星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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考えるなっ、感じるんだ!


影の実力者一族

 地球、ハワイ諸島。常夏のリゾートと名高い観光が盛んなこの群島に含まれる小さな島。その地下空間に、パルテノン神殿を模した荘厳な神殿が鎮座していた。普段は無人であり、極一握りの人間しか知らないその場所に、複数の人影があった。

 男女比率、人種すらバラバラではあるが共通点がある。それは、全員が地球人の感性からすれば特殊な服装に身を包んでいることであろうか。

 彼等は、篝火のみを光源とした荘厳な広間に用意された純白の円卓へ腰を下ろしている。

 それは明治維新以後影ながら世界を守り見守ってきた一族、ニシムラ家による秘密の会合であった。世界に大きな変化が起きた時、この秘密の会合が開かれる。ここは、世界の行く末と一族が果たすべき使命を語り合う場である。

 

 

 

「では、会議を始める。昨今の世界情勢は予断を許さないが、それでも大きな変化が起きた。すなわち、外宇宙からの来訪者。アード人及びリーフ人の影響だ」

 

 

 

 先ず口を開いたのは、今回議長として進行を担当する黒人の老年の男性、ケロス=ニシムラ(海パンのみ着用)である。

 一族の中でも高齢である彼が場を取りまとめるのは自然な流れであった。

 

 

 

「ティナちゃん達の事ね。今世界で一番ホットな話題じゃない。聞かない日がないし、その動向には地球中が注目しているわ」

 

 

 

 応じたのはコーカサス系の美女、ケイミー=ニシムラ(虹色のレディースーツ)である。

 若いながらも合衆国有数の大企業を差配する辣腕の持ち主だ。

 

 

 

「彼女達が来訪して、世界に様々な影響を与えたのは事実だ。

 それに彼女達が持ち込んだ医療シートは災害現場で大活躍し、トランクは物流や在庫管理の原理そのものに革新を与えたのも事実だ。

 彼女達が地球に対して恩恵を与えているのもまた事実だ」

 

 

 

 淡々と事実を挙げていくのは、堀の深い男前の中東系のロレンソ=ニシムラ(バニースーツ)である。彼は中東連合政財界に知人が多い有力者だ。

 

 

 

「恩恵について異論はありませんが、各国に無用な混乱を招いたこともまた事実です。こちらの常識が一切通じない相手との付き合いは、もう少し慎重になさるべきではなくて?」

 

 

 

 慎重論を唱えるのはヨーロッパ系の美女にして欧州の有力財閥に属する女傑、レイチェル=ニシムラ(全身白タイツ)である。

 

 

 

「とは言え、我々は限られた媒体と情報で判断するしかない。それはとても危険な決断だ。よって、今回は当事者を招いている。同志ジャッキー、発言を許可する」

 

 

 

 モンゴロイド系列の威厳ある初老の男性チェイ=ニシムラ(竹林を想起させる髪型&パンダコス)が主役であるジャッキーに手招きをして中心に据えられた発言台へ促した。

 彼の導きを受けて我らがジャッキー=ニシムラ(ミニスカ猫耳メイド)は威風堂々と発言台へと立つ。

 

 

 

「先ずは、若輩の身である私をこの様な場に迎えてくださった一族のお歴々に感謝申し上げます。

 さて、皆様は多忙な身。今回の議題であるアードとの関係性について交流の最前線に立つ身として、端的に申し上げます。これは我々地球人類にとっての福音となることは確実であると断言します」

 

 

 

「その根拠は?」

 

 

 

 問い掛けたのは南米の政財界に影響力を持つ南米系の男性、ゴメス=ニシムラ(タコスのコスプレ)である。

 

 

 

「端的にお答えします。皆様に地球とアードの文明レベルの差をご説明する必要はありますまい。相手は上位者である。

 簡単に、それこそ片手間に地球を蹂躙できる存在でありながら、彼等はこちらの価値観や文化を理解しようと努め、対等な立場としての関係構築を模索しているのです。

 この様な存在が上位者であることの幸運は、言うまでもありますまい?」

 

 

 

「確かに大使殿は慈悲深い性格のようだ」

 

 

 

「彼女だけではないのです。実際にこの身で体験しましたが、アード社会は地球で言えば性善説を大前提としています。

 これは種族レベルであると断言できます。むしろ、狂気とも言えるお人好し集団です」

 

 

 

「つまり、ティナちゃんだけが特別ではないと」

 

 

 

「むしろ彼女は地球の事情にある程度の理解があります。だから、まだ我慢している方です。本格的な交流が始まれば、パリでの事件が世界中で発生することになるでしょうな」

 

 

 

 

「ううむ、ならば我々がすべき事は」

 

 

 

「今後も交流は加速していきますし、それは避けられません。少なくともアード側に異変が……そうですな、セレスティナ女王が交流の中止を宣言しない以上アード側は前のめりになって交流の加速を促してくるでしょう。

 ティナ嬢周辺からの情報だと、アード側は大規模な使節団の準備を始めているのだとか」

 

 

 

「こちらが使節団を送ったのだ。その反応も予測は出来たが。人選について情報はないかね?ジャッキー」

 

 

 

「今現在分かっているのは、宇宙開発局と呼ばれる宇宙の最前線を司る機関の長であるザッカル局長が団長として有力視されているのだとか。ちなみに、ティナ嬢の上司に当たる人物で、優れた先見性の持ち主です。

 とは言え、こちらが新たな外交団を送るのが先でしょうな」

 

 

 

 

「外交団か……既に水面下で不穏な動きがあるな」

 

 

 

「既に合衆国、日本、連邦、中華、東アジアの半島の南側、ブリテン、ドイツ、イタリアが参加することが決まっているわね」

 

 

 

「おや、南米やオセアニア、中東、アフリカはのけ者ですかな?」

 

 

 

「それらは情勢を見極めようとしているのだ」

 

 

 

「この期に及んで日和見ですな。いやはや、地球全体の問題であると言う当事者意識に欠けますな」

 

 

 

「そう言うな、スケールが大きすぎて今一つ実感を持てないのさ」

 

 

 

 肩を竦めるジャッキーをたしなめたのは、オセアニア地域に影響力を持つ中年男性バラス=ニシムラ(コアラコス&パイナップルヘア)である。

 

 

 

「ならば周回遅れ扱いも仕方ありますまい。我々一族の成すべきは、今後加速する交流に合わせて陰ながらアード人やリーフ人を守り、そして地球の統一政体樹立を全力で支援することであると愚考しますが」

 

 

 

 ジャッキーの言葉を聞いて皆が上座へ視線を向ける。そこにはまるでボディービルダーのように盛り上がった筋肉に包まれた肉体を持ち、腰に装着した黄金のアヒルパンツが神々しさを醸し出す老齢の紳士が鎮座していた。彼はゆっくりと目を見開き。

 

 

 

「ティリスちゃんペロペロ」

 

 

 

「「「ははっっっ!!」」」

 

 

 

 一族の長キング=ニシムラの聖断により、影の実力者であるニシムラ一族のアードへの全面的な協力が決まったのである。

 

 

 

「しかし皆奇抜な服装ばかりだな、不思議だ」

 

 

 

 ジャッキーの呟きは闇に消えた。




落ち着いてください
焦ることはありません
あなたにお話があります
いいですか、落ち着いて聞いてください
あなたは宇宙人の美少女達がキャッキャウフフする小説を読みに来た……
ええ…ええ…わかってます
いったい何を読んだのか?
あなたが読んだのは……
ニシムラ一族の怪しいサバトです
っ!?
まずい!
ナース!ナース!
大丈夫…大丈夫…!
落ち着いて…落ち着いて…!
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