星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
こんにちは、ノーム人のクレアです。ティナさん達に保護されて、早いもので十日以上経ちました。この船ではアード時間と地球時間を利用していますが、ノームの時間の感覚は地球の時間に近く、違和感なく覚えることが出来ました。
以後は混乱を避けるために、地球時間を主に利用しようと思います。
さて現在私達の間に存在する言語の問題ですが、徐々に解決へ向かっています。
先ず、私自身が密かにアード語を独自に学んでいて下地があったこと。
そして、普段から身に付けているブレスレット型の端末に搭載されたアード製のAIによるサポートが大きな役割を果たしています。
私自身のアード語学力が向上するのと平行して、ノーム語を構成する基本的な文字や文法をAIに学習させているのです。
私から学んだノーム語を学習し、アード語への変換を徐々に行えるようになりました。
幸いだったのは、アード語もノーム語も言語として複雑なものではなかったことです。
それに、どうやらアード側も私達ノーム人の存在に気付いていて、多少研究されていたことも翻訳の後押しとなりました。
相変わらず発音では苦労させられますが、アード文字や文法は粗方覚えてしまいました。
試しに船に残っているフィーレさんと、アード文字を使って筆談をしてみたのですが。
「おー、凄いじゃんクレア姉ぇ。もうアード語を覚えたんだね」
彼女の言葉をAIがリアルタイムでアード語で表示してくれます。良かった、上手く伝わった。
……よし、発音については諦めましょう。毎回精霊の加護を使うのは疲れますし、AIが双方の言語を完全に翻訳できれば、私がノーム語で喋っても相手にはアード語で伝わりますから問題ありません。
……しかし、クレア姉ぇですか。幼く可愛らしいフィーレさんにそう呼ばれるのは、何だかくすぐったいですね。私にも妹が居たら、こんな感じなのでしょうか。
「なるほど、筆談ね。それなら今までより簡単じゃない。アード語は発音も難しいでしょう」
『はい、正直発音に関しては諦めました』
「それで良いわよ。アンタの……ノーム語だったかしら?アリアの話だと数日以内に翻訳が完了するみたいだから、ティナ達を驚かせてやりなさいな」
彼女はフィオレさん。フィーレさんのお姉さんで、リーフ人です。快活な雰囲気の可愛らしい女の子。
ただ、彼女達の話す言葉はわかりません。多分リーフ語なのでしょう。幸いアード語に翻訳されて映し出されるので、コミュニケーションに問題はありません。
こうしてお話が出来るのは嬉しい。ここ数日間寝る間も惜しんで勉強した甲斐がありました。
「あんまり根を詰めすぎないようにね。ぶっ倒れたら大変なんだから」
『無理の無い範囲で頑張りますよ』
流石に疲れたのでこの後は少し休ませて貰うつもりです。
ティナさんはフェルさん、ティリスさんを連れて地球へ降りているみたいだし、今は余裕がありますからね。
数日中に言語の問題が解決する予定ですが、私の勉強はまだまだこれからです。
私の背丈はティナさんと変わらないくらいです。データを見る限り、アード人の平均身長は地球単位で170cm前後。ティナさんが150cmくらい。つまり彼女は、アード人としても小柄な分類です。
で、私もそれくらいなので同年代と思われていますが……これでも年齢的には一応、ギリギリ成人に達しているんですよね。というか私も一族の中では背が高い方でしたからね。
まあ、だからなんだって話ですが。別に大人ぶるつもりはありません。
私はアードやリーフ、そして地球の常識や文化などを一切知らない、つまり子供と変わらないのが現状ですから。
それはさておき、言語に解決の目処が立ってくると他の事に関心を向ける余裕が出てきました。最初に興味を惹かれたのは、やはり地球人の服装ですね。
地球人の服装についてフィーレさんと調べていたのですが、本当に多種多様で驚きました。ほとんど裸みたいな服装から、全身を覆うような服装まであります。
環境に適応するためだと思いますが、それは同時に地球は様々な環境が存在する豊かな惑星であることを示しています。
私としても貸し出されていたアードの服は落ち着かなかったので、フィーレさんにお願いして気に入った服装をクラフトして貰いました。
残念ながらこの船の談話室は土足厳禁なので、そこで過ごす際は裸足にならざるを得ませんが、分厚い金属の入ったブーツは落ち着く……。
次に関心を寄せたのは、やっぱり種族の性なのか地球やアードに存在する私からすれば未知の鉱石類です。私達は大地の産み出した結晶に強い関心を寄せる種族です。
当然私も例外ではなく、フィオレさんにお願いしてサンプルとして積み込まれている地球やアードの様々な鉱石類に触れる機会を得られました。
ああ、たくさんの鉱石に囲まれて……精霊たちに囲まれている……幸せ……。
「ちょっ、ちょっと待ちなさい!クレア!クレア!聞こえてる!?」
油断していました。私は生まれも育ちも船の中です。つまり、私はこれまで大地の結晶と触れ合う機会が極端に少なかったのです。
そんな私が急にたくさんの大地の結晶に触れて、しかも精霊たちの呼び掛けに応えたらどうなるか。
「おぉーーっ!クレア姉ぇ凄い!おねーちゃん、これゴーレムだよね?」
「そうだと思うけど、何よこの数と大きさは!?こんな魔法聞いたこともないわ!」
ああ、ここが広大な格納庫で本当に良かった。何故なら、格納庫一杯に鉱石から産み出してしまったゴーレムの群が現れたのですから。
全て人型で、大きさは地球単位で五メートル前後、数は……今現在一千体以上ありますね。
「クレア、大丈夫なの!?」
『大丈夫です。驚かせてしまってごめんなさい』
私達ノーム人の魔法、つまり精霊術の真髄は大地に呼び掛けて変化を与えるもの。そして様々なゴーレムの製作と操作は、その最たるものです。
ただ、私の記憶だと最も優れた魔術師が一度に操れるゴーレムは五百体だったはず……なのに、私にはまだまだ余裕があります。多分、一万くらいなら……簡単な指示を出すのが精一杯ですが。
地球やアードの鉱石と相性が良いのか……はたまた、この身に流れる血筋ゆえか。まあ、取り敢えず。
『これ、どうすれば元の鉱石に戻せるのでしょうか?』
「私に聞かないでよ」
ティナ、胃痛案件追加のお知らせ。