星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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任命式

 ドルワの里でティルとマコくんを助けるために飛び出して、知らない女の人に助けられた私達は、決して口外しないようにってばっちゃんから釘を刺されて宇宙ステーションへ戻された。安全のために朝霧さん達も一緒だ。

 まさか私だけじゃなくてマコくんまで狙うなんて……許せない。前々から一部のリーフ人の事が大嫌いだったけど、今回の一件であいつらは一線を越えた。絶対に許さない。

 

 

 

 でも、ばっちゃんに口止めされたのも理解は出来る。下手に公表したりしたら、無関係のリーフ人の皆さんを巻き込む大問題になってしまう。この辺りはばっちゃんに丸投げしてしまった方が上手くいく。

 ……それに、冷静になったら震えが止まらなくなった。あの時はティル達を護りたくて無我夢中だったけど、あの人が間に入ってくれなかったら……多分、私はあのリーフ人達を殺めていた。

 落ちこぼれの私がそんなこと出来るのかって話なんだけど、不思議と確信があった。

 何だか最近ちょっと調子が変だ。気になってこっそり魔法を使ったりしてみてるんだけど、普通なら倒れてもおかしくない初級魔法を何度使っても全然疲れない。

 マナは成長と共に保有量も上がっていくのはよく知られているし、学校でもそう習ったけど……急に延びるものなのかな?前例が無い訳じゃないけど。

 

 

 

「幼少期は最低値だった人が、成長したら大魔道師になる。前例はいくつかあると聞いたことはありますし、そこまで気にする必要性は無いと思いますよ?」

 

 

 

「それもそっか。出来ることが増えるのは良いことだしね」

 

 

 

 私は今自分を落ち着けるために、フェルと一緒に宇宙ステーションの展望室にあるベンチに並んで座ってる。

 出発の準備をお願いしたのに邪魔をしてしまって申し訳なく想うけど、フェルはなにも聞かずに傍に居てくれる。その優しさにいつも救われているよ、本当に。

 

 

 

「急にティナが戻ってきたから、ビックリしましたよ」

 

 

 

「色々あったんだよ。式典はあるみたいだから、ちょっと休んだら戻るけどね」

 

 

 

 夕方に行われる筈だった式典は、夜に延期された。多分、ドルワの里で起きた事件が原因だと思う。まあ、ちょっとした延期くらいで済ませるのがアードらしいけどさ。

 

 

 

「色々……いつか、教えてくれたら嬉しいです」

 

 

 

「地球へ向かう航海の時に伝えるよ。準備中なのに邪魔してごめん」

 

 

 

 だって今何が起きたかフェルに教えたら、大変なことになるのは色々鈍い私でも分かる。

 だから、物理的にどうにも出来ない時に伝えるのが一番だ。卑怯だとは思うけど、フェルのためだ。

 

 

 

 余談だがフェルは常にティナ限定で探知魔法を展開しており、軌道上に居たとしてもティナの身に何が起きたかを正確に把握している。その上でティナの意思を尊重しているのだ。閑話休題。

 

 

 

「いえ、大丈夫ですよ。宇宙開発局の皆さんが積み荷の準備をしてくれていましたから、私達はトランクを運び込むだけでした。それに、セシリアちゃんが力持ちで助かりました」

 

 

 

「セシリアは力持ちだからなぁ」

 

 

 

 トランクを積み込むだけならドロイドに丸投げしても直ぐに終わるけど、人手があるなら更に早く終わる。

 艦内に残っているゼバ星系の皆さんも手伝ってくれたみたいだし、準備そのものはもう終わったらしい。早いなぁ。

 

 

 

「式典に参加して、明日出発ですよね?」

 

 

 

「うん、明日のお昼までには出発するつもりだよ」

 

 

 

 アードで起きた事件を考えても、今の状態で長居はしたくない。式典に参加した後はドルワの里で過ごすつもりだったけど、予定も変更だ。そのまま宇宙ステーションに上がって過ごす。

 出来れば今日中に出発したかったけど、ドライブシステムの修理に明日のお昼までかかるから仕方無い。

 

 

 

 夜になって私は朝霧さんと一緒に地上へ降りてケレステス島へ向かった。ティル達は宇宙ステーションで待機だ。怖い想いをさせてしまったけど、両親が一緒だから安心だ。

 

 

 

「ティナさん、今回のお礼も必ずしますから」

 

 

 

「もー、気にしないでくださいよ朝霧さん。それにお礼はもう受け取りましたから」

 

 

 

 マコくんを護ったことに対する感謝ならたくさん貰った。言葉と気持ち、それだけで充分だけど朝霧さんは義理堅いからなぁ。

 断り続けるのも悪いし、地球でちょっとお願い事をしたらお礼代わりになるかも。

 

 

 

 

 ちょっと大袈裟な感じの護衛の皆さんと一緒に案内されたのは、ハロン神殿にある式典の間。以前来たことがある謁見の間と違って、金の装飾品や調度品で彩られた豪華な空間が広がってる。

 中心には……あっ!地球の絨毯が敷かれてる!中東から貰ったものかな。地球の食べ物以外の調度品や美術品の行き先は完全にばっちゃん任せだから、こんな場所で使われているなんて知らなかった。動画にあげたら地球の皆さんも喜んでくれるかな?

 金の鎧を身に纏った近衛兵の皆さんがズラリと並んで、パトラウス政務局長達も並んでる。

 奥にあるベールで仕切られた小部屋はセレスティナ女王陛下が臨席される特別な場所で、直ぐ傍にアナスタシア様が控えている。

 私と朝霧さんは案内されて列の末席に移動した。

 

 

 

「女王陛下、ご臨席です」

 

 

 

 アナスタシア様の静かな声が広間に響いて、私達は直ぐにアード式最敬礼をした。朝霧さんは日本式の最敬礼だね。

 ベールの向こう側に人影が現れたのを確認して、私達も顔を上げる。

 

 

 

「宇宙開発局長、ザッカル。前へ」

 

 

 

「はっ!」

 

 

 

 パトラウス政務局長の呼び掛けに応じてザッカル局長が前に出た。

 

 

 

「女王陛下の名に於いて、貴公を地球全権大使に任命するものである。女王陛下は更なる交流促進を望まれている。奮励努力せよ」

 

 

 

「はっ!身命を賭しまして、女王陛下の御信任に御応え致します!」

 

 

 

「大命である!誉れ高い!」

 

 

 

「「「応っ!!!応っ!!!応っ!!!」」」

 

 

 

 アナスタシア様の号令に合わせて、近衛兵の皆さんが足を踏み鳴らして槍で床を叩きながら声をあげた。もちろん私達もだ。

 激励の儀式なんだけど、アードにはサラリーマン時代に映画で見た古代ギリシャっぽい文化が結構あるんだよなぁ。何か関係があったりして。

 まあ、銀河の反対側だもん。偶然だよね。

 

 

 

「そして、朝霧卿」

 

 

 

「……はい」

 

 

 

 あれ?朝霧さん一瞬だけビックリした?直ぐに平静を取り戻したのは流石だ。

 まさか、伝えていないの?

 

 

 

「女王陛下より、貴公を地球の大使として正式に任命する勅命が出された。私も友として大変誇らしい。今後とも、良しなに頼みたい。

また同時に、地球にてアードの民を命懸けで護ってくれたご子息についても、勇者の称号を賜ることとなった。地球で言えば爵位に当たる。これは女王陛下よりの細やかな報奨である」

 

 

 

「リーフ人を含め、異星の者が勅命を賜るのは極めて希である!誉れ高い!」

 

 

 

「「「応っ!!!応っ!!!応っ!!!」」」

 

 

 

 また激励だ。熱気に包まれた朝霧さんは、一瞬だけ私がやらかした時のジョンさんみたいな顔をして。

 

 

 

「息子共々、身に余る光栄にございます。今後とも地球、アード双方友好のため粉骨砕身して参ります」

 

 

 

 深々と頭を下げた。うん、朝霧さんなら信用できる。これで私の役割も終わったかなって思っていたら、鈴みたいな音が響いた。直ぐに皆さんがアード式最敬礼をしたから、私も慌ててそれに倣った。

 

 

 

「ティナ」

 

 

 

 ベールの向こう側から優しい声が……え?この声って……まさか……。

 

 

 

「ティナちゃん」

 

 

 

「え?……あっ!はい!」

 

 

 

 

 隣に居たばっちゃんの囁きで自分が呼ばれたことに気付いて、慌てて前に出た。

 

 

 

 

「貴女には、引き続き親善大使として地球との交流促進に励まれることを、望みます」

 

 

 

「がっ、頑張ります!」

 

 

 

 女王陛下からのお言葉を受けて、緊張しまくりで上擦っちゃった。それに受け答えも無礼な感じになっちゃった!?

 でもアナスタシア様は口許を優しげにしてるし……良かった……のかな?

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