インフィニット・ストラトス RE:PONKOTSU 作:チャイナドレス先輩
2020年7月 アメリカ サンフランシスコ
IS武器展示会場 搬入口
「リムーバー、作戦行動を始める」
そうミリタリーグリーンのISに搭乗する彼女は言うと、赤く輝くカメラアイが私を見た後に、私を掴んでいるEOSモドキを見た。
そして彼女は右腕に装備した細い銃を──私と私を掴んでいるEOSモドキに向けたと思ったら、銃口が青白く光った。
(──ッ!?私がいるのに撃つの!?)
そう驚いていると銃口から青白い細い光が出て、そしてEOSモドキの頭部に当たる。
「Aaa!?
1発、2発と青白い光を──レーザーを頭部に受けたEOSモドキのパイロットは熱さのあまり私を手放した。
まさか、狙って頭部に当てたのかと思い地面に投げ出されながらISの方を見てみると、すでにその姿はなく──
突然私の頭上から風を感じ──EOSモドキの胴体あたりから、金属に金属を叩きつけた重い音が聞こえるのを倒れながら聞いた。
「──
「………」
私は地面に倒れた状態で上の方を見てみると、先ほどのモスグリーンのISが右足を蹴った後の様な態勢でそこにいた。
そして、ISを認識した一瞬後に壁に何かが激突した音が聞こえた。
チラリと壁の方を見てみると、黒い金属が──EOSモドキが壁に埋まっているのを確認できた。
状況的に最初の位置から横に移動して、その後にEOSモドキを蹴ったと思われる。
しかし、この速さでの移動方法は――
(もしかして
私と同じ年ぐらいなのに、そんな高等技術を……などと考えていると、今度は他のEOSモドキ4体がこちらにマシンガンの銃口を向けていることに気付いた。
私はそれを認識した瞬間に――人を簡単に殺せる武器を向けられた恐怖にビクッと震えて動けなかったが、ISを纏った彼女は
「
その号令と共に銃弾の雨が私たちを襲った。
流石にEOSの火力とはいえ、4人からの同時攻撃なのでISにダメージが入ってしまうのではと思ったが、彼女の纏うISは左肩から薄いターコイズブルーの何かしらのエネルギーが使われたシールドを展開した。
「
「
「
彼女はそんな男たちの叫び声を聞きつつシールドを展開した状態で、右手のレーザーライフルを仲間に対して注意をしているEOSモドキに向けて――銃口から先ほどよりも強い光を迸らせた
「
「………」
レーザーの強い光がEOSモドキの胸部装甲に当たり……
「──
「死ね」
二発目で胸部装甲を貫き、EOSモドキのパイロットを焼いた。
「
「
そう、彼女はEOSモドキのパイロットが殺した。
立て続けに仲間がやられた状況に――普通の女の子に見えた相手が淡々と人を殺した状況にEOSモドキのパイロットたちは驚きを隠せないでいた。
そして、EOSモドキ達が撃っていたマシンガンの弾が切れ――弾切れのタイミングで彼女は再度
「Oh,sh――」
加速の勢いそのまま、左手に持っている短銃の銃床でEOSモドキの内の1人の頭部を殴り、殴られたEOSは壁に叩きつけられ倒れる。
……殴られたEOSモドキは明らかに中のパイロットが生きていないだろうと分かるほどに頭部パーツが変形する。
接近にいち早く反応した残り2人の内の1人がリロードの終わったマシンガンを向けるが、撃つ前にレーザー数発の餌食となり殺される。
そんな様子を眺めていた私は――
「ウッ!?」
人が目の前で殺されたという、グロテスクな状況をやっと理解できて吐き気を堪えていた。
テロに巻き込まれたという異常な状況で、多少感覚が麻痺をした部分があるが、彼女がISを展開してから1分も経たずに立て続けにEOSモドキのパイロットを撃破――『人』を4人殺しているという早すぎる展開に私の理解が及んでいなかったのだ。
どうして私と同じ年ぐらいなのにISを持っているのだろうか?
どうして私と同じ年ぐらいなのにこの異常事態で普通に戦えているのだろうか?
どうして私と同じ年ぐらいなのに、平然と人を殺せるのだろうか?
助けられている立場ではあるが、ISを纏う彼女に私は恐怖を感じた。
「
EOSモドキのレーザーで焼かれた胸部を、殴られてから暫くの間ぴくぴくと指が動いていたEOSを見ていると男の叫び声が聞こえた。
「
ISの──否、彼女の圧倒的な力を見て、EOSモドキのパロットは武器を捨て、機体を捨て、手を組んで命乞いをする。
「
「プリーズ?──ああ」
彼女は何かを思い出したかのように頷いた。
EOSモドキの生き残りはその頷いている姿を見て自分は助かったと思ったのか、いやらしい笑みで表情を彩った。
(……最低ッ)
こんなことを……無関係な人を巻き込むテロを行っておいて、自分だけは助かろうとするのかと考えると私は自然と男に怒りと侮蔑の視線を向けた。
そして、男はレーザーライフルの銃口を顔に向けられて笑みを浮かべていた表情は凍り付いた。
「……
「お前、面白い奴だな……殺してくださいだなんて」
彼女の素顔は見えないが、微笑んでいるように聞こえる優しい声色で呟く。
「――!?
日本語の言葉の意味は分からないが、状況は理解できたのか男は慌てて、簡単な英語を使おうとするが、男の言葉の途中で彼女は引き金を引いた。
「──ィッ!!」
肉が焦げた臭いを出しながら男はレーザーで顔が真っ黒になって倒れた。
「ん?でも今の状況とか、勉強した内容とかと違うような気がしないでもないな……もう少しゆっくり喋ってくれよ」
殺す事には変わらないけどな、と最後につぶやくように言う彼女を見ながら私はたった今殺された男に対して何とも言い難い同情心が芽生えた。
英語と日本語どちらも話せて今の会話内容や状況を全部理解できてしまった私は頬を引き攣らせることしかできなかった。
しかし、これで私たちが遭遇したEOSモドキ達を倒すことを……殺したので、今この場での安全は確保できた――
「
そう考えていると、どこからか消えてしまいそうな小さな声が聞こえた。
「……
まだEOSモドキがいたのかなどと考えて慌てて周りを見渡すと、最初に倒されて壁に埋まっているEOSモドキの手足が少し動いていることに気付いた。
「
「
「
最後の方ではEOSモドキのパイロットの鳴き声が聞こえた。
(この人……最初のレーザーライフルの攻撃で目が……)
「
私はその言葉を聞いていて、少し心が痛くなった。
確かにこの人たちは無関係な人を巻き込むテロを行った。
だけど、この人たちがテロを行ったのは……そもそもの原因はこの社会に問題があるからではないか?と私は思った。
先ほどの会話から、EOSモドキのパイロットたちの中には……一番最初にレーザーで殺された男の人は、ISのパイロットに幸せを壊された者もいたようだった。
この人達も、ある意味現在の社会の被害者なんだなどという風に考えていると、ISを纏った彼女が動き出す――生き残っているEOSモドキに近づく。
「――ッ!」
私は彼女が動いたのを見た瞬間に背筋にゾクッとした。
彼女は最初の宣言通りに皆殺しを遂行するつもりであることを嫌でも理解させられた。
私の予想通りに、彼女はレーザーライフルの銃口を目の前の動けないでいるEOSモドキに向ける。
「ちょ、ちょっと何をしてるんですか!?」
「お?」
彼女は私の叫び声に反応して赤いカメラアイをこちらに向ける。
「ああ、お前は日本語が話せるんだな」
「──ッ」
「ずっと英語だったから俺の話は聞こえていないんだと思ったぜ」
彼女はこの惨状の中で場違いなセリフを言う。
そう、まるで平和な時に、戦場ではなく日常で言うようなセリフを言う。
人を4人も殺してそんなことを普通に言えている彼女に私は恐怖した。
怖かったが、私は自分の想っていることを口にする。
「こ、殺しちゃダメです」
「どうしてだ?」
「こ、この人たちはこの社会の被害者かもしれなくて、それで……」
「それで?」
「も、もう相手は動けないんですよ!!」
「そうか。お前は優しいな……残念ながら俺のこれは仕事だ」
「仕事……?」
「ああ、会場にあるISと展示品を奪わせないために、今この会場にいる敵戦力の撃退──あるいは全滅」
そう、彼女は私に伝えるとカメラアイを私に向けるを止めて、再度EOSモドキの方に向けなおす。
私は彼女が何かしらの仕事を――私情で戦闘を行っている訳ではないという事を理解する。
仕事で行っているので――殺すことが仕事であるというのであれば、情に訴えかけて殺すことを止めるのは難しいという事を理解する。
それでも私は、何とか殺さないようにできないかと言葉を絞り出す。
「ほ、捕虜として情報を……」
「どうせこいつが元軍人であるという情報以外出てこない……そういうもんだ」
「こ、このEOSもどきの鹵獲は……」
「訳の分からないバカが捨てたほぼ無傷の機体がそこにあるからコイツは絶対に必要という訳ではない」
「……それは」
「それに、この場合は、殺してやった方が……」
「え?」
「――いや、なんでもない。話は終わりか?なら、仕事を再開させてもらうぜ?」
「でも……でもぉ……」
「ハァ……」
私の泣き言の様な、幼い子供の様な我儘を彼女は
今のため息も、私の我儘に対してなんて言ったらよいか悩むようなものだった。
「そうだなぁ……色々初めてで、
彼女がため息をしてから、数秒か数十秒した後に彼女はそう私に言う。
「P,Please……」
男の助けを求める声が聞こえる。
「そう、殺してるんだ……殺されもする。コイツも……そして、俺もな……そうだろ?」
殺してるから、殺されもする
今やっと理解した。
彼女と私では価値観や倫理観が決定的に異なることを。
彼女はこう言っているのだ。
殺しに来たのだから、殺されても仕方がない。
また私も殺したのだから、誰かに殺されても仕方がない、と。
しかし、理解と同時に疑問に思った。
(何で私と同じ年齢なのにそんな殺伐とした……寂れた思想を思い至れたのだろう?)
そして、疑問と同時にこうも思った。
(だけど……その思想は、ISを扱う者として──いいえ、戦う者として心のどこかで思っておかなくてはいけないのかもしれない)
「
「そうか」
彼女はそう言うとレーザーライフルの引き金を引いた。
男を殺そうとしているのかと思ったら、レーザーライフルの銃口が今まで以上に輝き出した。
(あのレーザーライフルは……チャージをして威力を上げることもできるの?)
たった数秒のチャージでとてつもない熱量を発していることが分かる。
コツンという小さな音が聞こえた。
光輝いているレーザーライフルの銃口がEOSモドキの胸部装甲に当たった音だ。
パワードスーツの装甲越しとはいえ、その熱は中のパイロットにも伝わっている事だろう。
「……
「……そうか、死ね」
彼女はそう言いながら、また一人殺した。
チャージしたレーザーライフルを撃たれたEOSモドキは胸部が完全に溶け、機体もパイロットも原型を留めていなかった。
私は、ただ、ただそれを見ていた。
最後のEOSモドキのパイロットに対する唯一の救いは、あの威力のレーザーだから苦痛を味わう前に
主人公の姿か?これが……
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