星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
「その増長が命取りとなるのだ!大地よ!我が願いを聞き、敵を穿て!」
ブレックスがマナを込めると、地面が躍動し始める。ティナは翼を力強く羽ばたかせて、身体を僅かに浮かせる。
踏ん張りが効かなくなるが、残念ながら彼女に魔法の知識は無い。厳密には今現在勉強中の身である。
故に相手がどの様な魔法を使うか分からないのだ。ならば魔法を行使される前に懐へ飛び込むのが正解であるが、ティナの目的からしてその選択肢は取れない。
よって、自身へ襲い掛かる魔法に対して備える他無い。
『マナ反応急激に上昇、攻撃が来ます』
だが、ティナには頼もしい仲間が居る。アリアである。彼女による手厚いサポートは、ティナに安心感を与えた。
それと同時にティナはその生まれ持った直感、或いは未来視によって危機を察知し咄嗟に高度を上げた。
次の瞬間、彼女が立って居た場所の地面から鋭い木の根が突き出る。
「空へ逃げられると思うな!囲え!」
ブレックスの言葉に応じて、周囲に生えている巨大な木々の大小様々な枝が動き出し、まるで網のように空を覆い始める。
同時に無数の細くて鋭い枝が、槍のような鋭さをもってティナへ四方八方から襲い掛かる。
「うわっと!?」
増したから突き上げてきた枝をヒラリと躱し。
「よっと!」
左側から来た枝はビームシールドで弾き飛ばし。
「やぁああっっ!!」
正面から襲い掛かる枝の群れは、ビームランスを器用に振るって切り払った。
「無駄だ!この場で待ち構えたつもりだろうが、浅はかよ!」
放棄された浮き島の木々は際限無く成長し、無秩序に群生している。
木々を操るブレックスにとって、この場所は有利な環境と化していた。
ティナは木々の網から逃れるために高度を下げ、迫り来る枝や地面から突き出る根を回避し続けながら様子を観察する。
圧倒的な物量を前に全てを避けることは不可能であり、
鋭い枝がティナの頬、手足を掠めて切り傷を作っていき、その内の一つは履いていたスポーツサンダルを切り裂いてしまう。
折角地球の皆さんからプレゼントされたものなのにと残念に思いながらも、その場で脱ぎ捨てて意識をブレックスへ向ける。
「先程の威勢はどうしたのだ!?異端の小娘!その浅はかな虚勢こそ、貴様が無価値な存在であることを証明しているのだ!
心配せずとも、あの忘れ形見も直ぐに同じ場所へ送ってやる!安心して果てるが良い!」
ブレックスは懐に潜ませていた小瓶の封を切り、一気に飲み干した。
一時的にマナを増幅させる秘薬であり、奥の手である。
ティナを相手に時間を浪費するわけにはいかないと判断した結果であり、増幅されたマナによって攻撃は激しさを増した。
ティナは激しさを増した攻撃で更に切り傷を増やしながらも、懸命に攻撃を捌きながら様子を見る。
サポートするアリアにとって、この時間は拷問に等しいものである。
実のところ、ティナが全力を出せば圧倒的に有利な戦いへ持ち込めるのだが、それをティナ本人が拒否した結果が現在の状況である。
別にティナが仏心を出したわけではない。
ティリスは今回の政争にティナを巻き込まないようにと細心の注意を払っていたが、フローラの一件と母の怒りで事態を察したティナが独自に動き、保護していたフレストから詳細を聞き出したのだ。
当初フレストは情報の開示に難色を示したが、ティナと一緒に居たフェルからもお願いされては断れず、自分の知る限りの真相を打ち明けた。
この過程でティナはフェルの正体を知ることとなったが、その点を深く考えることはなかった。
彼女にとって重要なのは、ブレックスが卑劣な策略で大切な親友の家族を奪い去ったと言う事実だけである。
故にティナは、自分なりに策を練った。圧倒的優位な状況へ誘い出し、ブレックスを消耗させるのだ。
ブレックスに余裕があれば、取り逃がしてしまう可能性が高い。
だからこそ挑発し、怪我をして見せることで彼の消耗を強いたのだ。
一切戦地へ出たこともないブレックスと、センチネルへの備えとして日々訓練に励むティナではスタミナに圧倒的な差がある。
無限にも思える時間。しかし実際には十数分に満たない時間が経過し、遂にその時が来た。
『ティナ!対象のマナが限界値を下回りました!数日間は転移魔法を使えないほどの消費量です!』
転移魔法、それも長距離となれば消費されるマナも膨大である。
アリアからの報告を待ちわびていたティナは、翼を畳んで陸地へ降り立つ。
「遂に観念したか!褒美として、苦しまずに死なせてやろう!」
昂りによって自分がどれだけ消耗しているのか気付かないブレックスは、悪どい笑みと共にマナを大地へ流し込む。
マナに反応して地中に張り巡らされた根が躍動を始めると同時に、ティナも徐に右足を持ち上げた。体操選手のように柔軟な身体によって垂直に挙げられた右足を、地面から飛び出してきた根に向かって振り降ろす。
鋭い根が少女の素足を貫く。その様を夢想していたブレックスは、次の瞬間には目を見開く。
飛び出した根は少女の素足を貫く処か、逆に踏み潰されて凄まじい衝撃波と共に大地に亀裂が走る。
「なっ!なっ!なっ!」
これまでと異なる展開にブレックスは言葉を失い、同時にティナは封じられているマナを一時的に解放した。
二対の真っ白で美しい翼を大きく広げ、その身体に纏うマナは常軌を逸している。
少なくとも自分と比べるのも烏滸がましいマナ量であることは明らかである。
「いくよ、お爺さん!これまでは貴方のターンだったけど、ここからは私のターンだ!」
ティナは力強く二対の翼を羽ばたかせ、武器を捨てながら地面を蹴って急加速する。
彼女は魔法をほぼ使えなかった故に、攻撃系統の魔法をほとんど習得していない。
今現在猛勉強中であるが、一朝一夕で身に付くようなものではない。AI補助による高速学習で理論の習得は容易だが、実戦で十全に使えるようになるには時間を要する。
よって彼女が選択したのは純粋なマナによる身体強化による近接戦闘、要はステゴロである。
「ぬぉっっ!!!?」
咄嗟に身を引いたブレックスの眼前をティナの右足の爪先が通り抜ける。
何の変哲もない回し蹴りであるが、凄まじい衝撃波を伴ったそれは周囲に群生している巨大な大木達を文字通り薙ぎ倒してしまう。
「ぐぉおっっ!!!?」
だがティナの攻撃は止まらない。
回転の勢いを乗せたまま左手による裏拳を叩き込まんと振り抜く。ブレックスは強烈な圧迫感に押し潰されるように地面へ叩きつけられ、その背後は数百メートルに渡って大地が抉れる。
論理も理論も存在しない、圧倒的なマナによる純粋な暴力である。
更なる攻撃を予感したブレックスは直ぐに立ち上がる。彼が見たのは、回転を続けたまま右手に握り拳を作ったティナである。
「シールドッッッ!!!」
「ぁあああっっっ!!!」
ブレックスは残されたマナを総動員して四重の結界を展開させる。
並みのアード人やリーフ人が相手ならばあらゆる攻撃を防げるであろう堅牢な盾は、ティナ相手に何の意味も成さなかった。
振り抜かれた少女の拳は一切の抵抗を感じることなくブレックスの胸に突き刺さる。
彼は臓器を含め自身の身体に致命的な損傷を感じながら、凄まじい衝撃波と共に大木を薙ぎ倒しながら浮き島の端まで吹き飛ばされた。
ティナは器用に翼を羽ばたかせて姿勢を整えて地面に降り立ち、周囲の惨状を見渡す。
地球ではあり得ない規模の大木達が薙ぎ倒され、数百メートルに渡って抉られた大地を目の当たりにした彼女は。
「……やっちゃった?」
困ったような笑みを浮かべるのだった。
ちょっとシリアスが続いています。故に皆様へ今後についてご質問です
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このままミドリムシを滅ぼすまで駆けよ!
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たまには癒しがほしい
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出でよ!!!ジャッキー!!!