インフィニット・ストラトス RE:PONKOTSU 作:チャイナドレス先輩
2020年6月 日本
「………」
俺が合同会社オールマインドについて知ってから3日が経った土曜日の2時。
俺はオールマインド社の所在地と思われるおんぼろな建物の前にいた。
「……住所はここで間違いないはずだよな?」
この3日間で調べられる限りにの情報を調べて俺はこの場所に来た。
……久しぶりに学校に顔を出して奇異の目を向けれるのは別にいいんだが、
他の生徒や先生にこの会社のことについて何か知らないかと話せば就職活動を始めたと勘違いされるのはうざったかった。
(担任の先生は涙を流しながら喜んでいやがったのが一番、こう心に来やがったぜェ)
まあ、その先生も生徒もこの会社について何も知らないことが分かった。
情報が何もないに等しい状況で敵地に
そう、目の前の建物についてだ。
おんぼろな建物は二階建てで、一階はガレージになっているのか大きなシャッターが閉まっている。
そのガレージには車などが駐車できるスペースになっているのだろうことが予想される。
二階に上げれるように階段が付いており、窓などの配置などから住居スペースなどは1階ではなく2階にあることも予想できる。
……のだが、建物の外壁の塗装が剝がれていて、なんか知らない枝の様な植物に浸食をされており、夜中にこんな建物を見れば幽霊が出てくるのではと考えてしまいそうな雰囲気がある。
(これ、本当に人がいるのか?……本当に幽霊とかでてこないだろうな?)
そんな不安を胸に二階に上がり玄関と思われる扉の横に備えつけられた呼び鈴のボタンを押す。
そして人が出てくるまで待つ。
「………?」
3分ほど待ったが、誰も出てこない。
そもそも呼び出しのボタンを押したが、呼び出しの音は今したのか?
「………」
まあ、訪問した人には聞こえず建物の中にいる人にしか聞こえないタイプもあるし、などと考えてもう一度ボタンを押して暫く待つ。
「……チィ」
今度は5分ほど待ったが、誰も出てくる様子がない。
俺は仕方なく扉をノックする。
コンコンコン
「ごめんくださーい」
扉をノックして呼びかけたが誰も出てこない。
「誰もいないのか?」
俺は留守なのかと思いドアノブに手をかける。
すると、鍵がかかっていないことに気付いた。
(どうする?このまま中に入れるが……)
現在の自分の装備を確認する。
黒いパンツに白いシャツ、赤いジャージの上着を羽織っている。
そして、ジャージのポケットには母親に持たされたハンカチが入っている。
(変な所を触らない限り指紋は拭き取れるな……)
俺は数秒の間悩んだ。
その結果、入ることにした。
(オールマンドを名乗る存在がいるのは事実。それがどういう存在なのか確かめない内には安心が出来ない)
俺はそのようなことを考えながら、扉を開けて建物の中に入った。
「お邪魔しまぁーす」
ギィー
……扉の金具がさび付いているのか、思ったより大きな音が出て内心驚きつつ、建物の中を調べる。
玄関を出てすぐは広い間取りで、テーブルなどの位置から応接室になっていることが想像できる。
特に特出するべきことはないが、部屋の中には複数の本棚があり資料などが収まっているのだろう。
(……この建物には誰も住んでいないのか?)
よく見るとテーブルの上には、何かの設計図と思われる紙が複数置いてあった。
その紙を触らずに書いてある内容を一瞥する。
(……前世で見たことがあるパーツの設計図?いや、これは企画書や計画書の類か?)
『軽量二脚や逆脚の再現と、ISへの適応について』や『IS世界でのタンクの有用性について』などのタイトルが記載されている。
……一つの紙の中に、不可能とか、実用性がないなどという単語が複数確認ができるので、これらの計画書はボツになったのだろうと予想される。
先ほどは間取り的に応接室と判断したが、これは作業兼応接室だなこの部屋は。
(ガレージやこの部屋の用途を考えると、仕事をするための建物の可能性が高い)
つまり、この建物には現在人はいないか、ガレージの中で何か作業をしている可能性が高いな。
そんなことを考えながら、他に目ぼしい物がないか、調べていると――
ジュー、カン、カン
後ろから小さい音が聞こえた。
「――ッ!?」
俺は慌てて振り返る。
部屋に入った時は気付かなかったが、本棚の陰に隠れて扉があることを確認できた。
(この扉の先に、誰かいるのか?)
ペタペタペタ、コン
俺がそんなことを考えると、扉の向こうで人が何かを行っているであろう音が更に聞こえた。
俺は扉の前まで音を殺して移動する。
「………」
俺はこの先にいる存在を確認するために、扉を開け、そして――
ぼさぼさの黒髪に黒いシャツとパンツ姿の20代前半と思われる女が電気も付けずにワンカップ片手にもやし
「……い、いただきまぁす」
そう言い終わると女はワンカップに口を付けて、中に入っている液体を飲んだ。
「何でぇ……何でなのよぉ……」
カップの中の液体を三分の一ほど飲み終えた女はとても情けない声で独り言を呟き始めた。
「何でだれも私の作った商品は買ってくれないのよぉ……」
女は先ほどとは異なり、今度はワンカップを小さく何度も傾けながらチビリ、チビリと飲み始める。
「人間の身体は不便……食べないとじぬぅのぉ……」
「づらいよぉ……ひもじいよぉ……」
「毎食もやしの生活には飽きたよぉ……もぐもぐ」
そう、彼女は言いながらもやしを炒めた物と思われる料理を食べ始めた。
そういえば今の時間は遅めの昼食を取っててもおかしくないな、などと頭の隅で考えた。
「お肉食べたいよぉ……ううっ……」
(もやしを食べたと思ったら急に泣き始めた、だと……)
俺は目の前の存在の恐怖を覚え始めた。
俺はいつの間にか、少し隙間を空けて中の様子を確認するつもりが、扉を大きく開けておりいつでも俺の存在が気付けてしまう状態になっているが、
とてもそんなことを気に掛ける余裕が俺には無かった。
(前世でも今世でも見たことがないヤバイタイプの人間だコイツ)
「うっうっうっ……え、あれぇ?あなた、だれぇ?」
「………」
女はやっと俺に気付いたのか泣き顔をこちらに向けながら俺に話しかけてきた。
俺は余りにも哀れな存在を目の当たりにして、すぐには何も言えなかった。
(……流石にこのまま状態で話を始めるのは気まずいよな)
少し俺は考えて、いったん出直すことにした。
「えー、正社員募集の広告をみて来た学生です。あー、お食事中のところ失礼しました。また1時間後ぐらいに改めます」
「え?え?」
ギィィイイ、バタン
俺は相手の返事を聞かずに俺は扉を閉めた。
(……俺も遅めの昼食を済ませるか)
俺はおんぼろな建物から出て、最寄りのハンバーガーの店に向かった。