星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
「全く儘ならないものね。暫く私はティルと一緒にここで過ごすわ。
もちろん、マコくんも一緒よ。良いわよね?姉様」
「ええ、もちろんです。ゆっくりと過ごしてください。ティナも呼び寄せたいところですが」
「あの娘のことは提督に任せてるし、ティドルも居るから大丈夫よ」
ケレステス島ハロン神殿最奥部の花園にてティアンナは、地球産の紅茶を飲みながら姉であるセレスティナ女王と語らっていた。
突如として始まったリーフ不穏分子との政争からティルとマコを護るため、ティアンナはハロン神殿で暫く過ごすことを決めたのだ。今後間違いなくドルワの里は政争の中心となる。
セレスティナ女王としては、愛娘であるティナも呼び寄せたかったが、外交団が滞在している以上それも難しい。
外交団の滞在地をケレステス島へ変更することも考えたが、諸般の事情によりそれも難しい。
止まっていた時間が再び動き始めたことを肌で感じつつ、セレスティナ女王は出来れば犠牲が最小限になることを祈る他無かった。
「三百年の因果を断ち切る。ティリスはその様に話していましたが」
「ミドリムシはこれからのアードに必要ないわ。それに、あの会戦の裏側で何が起きたか分かるかもしれない。
姉様だって怪しんでいるのでしょう?」
親友であるフェルシア女王とリーフ近衛兵団が乗った脱出船が発した不可解な救難信号、そして三人の王子の不可解な死。
いつの間にかリーフ社会に蔓延していた異端の思想。疑うなと言う方が難しかった。
「幾つか考えはあります。
ですが、もしそれが真実だとすればフェルシアは何のために……それだけではありません。あの戦いで犠牲となったすべての方々の死の意味が……」
ティアンナは悲しげに呟く姉を痛ましげに見つめていたが、花畑を指差した。
「どんな理由があろうと、無駄にはならないわ。見て、新しい時代はやって来る」
指差した先では、色取り取りの花が咲き誇る花畑を元気に走り回るティルとマコが居た。
正確には低空飛行するティルにマコが追い回されているのだが、周囲からすれば微笑ましい光景であった。
「今が過去を清算するチャンスよ、姉様。
あの娘達の未来のためなら、何でも出来るでしょう?」
「ええ……今度こそ、必ず」
今回の政争であるが、仕掛けたティリス本人も長期化を覚悟しており、情勢次第では次の地球行きへ同行しないことも検討していた。
その際は、ティナと面識がある同年代でヴァルキリー見習いでもある姪のパルミナを派遣しようと密かに考え、パトラウスやアナスタシアと相談していた。
だが、フレストの登場はティリスやアード上層部の予測以上の衝撃をミドリムシへ与えていた。
「最優先目標はフレスト!可能ならば里に滞在している異端も始末しろ!手段は問わぬ!」
「しかし、議長。そうなればアード側の反発も激しいのでは!?」
「やむを得んだろう!これまでの努力を水泡に帰すつもりか!
楽園は、輝かしい未来は目前なのだ!諦めるわけにはいかん!全ては一族の繁栄のためだ!」
「しかし異端を相手とする場合、あの異端のアードの小娘を相手にすることとなりますぞ!」
「構うものか!事が成れば、どの様にでも事態を誘導できる!今しかないのだ!」
ブレックスはフリースト一派が動かぬ故に若手の駒が使えないことに苛立ちつつ、自分と同じ老齢の同志達を尖兵としてドルワの里に対する形振り構わぬ攻撃を計画していた。
もし実行に移していたら、双方に少なくない犠牲者が発生しただろう。
だが、彼の焦りは禁忌に触れてしまう。
「何のために旧態依然とした女王等を廃したと思っているのだ!
今まさに悲願が成就しようとしているのだぞ!邪魔されて堪るか!」
それはこれまで三百年間ブレックス一派が慎重に慎重を重ね、決して口にしなかった言葉。
怒りと共に吐き出されたその呪詛は、同志達の共感を得て士気を高めることに成功したが。
「姉様……?」
口にした瞬間、“聴かれて”しまったのだ。誰よりも知られてはならない存在、セレスティナ女王に。
初めて目にする歯を食い縛って怒りに震える姉へ、ティアンナが不安げに声をかけたが。
『愛すべきアードの民よ。どうか私の言葉に耳を傾けてください』
惑星に居る全てのアード人へ語りかけた。アード人達はあらゆる作業を中断して直立不動となり、ケレステス島の方角を向く。
「これは……」
ドルワの里に居るジョン達や里から出たリーフ人達が戸惑う中、セレスティナ女王の言葉は続く。
『共に歩む愛すべきリーフ人。悲しいことに、彼らの中に良からぬ事を企む者が存在します。
ブレックス、及びその一味を直ちに拘束してください。手段は問いません』
セレスティナ女王の怒り。それがすべてのアード人達に激震を走らせた。そしてその怒りはまるで燎原の火の如く、一気に燃え広がった。
とある里に住まう若いアード人とリーフ人の夫婦宅。
「あなた、どうかしたの……?」
いつも優しい笑みを浮かべるアード人の夫が険しい表情をしており、リーフ人の妻は不安げに問いかけた。
「済まないが、ブレックスという名前に聞き覚えはあるか?」
まるで尋問のような言葉に戸惑いつつも、妻は自身の記憶を探る。
「えっと……ブレックス様よね?確か族長のお父様で、今は隠遁生活を送っているんじゃないかしら?
会ったことはないし、里を出た後は分からないわ」
「そうか……ああ、済まない。怖がらせてしまったね。
君を怖がらせるつもりは無かったんだ。許してほしい」
不安げに怯える妻にアード人の夫は申し訳なさそうに眉を下げ、彼女を安心させるように抱き締めた。
先ず最初にアード中の異種族夫婦、家族の間で似たような問答が発生。次に職場や交流があるリーフ人達へと対象が移り変わり、僅か数時間後には。
「「「ブレックス一派
アード人の狂信性此処に極まれり。
セレスティナ女王の怒りはアード人全体の怒り。大勢のアード人達がブレックス一派への怒りを叫び、そのうねりはアード政府をも容易く動かした。
速やかなるブレックス一派の引き渡しを、アード永久管理機構は正式にリーフ側へ要求。
この動きの早さ、そして恐ろしさを垣間見たフリーストは当初の予定通り父親達の引き渡しを決断。
事前に察知したブレックス及び一部は逃げたが、大半の一派は捕縛されてアード側へ引き渡された。彼等はアードの怒りに触れたのである。
優しい者程怒らせたら怖いと言うが、アード人にこそ当てはまる言葉だろう。
ちょっとシリアスが続いています。故に皆様へ今後についてご質問です
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このままミドリムシを滅ぼすまで駆けよ!
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たまには癒しがほしい
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出でよ!!!ジャッキー!!!