星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
「いや違う!もしかして殺っちゃった!?」
文字通り加減知らずの一撃を叩き込んだのだ。まさかの殺人疑惑に慌てるティナであったが。
『対象の生命反応を検知しました。無事とは到底言えない状態ではありますが、まだ生きています。
つまり、ティナが対象の命を奪った事実は存在しません』
「よっ、良かったぁ……」
アリアの言葉にティナは安堵の息を吐き、翼も主の精神状態を表すように心無しか垂れている。
正確にはアリアが全力でティナの一撃にブレーキをかけた故の結果なのだが、それでも瀕死の重傷を負わせてしまうティナの潜在マナに内心戦慄を覚えるアリアであった。
とは言え、アリアとしてもティナの手を汚す事は容認できない。政治的な意味もあるが、アリア個人の感情もある。
後は瀕死のブレックスを回収して死ぬ前に処刑するだけである。
当然ながらアリアは既に結果を関係各所に通達しており、直ぐにでも後始末は済むだろう。
そう考えた刹那、強力なマナの反応を検知。ティナの直ぐ側に若草色の魔法陣が出現し、そこから転移したフェルが現れた。
「ティナ!」
「フェル、終わったよ。相手はあっちに」
「そんなことはどうでも良いです!こんなにたくさんの怪我を!直ぐに治療しますね!」
「ああ……うん、ごめん。ありがとう」
仇には見向きもせず、自分に駆け寄って傷に手を翳し、暖かな光と共に治癒魔法を行使するフェルを見て、ティナも笑みを浮かべながら肩の力を抜く。
今回の待ち伏せだが、一緒に戦うことを強く望んだフェルを説得して待機させたのはティナ本人である。
フェルを危険に晒したくない。何より醜悪の塊であるブレックスと出会わせたくはない。
その想いにフェルも引き下がったが、事が為ってみればティナは無茶をして怪我をした。
更に一つの魔法陣が出現し、そこからティリスが姿を表した。
彼女はティナとフェルを見付けると素早く駆け寄り、手当てを受けるティナへ声をかけた。
「殿下!」
「堅苦しいよ、ばっちゃん。今は誰も居ないんだからさ」
穏やかな笑みを浮かべるティナを見て、ティリスもまた力を抜いていつもの無邪気な笑みを浮かべる。
「ん☆終わったのかな?ティナちゃん」
「うん、終わったよ。
まだ生きてるみたいだから安心して」
勢い余って殺ってしまうところだったティナは、内心ほっと息を吐いた。
ブレックスは手強い相手だった。もし相手が万全だったならば、敵わずとも取り逃がしてしまう可能性が非常に高かっただろう。
フレストの帰還、それに伴うティリスの政略、ブレックス達の失策、ミドリムシの内部分裂、そしてセレスティナ女王の怒り。
様々な要因が組み合わさった結果なのだ。
「良かった。後始末は任せて☆」
『警告!対象の意識レベルが回復。飛翔し、逃走を開始しました!』
アリアの警告を受けて直ぐに三人は意識を切り替えた。ブレックスは往生際も悪く、魔法を使えない状態でありながら空を飛んで逃走を図ったのである。
「まだ逃げるの!?逃がすか!」
「待って、ティナちゃん。一緒に追い掛けよう。ただし、ゆっくりね☆」
アリアから詳細を聞いたティリスは今すぐに飛び立とうとするティナを諌め、笑みを浮かべる。
それはまるで獲物を狙う猛禽類のように獰猛なものであった。
「ぐっ……くそっ……内臓と骨をやられたか……ぐふっ!
だが……まだだ!一族の未来のため、ここで倒れるわけにはいかぬのだっ!」
フレストはよろよろと、それこそ鳥類にも劣る速度で這うように飛びながら高度を下げていく。
アード人は海を忌避する。ならば海面付近まで高度を落とせば追って来られない筈。
そう判断したのだが、その選択が正しかった事が証明された。
追跡してくるティナ達が、自分より遥かに高い場所から降りて来ないからだ。
彼は知らなかった。いや、知ろうとすらしなかった。アードへ来てからほとんど里の奥から出ずに内側ばかり見てきた。
アード人の社会や気質、この惑星の特徴にすら彼は関心を払うことがなかったからだ。
そしてその傲慢さが、彼の運命を決めた。
「ばっちゃん!これじゃ逃げられちゃうよ!魔法を撃たなくて良いの!?」
「大丈夫だよ、ティナちゃん☆
フェルちゃんも我慢してるんだから、我慢してね☆」
「ティナ、私は大丈夫ですから」
ティナ達は高度を保ちながら追跡しており、逃げられたら大変だと慌てるティナをティリスが諌めた。
ティナのそれはフェルを心配している故の焦りだったが、実のところフェル本人としてはブレックスにほとんど関心がないのだ。
より正確には、ミドリムシそのものに関心がない。
もちろん家族に対する仕打ちに思うところはあるが、彼女は既に自分の居場所を定義しているのだ。
要するに、「こっちも関わらないから、お前らも関わってくるな」が本音だったりする。
もちろん次期女王としての運命は避けられないので何時かは向き合う必要もあるが、それはまたその時に考える。
ミドリムシがもたらした負の遺産を受け継ぐつもりなど皆無なのだ。
そんな彼女にとって、今回ティナが介入することは想定外であった。やんわりと本音も伝えたのだが、ティナは是としなかった。
親友の想いを嬉しく思いつつも、その為に彼女は傷付いたのだ。その内心は極めて複雑である。
「アイツにとっては久しぶりのご馳走だ。ちょっと大袈裟な言い方になるけど、これはまさしくアードの怒りだよ」
「「アードの怒り??」」
幼い二人が首を傾げるのを見て、ティリスは楽しげに笑みを浮かべた。それと同時にブレックス飛ぶ海面に巨大な影が出現し。
「なっ……なんっ!!!」
突如として海面が盛り上がり、彼が最後に見たのは無数の牙が並ぶ巨大な口であった。
海中から飛び出したのは、キロ単位と言う空前絶後の超巨大な海蛇である。
「リヴァイアサン!」
「ヌシだね☆」
海洋惑星であるアードで食物連鎖の頂点に君臨する海の王者。その生態は謎に包まれており、名前もなく一般的にヌシと呼ばれる怪物である。
ティナだけは個人的にリヴァイアサンと呼んでいるが。
「大きいっ!」
海面から数百メートルも飛び出したリヴァイアサンは、そのまま何処か満足そうに海中へ戻るが、その際に巨大な津波を発生させる。
この怪物の存在によってアードは浮き島を居住地としたのだ。
何故かケレステス島周辺には現れないが。
「出来れば色々聞き出したかったが……まあ良い。貴様には似合いの最後だ、愚か者め」
大自然の威容に圧倒される少女達から視線を海へ向け、ティリスは冷めきった言葉を吐き捨てるのだった。
ちょっとシリアスが続いています。故に皆様へ今後についてご質問です
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このままミドリムシを滅ぼすまで駆けよ!
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たまには癒しがほしい
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出でよ!!!ジャッキー!!!