星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
ブリテンで観光した次の日、私達はロンドン上空で待機してる銀河一美少女ティリスちゃん号で夜を過ごした。一応ホテルを手配してくれたけど、それはパフォーマンスだったみたいで安全のために宇宙船で過ごすようにブリテン政府から要請されたんだよね。
前回みたいなことは起きないと思うのは前世が日本人だからかな?トラブルなんて私の旅に付き物だし、また迷惑をかけるくらいならって要請に甘えることにした。
フェルと過ごしたロンドンの映像にフィーレとフィオレはあんまり関心を寄せなかったけど、クレアが食い入るように見つめていた。サイバーパンク風の服を着ているし、そもそもサイバーパンクはブリテンをモデルにしてるって話を聞いたことがあるから似合いそうではあるんだよね。
「クレアも一緒に連れていきたいんだよねぇ」
「気持ちは分かりますが、コミュニケーションの問題がありますよ?私達との会話でも苦労しているんですから、本人を含めて皆が大変なことになります」
「そうだけどさぁ」
フェルに反対されたし、その理由だって理解してる。でも折角地球に来て、ちょっと特殊だけど地球の服を気に入ってるんだから降りてみたいと思ってるんじゃないかなって。
「……勉強……がんば……ります」
「うん、一緒に頑張ろう」
私とフェルの会話を聞き取れたとは思えないけど、何となく察してくれたみたいだ。胸の前で握り拳を作る姿が可愛らしい。見た目だけならサイバーパンク風ドワーフ美少女なんだよなぁ。
「アリア、例えばクレアの画像を地球へ流すのはどうだろう?」
『今現在ノーム人は地球人からすれば完全に未知の異星人となります。それに関しては我々も同じですが。
いずれ地球へ降りることを考えると、前もって触り程度の紹介を行うのは、地球側に受け入れの下地を作る際に効果的であると判断します』
ふぅむ、確かにフェルの時は事前に紹介していなくてジョンさん達の胃に深刻なダメージを与えちゃったからなぁ。
よし、決めた。
「フェル、こっちに来て。クレアも!」
二人を呼び寄せて、三人並んだ写真を撮影して。
「何をするんですか?」
「私の新しい友達を地球の皆さんに紹介するだけだよ。まだコミュニケーションの問題があるから地球へ降りることは出来ないけど、いつか降りる時が来るから、その時はお願いしますってね」
私達三人のフォトに英語と……まあいいや、日本語でメッセージを書き添えて……異星人関係で盛り上がってるネット掲示板へ放り込んで完了っと。
『私の新しい友達です!いつか地球へ連れていくので、その時はお願いします!』
『!!!???』
『ティナフェルキターーーっっ!!』
『フェルちゃん髪をおろしてるぞ!これは珍しい!』
『ちょっと待て!あの緑髪の女の子は誰だ!?』
『翼や羽が無いな。つまり?』
『新異星人キターーーっっ!!』
『マジか!マジか!?』
『しかもこの格好、サイバーパンクっぽくないか?』
『見た目エルフっぽいな』
『金髪じゃないなんて……』
『でも背格好はティナちゃんと変わらないくらいだぞ?落ち着いてて幼い感じもしないし』
『確かに背格好は同じくらいだな。一部以外は』
『言ってやるな』
『これで幼子じゃないとしたら……もしかしてドワーフみたいな感じ?』
『髭の無いドワーフなんて……』
『ん?ちょっと待て。ティナちゃん』
『はい、なんですか?』
『この娘、ハリソン大統領とか椎崎首相とかに紹介してるよね?』
『あ……』
『あって!wwww』
『おいまたかよ!www』
『朗報、ティナちゃんまたやらかす』
『こりゃまた製薬会社の株価が上がるな。買っとこ』
『朗報。ティナちゃん、無自覚に経済へ介入してる』
『取り敢えず、ごめんなさいしよっか?』
「やらかしたーーーっっっ!!」
当たり前だが突然ネット上で紹介されたクレアに関する問い合わせが各国為政者達に押し寄せ、全く知らない彼等は対応に追われて胃に深刻なダメージを与えたのである。閑話休題。
そうだよ!先にハリソンさんとか美月さんとかに紹介しなきゃいけないのに!私ってば、フェルの時と同じ失敗してるじゃん!
「ティナ、大丈夫ですか?」
「ああ、うん……またやらかしちゃったよ……」
自分の学習能力の無さに呆れるしかない。さてどうしようか。失敗して土下座は確定として、大切なのは挽回方法だ。何かないかな……。
「そう言えばティナちゃん、同志ジャッキーが作ってくれた動画サイトは使わないの?☆」
「動画サイト……それだ!」
ばっちゃんの言う通り、アードの事を知って貰うためにたくさんの動画を撮影したし、ジャッキー=ニシムラ(キュートガイ)さんに地球最大の動画サイトのアカウントを作って貰ってたんだ!
色々あって利用していなかったけど、上手く使えばハリソンさんの大統領選挙の掩護射撃になるはず!
……記念すべき最初の投稿はどうしようかな。アードを紹介する動画は録画だし、インパクトはあるけど導入には……よし、ちょっと緊張するけどやるか!
「フェル、ちょっとクレアを見てて。フィオレ!手伝って!」
「分かりました」
「は?」
この日、地球最大の動画投稿サイトは大いに盛り上がっていた。ティナが突如としてネット上に投稿したクレア、フェルの三人で撮った写真は様々な物議を醸していた。
しかし、それ以上に盛り上りを見せたのは以前開設されたものの一切動きが無かったティナのチャンネルが突然ライブ予告を開始したことだ。
このチャンネルはなりすまし防止のため合衆国公式チャンネルとして開設されており、アリアがセキュリティを管理している徹底ぶりである。
予告の情報は様々な媒体を通じて瞬く間に広がり、前代未聞の人数が視聴者として詰め掛けた。
そして、ライブ時間開始時間。ドアップでティナの顔が画面に映し出された。
「地球の皆さん、おはようございます!いや、こんにちはかな?それともこんばんは?ティナです!」
『Hi!ティナ!』
『こんにちわ、大使さん』
『こっちはこんばんわだよ、ティナちゃん!』
一斉にコメント欄が埋まっていく。ティナは視聴者の数を見て目を見開いた。
「うわっ!?一億人以上居るんだけど!?」
『マジだ!』
『これよくサーバー落ちないなぁ』
「あっ、サーバーなら問題ありませんよ。このチャンネルだけは私達のAIが管理していますから、例え地球の皆さん全員がアクセスしても落ちたりはしませんから」
『良かった』
『サラっと恐ろしい技術力見せられたな』
『どんどん増えると思うよ』
「あはは、お手柔らかに。皆さん、私の言葉はちゃんと通じていますか?同時翻訳を掛けていますけど」
『そうなのか?英語で話してると思った』
『こっちはイタリア語で聞こえてるぞ』
『俺はアルゼンチン語だ。全世界の言葉を同時に音声で翻訳してるのかよ』
『ティナちゃんの日本語可愛い。それだけで飯が進む』
『日本人の紳士が現れたぞ』
「ちゃんと伝わっているみたいで良かったです。それじゃあ初めての放送を始める前に……周りを見てください。ここは地球じゃありませんよ?」
映像がティナから少し離れて周りを映し出す。そこには全周囲モニターに映し出された広大な星の海と、青い地球があった。
『宇宙!?』
『これ、もしかして戦闘機の中か!?』
『ティナちゃん本当にパイロットだったんだ!?』
視聴者達の反応に満足しながら、ティナは愛機であるギャラクシー号のコクピットで笑みを浮かべた。
「さあ、地球の皆さん。ちょっとした宇宙の旅をしながらお話ししましょう!」