インフィニット・ストラトス RE:PONKOTSU 作:チャイナドレス先輩
2020年7月 アメリカ サンフランシスコ
卯ノ花さつきと谷全心響が宿泊しているホテルの部屋
展示会場の下見を終えた俺とポンコツ女は夕方を少し過ぎた頃に予約をしていたホテルにチェックインした。
……不本意ではあるが、予算の都合や一応ISパーツ製造会社の護衛という視点で考えこのポンコツ女と同じ部屋に泊まるのは仕方がない。
本当に不本意ではあるが、仕方がない。
「……んで、この明日の武器展示会での襲撃の予測は確かな情報から出したものか?」
まあ、同室であるからこういった情報共有や不明点の確認などはしやすいのは利点だな。
ISの勉強と訓練を一か月の間集中して行って何とか敵ISを撃破できる程度には仕上げたつもりだが――
(まさか、今回予想される襲撃に関する情報の共有をし忘れていたのをシャワーを浴びている時に思い出すとは……)
やっぱり、ポンコツが移ったのではとか、IS訓練とかで忙しかったしとか言い訳を自分の心の中で思った。
当日は
俺はシャワーを浴び終えて下着姿に首からタオルを掛けた状態でオールマインド社から支給されているタブレットの情報を見つつ谷全に確認をする。
「ええ、ここ数か月で装甲に使うような金属などがアメリカ国内に持ち込まれていることが判明しました」
そう言いつつ、未だにスーツ姿の谷全は手元のタブレットを操作する。
谷全が何かを操作した一瞬後にアメリカの地図と金属などの輸入量の増減を現したデータが送られてくる。
直近のデータである半年分の資料と過去の分のデータである5年分の資料だ。
その資料を見てみると、確かに今まで減少傾向だった金属輸入量が、直近3か月ほどで多少増えていることが分かる。
「戦車とかの通常兵器に使ってるんじゃないか?」
「いいえ、その可能性は低いです」
続いて谷全は金属以外の輸入に関する資料を送って来た。
「確かに戦車を数台……約5台分が作れるだけの装甲に使う金属が持ち込まれてますが、装甲以外の戦車に必要な部品の量が増えていないどころか今まで通りの減少傾向のままなのですよ」
「これじゃあ、装甲はあるけど、戦車は作れないっていうおかしい状態なのか」
「その代わりに戦車に使わないのですが、EOSで使う様なバッテリーやISに使う様な小型スラスターなどが若干増えていることを確認しました」
「そのバッテリーやスラスターを購入したのはISメーカーや研究機関か?」
「一応ISメーカーなのですが、大手ではなく何時潰れても可笑しくないほどの経営状態の会社です」
「ふーん、それはお前も……って、はぁ?潰れかけの会社が戦車作れるだけの金属とかを新規で購入したってことか?」
「はい、とてもおかしい状況です。……それに現在ではISが世に出てからは戦車や戦闘機などの既存兵器の新規開発や製造自体が減少傾向にありますので、その点を考えてもやはり戦車を作っている可能性は低いです」
「それじゃあ、その会社でISとか新兵器の新規開発とか研究目的の可能性は無いのか?」
「戦車5台分以上の装甲用金属ですよ?研究目的の新規開発のための装甲素材や部品などの一括購入などにしては多いと判断できるラインです」
「……つまり、新規開発じゃなくて大量生産の可能性が高いってか?」
「そして、なによりもこれらの輸入した素材や会社の人達の行方がわからなくなった点が一番怪しいんですよ。アメリカ国内に持ち込まれて暫く経った後の所在が掴めません」
谷全がそう言うと、輸入量の推移を表した資料ではなく、人型の黒いシルエットにクエスチョンマークが書いてある新しい画像を送って来た。
「以上のことからISやEOSとは別の機動兵器がアメリカ国内で製造されている可能性があります」
「……はあぁ」
(……この世界って案外退屈しなさそうだな)
俺はため息を吐きながらそんなことを思った。
「ちなみにですが外からであれば分かりずらかったのですが、アメリカ国内でその手の人間であれば違和感を感じて、すぐに気付けるような情報でしたが……アメリカの国防組織が動く気配はありません。その理由に関してですが――」
「IS反対派が握りつぶしたか、非合法組織の暗躍か……あるいはその両方か――フンッ、どちらにせよ俺には関係ないな」
俺は首元にかけてあるドックタグに触れながら鼻を鳴らしながら言う。
「結局のところ……敵をすべて倒せばいい」
俺は日本を発つ前に調整した自分の機体構成を手元の端末から確認する。
UNIT
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
FRAME
HEAD:HD-012 MELANDER C3
CORE:BD-012 MELANDER C3
ARMS:AD-012 MELANDER C3
LEGS:LD-012 MELANDER C3
INNER
BOOSTER:
FCS:
SUB GENERATOR:
EXPANSION
EXPANSION:-
俺はラファール・リバイブや打鉄といった普通のISではなく、オールマインド社内で
普通のISとの違いは、オールマインド社製のパーツ構成で作ったISは総じてEN負荷が他のISよりも高い傾向にあり、普通のISではEN負荷が高すぎて機体全体がEN不足になってしまうのだが、それをサブジェネレーターで補いつつ、そのサブジェネレーターで作られるエネルギーを武装や機動にも使う事で他のISよりも長く戦闘ができるという特徴がある。
まあ、オールマインド社製のEN武器やEN負荷が高いフレームを使う場合は、オールマインド社製のジェネネーターを使っても適切な構成にしないとEN出力不足になるがなァ…
ちなみにだが、拡張機能のアサルトアーマーなどは現時点では再現できてないので未装備だ。
将来的に装備予定とのことだ。
……この襲撃が終わって生きて帰ってお金があればの話だがな。
今回はある程度は装甲やシールドで攻撃を耐えつつアサルトブーストでどこにでも早く移動し、どのような状況でも手早く
……フレームが全部前世の時に使っていたパーツであることに深い理由は無い。
因みに
(前世のガレージで好きな色に全部塗装してくれる機能のありがたみを認識できたよ……さっさとガレージの全機能を復活させろ
「状況を整理するぞ?今回の襲撃で想定される戦力のほとんどは新兵器数台だと思われ、最大限に警戒するべき相手であるISは1機……多く見積もって2機」
「俺はこれらの戦力を撃破してオールマインド社の
「ええ、今回の襲撃者の撃退――できれば、全戦力の排除が望ましいですね」
つまり、
「おう、わかった」
俺はそう言いながらいい感じにシャワーで火照った身体も冷えたので、身体が完全に冷めないうちに布団の中に入る。
「もう寝るのですか?」
「ああ、俺は基本的に朝が弱いしな。念には念を……それに――いや、なんでもない」
「……?そうですか、それでは部屋の明かりはどうしますか?」
「明るくても俺は寝れるから谷全の好きなタイミングで明かりを消してくれ」
「ええ、分かりました」
「あ、そうだ。ちょっと気になったんだが、明日の展示会は一般公開もされるんだろう?」
「ええ、この時期ならあなたと同じぐらい年齢の女子が少なくはない人数が来るでしょうね」
「ふーん、そうか。俺達には関係がないなが、災難だな」
「そうですね」
「んじゃ、おやすみ」
「ええ、おやすみなさい」
谷本がシャワー室に入って行く。
シャワー室から水が流れる音を確認してから俺は口を開く。
「危ねェ……あいつの前で、つい言っちまうところだったぜェ。懐かしのセリフをよォ」
ミシガンの野郎には多少の恨みなどはあるが、今にしてみれれば悪い奴ではなかったとは思っている。
もしミシガンの野郎が、こっちの世界に来ていたとしたらどうだろうか?
(――フン、うるさいだろうな。うるさいが退屈しないだろうな)
「さあ、明日は愉快な遠足だ。……遠足が楽しみて眠れませんでしたって言ったらまたあの野郎は殴るだろうなァ」
それも悪くはないだろうと思いながら俺は横になって目をつぶった。