星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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記者会見と地球の意義

「我が名はセシリア!ゼバ部族の誇り高き戦士!……の、新米だ。地球人達よ、どうかよろしく頼む」

 

 

 

 無事にベルリンの用意されたホテルへたどり着いた私達だけど、またセシリアが注目を集めちゃったし政府の皆さんにもお願いされたこともあって、急遽記者会見を開くことになった。

 ドイツ政府の要請でホテル側がホールを会見場として準備してくれたんだけど、高級ホテルだけあって広くて天井も高い立派なホールにたくさんの報道関係者さん達が詰めかけた。

 私が生きていた頃にテレビで見ていた光景とあんまり変わらないかな。ドローンが幾つも飛んでるのが印象的だけど。

 

 

 

 そんな記者さん達を前に、セシリアは堂々と自己紹介をした。分かりやすいように、アードの翼とリーフの羽を広げてくれたから、違いは一目瞭然。記者さん達もどよめいてる。

 

 

 

「最初に断定しておきますが、彼女はアードとリーフのハーフであり人体実験の被験体等ではありません。

 互いの種族の特徴を兼ね揃えて生まれてくるのは極めて稀ですが、実例は幾つもあります。

 良からぬ誤解を直ちに解いてください」

 

 

 

 次に発言したのは、アリアだ。相変わらず無表情だけど、人体実験って。

 

 

 

「地球のネットワークにそんな憶測が流れたみたいですよ?」

 

 

 

「あー……なるほどねぇ」

 

 

 

 首を傾げていたら、フェルが小声で教えてくれた。まあ確かに歪なイメージを受けるのは仕方無いかな。

 そこから人体実験なんて物騒な発想が出る辺り、地球人の想像力の豊かさは健在みたいだ。

 だからアリアも妙な誤解が広がる前に釘を刺したんだろうなぁ。

 

 

 

「今セシリアはゼバ部族と名乗りましたが、出身惑星の事です。

 アードは星間国家ですから」

 

 

 

 先回りして疑問に応えておいた。下手に説明すると、センチネルの事も説明しなきゃいけなくなるんだよね。

 まだ世界中にセンチネルのことを公表していない。ハリソンさん達から、地球の情勢がある程度落ち着くまでは待って欲しいって言われたからね。

 政治の事は分からないし、素直に従うつもりだ。下手に知らせてパニックが起きたら大変だからね。

 

 

 

 

 それから記者会見は特に問題が起きることもなく終わった。記者さん達から変な質問が飛んでくることもなかったし、私達もフォローしたからね。

 

 

 

「戦士として、地球人の武術には関心がある。機会があるならば、是非とも見物してみたいものだ。武術に限らず、地球には体を動かして競う競技がたくさんあるとも聞いた。

 私だけではなくアードにとっても興味深いものになるんじゃないかな?」

 

 

 

 何だかセシリアの発言で一部の人の目が輝いたような気がしたんだけど……気のせいかな?気のせいだよね。うん、気にしないようにしよう。胃が痛くなるし。

 

 

 

 ティナの予見通り、セシリアの発言はこれまでの交流で完全に蚊帳の外であった格闘技を含むスポーツ業界に、新たな希望を与えることとなる。

 それにより各界よりアードとの親善試合等の要望が山のように出て、各国為政者の頭痛の種を増やすこととなる。閑話休題。

 

 

 

 この記者会見は世界中で生中継されていたが、月面にある居留地でもアリアによって報道されていた。

 

 

 

「あはははっ!☆セシリアちゃんもやるなぁ。やっぱりデビューするならある程度のインパクトは大事だよね☆」

 

 

 

 空間に投影された記者会見の様子を見て、ティリスは上機嫌に笑みを浮かべていた。

 

 

 

「全くあやつは……申し訳ありません、提督。セシリアには後で注意しておきます」

 

 

 

 悩ましげに呟いたのは、ゼバ部族の長であるフレストである。

 

 

 

「なに、構わん。若者はあのくらいで丁度良い。

 それに、地球人からしても良いサプライズになっただろうさ」

 

 

 

「それならば良いのですが……しかし、人体実験の産物ですか。

 地球人は恐ろしいことを考え付きますな」

 

 

 

 フレストが眺めていたのは、地球のネットワークからアリアが抽出したセシリアを人体実験の産物ではないかと推測したコメント群である。

 全体から見ても決して少なくない数のコメントであり、一部の自称識者までこの論に乗っかっていたのだ。

 

 

 

「確かに恐ろしいが、同時に魅力的に感じないか?フレスト」

 

 

 

 笑みを浮かべたままかつての部下に向き合うティリスを見て、フレストは頭を悩ませた。

 

 

 

「と、仰いますと?」

 

 

 

「地球人は文明レベルが低いが、その豊かな発想力にはいつも驚かされる。

 技術レベルが全く伴っていないにも関わらず、我々を唸らせるような発想が飛び出すことも少なくない。

 彼等が未来を空想した物語は数多い。荒唐無稽なものも少なくないが、同時に先達である我々ですら及ばなかった考えを提示するものも多いのだ」

 

 

 

 ティリスの言葉に熱が籠っているのを感じたフレストもまた、関心を寄せた。

 

 

 

「技術が伴っていないにも関わらず、ですか」

 

 

 

「そうだ。特に兵器開発関連では様々な知見が得られていて、一部の兵器は既にフィーレちゃんが試作して実証実験の最中だ。

 本星の技術者達も驚いていたよ」

 

 

 

「なんと……話には聞いていましたが、それ程ですか」

 

 

 

「ゼバで見た車輪付きの兵器を思い出せ。あれは地球人の兵器から着想を得たのだぞ」

 

 

 

 言わずもがな、みんな大好きパンジャンドラムである。

 

 

 

「あの機動兵器ですか」

 

 

 

「うむ。地球人から得られるものは非常に多い。確かに高過ぎる闘争心には警戒が必要ではあるが、彼等の豊かで柔軟な発想力を取り入れれば我々は更なる躍進を遂げられるだろう」

 

 

 

「ううむ……となれば、この人体実験なる発想力も馬鹿には出来ませぬな」

 

 

 

「であろう?まあ、要らぬ誤解が広がる前にアリアも手を打った。発想の飛躍による暴走の懸念は常に付きまとうが、それに関しては上手くコントロールすれば良い。

 ……大変そうではあるがな」

 

 

 

 苦笑いを浮かべたティリスにフレストもまた苦笑いを浮かべる。

 

 

 

「得られる利を考えれば、先達として彼等を善導する労苦は仕方ありますまい」

 

 

 

「まあな。もとより殿下の御意志であり女王陛下の御意志なのだ。労苦があろうと彼等の良き隣人として付き合っていくのは既定路線だ。

 子供達に苦労をさせぬよう踏ん張らねばな、フレスト」

 

 

 

「全く、やるべき事が目白押しですな。一族の問題もあると言うのに」

 

 

 

「そちらについても徐々にやるしかない。幸いにして、フェラルーシア殿下もご協力を約束してくださった。

 無論、ティナ殿下へ危害が及ばないことが大前提だが」

 

 

 

「御一家の無念を晴らし、一族を本来の姿へ戻すためです。励まねば」

 

 

 

「楽隠居には程遠いな」

 

 

 

「ですな」

 

 

 

 二人して肩を竦め、再び画面へ視線を移すと。

 

 

 

『たった今!ティナ大使達の現在開催中のサッカーW杯への参加が決定しました!』

 

 

 

 アナウンサーが興奮気味に叫び、会場が沸く中で困惑するティナへ、二人は心中でエールを送るのだった。

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