星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~   作:イワシロ&マリモ

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本日もよろしくお願いします!


その名はセンチネル

私は超新星爆発を起こして文字通り宇宙の塵となってしまった星系についての情報を簡潔に纏めると、すぐに次のゲートへ向けてハイパーレーンを突き進む。相変わらず極彩色の空間は目に悪いね。

 

 

 

「アリア、次のゲートまでどのくらい?」

 

 

 

『距離が離れておりますので、半日ほど掛かります』

 

 

 

「うっわ、遠いなぁ。まあ、ひとつ飛び越えるんだから無理もないか」

 

 

 

むしろ半日で数千光年の距離を突き進めるゲートの凄さだよ。広大な宇宙を旅するなら必須な技術らしいけど、それも分かるね。

 

 

 

「私はトランクで休むから、到着したら教えてね」

 

 

 

『はい、ティナ。ゆっくりと休んでくださいね』

 

 

 

私はトランクに戻って、これまで訪れた星系のデータを纏めて報告書を作成したり、宇宙開発時代の資料なんかを読み漁ったり、アリアと雑談したりして過ごした。

娯楽がないんだよなぁ。地球みたいにスポーツなんかもほとんど無いし。科学や魔法は遥かに先だろうけど、娯楽に関して惑星アードは地球の足元にも及ばないよ。

娯楽の文化がないからね。その辺りを地球から持ち込めたら面白そうではあるかな。

 

 

 

そうやって“トランク”の中で半日ほど過ごした私は、アリアが到着を教えてくれたので着替えてギャラクシー号のコクピットに戻った。

 

 

 

 

『間も無く目的地に到着します。ゲートアウト』

 

 

 

極彩色の空間が終わり、無限に広がる星の海が私の視界を埋め尽くす。いつ見ても飽きないね。ここから見える星々には、それに付き従う惑星がたくさん存在する。その数だけ冒険があると思えば、ロマンを感じずにはいられない。

さて、あんまり感動してても何だし。お仕事しないとね。

 

 

 

「ん、恒星は赤色矮星みたいだね。となると、あんまり大きな成果は期待できないかな?」

 

 

 

ぼんやりと考えてると、急にアラートが鳴り始めた。ビックリしたぁあっ!?

 

 

 

『ティナ、救難信号をキャッチしました』

 

 

 

「救難信号!?この星系で!?」

 

 

 

救難信号は共通化されてる。というか、私達が認識できる救難信号と言うことは、惑星アードと関わりがあった文明である可能性が高い。私以外に宇宙を旅するアード人が居れば話は別だけど。

 

 

 

『ティナ、どうされますか?』

 

 

 

「近くだよね?直ぐに向かおう!状況を確認しないと!アリア!目的地を!」

 

 

 

『了解しました。ナビゲーションを開始します』

 

 

 

私はアリアのナビゲーションに従って“ギャラクシー号”を操縦する。惑星の探査は後回し。先ずはこの救難信号の発信源を調査しないと。

 

 

 

しばらく全速力で飛んでいると、大きなリングを持った惑星が見えてきた。これだけならいくらでも見ていられる綺麗な景色なんだけど、今はそれどころじゃない。

私はリングの周囲で閃光を確認できた。

 

 

 

「アリア!光学映像出して!最大望遠で!」

 

 

 

『光学映像表示します』

 

 

 

モニターに映し出されたのは、小さな宇宙船。足の無いイカのような形をした……多分輸送船かな?それが一隻。そしてその周りを激しく動き回る三つの光。それを更に拡大させると、まるでエイのような形をした真っ黒なスターファイターが映し出された。

これってまさか!

 

 

 

「センチネル!?」

 

 

 

『間違いありません。センチネルスターファイターと特徴が一致します』

 

 

 

「こんなところにっ!」

 

 

 

センチネル。私達アード人が宇宙進出を諦めて惑星に引きこもり、数々の優れた遺産を宇宙に放置せざるを得なくなった最大の要因である機械生命体。

母星、言語、文化など全てが不明。無数のセンチネルドローンを広い宇宙にばら撒いているんだ。そして非常に厄介な特性は、自分達以外の知的生命体を排除するために行動するってこと。

 

 

 

宇宙へ進出していよいよ本格的な宇宙開発を成そうとしたアード人の前に突如として姿を現し、問答無用で攻撃してきた。

もちろん私達は応戦しながらも、対話を試みた。数年単位で行われた融和への努力は、使節団の全滅とある惑星に作られた入植地コロニーの壊滅によって幕を閉じたんだ。

その後も度々アード人の宇宙開発の前に立ち塞がった。最後は起死回生の一手として決戦に望んだけど、アード艦隊100隻に対してセンチネル艦隊は10万隻を軽く超えてたらしい。そんなの一方的な蹂躙でしかなくて、遂にアード人は宇宙開発を断念。惑星アードの所在を知られる危険があるから、広大な宇宙に残された遺産は回収されずそのまま放置されてる。

私が利用してるゲートもその一つだね。

そして、そんな奴らが今まさに私の目の前で無抵抗な宇宙船を攻撃してる。

 

 

 

『ティナ、現宙域からの速やかな離脱を推奨します。直ちにゲートへ向かってください』

 

 

 

アリアの言葉は正しい。センチネルが相手なんだ。下手に関わらない方が賢明な判断だし、誰も私を責めないと思う。そう、私以外は!

 

 

 

『早まるんじゃない!』

 

 

 

私の頭の中に、前世で最後に助けた女の子の顔が甦る。ここで逃げ出すようなら、あの娘を助けてなんかいない!

 

 

 

「アリア、ごめん。付き合わせるよ!戦闘機動用意!」

 

 

 

『ティナ、それはあまりにも無謀な判断です。センチネルを相手に戦いを挑むことは合理的ではありません。再考を強く推奨します』

 

 

 

「目の前で助けを求める人が居るのに、それを見て見ぬふりなんて出来ないよ!」

 

 

 

前世で好きだった言葉。何をやっても上手くいかなかったけど、これだけは護りたいとずっと曲げなかった私の信念。

 

 

 

「義を見てせざるは勇無きなり!ごめん、きっとアリアが正しい!でも私は、ここで彼らを見捨てたら自分を許せなくなる!馬鹿げたことだって分かってるけど!」

 

 

 

『了解しました。戦闘機動に移行します。ビームキャノンエネルギーチャージ開始』

 

 

 

「えっ?反対しないの?」

 

 

 

もう少し反対されると思ってた私は肩透かしを食らった気分だった。

 

 

『ヒトには感情があるのです。我々AIとの決定的な違いでもあります。合理性を欠いた無謀な決断ですが、それを行わないとティナは後悔するのでしょう。ならば、マスターの願いを叶えるのが私の役割です』

 

 

 

「アリア……ありがとう!」

 

 

 

私は最高の相棒を手に入れたみたいだ。それを確認できただけでも悔いはない。

 

 

 

「ならサポートをお願い!センチネルスターファイターを全部撃破して、あの船を救出する!」

 

 

 

『貴女に勝利を、ティナ』

 

 

 

「任せといて!学科は最悪だけど、スターファイターの操縦だけはトップの成績だから!」

 

 

 

操縦桿を強く握り、一気に加速しながら私は魔法で集中力を増す。

宇宙最大の障害であるセンチネルを相手に、私は飛び込んでいった。自分自身の想いを曲げないために。

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