完新世 エヴァンゲリオン   作:犬社長

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「………2ヶ月ぶりだな。」
「ああ。」
「犬社長だ。」





16〈敗北〉

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

ーーーーそれを、辺り一面灰色の荒野(月面)から見つめる、赤混じりの白髪の青年が1人。

 

「……………。」

 

 

その真紅の瞳は、地球の方を真っ直ぐ見つめていた。

 

ーーーーまるで、何かを見守っている様に。

 

 そんな青年の近くに、黄色の触手のようなツインテールを揺らした少女らしき影が、スキップしながら近付いて来た。

 

 

「ーーーーどうだ、今回の〈種〉は!今回はお前に代わって、このアタシが蒔いてみたんだぞ?!」

 

 月面に響く矢鱈と元気の良い声に、白髪の青年は苦笑する。

 

「………あぁ。素晴らしいよ()()()()。まさか、あのタイプの種が残っていたとは。…もう全て滅びたのかと。」

 

『カマエル』ーーーーそう呼ばれたツインテールの少女は、ニヤリと笑った。

 

「ーーーー《扉》の中を掻き回してたら、偶然出て来たのさ。産まれ損なったヤツだったみたいだがな!」

 

白髪の青年は笑みを絶やさない。

 

「それでも役に立ってくれそうだ。……今の《人類種》の技術では、あの種を打ち破るのは厳しいだろう。エヴァンゲリオンも、稼働しているのは僅か3、いや2機。……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 そう述べる青年の隣で、カマエルが月面をぴょんぴょんと飛び跳ねる。跳ぶ度に、彼女の触手の様なツインテールがウネウネと揺れた。

 

「へっへへ〜。つまりアタシ等の勝ちって事だろ??やったな()()()()()!?案外楽勝だったじゃないか〜!!」

 

『ザラキエル』ーーーーカマエルからそう呼ばれた白髪の青年は、また小さく苦笑した。

 

「……油断はするなよ。あのタイプは貴重な種だ。()()()()()()()()。」

 

カマエルは飛び跳ねながら、ニヤリと笑う。

 

「へへ、わーってるよ。安心しなザラキエル。アタシを誰だと思ってる?」

「…………なら良い。精々見守らせてもらうよ、カマエル。」

 

 

 

 そう小さく呟いたザラキエルは、再び目線を遥か遠くの地球へと戻したのだったーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

ラ──────────

 

 

 

()()()()()()

 

 

 

ラ──────────

 

 

 

蒼穹に響く、澄み切った歌声。

 

 

 

ラ──────────

 

 

 

ソレは天使の唄声か、

 

 

 

ラ──────────

 

 

 

……或いは悪魔の遠吠えか。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「目標は!?」

 

 

 発令所に駆け込んだミサトが目にしたのは、主モニターにデカデカと映る、()()()()()()であった。

 

 

「目標、塔ノ沢上空を通過中!真っ直ぐジオフロント直上を目指している模様!!」

 

 オペレーターの日向マコトが、ミサトの方を振り返って答える。

 

「……ココ狙いね。サキエルやシャムシエルもそうだったけど、何で使徒は真っ直ぐココを目指して来るのかしら…。」

 

ミサトの疑問に答えられる者は居ない。…今は、まだ。

 

 

「総員、第一種戦闘配置。……初号機の出撃準備急げ。」

 

 

 ミサトの後ろ上から、総司令『碇ゲンドウ』の静かな声が降って来た。彼の隣には、冬月と加賀美が控えている。

 

「了解。」

 

 ミサトは後ろをチラリと振り返ってから、オペレーター達に指示を伝えた。

 

「初号機出撃準備!」

 

『了解!!』

 

 

ーーーーこうして、発令所は慌ただしく動き始める。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

「…今までの使徒とは、毛色が違うな。碇。」

 

 動き出す発令所を一段高い司令席から見下ろしながら、冬月が隣で手を組むゲンドウに話し掛ける。

 

「あぁ。コードネーム〈ラミエル〉またの名を《タイプ-R》だ。」

「……委員会が恐れる相手だな。零号機は使えるのか? 再稼働は成功した筈だが。」

 

ゲンドウは、1ミリ足りとも動かずに答える。

 

「零号機はまだ戦闘に耐えん。初号機で様子を見る。」

「そうか。」

 

短く会話を交わす2人の横で、加賀美が小さく呟いた。

 

 

「………頑張って下さい、碇さん。」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

ーーーーL.C.Lに包まれた体に、強いGが掛かる。

 

 

 

 

 ガコン……と重々しい音が響き渡り、シンジを乗せた初号機は第三新東京市の地上へと姿を現した。

 

空は驚くほどの青空。

 

 

靡く白雲を背景に、青い正八面体が浮かんでいる。

 

 

(アレが今度の敵ーーーーーーーー)

 

 シンジは、コックピットからラミエルを睨み付けつつ、言いようの無い恐怖感に囚われていた。

 

 

ーーーーなんというか、()()()()()()のだ。

 

 

 今まで戦ってきたサキエルやシャムシエルとは違い、およそ生命らしさを全く感じさせないフォルム。

 

 空に浮かぶその姿からは、いかなる感情も感じ取れない。

 次に何をしてくるのか、どんな事をしてくるのか、何も読み取れない。

 

『初号機地上到着…最終安定装置解ーーーーーーーーーーーー』

 

 

ガキゴキ、メリメリュ!!

 

 

 刹那、オペレーターのアナウンスを待たずしてラミエルが動いた。

 

「?!」

 

 ラミエルの姿が、まるで流体で出来ているかのように変形する。

 

 空に響き渡る変形音は、無機物めいた見た目からは想像出来ない、肉と骨が無理矢理変形していくような生々しい音ーーーーーー

 

『目標内部に高エネルギー反応ッ!!!円周部が加速していますッッ!!』

 

シゲルの焦ったような声が遠くに聞こえる。

 

 

ピチュンッッッッ!!!

 

 

 そして、あっという間に十字架のような姿となったラミエルから、地上に到着したばかりの初号機目掛けて、1条の光線が放たれた。

 

 ソレは、未だ安定装置に拘束されたままの初号機の胸元へ、激しい火花と共に直撃する。

 

この間、僅かコンマ5秒。

 

 

 

「ーーーーうわぁあぁぁあァァァァァァッ?!?!」

 

 

 

突如としてシンジの胸に穿たれた灼熱の波動。

 A.Tフィールドなど何の意味もなさず、余りの高熱に初号機の装甲が融解を始める。

 

『マズい!!ーーーー初号機を再格納して!!』

 ミサトの焦ったような声が、一瞬で泡立ったプラグ内に木霊する。

『っ!駄目です!!格納機能が熱でやられました!溶着してしまってますッ!!』

ーーーーと、マヤの声が叫んだ。

『区画ごと下へ落して!!強制緊急収納よ!!』

そうミサトが叫び返した瞬間、シンジの体に再びのGが掛かった。

ーーーー初号機が居る区画ごと、ジオフロントの中へ落とす様に格納されたのだ。

 

しかし、今のシンジには何も感じ取ることが出来ない。

 胸を貫く凄まじい熱エネルギーの余波の前に、息をする事さえ出来ず、ただただ苦しむより他なかった。

 

(熱い…!痛い…!!苦しい…!!ーーーー嫌だ!ーーーー僕はーーーー)

 

 そして、泡立つL.C.Lの中で、シンジはゆっくりと意識を手放したーーーーーーーー。

 

 

 











「次回の投稿の予定はあるか?」
「いや、まだ未定だ。」
「シナリオの大幅な後退は避けられないぞ?」
「構わん。やれ。」
「やれやれ。…また小説を書き直さねばならん。」

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