究用としてラーナフラワーを幾つかお土産に貰っちゃった。フィオレが大喜びだったよ。

 

 

 

 

 その頃、地球各国の世論は荒れに荒れていた。突如行われた無慈悲な攻撃により危機感が高まったところへ、大衆受けの良い勧善懲悪ストーリーが流されたのだ。世論は完全に二分された。

 幸いなのはこれまでの交流の成果によって、特にティナが関わった国では好意的な意見が多数派であることである。

 また同時に某国が発表した数千人の死者についても、数々の証拠を無慈悲に叩きつけることで完璧に否定されたことも後押しした。

 

 

 

「今回の攻撃で数千もの尊い命が喪われたのです!これは完全なる侵略行為に他なりません!」

 

 

 

「死者については完全に否定されていますし、先に手を出したのは彼の国です!これは正当防衛に当たります!」

 

 

 

 隣国である日本の国会も荒れていた。世界融和党議員と椎崎首相の激しい応酬が行われたが、世論が好意的な背景もあって椎崎首相も幾分強気である。

 

 

 

「アード側は常に武器を携行しています!銃刀法違反では!?」

 

 

 

 ティナは日本へ滞在する際は、以前贈られた刀を腰に吊るして、勾玉のペンダントを首に掛けている。

 友好の印を携えるのが礼儀と判断しての事だ。それ以外にも様々な武器を持ち歩いているが。

 

 

 

「以前制定した通り、アード人に関しては完全に治外法権扱いです。彼女達は性善説を前提とした種族であることは明白ですし、無理に地球のルールに当てはめれば双方に不利益が生じるのは明らかです。

 もちろん交流が本格化する前に双方で協議し、新たなルールを策定することも同意を得ています」

 

 

 

「その結果が今回の攻撃では!?」

 

 

 

「自分の妹の命を狙われて、黙っていろと!?」

 

 

 

「それこそ地球のルールに従うべきでは!?」

 

 

 

「そのルールに縛られて私達は何の対策も打てませんでした!不甲斐ない話ではありますが、アード側の反応も当然です!」

 

 

 

 事実某国に対する具体的な制裁は未だに行えていない。国際社会のルールは厳格に護られるべきであるが、それ故にあらゆる行動を縛り付けているのもまた事実である。

 

 

 

「総理、例の報道では彼の国の工作員による国内での活動について言及されていますが、あれは事実ですか?」

 

 

 

 ここで声を挙げたのは、最大野党共栄党である。世論がアード側へ好意的な事に配慮してアードを糾弾するような発言を避けていたが、代わりに政府の不手際を槍玉に挙げたのである。

 

 

 

「ええ、事実です。既に当日に於ける警察機構の情報も公表しています」

 

 

 

 ただし、工作員達がティアンナによって処されたことは公表されていない。もっとも、それを知る日本人は椎崎首相だけなのだが。

 

 

 

「これは由々しき事態ではありませんか?国民を危険に晒したことは明白だ。総理、今後の対策を伺いたい」

 

 

 

「国民の皆様の生命財産の安全確保は最優先事項です。出入国の厳格化はもちろん、各方面との協力し二度とこのような事態が起きないよう全力を尽くします。

 同時に臨時予算として、関連機関の予算の増額を行います。こちらに関しては、与野党問わぬ活発な議論を行いたく思います。共栄党の皆さんも党利党略を越えたご協力をお願いします」

 

 

 

「……もちろんです」

 

 

 

 共栄党党首は一瞬苦い表情を浮かべてしまった。曖昧ではあるがアードに否定的な立場を持ち、更にリベラル色の強い政党故に出入国の厳格化や、この場合の関連機関に含まれる国防に関する議論は極力避けたいものである。

 だが、国民の安全確保の建前を出された以上審議拒否は出来ないし、既に事態が発生してしまったので真っ向から否定は出来なくなった。

 椎崎首相はこの状況さえも利用して、政界の反アード勢力の封じこめを行なったのだ。

 

 

 

 昼を過ぎたので審議を一時中断に、椎崎首相も官邸にある執務室へ戻り人払いを済ませて一人になり、ソファーへ座り込む。

 

 

 

「はぁ……若返ったのは嬉しいけど、これ……どうしようかしら?」

 

 

 

 彼女の右肩には光輝く鳥のような生き物が止まり、膝の上には同じく光り輝くリスのような生き物が身を委ねている。

 地球には存在しない、厳密には自然には存在しない生物。マナの集合体、すなわち魔法生物である。

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