星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
クレアがノイシュバンシュタイン城の傍に模範した城を創造してしまい、ティナが久しぶりに地球の大地へ平伏した珍事が発生。
ドイツ側は困惑したものの、模範された城の強度等は地球人からすれば非常識なまでに頑丈であり、景観の問題はあったが位置的にも邪魔になるような場所でもないので、そのまま残してもらう方向で話が進んだ。
その際に記念撮影が行われ、満面の笑みを浮かべたクレアの写真と一緒に「私からの細やかな贈り物です!」とのコメントを併記した大きな掲示板が、即席で設置されることになった。
この間決定が成されて掲示板が設置される頃には正午となっていた。
この新しい城は敬意を込めてノーム城と名付けられ、ティナ達が来訪した場所であるノイシュバンシュタイン城と共に新たな観光地として活用されることとなる。
「内装は実際に見せていただいた要塞のものを模範しつつ、ちょっとノームのものを加えてみました!」
城の地下にはノーム人の家を忠実に再現した複数の部屋が用意され、最先端テクノロジー等は再現されていないがテーブルや椅子、ベッド等の家具は設置されていた。
とは言えノーム人サイズであるため、地球人からしても全体的に見て小さなものとなっている。
「平均的な体躯を持つ成人が生活するには少しキツいが、子供や小柄な方ならば問題なさそうだな。これらを利用したホテルも出来そうだ」
商機は何処にでもあるものだ。このノーム城はドイツ政府管轄として、観光地兼宿泊地として活用されることとなる。
結果的に見ればドイツ観光業界にとってプラスとなり、旅行会社などから問い合わせが殺到して官僚達が激務に追われることとなったが、それは些細な問題である。
ノイシュバンシュタイン城を後にしたティナ達は、その後も各地の観光地を巡ることとなる。
その際ドイツ側は、負の遺産と呼べる遺跡や史跡群の存在が露見しないよう細心の注意が払われた。
宇宙からの来客にわざわざ披露するものではないと判断していたし、唯一それを知るティナもまたわざわざ尋ねるようなことはしなかった。
「合衆国や日本で飲んだものとはまた違いますね!地球の酒精は種類が豊富で楽しいです!」
ホテルで用意された夕食の際にはドイツの様々な酒類が振る舞われ、クレアは満足しながらもガブガブと片っ端から飲み干していった。
「うーん、なんだろうこの背徳感は」
小柄なクレアが大きな酒樽を片手で軽々持ち上げてラッパ飲みする光景は、ティナや地球人達に妙な背徳感を与えることとなってしまったが。
「ふむ、味わい深いな。地球の肉はゼバの動物の肉よりも柔らかい」
セシリアはドイツ自慢の肉料理に舌鼓を打ち、フェルも伝統的なじゃがいも料理を気に入った様子である。
「クレアはいつも通りだけど、ドイツに来て良かった」
「興味深い知見を得られました。データ上で観測するものと、実際に体験するものでは数値に違いがあります」
「それが感情だよ、アリア」
食事を必要としないアリアであったが、飲食を行える機能は実装されているのでティナの誘いで一緒に食事をした。
アード人として平均的な味覚を感じることが出来るので、各料理や食材の味や感触なども詳細なデータとして記録できたことはアード人達に対するアピールの一助となった。
「明日はどうしますか?ドイツ側としては、ご要望に応えたいとしていますが」
「うーん、W杯もあるからなぁ」
朝霧の提案にティナも迷いを見せた。ドイツでは現在サッカーW杯が開催されており、そちらの警備等にもリソースを割かなければいけない現状がある。
既に二日目に突入し、珍事は発生したがそれなりにドイツを満喫できたとの思いもある。
親善の証として、“トランク”や“医療シート”も渡せたので親善大使としての仕事も無事にこなせた。
もう少しドイツで過ごしたいと思わないでもないし、ドイツ側はまだまだ観光地も多いので滞在しても問題は無かった。故にティナは迷った。
「明日の朝日本に寄ってフィオレ達を回収して月へ戻ります。
もう少し居たかったんですけど、準備もありますから」
これ以上ドイツに負担を掛けたくない配慮、外交団の受け入れ準備、そして自身の出生に関する秘密。それらを考えた末の結論を出した。
「分かりました。ドイツ政府には私から説明しておきますので、今夜はゆっくりと休まれてください」
「色々ありがとうございます、朝霧さん」
「構いませんよ、それが仕事ですから」
二日間だけなのにドイツ政府は既に散々振り回されたのだ。
ルールに厳格な国民性も相まって、現場は既に疲労困憊となっているのもまた事実。この上ティナが直接掛け合えばどうなるか。
ティナが何を口走るか分からない。これまで
これ以上ドイツ側を振り回すのは忍びない。まさしく
「じゃあ私も明日一番の便で合衆国へ戻るわ。兄さんも色々忙しそうだし、手伝わなきゃ」
「メリルさん、私達が送りますよ。転移を使えば直ぐですから」
「あら、良いの?ティナちゃん」
「もちろんですよ、メリルさん。異星人対策室本部で良かったですよね?」
「ええ。じゃあ、お言葉に甘えるわ」
「任せてください!」
ティナは今まさに日本の地球外技術研究センターで何が行われているのかを知らない。
そして翌日、ドイツ政府関係者の見送りを受けてティナ達は先ずメリルを伴って異星人対策室本部へ転移。
残念ながらジョンには会えなかったが、ハイレグ姿で逆さ懸垂を敢行していたジャッキー=ニシムラ(◯トレ中)に宜しく伝えるようにお願いし、日本の地球外技術研究センターへ向かった。
「お帰りなさい、ティナちゃん。出来れば二日前に来て欲しかったかな」
そこには色々と諦めて疲れた表情を浮かべる椎崎首相と、狂喜乱舞する職員達、大挙して押し寄せる観光客達と一緒に。
「なんでラ◯ディーンとホ◯イトベースがあるの!?」
「作ってみた」
相変わらず眠そうにしながらもやり遂げた顔をするフィーレと、ヤ◯トの傍で激しく自己主張する某勇者ロボットと強襲揚陸艦を前にして頭を抱えるのだった。南無。