星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
来訪早々やらかしてしまったけど、今回は事故だから私は悪くない筈。
……はい、さっさとセシリアを紹介してたらこんなことにはならなかったよね。勿体振ってごめんなさい。
取り敢えずドイツ首脳陣の皆さんに落ち着いた場所で話そうと提案されて、急遽会場をベルリンにある高級ホテルへ変更することにした。
セシリア本人も地球人の反応にビックリしていたし、現場は軽くパニック状態になっていたから私達は警備の皆さんに……いや、私達が居たら身動きが取れないな。
「皆、いくよ!現地で落ち合いましょう!」
「ティナ大使!?」
これ以上の混乱は怪我人が出てしまう可能性があるから、私達は羽や翼を広げて空へ飛び上がった。
目的地は聞いているし、アリアがマークしてくれたから問題ない。私達が居なくなれば、混乱も収まる筈!
尚、低空飛行だったためベルリンの都市部を飛ぶ異星人の少女達は滅茶苦茶目立ち、別の意味で混乱を引き起こしてしまったが本人達はその事に気付いていない。
ティナも呑気に人々へ手を振っていた。治安当局の皆さんの心労については、考えないものとする。閑話休題。
「これが……地球か。森が見当たらないな」
「基本的に、開けた場所に人工物で出来た建物を建てるのが地球人のやり方だよ」
「我々とは生活環境がまるで違うのだな。それにしても、高い建物が多い」
「狭い土地を有効活用するには、建物を高くするのが解決策のひとつだって聞いたことがあるよ」
まあ、他にも色んな意味があるんだろうけどさ。
セシリアはベルリンの街並みに興味津々だし、フェルやクレアも一緒だ。
ちなみにクレアは移動用としてアースを一機創造して、アースの肩に乗って飛んでる。何だかロマンがあるな。
アースをゴーレムで再現したって言ってたけど、クレアもチート何だよなぁ。
「地球の精霊達はとても元気で大人しいですよ?
お喋りできる存在が滅多に現れないのが寂しいらしくて、私の周りにどんどん集まってくるんです」
端から見れば、空を飛ぶ天使、妖精、ハーフ、そしてロボットの肩に座ってるドワーフの集団である。
それだけで注目を集めてしまうのだが、本人達は呑気に目的地へ向かっていた。閑話休題。
「ん?何だか騒がしいな。地球人がたくさん集まっているぞ。何らかの催しか?」
一緒に飛んでいたセシリアが指差した先を見てみたら、サイレンが聞こえてたくさんのパトカーや救急車とかが集まって……って!
「アリア!」
「たった今、幹線道路にて陥没事故が発生。混乱が生じています」
「大変!いくよ!皆!」
「「「了解!!!」」」
寄り道になっちゃうけど、人命が最優先だ!
進路を変えて現地へ急行した私達が見たのは、大きな道路のど真ん中にクレーターみたいな穴が出来ていて、何台かの車が落ちている光景だ。
穴の中心に吸い込まれようとしていて、このまま呑み込まれたら大変なことになる!確か地下水脈とか下水道へ呑み込まれるって聞いたことがあるし!
「クレア!あの穴を固定して!フェルは手当てを!セシリアは手を貸して!アリアは皆のサポートを?」
「分かりました!」
「任せてください」
「承った!」
「畏まりました」
さあ、助けるよ!
この日、人類はまた新たな奇跡を目撃することとなった。
交通量が非常に多い国道で突然発生した陥没事故。原因は下水道の経年劣化によるものと思われるが、それによって乗用車十台、トラック三台が巻き込まれる大事故へと発展した。
穴は大きく、下水道へ流れ込む速度もまた速かった。救助隊が駆け付けるまでに大半の車が下水道内部へ落下して大勢の死者が出ることは避けられない運命であった。
だが、そこへティナ達が介入したのである。
まずクレアが大地を隆起させて下水道へと至る穴を無理矢理閉じると、直ぐにティナとセシリア、アリアが文字通りの力業で陥没に巻き込まれた車を引き上げていった。
大型のトラックについては、大きなトレーラーごと魔法で浮かべて回収。
乗用車やトラックに乗っていた人々は落下の衝撃で大なり小なりの怪我を負っていたが、彼らは救助され次第フェルの治癒魔法による手当てを受けたのだ。
「精霊よ、我が呼び掛けに応えて。大丈夫、ゆっくりとで良いから」
更に救助が完了した段階でクレアが大地を操作して、巨大は穴を塞いで元通りにしてしまったのだ。
もちろん大量の土砂が流れ込んだ下水道についても、その土砂をそのまま回収してしまう離れ業を平然とやってのけた。
「私達に出来るのはここまでです。後はお任せしますね」
元通りにしたとは言え、下水道を含む各種点検や補修、破損した自動車の処理に交通整理、混乱の収拾など様々な問題が残っている。
ティナはそちらも手伝おうと思っていたが、この場に長居しては別の混乱を引き起こすと判断したアリアに説得されて、現地当局に後を任せて本来の目的地へ向かうこととなる。
大歓声で見送られた少女達は、再び空を飛ぶ。この奇跡により、事故の規模からはあり得ない死傷者ゼロの結果となった。
「まさか地球に来て直ぐに人助けをすることになるなんてな」
「ごめんね、セシリア。私の我が儘に付き合わせちゃって」
「構わない。むしろ、迷わず手を差しのべるティナの姿は好ましい。
貴女のその姿勢に私達もまた救われたのだなと実感できたよ」
「当然の事をしただけだよ」
新しい友人の言葉に苦笑いを浮かべながら答えつつ、一行はそのまま指定されたホテルへと降り立った。
既にホテルの周囲は厳重な警備体制が敷かれており、それに劣らぬ観衆や報道陣が詰め掛けていた。
陥没事故発生から一時間が経過しており、状況をある程度把握していたドイツ政府による大歓迎を受けたのは言うまでもない。
「これ、少ないですが」
「こんなにも貴重なものを……人道に則って使用することを誓いましょう。
そして、皆様のお陰で死者を出すことなく事故が解決したことを、首相として国民を代表して感謝します」
「大事にならなくて本当に良かったです」
「なんだ、眩しいな。何らかの魔法か?目が痛くなるじゃないか」
「ちょっとセシリア!?」
ティナが手土産を手渡した時、報道陣によるフラッシュに驚いたセシリアが警備を飛び越えて報道陣の目の前に降り立ち、再び彼女の姿がドアップで世界中に配信されることとなり、世界を熱狂させて為政者達の消化器官に深刻なダメージを与えたが、気にしてはいけない。