星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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アードへ到着

 無事にアードへ辿り着いて皆と一緒に宇宙ステーションへ降り立ち、宇宙開発局の仲間達が笑顔で出迎えてくれた。その中にお母さんが居たんだけど、髪の色が私と同じ銀色になっているのを見て固まってしまった。

 お母さんもぎこちない笑顔を浮かべているし、私達親子を見て皆も静かになった。

 

 

 

 ……自分の中に、色んな感情が渦巻くのを感じた。小さな頃、自分だけが違う疎外感を感じたは何度もある。アード人の髪は金色だからね。

 もし私が純粋なアードの女の子だったら、この疎外感に耐えられなかったかもしれない。

 でも、私には前世の記憶があった。天涯孤独でブラック勤めの毎日は、常に疎外感や劣等感を私に感じさせていたからね。

 だから、悪い言い方をすれば私の心は慣れてしまっていたんだ。いや、諦めとも言うかな。

 だから最初は「ああ、転生しても私は“はぐれ者”なんだな」って諦めたのも事実だ。

 

 

 

 でもその諦めは、杞憂に終わった。地球なら間違いなく差別や区別の対象になっていただろうけど、ここはアードだ。優しさに溢れるこの社会で私の心の古傷はゆっくりと癒された。

 なにより両親の愛を一身に受けて育ったからね。だから私は前世の記憶を単なる知識として、アードの女の子として新たな生を歩めたんだ。

 まああちこちに弊害があるし、サラリーマン時代では考えられないようなミスも山ほどしてるけどさ。ついでに性自認があやふやで男性と恋愛できるか怪しい。

 優しい両親に孫を見せてあげたいけど、取り敢えず今は保留だ。アード人は長命だからゆっくり考える時間はあるし。

 

 

 

 だけど、今のお母さんは銀の髪だ。染めた?いや、あり得ない。そもそもアードには髪を染める文化はないし、仮に私のために染めたとしてもそれは私が生まれた時にやることだ。お母さんの性格を考えると、今更染めたりはしない。

 つまり、元々私と同じ銀髪だったのにずっと金髪にしていたって事になる。当然色んな疑問が私の心に渦巻く。

 

 

 

「ティナ……」

 

 

 

 フェルが心配そうに声をかけてくれた。

 

 

 

「大丈夫だよ、フェル」

 

 

 

 だから私は出来るだけ心配させないように笑顔で答えた。

 ……ここで感情に任せてお母さんを問い詰めたり、或いはこの感情をぶつけたとしても、誰も責めないだろうね。まあ、そんなことはしないけどさ。

 私は失敗ばっかりしてるバカな娘だけど、何か理由があって仕方なく偽装していたっていうのは何となく分かるよ。そしてその理由もきっと私のためなんだ。だから。

 

 

 

「……ティナ?」

 

 

 

 思いっきり翼を羽ばたかせて、お母さんに抱きついた。お母さんは驚きながらも抱き留めてくれた。

 

 

 

「ただいま、お母さん。今回はお客さんや新しい友達を連れてきたから、紹介させてね!」

 

 

 

 髪の事には触れないことにした。必要なら説明してくれるだろうしね。

 お母さんは驚いた顔をした後……うん、困ったような笑顔を浮かべた。アレだ、たまにジョンさんが浮かべるような笑顔だ。

 

 

 

「分かったわ。一応里長から連絡は受けているけれど、ここで立ち話は味気無いわ。里で紹介してちょうだい。ザッカル局長、構わないわね?」

 

 

 

「ええ、もちろん構いませんよでん……」

 

 

 

「んんっ!」

 

 

 

「いっいや、失礼した。構わないぞ、ティアンナ女史。ティナ、レポートは明日で構わないから御客人を里へ案内してやってくれ」

 

 

 

「分かりました」

 

 

 

 なんだろう?ザッカル局長が何か言い掛けたけどお母さんに止められていた。

 ……気にしない方がいいよね。それに朝霧さん達も困ってるし、宇宙ステーションに興味津々なマコ君には悪いけど早めにアードへ降りよう。

 

 

 

 私達は宇宙開発局の皆に見送られながら、宇宙ステーションに併設されている軌道エレベーターでアードへ降りた。

 アード全体は隠蔽魔法と特殊な結界で護られているから、軌道エレベーターと宇宙ステーションが唯一の出入り口だ。例外はあるみたいだけど、一庶民の私が知るべき事じゃない。

 

 

 

 

「わぁああっ!おっきな木がある!こんなに大きな木は地球には無いんじゃないかな!?」

 

 

 

 惑星アードにある軌道エレベーター出入り口の正面には、巨大な大木がある。リーフ人の信仰の対象で、転送ポートの母体になってる世界樹と呼ばれる大木だ。ここだけじゃなくて、全ての里にある。ケレステス島にもあるかな。駅みたいなものだよ。

 

 

 

「これは世界樹、私達リーフの象徴よ。これそのものが膨大なマナを蓄えていて、転送ポートの母体になっているの。大切な木なんだから、間違っても悪戯しちゃダメよ?マコ」

 

 

 

「はーい」

 

 

 

 フィオレの注意を素直に受けるマコ君を微笑ましく見て、そのまま世界樹の中にある転送ポートでドルワの里へ移動した。

 

 

 

 

「私達は一旦家に戻るわ。また後でね」

 

 

 

「また~」

 

 

 

「また後でね!」

 

 

 

 フィオレ、フィーレの二人は荷解きもあるから一旦家へ帰った。まっ、問題ない。

 

 

 

「ようこそ!ドルワの里へ!ティナちゃんの可愛い妹は仮の姿!私こそ!ドルワの里の長をやってる銀河一美少女!ティリスちゃんだよ!☆」

 

 

 

 ばっちゃんがどや顔で改めて朝霧さん達に自己紹介してる。

 でも朝霧さんは苦笑いしてるし、瑠美さんは困ったように笑ってるし、マコ君は里の大木やツリーハウス群に興味津々だ。うーん、少なくともマコ君は退屈しなくて済みそうだね。地球じゃ見られないものばっかりだから。

 

 

 

「ばっちゃん、それより先に集会所へ行こうよ。お母さん達も待ってるみたいだし、ばっちゃんの自己紹介は流して良いから」

 

 

 

「美少女なんだよ!?☆」

 

 

 

「ハイハイ分かった分かった、美幼女美幼女」

 

 

 

「笑うな☆」

 

 

 

「クレア、どうかな?大丈夫?」

 

 

 

 アードに来るのはクレアだってはじめてだ。キラキラした目であちこちを見てるマコ君を微笑ましく見てるけど、大丈夫かな?

 一応アリアから問題ないって太鼓判は貰っているけどさ。

 

 

 

「私は大丈夫ですよ、ティナさん。ただ、お話には聞いていましたが本当にアードは樹上生活なんですね。ちょっと落ち着かないかもしれません」

 

 

 

 困ったような笑顔を浮かべてる。クレアは地に足が着かないと落ち着かないみたいだからなぁ。

 

 

 

「クレアちゃんのためだったら、地面に家を建ててあげるよ!☆もう君は家族の一員なんだから、遠慮はしないでね☆」

 

 

 

「えっと……」

 

 

 

「気にしないで、ばっちゃんから見たらクレアも里の家族なんだよ。だから遠慮はしないでね」

 

 

 

「……はい」

 

 

 

 うん、嬉しそうだ。さて、集会所へ……。

 

 

 

「マコーーーーっ!!!」

 

 

 

「わわっ!?ティルちゃん!?わぁーーーーっ!!!」

 

 

 

 ただ、お喋りし過ぎたらしい。我慢できなかったのか、集会所からティルが飛んできてマコ君に飛び付いて……そのまま足場から落ちたーーーーっ!!!

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