星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
「クソッ!なにが起きておるのだ!アード人共め!我々を攻撃するとは如何なる了見か!」
ブレックスは僅かな供回りと共に全力で逃走していた。
何の前触れもなく始まったアード人全体によるミドリムシ粛清は、ブレックス派を瞬く間に壊滅状態へ追い込んでいた。
その最中無駄に抵抗し、抹殺された同志も少なくない。
そして彼等にとって不幸なのは、アード側に一切の躊躇が無いことである。
セレスティナ女王の怒りはアード社会全土に共有され、その狂信性を遺憾無く発揮していた。
「逃がすな!追えーッッ!!」
「女子供は家から出るな!戦える者は武器を取れ!」
「ミドリムシ誅せよッッッ!!!」
「女王陛下のお怒り、命で償え!!!」
戦える者は躊躇無く武器を取り、ブレックス一派へ襲い掛かった。
捕縛を目指しているが、抵抗するならば殺害も厭わない。そこに普段存在する善性は無かった。
強いて言うならば、これは害虫駆除である。
「ブレックス議長!我々はどうすれば!?」
「とにかく再起を図るのだ、同志よ!」
万が一に備えてブレックスは幾つもの逃走ルートを用意周到に準備していたが、それらは全てセレスティナ女王に見抜かれていた。
彼女はブレックス一派の位置情報を共有し、彼等が用意した逃げ道は片っ端から潰されて同志達が捕えられるか討ち取られていった。
同志達を捨て石にしながら逃れた先で待ち構えていたのは、アナスタシア率いる近衛兵達である。
「逃げるな、臆病者。貴様も一族を率いる立場であったのだ。最後くらいは潔く軍門へ下れ」
「こっ、近衛だ!それに兵長まで出てきた!」
「ぎっ、議長!どうすれば!?」
「時間を稼ぐのだ、同志よ!ワシに考えがある!」
「しょっ、承知した!往くぞアード人よ!」
ブレックス達のマナが高まるのを確かに感じたアナスタシアは、槍を握る手に力を込める。
「抵抗するつもりか、全く往生際の悪い。
ブレックスは捕えよ!他は始末して構わぬ!
女王陛下のお怒り、その身に刻んで懺悔しろ!」
「「「応っっっ!!!」」」
アード人とリーフ人の戦いは、空中戦が基本である。
しかしながらブレックス一派は年老いており、空を飛びながら戦う芸当は体力的に難しい。
必然的に大地を踏みしめながら戦うことになるのだが、アード人側がそれに付き合う理由はない。
気質的に普段ならば正々堂々とした戦いを好むが、相手はセレスティナ女王の怒りを買った者達である。
ならば、相手に合わせる道理は存在しない。アナスタシアを筆頭に、近衛兵達は力強く翼を羽ばたかせて襲い掛かった。
「くっ!来るな!
風の刃よ!切り裂け!!!」
「遅いっ!!!」
アナスタシアは一人に狙いを定め、相手が魔法を唱えている最中に懐へ文字通り飛び込み、身体を回転させてがら空きの胴体へ矛先を叩き込んだ。
遠心力を乗せた槍の矛先はあっさりと障壁を破り、身体を容易く両断してしまう。
「バクロン!!小娘、貴様ぁあっ!」
近くに居た老リーフ人が仲間を殺られて激昂する。
しかしその間にアナスタシアは地面を蹴り、更に加速して距離を詰め、いつの間にか持ち変えていた双剣で首と胴体を切り裂いた。
一瞬で二人の仲間が葬られたのを目の当たりにし、ブレックス一派の者達に動揺が走る。
一切の躊躇もなく命を狙ってきたのだから。
「ブレックス議長!議長!我等では防げませぬ!策があるならば直ぐにお願いします!議長!
……議長!?」
近衛兵によって仲間が次々と討たれ、堪らず策があると言っていた自分達の首領へ助けを求めて振り向いたが、そこに居る筈のブレックスは忽然と姿を消していた。
そして彼は悟った。自分達がただ捨て石にされたのだと。呆然となり、絶望感に打ちのめされていた彼にも罰が降る。
素早く近付いてきたアナスタシアがその象徴と言える羽を斬り付け、無慈悲に引き千切ったのである。
「ぎゃあああああっっっ!!!」
絶叫が周囲に響き渡るが、アナスタシアは気にすることもなく老リーフ人を地面へ叩きつけて、顔を踏みつけた。
「喧しいぞ、賊めが。
本来ならば貴様も討ち果たしてやりたいところだが、女王陛下の御慈悲によって生かされていることを感謝しながら罪を償うが良い。
連れていけ、洗いざらい罪を吐き出させろ。手段は問わぬ。女王陛下のお怒りをその身に刻み込め」
冷徹にミドリムシを見下ろすアナスタシアに老リーフ人は激痛と恐怖に身体を震わせた。
視力を失おうと、ティリスから近接戦闘で並ぶ者無しと讃えられるアナスタシアの実力は健在であり、ミドリムシが敵う道理もなかった。
この日、アナスタシアはミドリムシ八人を討ち取り、近衛全体で四名を捕縛することに成功したのである。
一方、同志達を捨て石にしながら逃げ続けたブレックスは、無人の浮き島へ転移を果たした。
此処は規模が小さすぎたため百年ほど前に放棄された場所であり、万が一に備えて用意した逃走経路の一つである。
ブレックスは廃墟と化した集落の真ん中で枯れた噴水の縁に腰を下ろし、息を整えていた。突然始まった逃走劇で体力とマナを著しく消費し、転移魔法も使えそうにない。
故に回復するまで身を潜め、再起を図る事を考えていた。
同志達は討たれたが、孫娘のフローラが居る。彼女を起点として、もう一度権勢を得るのは難しくない。
悪足掻きを企んでいた刹那、気配を感じたブレックスは顔を上げた。
彼の視線の先には、一人の少女が立っているではないか。異質の銀の髪を持つアード人の少女、ブレックスからすれば全ての元凶と言える存在を前にして、頭に血が昇るのを確かに感じた。
「貴様が!貴様があの異端を連れ帰ったせいで全てが台無しだ!
我が一族に約束された永遠の繁栄は失われ、アードの下で屈辱的な日々を送ることになる!
貴様は、我が一族の栄華を奪ったのだ!」
怒りと共に呪詛を叩き付けるブレックスであったが、ティナはそれを冷めた目で聞き流していた。
「貴様が全てを台無しにしたのだ!一族の未来を奪ったのだ!」
「その未来にフェルは居ない」
「……なに?」
唐突に返され、ブレックスは言葉を止めた。
どこまでも冷たい視線を向けたまま、ティナは言葉を続ける。
「一族の未来?栄華?貴方一人の間違いじゃないの?」
「なにを!」
「フェルがお姫様だから、邪魔だから殺そうとした。そうだよね?」
ティナの言葉にブレックスは目を見開き身体を強ばらせた。
「フレストさんを助けたのは私だよ?何も知らないと思ったの?
まあ、フェルがお姫様かどうかは関係ない。私の大切な友達を殺そうとしてるんだ。
絶対に許さない!」
「許さないだと?
ほざくな小娘!貴様がマナをほとんど保有していない出来損ないであることは承知している!老いたとは言え、貴様のような小娘に遅れを取るものか!
貴様を下し、フレストの居場所を吐かせてやる!あやつが居なくなれば、全て元通りとなるのだ!」
怒号と共にマナを滾らせるブレックスを前に、ティナも得物であるビームランス、ビームシールドを構え、まるで挑発するように不敵な笑みを浮かべる。
「来なよ、お爺さん!貴方の時代は終わった!これからはフェルの時代だよ!」
「その減らず口、今すぐ縫い合わせてくれる!」
古き老害と新世代の新星、新旧を象徴する二人の激突は必然であった。
ちょっとシリアスが続いています。故に皆様へ今後についてご質問です
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このままミドリムシを滅ぼすまで駆けよ!
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たまには癒しがほしい
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出でよ!!!ジャッキー!!!