星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
いやぁ、嬉しいなぁ。タケシ=ニシムラさんがわざわざ持ってきてくれたのは、私がずっと前に依頼していた履き物の試作品だ。
まあつまり、地球に来て何度も怪我してるから頑丈なサンダルが欲しくなったんだよね。
個人的には靴でも良いんだけど、そうなるとフェルが悲しそうな顔をするからサンダルタイプで選ぶしかないんだよね。
で、私達は空を飛ぶからしっかりと固定されるタイプになる。ビーチサンダルとかのタイプは先ず無理だね。
だから色々と相談して、スポーツタイプのサンダルが選ばれたんだ。
そして私は色々無茶をやるから、軽くて頑丈なものが試作されることになった。色はシンプルに白。あんまり拘りもないし私達のサンダルもスポーツタイプみたいな形だから違和感もない。
「ちゃんと二組用意してくれたんですね。ありがとうございます!」
「担当者にも必ず感謝を伝えておきましょう。後は使用感などを教えていただければ、アードやリーフの皆様向けに量産するとの事です」
「是非ともお願いします!」
伝統は大切だけど、やっぱり草と皮を編んだものだから地球の履き物に比べてアードのサンダルは負担が大きい。
「うん、軽くて履き心地も良いです」
折角だからここで履き替えてみたけど、違和感もないし何より軽い。
……あと、二組用意して貰った理由はもちろんフェルとお揃いにするためだ。私だけ地球のものを履いてるとすっごく悲しそうな顔をするからなぁ。
このタイプなら、あんまり負担は無い筈。
「はい、とても軽いです」
あっ、一瞬だけ微妙な顔をした。タケシさんと分かれた私は早速フェルに地球のサンダルをプレゼントした。
多分私にしか分からないくらい小さな変化だけど、やっぱりスポーツタイプの圧迫感も気になるらしい。
フェルのために、あんまり締め付けないように工夫して貰ったんだけどなぁ。フィオレは四六時中裸足でリーフ人にはそんな人も珍しくはない。やっぱり難しいな。
ただ、プレゼントを喜んでくれたのは間違いないし、後は本星で皆にアピールしよう。
皆が気に入ってくれたら、地球にとっても利益になるからね。
「ねぇ、アリア。ハイパーレーンの中でも船を行き来出来るかな?」
「可能です、ティナ。専用の装置がありますので」
「それを聞いて安心したよ」
外交団の皆さんは、ザッカル局長が乗ってきたハンマーヘッド級駆逐艦で寝泊まりして貰うんだけど、母艦……銀河一美少女ティリスちゃん号の方が設備も充実してるし、会議とかは母艦で行われることになった。
最初は航海中も母艦で寝泊まりする案もあったけど、まあ女の子ばっかりだからなぁ。しかも今回はマコくんと美咲ちゃんが居る。
知られるわけにはいかない。
一応ジョンさんにもその件は伝えておいた。
『大丈夫だ。基本的にはザッカル局長の船で過ごすようにするよ』
「ありがとうございます、ジョンさん」
まあ、美咲ちゃんの件を伝えたらまた胃が痛そうな顔してたけど。
……そう言えば、美咲ちゃんの件は合衆国にも伝えてないんだよね。私、またやらかした?
「ティナは間違っていませんよ。ちゃんと説明しましたし、ジョンさんなら理解してくれます」
「ありがとう、フェル」
フェルがフォローしてくれたから、気にしないことにした。
美咲ちゃんの件はジョンさんにだけ共有しよう。
外交団の皆さんが来ている時は、マコくん達を隠す必要があるけど。
「乙女の園が宜しいのではないでしょうか。男子禁制の部屋としておけば、中を見られる心配も案内する必要性もありません」
「それもそうだね、そうしよっか」
マコ君には我慢して貰うことになるけど、仕方無い。流石に公表するわけにはいかないからね。
数日後、この日は歴史的な日となった。北米に有る異星人対策室本部近郊に広がる荒野の一角には大勢の人々が集まっていた。
特別に招待された各国報道陣と、多数の警備員達だ。中には軍人も含まれており、警備車両には戦車まで動員した厳戒態勢が敷かれていた。
厳重な警備の中、外交団のメンバーや合衆国を始めとした各国の代表が集まり、盛大な式典が開かれていた。
「前回の使節団派遣より数ヵ月、遂に我々地球人類は有史以来初めて外宇宙の国家と正式に外交関係を締結する運びとなりました。
皆様はご存知の通り、既に来訪されたザッカル代表との間で友好条約が締結されました。
今回地球の代表として外交団を派遣し、アードで条約締結の確認をすることで正式に施行される運びとなります」
式典にはハリソン大統領も参加し、整列している外交団の面々を見渡しながらスピーチを続ける。
「人類史上初めてとなる試みであり、外交団に参加された皆様には心からの敬意と感謝を捧げます。今回の締結によって地球は新たな時代へと進むことでしょう。
有史以来、我々地球人類は自分達以外の知的生命体を探し続けていました。
我々は孤独な存在ではない。それをアードの方々は証明し、共に歩む友として我々を暖かく迎えてくれました。
我々はこれから、宇宙進出を視野に入れた新時代を歩むことになるでしょう。この変化には数多の困難が待ち受けているでしょう。不安を抱く方も少なくないでしょう。
ですが、先程も申し上げた通り我々には共に歩んでくれる新たな友人が居るのです。
彼らと共に歩み、地球人類の新たなる躍進を果たすため、今後も尽力して参ります。
どうか皆様にもご理解と、そして宇宙へ旅立つ彼らへの温かいエールをお願いします!」
ハリソン大統領のスピーチにより報道陣を通して世界中で歓声が挙がる。誰もが新時代の到来に胸を高鳴らせた。そして。
「あっ!たった今アードの連絡挺が降り立ちました!遂にその時が来ました!」
キャスターの言葉と共にUFOに類似した揚陸挺が会場へ降り立ち、にこやかな笑みを浮かべるザッカル達やティナ達が降りてきて外交団の面々を受け入れる。
「今ティナ大使とケラー団長が握手を交わしました!笑顔です!お二人とも素敵な笑顔を浮かべています!」
『ティナちゃん、皆を頼むぞ!』
『歴史的な瞬間に立ち会えるなんて、夢みたいだ』
『新時代かぁ、良い響きだなぁ』
『やっべ、鳥肌エグいわ』
『まだまだ問題は山積みだけど、ハリソン大統領の言う通り俺達は一人じゃない!』
『待って、じゃあアレか?正式に交流が始まったら、アード人を口説いても良いのか?』
『鏡見て言え』
『アードの方針として、節度を守るならば自由恋愛を禁止するつもりはありません。
少なくともアード人にとって、あなた方地球人は性的な対象となり得ます』
『うぉ!?アリアだ!』
『反応が早いなぁ』
『でもそれを聞けて安心したよ。恋愛云々は別にしても、アード人と友達になりたい!』
『俺、アードの美人に踏んで貰うんだ……』
『止めとけ、アード人の性質を考えたらSMプレイなんて絶対に無理だから』
『罪悪感半端じゃないだろうしなぁ』
歴史的瞬間を前にして、コメント欄は活気に溢れていた。
尚、当然ながらアリアによって否定的なコメントは全て投稿される前に削除され、悪質なものは全て情報を引き抜かれて通報されるのは言うまでもない。