星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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新たな一歩へ

 合衆国大統領選挙から半月の月日が流れた。ハリソン大統領の再選所信表明演説の際に出された地球統一連合構想は、全世界に衝撃を与えた。

 とは言え、急に表明したわけではなく水面下で主要国に前もって打診はしていたのだ。

 それ故に主要各国政府に大きな動揺は見られなかったが、大衆に大きな波紋を生むことになる。

 

 

 

 先ず統一政体の設立など不可能とする論調は悉く淘汰された。何故ならば、アードが実現可能であることを証明しているのだ。

 これに対して、相手は別の惑星であり種族すら違うとの反論も出たが。

 

 

 

「確かに全く違う文明ではありますが、我々も同じ知性を持つ生命体です。彼女達に出来て私達に出来ないとの主張は、人類の進歩を阻む以外の意味を持ちません。

 目の前に立ち塞がる難問の数々に怯むこと無く立ち向かう決心を固めねばならない状況である以上、それを不可能とする意見には賛同出来ません。

 何故ならば、我々に残された時間は決して多くはないのです。早急に体制を協議しなければならない現状で、構想そのものを否定するようなご意見は一切無視させていただく。

 私に言わせれば、実現不可能とする主張は無責任な論調に他なりません。我々に必要なのは、現実的かつ建設的なご意見です」

 

 

 

 ハリソン大統領の宣言は賛否両論を巻き起こした。だが、冷静に地球資源や環境を分析している者達の賛同を得ることが出来た。

 ブリテンの学会は百年としたが、以前ジョンが個人的にティナへ依頼を出しており、アリアが地球の現状を冷徹に分析。その結果は合衆国政府や学会に共有されていたのだ。

 

 

 

「ごっ、五十年以内に文明が崩壊する公算が極めて高い……!?」

 

 

 

『残念ながら、このままエネルギー資源は枯渇していきます。そしてあなた方地球人がこれまで辿った歴史を分析するに、枯渇する前に資源の奪い合いを目的とした戦争が勃発。稀少な資源を更に浪費することになります』

 

 

 

 一切の感情が入らない冷徹な分析結果を否定できる者は、残念ながら居なかった。

 

 

 

『同時に、希望も残されています。この星系内には地球人類を万年単位で養えるだけのエネルギー資源があります。速やかなる星系内緒惑星の開発を推奨します。

 アードの技術支援を有効活用すれば、十年以内に地球側呼称火星の開発とテラフォーミングが可能になります。

 また食料資源については、栄養スティックの研究を継続すれば容易く解決します』

 

 

 

 このアリアの解析がハリソン大統領を含む主要国首脳陣の危機感を大いに煽ったのは言うまでもない。

 

 

 

 地球の為政者達が地球人類始まって以来の難題へ取り組み始めた頃、我らがティナは。

 

 

 

『ちょっとちょっと!?ティナ!アンタ正気!?』

 

 

 

「大丈夫だよ、慣れてるから。さあ、行くよ、地球の皆さんにとっても素敵な体験になるだろうし!アリア!サポートお願い!」

 

 

 

『畏まりました、ティナ』

 

 

 

「突入ーーーっっ!!」

 

 

 

 ティナは愛機のギャラクシー号を駆り、なんと有名な土星の環へ突入したのである。

 美しい環が有名な土星であるが、その環の正体は大小様々な氷の塊や岩石の集合体である。ティナは地球到着後続けている全世界へ向けた生配信のイベントとして、土星の観察と環を題材としたのだ。彼女の狙いは的中し、視聴者達は間近で見るド迫力の天体ショーに釘付けとなった。

 

 

 

『流石に無理よ!』

 

 

 

「じゃあ、フィオレは外側から撮影をお願い!アリア、加速するよ!」

 

 

 

 フィオレ機は危険を避けるために環から離れたが、ティナは更に加速して環の内部を高速で飛行する。間近に迫る氷や岩石の間を速度を保ちつつスイスイと飛び回る様子はまさにSF映画そのものであった。

 

 

 

『うわっ!怖っ!!』

『すんごい速度で飛んでないか!?』

『ティナちゃん、これ大丈夫なのか!?』

 

 

 

「大丈夫ですよ。シールドもありますし、二回くらいならぶつかっても無傷ですから」

 

 

 

『いやそれダメだろ!』

『悲報、ティナちゃんの安全基準がバグってた』

『環の中を見てみたいって言ったのは俺たちだけどさ!』

『ティナちゃん命懸けすぎ!www』

 

 

 

「そうですか?こう見えてスターファイターの操縦は得意なんですよ?教範になるくらい!」

 

 

 

『ティナちゃんのどや顔頂きました』

『そりゃ凄いな』

 

 

 

 皆が感心する中、外側をのんびり飛んでいるフィオレが割り込んだ。

 

 

 

『騙されちゃダメよ、地球人達。ティナの飛び方は確かに教範に載ってるけど、真似するなって意味だからね』

 

 

 

「ちょっとフィオレ、それは言わないでよ!」

 

 

 

『www』

『ダメな奴じゃねぇか!ww』

『なんか安心したわ』

 

 

 

「そんなことはありませんからね!?危ない飛び方なんてしていませんし、誰だって出来るはずですから!」

 

 

 

『オーロラ号が来た時、近衛宇宙軍のパイロットさん達をドン引きさせてたじゃない』

 

 

 

 

「それも言わないで!」

 

 

 

『あっ、この子アカンタイプや』

『今更だな』

『逆に考えれば、それだけ凄いってことか』

『パイロットとして言えるのは、教範に危険だとされるような飛び方を平気で出来るなら、天性の才能があるって事だろうさ』

『つまりティナは天才だった?』

『毎回やらかすけどな』

 

 

 

「それも言わないで!」

 

 

 

 ちなみにこの和やかなやり取りの最中も環の中を高速で飛んでおり、ティナの技量を視聴していた地球各国軍部に見せ付ける結果となり新たな抑止力となったが、当然ティナが気付くことは無かった。

 

 

 

 ティナがフィオレを連れて配信している頃、銀河一美少女ティリスちゃん号にもアードから発信されたメッセージが届く。

 差出人はティアンナであり、ティルがマコこと朝霧 誠に会いたがっているので帰還の際に連れてくること。更に二度手間になってはいけないから、地球から派遣される予定の使節団も一緒に連れてくるようにと記されていた。使節団の件は完全に善意である。

 

 

 

「そっかー……ティアンナちゃん、最近はっちゃけて来たなぁ」

 

 

 

「どうします?ティアンナ殿下のメッセージを無視するわけにはいきませんし」

 

 

 

 前回帰還した際にフェルはティナの隠された正体をセレスティナ女王から直々に伝えられており、当然ながら事情も正確に把握している。

 その事はティリスにも伝えられている。

 

 

 

「次の使節団派遣についてはまだまだ調整段階だって話だし、今の流れで地球の政治に余計な茶々を入れたくないかなぁ……よし、身内のことだ。ティナちゃんに丸投げしよう☆」

 

 

 

 配信中に母からとんでもない爆弾を投げられ、ティリスも今回は丸投げにすることを決める。南無。

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