インフィニット・ストラトス RE:PONKOTSU   作:チャイナドレス先輩

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楽しい遠足の始まり


今回、登場人物の設定や作者の英会話能力の都合上、通常の鍵括弧の台詞は英語、二重鍵括弧の台詞は日本語としております


武器展示会 ―襲撃―

2020年7月 アメリカ サンフランシスコ

某所

 

 

「野郎ども、聞こえているな?」

 

会場近くの廃屋で、トラックの中で、輸送ヘリの中で男たちは女の声を聞いていた。

今日、IS武器展示会を行っている市のISアリーナ会場を襲撃する。

罪のない一般人たちを巻き込んで殺すのだ。

 

「仕事の時間だ」

 

男たちは今か、今かと黒い装甲に覆われたMTの中で女の次の言葉を待っていた。

男たちは元軍人だ。

荒くれ者で銃が撃てるからと入ったクソ野郎もいる。

崇高な目的で軍に入った者もいる。

男たちは少なからず、国を守って来た自負は持っていた。

国民の為に、アメリカの為に訓練してきた。

国民の為に、アメリカの為に戦ってきた。

それなのにISという兵器が出てきて『要らない』と言われて軍を辞めさせられた。

それだけならこんな馬鹿ことをしなかっただろう。

ISに乗れる女は偉いからと、男だからと迫害同然の扱いを受けた。

変な言いがかりで離婚をさせられたり、痴漢冤罪を受けたりした。

勿論、理解がある女性と付き合えて幸せな関係を気付けた『仲間』もいる。

そんな幸せもおかしくなった女に『壊された』。

納得が出来なかった、許せなかった。

そして、もう、どうでもよくなった。

酒に、薬に頼ってろくでもない死に方でこの世を去るだろうと誰もが思っていた。

 

そこに、天からの啓示のような話を聞いた。

俺達の今回の襲撃でISという存在に一矢報いれるかもしれないと。

『白騎士事件』の時の様に、世界が変わるかもしれないと。

 

だから、早く、早く命令をくれ

俺達に役割をくれ

生まれてきた意味を与えてくれ

 

その様子を男たちの目の前で、通信機越しで感じ取れた女は一言号令を出す。

 

「野郎ども……暴れろ」

 

 

 

 

 

その日、多くにとって突然に、それは起こった。正体不明の20体の新型兵器――マッスルトレーサーによる、IS展示会への襲撃。

その襲撃は成功し、またISにダメージを負わせたという記録が残ってしまった。

世界はISは絶対の兵器なのかという疑問で大きく揺るがされた。

 

 

襲撃を企てた者たちは言う。

今回の作戦は成功であり、失敗であったと。

そして、この事件のあった数年後に後悔する。

目覚めさせてはいけない物を目覚めさせてしまった、その始まりの事件であったのだ、と。

 

 

 

 

 

私はISの武器展示会に来ていた、ただの14歳の少女だ。

金髪で同年代よりも高い身長とあと大きな胸が私の特徴だ。

友達からは、まあ、色々大きいのでそれをネタにして揶揄われることも多いが、これが私だ。

来年にはIS学園への受験が控えていて、今回この会場に足を運んだのは家から近かったというのもあるが、最新のIS武器であったり生でISを見るチャンスと考えたからだ。

朝の10時から会場に入り色々な武器を見て回った。

会場となっている市民アリーナは1階と2階で分かれており、1階はイベント用の大きな空間で2階はISバトルができるフィールドになっている。

私は初めに1階を見て回った。

そしたら、オールマインド社という今まで見たことも聞いたこともないメーカーも出てきていた。

直接そのオールマインド社の社長さんと話をすることが出来て、パーツや武器の説明をされた。

こんな凄い製品を作っている会社があるなんて知らなかった。

やはり、こういうイベントには参加をするべきなんだな、参加して良かったなと思った。

そう思いながら時計を確認したらもう12時を過ぎて暫く経っていることに気付いた。

まだお腹は空いていないが、早めにお昼ごはんを食べようと思い会場外に足を向けた。

 

 

 

 

 

そして、爆発音が聞こえた。

 

「な、なに……?」

 

何度も、何度も爆発音が聞こえた。

何かの事故かと思ったが、すぐに違うことを理解した。

壁を破壊しながら黒い人柄の何かが数台現れた。

黒い機体は足が太く、全身が金属と思われる装甲に覆われており、手にはバズーカやマシンガンなどを装備しているのが分かった。

その黒い機体たちは、私達には目もくれずに会場の中心に高速移動して向かっていった。

 

「……なんなのよ、コレ」

 

私はその謎の機会たちが走り去った呆然と見ていると、周りから再度爆発音や悲鳴が聞こえてきた。

 

「――ヒィ」

 

私は日常では聞かないような音や声に身が竦んだ。

状況が何も分からずに、いきなり非日常の――別の世界に、暴力の世界になったことに私は恐怖を感じて怯えることしかできなかった。

 

『始まったか……』

ビクッ

 

私が恐怖で動けないでいると、隣で何かを呟いているのが聞こえた。

私はその声を聞いて驚いて、慌てて声のした方向を向いた。

 

『……しかし、予想よりもこれは数が多いな』

 

いつの間にかに赤い髪の女の子がそこにいた。

小さな声でよく聞こえないが、日本語で話しているらしいことは分った。

困ったような雰囲気を感じるので、私の様に今の惨状を目の当たりにしてテロなどに巻き込まれて何をしたらいいのかわからないのか――

 

(……いや、反応の小ささから未だに現状を正しく認識できていないかもしれない)

 

私も今、正確に何が起きているのかを把握はできていないが、命の危険が迫っていることに関しては理解できている。

彼女に気付けたのは幸運なのかもしれない……彼女のおかげで少しは冷静に考えることが出来るようになったと思う。

自分以上に怒っていたり悲しんでいる人を見ると、自分は冷静になるという話を聞いたことがあるが、私はその状態になったのだろうと頭の片隅でそう考えた。

 

(取り合えずは、この場から動いて逃げないといけない……この女の子と一緒に)

 

そう私は考えて、私は彼女の手首を掴む。

彼女は驚いて私の方を向いた。

 

「危ないからこっちに来て!今ならまだ逃げれるかもしれない」

 

私は彼女の手首を掴んだまま走り出す。

 

『あぁ?おい、俺は――』

「いいから逃げるの!!」

『あ、ああ……』

 

私は大声で言うと、彼女はそれっきり黙って私に付いてきた。

出口に向かって走り出す。

 

走って、走って、とにかく走った。

IS学園に入るために鍛えた身体を存分に使って走った。

 

「ハァッハァッ」

 

暫くの間走って私たちはISアリーナの搬入口の近くまで来た。

私達が今いる場所は、搬入口の外扉と内扉がある内部での通路の様な場所だ。

爆発や悲鳴の声も聞こえなくなり私は一息ついた。

 

「ハァッ、ここまで来れば――って」

 

私は呼吸を整えつつこの後どうするかを考えて気付いた。

 

(――しまった!!この子のことを考えずに自分のペースで走ってしまった!)

 

そう思い、女の子の方を見る。

 

『……?どうした?』

 

女の子は息を切らした様子もなく、ただそこにいた。

 

(……?この子も何かスポーツでもやっているのかしら?)

 

ガチャン

 

そう思っていると、近くの搬入口の――アリーナに荷物を入れる扉の()()から重い金属音が聞こえた。

 

「――ッ、伏せて!!」

「わ――ブッ!?」

 

私は彼女を押し倒し様に身体全体を使って伏せさせる。

そのすぐ後に重い金属音と共に内扉からの何かしらの力で吹き飛ばされていった。

 

「大丈夫っ!?」

『……鈴鹿みたいなおっぱいだ』

「クッ、やっぱりまだ状況が……!!」

 

今度は日本語の意味がわかったが、彼女は訳の分からないことを言っていた。

押し倒した彼女の安否を確認していると、扉の中から先ほど見たEOSモドキが5体出てきた。

 

「――ッ!?」

 

私はそのEOSモドキの姿に、返り血が付いていることに気が付いてしまった。

多分、内扉から出てくるまでの間に人を撃ったのだと嫌でも察せられた。

 

「『作戦通り』、時間をおいてからの起動をしたが……運良く獲物がいてよかったぜ」

「そして、こんな所にもな……ただ殺しただけじゃつまらない……少し()()()()()?」

 

男たちは私達の姿を見ながらそう話しているのを聞いてしまった。

 

(『作戦通り』?しかも、アリーナ内部からの出現……どれだけ用意周到に計画された襲撃だったのよ)

 

私は歯を食いしばりながら男たちの話を聞く。

今、下手に動くと何をされるのか分かったものではない。

 

「ガキをいたぶって何が楽しんだ……さっさと殺せ。それが仕事だ」

「それじゃあ、あれはどうだ?『捕まえる』のは?」

「……?」

 

『捕まえる』?襲撃をしているのに、捕まえるってなんだ?

政府の要人でもお金持ちでもない私を掴まてどうするんだ?

人質にして国に対して身代金の要求でもするのか?

 

「別の研究者(せんせい)が言っていた、あの話か?」

「ああ、ガキを使うって奴だったか?しかし、こいつらは少々年齢が高すぎる……もう4、5歳は年齢が低くないと」

(……?この人たちは一体何を言っているんだろう?)

 

私達で()()()()――苦しめようとしている3人と、仕事を淡々と進めたい2人で意見が割れているようだ。

 

「だから、さっさと殺せ……他の班とのローテーションもあるから、あんまり時間を取られるな」

「お前は良いのかよ?楽しまなくて?憂さを晴らさなくて?」

「………俺の『事情』はいい。さっさと仕事を済ませたいし、この子は俺の『件』とはは関係ない」

「この作戦に参加しておいて、関係ないから苦しませたくないなんていまさら言うじゃねーぞ」

 

1人の男がこっちに近づいて来て、私の服を掴んで強制的に私のことを立たせて、『事情』がある男に対して口を開く。

 

「こいつらはISのイベントに来ていた『女の子』だぞ?」

 

憎悪を感じ取れる声で男は言う。

 

「つまりは将来ISのパイロットになる可能性が高い奴ってことだろう?」

「………」

「お前の幸せは……お前の彼女は誰に壊されたのか言ってみろよ?」

 

私はその会話でこの人たちの事情をある程度理解できてしまった。

この人たちは、この社会の――

 

『――アッ』

 

私や男たちは急に言葉を発した女の子に――赤い髪の彼女の方を見た。

彼女はいつの間にか私達から少し離れたところにいた。

 

『ポンコツ女のことを忘れてた』

 

まるで外出の際に家に鍵を掛けるのを忘れていたことを思いだしたような場違いな雰囲気を出している彼女。

男たちは彼女の様子に困惑していた。

恐怖でおかしくなったのか、何で逃げていなんだとか言っていた。

 

『助けるの面倒だが、助けないとなぁ……それに、もう大体の状況も分かったし――』

 

 

 

 

 

『皆殺しを始めっか』

 

そう、彼女は笑いながら言った。

 

(……?この子は、この状況で何を?)

 

そう思っていると、女の子の身体が光に包まれて――ISが現れた。

今どき、珍しい全身装甲のISだった。

ISの装甲はミリタリーグリーンで染まっており、右手には細くシャープな印象を与える銃、左手には短い銃の様な装備をしていた。

ISが現れて、私は助かったと思った。

何で今の今までISを動かさなかったのか、疑問だったけど私はそれでも助かったと思った。

私にはそのISが『救世主』の様にも見えた。

 

 

 

 

 

だけど、実際に現れたのは、地獄そのものだった

 

『リムーバー――作戦行動を始める』

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