星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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幼き恋

 アードの皆さんにマコって呼ばれてる朝霧誠です。アードを出発して六日目、明日は地球へ到着する日になります。

 天の川銀河を一週間で横断できる技術は、何度経験してもビックリしてしまいます。十万光年くらい距離があるのに……まあ、考えても仕方無いか。

 ちょっとバタバタしてしまったけど、アードで過ごした短い時間は大切な想い出になりました。ティナお姉さん達の活躍で助け出されたゼバ星系の皆さんとも仲良くなれました!

 特にアードとリーフのハーフ、セシリアお姉さんと仲良くなれたのは良かった。武人気質みたいで近寄りがたい人なのかなって心配していたけれど、とても気さくで優しい人でした。

 

 

 

「マコくらいの子の扱いは心得ているぞ。弟や妹の面倒を見ていたからな」

 

 

 

「ご弟妹が居るんですか?」

 

 

 

 

「ああ、親は違えど我が部族は年長者が子供の面倒を皆で見るんだ。つまり、部族の子供は私にとって弟であり妹だ。

 そしてマコ、貴方の事も弟だと思っている。姉として頼ると良い」

 

 

 

 姉御肌って、こんな人の事を言うんだろうなぁ。優しい笑顔で頭を撫でてくれたセシリアお姉さんには不思議な暖かさがあった。姉が居たら、こんな感じなのかな。

 

 

 

 さて、僕は毎日自分の部屋に籠る時間がある。最初は父さんや母さんに心配されたけど、ティリスお姉さんがアードの勉強をしてるって説明してくれたから安心してくれたみたいだ。

 両親や他のお姉さん達に嘘を吐くのは嫌だけど、こればっかりは仕方無い。だって。

 

 

 

「マコ、地球には水族館って言う場所があるって聞いた!」

 

 

 

「海の生き物を飼育してる場所だよ。とっても綺麗なんだ」

 

 

 

「私もいきたい!」

 

 

 

「うん、いつか一緒に行こうね」

 

 

 

 僕の部屋は何故か畳張りの純和室なんだけど、足を開いて畳に座った僕の股の間にティルちゃんが座って背中を預けてる。

 ……あのっ、勘違いしちゃいけないから先に言うけど、別にティルちゃんがこっそり付いてきてる訳じゃないんだ。ティルちゃんは、ちゃんとアードに居る。

 これは所謂ホログラム、それも実体があるホログラムだ。だから触れ合うことが出来る。幻影魔法の応用みたいだけど、詳しい原理は良く分からない。

 アードの技術じゃゲートを介した通信でも届くのは数日は掛かるみたいだけど、これはリアルタイムだ。

 何でとは思うけど、アード関係は疑わずに有りの侭を受け入れるのが一番だって父さんも言ってるし、僕自身もそう思うから有りの侭を受け入れることにした。

 ティルちゃんとこうして触れ合えるのは素直に嬉しいから。

 

 

 

 もちろん制約もあるみたいで、先ずこの状態で何かを食べたり飲んだりは出来ない。何かを持ち込んだり、持ち帰ったりも出来ない。一日二時間だけの制限がある。他にもありそうだけど、今のところはこれくらいかな。

 まあ、こうして触れ合えるなら何の問題もない。

 

 

 

「飛行機って何?」

 

 

 

「空を飛ぶ乗り物だよ。僕達はアード人みたいに空を飛べないからね」

 

 

 

「宇宙船?」

 

 

 

「宇宙にはいけないかなぁ」

 

 

 

 ティルちゃんは父さんが参考資料として持ち込んだ地球の資料……読みやすい本だったり雑誌だったりを読んで色々質問してくる。

 僕も知らないことがたくさんある子供だけど、出来るだけティルちゃんの疑問に答えられるように頑張って勉強してる。

 父さんや母さん、そして何故か地球のことに詳しいティナお姉さんから色々聞いてる。

 

 

 

「んー……今流行りのデートコース?」

 

 

 

「それはまだ僕達には早すぎるよ。もう少し大人になったら教えてあげる」

 

 

 

「えー」

 

 

 

 ……父さんに聞いたけど、あくまでも内々のお話として僕とティルちゃんは婚約関係になった……らしい。それを聞いた時はビックリしたよ。

 でも、それ以上に嬉しかった。恥ずかしいけど……僕は多分、ティルちゃんの事が好きだから。

 

 

 

「マコは地球の学校ー?にいくんでしょー?」

 

 

 

「そうだよ、まだまだ小学生だけどね。色んな勉強をしたり、友達を作ったりする場所なんだ」

 

 

 

「へー」

 

 

 

 アードにも学校はあるみたいだけど、ティルちゃんやドルワの里に居た他の子達は通っていない。

 ティナお姉さんに聞いてみたら、アードには高性能AIや学習魔法があるから初等教育は家庭でやるみたいだ。専門的なことを学校で学ぶみたいな感じかな。

 なにより子供がとっても少ないから、小学校とかの需要が無いんだろうなぁ。

 

 

 

「……興味がある?」

 

 

 

「んー、地球のお友達はたくさん欲しい!」

 

 

 

「いつか一緒に通えると良いね」

 

 

 もしかしたら、近い将来に留学生としてアード人を受け入れることになるかもしれない。ティルちゃんと一緒に学校生活かぁ。楽しいだろうなぁ。

 

 

 

「あっ、そろそろ時間!」

 

 

 

 時計を見てティルちゃんが立ち上がった。楽しい時間は直ぐに終わっちゃうなぁ。

 

 

 

「分かった。どんな魔法を使ってるか分からないけど、あんまりむりをしないでね。ホログラムじゃなくて、またちゃんと会いに行くから」

 

 

 

「うん!またね、マコ!」

 

 

 

 笑顔で手を振ったティルちゃんが光に包まれて、そして消えた。いつもながらあっさりしてるなぁ。

 

 

 

「マコくーん、入るよー?」

 

 

 

「はーい!」

 

 

 

 この声は、ティリスさんだ。

 返事をすると扉が開いてティリスさんが部屋へ入ってきた。

 

 

 

「ありゃ、ティルちゃんは帰っちゃったかな?☆」

 

 

 

「はい、今終わりました。また地球のお話をしましたよ」

 

 

 

「ふむふむ、地球に関心があるのは良いことだよ☆あっ、それともマコくんに関心があるのかな?☆」

 

 

 

「あはは、それはわかりませんけど地球のことに興味を持ってくれるのは嬉しいですよ。お部屋を用意してくれてありがとうございます」

 

 

 

「んふふっ、いいよー☆ただし、他のみんなには内緒だからね☆」

 

 

 

「はい、その約束もちゃんと護ります」

 

 

 

 何で秘密なのか分からないけど、何か事情があるんだろうし聞かない方が良いよね。ティルちゃんと一緒に過ごせるなら僕は構わないし。

 また明日が楽しみだ。

 

 

 

 朝霧少年は気付いていないが、アード人はその善性から恋に関しても一途だ。いやむしろ、地球基準では重いとも言える。

 極めて高度な魔法を使い、出会った頃より明らかに肉体的にも成長している。幼くとも恋する乙女は常に全力である。マコを逃がさないため、ティルの急成長はまだまだ続く。

 周りの大人達も協力して、どんどん外堀を埋められているのを朝霧少年が気付く日はそう遠くない。

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