星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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外交団集結

 ティナ達はその日の内に地球外技術研究センターで色々やらかしていたフィーレとフィオレ姉妹を回収し、合衆国へメリルを送り届けた後宇宙へ戻った。

 それと同時に、地球では外交団派遣の準備が急ピッチで進められていた。

 アードと無事に友好条約を締結できたことで、アード側が地球から本星へ戻る準備を始めたからである。本来ならば事前に日程などを調整するのが常識であるが、相手はアード人でありティナである。日頃の行い(やらかしの数々)にある種の信頼を抱いていた地球の為政者達は、ティナが急に帰ることを言い出すのではと戦々恐々としていたためでもある。

 

 

 

 今回はザッカル(大人)も同行しているのでそれは無いのではとの意見もあったが、ティナの隠された正体を知るジョン=ケラーが強く進言することでハリソン大統領を動かしたのである。

 ティナの主張をザッカルは無下に出来ない。その事実を知る故の献策であり、ハリソン大統領もまたジョンの意を汲んだ結果でもある。

 ただ二人は知る由もないがティナは既に自分の出自について自覚しており、それ故にザッカル等に対してお願いや提案をすることを躊躇するようになっていた。

 自分のお願いが、そのまま命令と言う形で適用されるのを恐れた結果である。

 奇しくもザッカルはティリスによって、ティナが自分の正体を知ったことを知らされていた。

 表面上はこれまで通り接しているが、ティナからの提案やお願いは極力受けようと考えていたので、ティナの自制はある種正しかったのだが。

 

 

 

 さて、ジョンの献策によって急遽予定が前倒しとなり外交団が正式に結成されることとなった。

 合衆国からは団長としてジョン=ケラー、補佐官としてジャッキー=ニシムラ(多様性の獣)、日本からは朝霧外交官と言うお馴染みのメンバーが参加。

 

 

 

「アードの皆様には、是非とも我々が用意した逸品を堪能していただきたく思います。

 今回取り揃えた品は全て、ティナ大使のご感想を反映した特注品ですよ」

 

 

 

 壮年の中東風男性、名はサマル。中東連合からの代表として外交団へ参加。

 母国エジプト訪問時にプレゼントしたコットン製品がアードに大好評であったため、更なる売り込みを主な任務としている。

 中東連合としてはアード問題に積極的ではないが、それでも交流しない選択肢は存在しない以上ビジネスの関係構築を図る。

 宗教関係の問題がある以上、アード人やリーフ人が中東の地を闊歩するような状況は避けたい。少なくとも今は。

 中東連合の真意を正しく理解した合衆国は、特に口を挟むことは無かったが。

 

 

 

「ティナ大使はもちろん、アードやリーフの皆様にも我が国が誇る歴史と文化を是非とも堪能していただくため、粉骨砕身する所存です」

 

 

 

 笑みを浮かべるアジア系の男性は、中華の代表であるヤン大使である。

 中華からは彼だけではなく外交団を補佐する名目として十名程の随行員が同行している。

 合衆国や日本はその真意を察していたが、政治の問題も絡み断ることは出来なかった。

 

 

 

「ヨーロッパ代表としてフランスで起きた痛ましい不祥事に対する謝罪を行う、それが我々の望みです」

 

 

 

 EU代表として参加した白人男性はホワイト大使。EUに属するベルギー出身の職員であり、明らかな貧乏クジを引いてしまった人物である。既に顔色が悪い。

 ホワイト大使の目的は謝罪と関係の修復である。これはフランスの意向が強く反映された結果だ。

 

 

 

「僅かな粗相もあってはなりません。我々は地球の命運を背負っているのですから。

 個人的には、聖地訪問に昂るものがあることを否定しませんが」

 

 

 

 

 最後の参加者は、連邦のイワン大統領補佐官である。ティリスの魔法は切っ掛けに過ぎず、後は自分の意思でのめり込んでしまっているちょっと困った人ではあるが、極めて優秀でもある。

 今回派遣される外交団は以上である。任務としては友好条約締結のお礼と現地の視察、可能ならば現地大使館或いはそれに準ずる連絡機関の設置が目的となる。

 とは言え地球にはアードへ行く術が無いので、全てアード頼りとなる外交常識からすれば考えられないものであるが、こればかりはアード側に頼る他無い。

 

 

 

「改めて、団長を勤めさせていただく異星人対策室長のジョン=ケラーです。

 目的については既にご承知の事と信じますので、今回は旅の最中の注意点のみを周知させてください」

 

 

 

 ジョンが語るのは、旅路の注意点である。

 

 

 

「皆様がこれまで身に付けた常識は全て捨ててください。相手は別の惑星の文明なのですから。

 そして彼らは、我々からすれば想像も出来ないほど高く深い善性の持ち主です。

 我々が誠意を見せれば、それ以上の誠意を返してくれるでしょう。

 しかしながら、これだけは厳守していただきたいのですが、アードを率いるセレスティナ女王陛下に対する批判や罵詈雑言の類いは決して口にしないでください。

 アード社会において、セレスティナ女王陛下は文字通りの意味で神なのです。

 アード人は類い稀な善性を持っていますが、同時にセレスティナ女王陛下への狂信性も持ち合わせていることを決して忘れないでください」

 

 

 

 ジョンの言葉に宗教が強い力を持つ中東連合のサマル代表は理解を示すように頷き、EUのホワイト大使は熱心にメモを取っていた。

 

 

 

「アードは優れた技術を有するが、社会形態はまるで中世の絶対王政のようですね。少し意外に感じます」

 

 

 

 中華のヤン代表は疑念を呈した。

 

 

 

「そこは否定しません。アード社会システムは少し複雑ですが、敢えて言えば立憲君主制に近いものがあります。

 セレスティナ女王陛下は絶対不可侵の存在、決してその事を忘れないでください。

 万が一女王関連で不快感を与えてしまえば、地球は瞬く間に滅ぼされる。

 その冷厳なる現実を噛み締めていただければ、後は素敵な体験となることを私が保証します。より良き隣人として、彼らは皆さんを迎える日を待ちわびているのですから」

 

 

 

 ヤン代表に不安を抱きながらも、ジョンは努めて明るい言葉を口にし、他のメンバーとの交流に時間を割いた。

 

 

 

「神とお呼びしても!?」

 

 

 

「私は神ではありません、ただの愛の伝道師ですよ」

 

 

 

 イワン代表は、ジャッキー=ニシムラ(愛戦士)が変身した上で提供したスモックティリスちゃんがデカデカとプリントされたTシャツを貰い、彼を神のように崇めていたがジョンは全力で見ないことにした。

 

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