星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
今回来訪して色々あったけど、ようやく合衆国へ降りることが出来てフェル達とゆっくり出来ると思っていたら、いつの間にか地球へ降りていたフィーレが居た。
嫌な予感がしたけど、残念ながら既にアッ◯イが完成していた。しかも体育座りしてるし。可愛い。いや、そうじゃなくて!
「フィーレ、なにしてんの!?」
「アードの海について聞いてみたら、これを作れば良いってたくさんお勧めされたんだ。
その中から、取り敢えず小さなものを選んで試作してみた」
「また面白がって、フィーレに変なこと吹き込んだなぁ……!」
ネット上、それもフィーレが顔を出すロボット関係のスレに生息してる紳士淑女の皆さんは、隙あらばフィーレに余計なことを吹き込もうとするんだよなぁ。いや、気持ちは分かるよ?
ロボットそのものがロマンの塊だし、アードの技術を使えば大抵は再現できてしまうからなぁ。
「見て見てフェル!これ可愛いと思わない!?」
「丸みのあるデザインが愛らしいですね」
で、そのアッ◯イを抱きしめてる巨大少女カレンと、近くを飛びながら観察しているフェル。周りを囲み雄叫びを挙げてる研究者の皆さん。なにこのカオスな空間。私悪くないよね?
『目を離したティナが悪いかと』
「そっかぁ……ちなみに、どうかな?あのロボットは」
「モビル◯ーツ」
「ああ、うん。モビ◯スーツは海洋開発に使えるかな?」
フィーレに訂正されながら、アリアの評価を聞いてみた。
『あの機体を基として、形状と武装を改修すれば有用なものになると判断します。可能ならばビーム兵器があれば更に有用性か上がります』
「やっぱり有効なんだ……」
アードの海は、国民的海賊アニメに出てくる巨大生物みたいなのがうじゃうじゃ居るんだよねぇ。
だからアードは近海の漁業以外の海洋開発を完全に諦めてる。
「大丈夫、このままコピーはしないよ。着想を貰ったから、これを基に有効な兵器を作るのが私の仕事だから」
「それなら良いけどさ」
確かにフィーレは色んなロボットを再現してしまうけど、その着想を基にしたロボットを設計してる最中なんだよね。
だからアードが宇宙世紀になる心配はないんだけど。
「せんせー、これ敷地を貸してくれたお礼。ティナ姉ぇがジョンおじさんに渡した奴と同じ、世界樹の葉っぱだよ」
「ちょっと待って!なんでフィーレが持ってんの!?」
「おねーちゃんのストックから拝借した。お礼は大事、だよね?」
「だからって、こんな劇物を……あっ」
気づいたら、ドクターさんを中心に研究員さん達が集まっていた。
そして何処からか持ってきた、神殿とかにありそうな台座にフィーレから貰った淡い光を発してる世界樹の葉っぱを置いた。
んで、台座を中心に円形になって。
「うぉおおーーーっっ!!」
「「「うぉおおーーーっっ!!!!」」」
ドクターさんが雄叫びをあげて、他の皆さんもそれに続くように吠えた。叫び終わったら奇妙な躍りをしながら台座の周りを回り始めた。
「「「おっっっ!!!おっっっ!!!おっっっ!!!エクセレーーーントッッ!!
おっっっ!!!おっっっ!!!おっっっ!!!アメェイジンッグッ!!!
おっっっ!!!おっっっ!!!おっっっ!!!ワァンダフゥルッ!!!」」」
合いの手を入れるドクターさんが無駄にキレッキレなのは置いておいて、広場の隅っこでジョンさんが頭を抱えているのが見えた。
うーん、フィーレがプレゼントしたものに私が干渉するわけにはいかないし、今更取り上げるわけにもいかない。
まあ世界樹の葉っぱはラーナフラワーみたいに危険な特性もないし、管理は厳正にしてくれるだろうから任せてしまっても大丈夫かな。うん、大丈夫だって思おう。
「フェル、ティナが遠い目をしてるわ」
「現実逃避をしているんですよ、カレンちゃん」
「たまぁにパパと似たような顔をするのよね?胃が痛くなったとか?」
「ティナは今日も元気なだけですよ」
うん、自覚はある。なんか色々あって疲れたから今日は休もう。明日は特大のイベントが待ち受けているんだから。
その日の内に、エジプト訪問は延期することにした。時差の問題もあって、日本とエジプトを一日で訪問するのは無理がある。
と言うか、色々考えて調整するのも大変だから別の日にすることにした。
そして翌日。日本で正午くらいの時間に私はフェルと一緒に出発した。もちろんフィーレを銀河一美少女ティリスちゃん号へ送り返してね。野放しにしたらまた何か作りそうで怖いし。
転移魔法を使うんだけど、美月さんから事前に場所を指定されている。目的地は、東京駅。
……この時点で凄く嫌な予感がする。
現地に転移したら、美月さんが待っていてくれた。たくさんの人が集まってる。お巡りさんもたくさん居るけど、儀礼用の服を着た人も居て……何故か立派な馬車が用意されていた。これってまさか!
「お久しぶりね、ティナちゃんフェルちゃん。日本へようこそ。早速だけど、この乗り物……馬車に乗って頂戴」
「美月さん、これってまさか!」
フェルは首を傾げているけど、美月さんは笑顔で……ちょっと申し訳なさそうな顔をしてる。
「そのまさかよ、ティナちゃん。貴女にとってはとても緊張するとは思うけれど、こればっかりは我慢して頂戴」
「わっ、分かりました……」
前世のテレビで観た外国の大使が新しく赴任した時に行われる式典に、まさか自分が参加することになるとは思わなかった。
フェルと一緒に馬車へ乗り込み、東京都内を進む。
「動物を使った乗り物、ですか」
「ふふっ、珍しいでしょう?地球でも一般的には使われなくなっているけれど、格式高い儀礼用に使われることがあるの」
「儀礼用……つまり、文化的な伝統行事ですか?」
「そうなるわね。リーフにはあるかしら?」
「世界樹を中心にお祝い事をする時に、古い民族衣裳を着たりします」
「あら、素敵ね。見てみたいわ」
一緒に乗っている美月さんがフェルに解説してる。あっ!
「美月さん、これを預かってもらえませんか?」
私の腰には、日本政府から贈られた日本刀が吊るされてる。日本へ来る時は勾玉の飾りと一緒に持ち歩くようにしてるけど、流石に皇居へ持ち込むのは不味い!
「あら、大丈夫よ。それは儀礼用としての意味合いがあるし。それとも、ティナちゃんは間違ったことをするつもり?」
「あり得ません!」
「なら、大丈夫よ」
え?本当に?良いの?流石に不味いんじゃ……まあ良いか、開き直ろう。
「間もなく到着します、ご準備を」
「ええ、ありがとう。さあ、ティナちゃんフェルちゃん。行きましょう。私も一緒だから安心してね」
「分かりました。ティナ、大丈夫ですか?」
「うん、頑張る!」
私達はそのまま皇居へ入った。
……そこからは正直あまり覚えていない。天皇陛下とご挨拶をして、セレスティナ女王陛下からの贈り物をお渡ししたのを辛うじて覚えているくらいだ。
……ああ、前世を含めて一番緊張した瞬間だったよ。光栄だけど、とっても疲れた……。