星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
「これは我が国がプレゼントした絨毯ではありませんか!」
「はい!とっても肌触りが良くて気に入ってます!」
「それは良かった!今回も様々な品を用意していますから、是非とも試してみてください!」
ゲートへ入って二日目、この日は母艦で外交団の皆さんと打ち合わせをして、ちょっとした艦内の見学会を開いた。
そして普段私達が居る談話室へ案内したんだけど、早速中東連合のサマルさんが喜んでくれた。
談話室の床にはエジプトからプレゼントされた絨毯が敷かれていて、フェル達からも好評だ。
「それは楽しみです!アードにはこんな肌触りの物は無いから、きっと皆気に入ってくれると思います!」
実際前回持ち帰った絨毯をばっちゃんが里で販売してみたんだけど、大好評だった。
ばっちゃんが言うには女王陛下にも献上されたらしい。
……会った時に感想を聞いてみよう。もしかしたら交易の足掛かりになるかもしれないし。
余談だが、ティナが考えていることは言い訳の余地もないセレスティナ女王の政治利用である。
ただ残念ながら本人に全く自覚は無く、女王も可愛い姪にお願いされた場合断る理由がない。
パトラウスは泣いて良い。閑話休題。
「これは……印象派のものですな」
EU代表として参加したホワイトさん。ジョンさんより歳上のおじいちゃんだ。
ばっちゃんが言うには貧乏くじを引いたみたいだけど、詳しいことは分からない。
でも折角参加したんだから、楽しんで欲しい。
「だと思います。ごめんなさい、あんまり絵には詳しくなくて」
ホワイトさんが見てるのは、談話室の壁に飾られた一枚の絵だ。
印象派?の名画のレプリカみたいだけど、詳しくは分からない。
異星人対策室本部に用意されていたものを、適当に選んだだけなんだよね。前世でも芸術は専門外だったしなぁ。
「こちらは印象派の代表作として有名なモネの印象・日の出のレプリカですな。
彼の故郷に有る港の朝の風景を描いたものです」
「へー!ホワイトさんは絵に詳しいんですね!」
モネ?なぁんか聞いたことがあるような。
「いやいや、ちょっとした趣味ですよ。その道を生業にする方々に比べれば無知と変わりませんな」
困ったような、そしてちょっと嬉しそうな笑顔を浮かべてくれた。暗い顔をしていたし、やっぱり楽しんで欲しいかな。
「私達は地球の芸術が良く分からないんです。幾つか絵を貰いましたから、アドバイスしてくれたら嬉しいです」
「微力を尽くしましょう」
よしよし、笑顔になってくれたね。
「なるほど、ここが皆さんの過ごされているスペースですか。
思っていたよりも地球の品が多いですね。私もご一緒したいものです」
「ありがとうございます。でも女の子ばっかりですから、疲れちゃいますよ?」
ジャッキーさんより若いこの人は、中華代表のヤンさん。正確にはヤンさん以外にも随行員さんが十人居るけど、基本的にはメンバーのお世話を担当するみたいだ。
ただこの人、凄くグイグイ来る。今もなんか距離か近いし。
……いやまあ、私が生粋の女の子だったら怖がるんだろうけど、残念ながら男性だった記憶もあるんだよねぇ。
まあつまり、そう言うこと?ハニートラップかな?
……ダメだ、先入観はいけない。
「それよりも、昨日のお料理はとっても美味しかったです!」
「それは良かった。伝統的な中華料理でしたので皆様のお口に合うか心配でしたから」
昨日の夕食はヤンさん達が用意してくれた中華料理だった。
中華は初めてだったから大丈夫かなって心配したけど、皆美味しそうに食べてくれた。
ちなみに随行員さんの中には一流の料理人さんが居て、航海中の食事は全部彼らが作ってくれることになってる。中華料理だけじゃなくて、和洋折衷何でも作れるらしい。
……ちなみに、怪しいお薬とかは心配要らないみたい。何故なら、艦内は隅々までアリアの監視下にあるからねぇ。
持ち物検査はもちろん、艦内に来た瞬間全身スキャンされてる。身体の中に隠しても無駄なんだよね。
ただ、幸いそんな怪しい持ち物は無かった。血迷ったことはしないで欲しいなぁ。冗談抜きで地球滅亡の危機になっちゃうから。
「ご安心を、大使殿。私も目を光らせ、不届き者が出ないように細心の注意を払います」
この……何だろう、ビシッ!とスーツを着て映画とかに出てきそうなザ・エージェントみたいな風貌の、ちょっと影がある感じの男性は連邦から派遣されたイワンさんだ。
本人曰く大使は表向きで実際には私達の護衛らしい。なんだかいよいよスパイ映画みたいな感じになってきた。
ばっちゃんが頷いていたし、余計なことは考えないようにする。
まあ、ばっちゃんならいつの間にか連邦と交流していても不思議じゃないからね。私はバイカル湖へお忍びで行ったくらいだし。
「あんまり張り詰めないでください、イワンさん。折角だから今回の旅を楽しんで欲しいんです」
言い方は悪いけど、この船に乗った瞬間一挙一動全部アリアの監視下に有るんだよね。
しかもこれまではマナ不足で色々怪我をした私だけど、今は他の人達と同じように結界を展開してるから、怪我をすることはない。
結界を破られたら話は別だけどね。
当然ながらティナの結界の強度は並みのアード人を遥かに上回り、仮に核爆発の爆心地に居たとしても無傷である。
ただし、センチネルのビーム兵器はアード人の結界を容易く貫通する。これはアード人との百年に及ぶ戦いで学習、進化した結果である。
戦えば戦うだけ厄介な存在に進化する。それがセンチネルである。閑話休題。
「もちろん、変に威圧するつもりもありません。個人的にも楽しみな面はありますし、目を光らせながら楽しませていただきますよ」
これをニヒルな笑みって言うんだろうなぁ。何か笑顔が冷ややかだ。ただ、何となく目は笑っているような感じもするし……ばっちゃんがなにも言わないから気にしないでおこう。
乙女の園。ティリスが命名した銀河一美少女ティリスちゃん号の特別な船室である。
談話室は誰でも利用できるような内装であるが、ここは違う。
可愛らしいぬいぐるみや柔らかいクッションなどの家具や小物で溢れた、まさしく女の子の部屋である。
「済まんな、不便を強いるが我慢してくれ。二人の存在を露見させるわけにはいかんらしい」
「大丈夫ですよ!とっても素敵なお部屋ですから!」
「僕も大丈夫です。ちょっと恥ずかしいけど」
この部屋だけは立ち入り禁止であり、外交団が来艦中美咲とマコの二人はこの部屋で過ごしている。退屈しないようにセシリアや他の面々が交代で一緒に過ごし、万が一に備えて入口周辺には警備ドローンが配置されている。
男の子のマコだけは気恥ずかしさに苛まれていたが、そこは運命であるので受け入れるしかないのである。