星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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アードの夜

「マコ……マコ、起きて」

 

 

 

「ん……ティルちゃん……?」

 

 

 

 何だか色んな意味で凄い扱いを受けてる朝霧 誠です。先月まではただの小学生だったのに、いつの間にか銀河の反対側へ来ちゃいました。

 あの日ティルちゃんを助けてから、僕の生活は文字通り一変しちゃった。学校にはボディーガードさんが付いてくるようになったし。

 で、昨日は来訪初日の夜としてドルワの里で盛大な歓迎を受けました。

 僕は終始ティルちゃんに振り回されて色んな人とお話しして、たくさんの友達が出来ました。アード人やリーフ人の皆さんは距離の詰め方が凄くて、なんと言うかグイグイ来るんですよね。仲良くなりたいって気持ちが強いのかな?

 そう言えばティナお姉さんやフェルお姉さんも距離感が滅茶苦茶近くてドキドキさせられた。

 

 

 

 ……何故かさっきフェルお姉さんに抱きしめられたらティルちゃんにつねられたけど。

 小さくても力は強いから、とっても痛かったけど我慢した。何となく僕が悪いんだろうなぁって思ったから。

 

 

 

 宴が終わって、僕達は里の皆さんが用意してくれたツリーハウスで休むことになったんだけど、内装も木製で落ち着きがあった。

 ただ、ドロイドやドローンがフヨフヨ浮いててビックリしたけど。寝室も落ち着きがある雰囲気で、ベッド……ベッドで良いんだよね?大きな葉っぱで休んだ。葉っぱなのに信じられないくらい柔らかくてフワフワしてて、最高の寝心地だったなぁ。

 そしてゆっくりと眠っていたら、体を揺さぶられて……目を開けたらティルちゃんが居た。

 

 

 

「どうしたの?ティルちゃん」

 

 

 

「来て!きて!おかーさんがマコをおばさまにあわせたいって!」

 

 

 

「ん……おばさま……ティルちゃんの叔母さんかな?分かった」

 

 

 

 となると、ティアンナさんのお姉さんか妹さんに会わせてくれるのかな?確かに昨日は居なかったし、挨拶は大事だ。

 まだ朝とは言えない時間だけど、もしかしたら忙しいお仕事をしているのかもしれない。地球でも夜勤とか夜にお仕事をしている人はたくさん居るし。

 

 

 

 ティルちゃんに急かされながら、僕は里の皆さんが用意してくれたアードの服に手早く着替えた。郷に入っては郷に従えって昔の偉い人も言ってるし、父さんも歩み寄る姿勢が大事だって日頃から言ってるから間違いじゃないはず。

 ……それにしてもこのサンダル、草と革で出来てるのに履き心地抜群なんだよね。ふかふかのクッションを履いてるみたいで、まるで疲れない。ティナお姉さんは足が痛くなるって言ってたけど、彼女だけ違うのかな?

 

 

 

 外へ出るとまず感じたのが明るさだった。地球みたいに街灯は無いんだけど、代わりに大きな鈴蘭みたいな花がたくさん植えてある。

 大きさは二メートルくらいかな。そしてその大きな花は淡く光ってて、それが街灯の代わりみたいだ。

 地球じゃ信じられないくらいの大きな木々に作られた足場とツリーハウス、そして木々を結ぶたくさんの吊り橋に光る花。幻想的な光景に感動しながら夜空を見上げてみると。

 

 

 

「わぁ……」

 

 

 

 満天の星に大きな輪、そして並ぶ二つの月。この光景だけで、自分が地球じゃないところに居るんだって実感できる。

 

 

 

「マコ、こっち!」

 

 

 

「分かったから引っ張らないで!また落ちちゃうよ……」

 

 

 

 まだ朝にならない時間なのに、ティルは元気一杯だ。なにか秘訣があるんだろうか?種族の違いかなぁ。

 

 

 

「ごめんなさいね、夜明け前なのに。ただ、あんまり目立つ時間には会えないから」

 

 

 

 ティルと一緒に吊り橋を幾つか渡って里の中心部にある石造りの集会所へ辿り着くと、そこにはティアンナさんが待っていた。

 

 

 

「こんばんは、ティアンナさん。父さん達は?」

 

 

 

 てっきり二人も一緒だと思ってたんだけど。

 

 

 

「私としては二人も紹介したいんだけど、色々厳しいのよ。だから今回はマコくんだけ。そして、これから体験することは絶対に秘密にして欲しいんだけど、出来る?」

 

 

 

「頑張ります」

 

 

 

 僕みたいな子供に、出来るなんて断言は出来ない。でも、気を付けることは出来る。ティアンナさんは僕の言いたいことを理解してくれたみたいで、優しげに微笑んでくれた。

 この笑顔は、テレビで見たり直接見せてくれたティナさんにそっくりだ。やっぱり親子なんだなって思う。

 

 

 

「それじゃあ、いきましょうか。マコくん、手を繋いでくれる?」

 

 

 

 ティアンナさんはティルちゃんを左手で抱き抱えて、右手を差し出した。僕はゆっくりと手を繋いで、気になったことを聞いてみた。

 

 

 

「そう言えば、里には居ないんですか?」

 

 

 

「ええ、姉様は里に居ないの」

 

 

 

「じゃあ、別の浮き島に?でも、転送ポートは逆ですよ?」

 

 

 

 僕たちが里へやって来た転送ポートは反対側にある。わざわざ集会所で待ち合わせをするのは効率が悪そう。

 そう思った瞬間、お腹が引っ張られるような不思議な感覚。これは経験がある。転移魔法?

 見えていたものがぐにゃりと歪んだように感じた瞬間、景色が変わった。

 

 

 

「わぁ……!」

 

 

 

 そこは里じゃなくて、広い花畑だった。見たこともないたくさんの花が咲いていて、しかも全部が淡く光っててとても綺麗で幻想的な場所。

 

 

 

「マコくん、こっちよ」

 

 

 

「あっ、はい!」

 

 

 

 感動していたらティアンナさんに呼ばれた。いつの間にか手を離して先を歩いていたから、僕も急いでついていく。

 

 

 

「マコ~、ここきれい?」

 

 

 

「うん、とっても綺麗だよ!地球じゃ見たこともない花ばっかり!」

 

 

 

「ふふっ、ここにはアード原産のあらゆる花が植えられているのよ。どれも夜になると光るから明るいでしょう?」

 

 

 

「はい、とっても幻想的です!まるでファンタジーな世界みたいです!」

 

 

 

 アニメとかで見る世界がそのまま実在していて、しかもその中を歩いていることに感動した。花畑に作られた小さな道をゆっくりと歩いていると、大きな噴水が見えてきた。

 地球の公園によくあるような噴水の近くに、一人の女の人が待っていた。ティナさんやティアンナさんと同じ銀髪が花の光りに照らされてとっても綺麗だ。

 そして僕が驚いたのは背中にある翼が四枚、つまり二対であること、手には天秤?みたいな形をした杖を持った女の人が優しく微笑んで。

 

 

 

「初めまして、地球の勇敢な男の子。私はセレスティナ、可愛いティルを助けてくれたことに心からの感謝を捧げます」

 

 

 

 優しい声は不思議と僕を安心させてくれたけど……まって、セレスティナさん……?

 それって確かアードの女王様の名前だったような……なんだか胃がキリキリする……。

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