インフィニット・ストラトス RE:PONKOTSU   作:チャイナドレス先輩

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ポンコツとの再会

2020年6月

オールマインド社前

 

昼飯を食べ終えて、俺は再度オールマインド社に向かう。

扉をノックするとすぐに中から返事があり、数秒ほど待つと扉が開いた。

 

「ようこそ、オールマインドへ」

「………」

 

艶のある綺麗な黒髪ショートと緑色の瞳に黒いスーツを着込んだ女が(今度は)俺を迎えた。

 

「さあ、どうぞ中へお入りください」

「……はい」

 

俺へ促されるまま建物の中に入る。

そして、応接室に通される。

一時間前と異なり、ボツ案の計画書などは片付けられている。

 

「どうぞ、お掛けください」

「……はい」

 

俺は応接室のソファーに座る。

俺がソファーに座ったのを確認すると、女は奥にある扉に入り、そしてすぐに出てきた。

どうやらペットボトル飲料を取りに行っていた様で、俺にミルクティーが入っている物を渡してくる。

 

「申し訳ございません。余りお客様が来られることがないから、紅茶の茶葉を切らしていて……」

「いえ、お構いなく」

 

俺はそれを愛想笑いを受けべながら受け取り、テーブルの上に置いた。

 

「本日は弊社の募集広告をご覧になられてとのことでしたが、就職を希望されているますか?それならば面接とさせていただきますが、よろしいでしょうか?」

「……はい」

 

女はいつの間にか用意したタブレットを手元に抱えながら話を続けた。

 

「まずは自己紹介といきましょう。私の名前は谷全(たにまた)心響(しおん)です。貴女のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「……卯ノ花さつきといいます」

 

「はい、卯ノ花さつきさん。……卯ノ花さんは見たところ随分お若いようですね。失礼しますが、ご年齢をお伺いしてもよろしいですか?」

「今年で14になります。隣町の中学校に通っている中学二年生です」

 

「……えーと、卯ノ花さんの趣味や特技をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「趣味は喧嘩、特技は暴力です」

「は?」

「冗談です。趣味はゲーム、特技はリアルファイトです」

 

しまった。つい考え事をしていてそのまま答えてしまった。当たり障りのない内容で趣味と特技を答える。

 

「……え?リアルファイト?……その頬のガーゼは何かお怪我をされてますか?差支えがなければ怪我の原因をお伺いしても?」

「3日前に大男に思いっきりぶん殴られた痕です」

「……は?

「噛みました。階段で転んで出来た怪我です」

 

クソッ、頭の中に浮かんだ疑問の方につい頭を使っちまって会話の方に思考が割けない。

そう、俺が感じている疑問とは――

 

(何でコイツから酒の臭いを感じないんだ?)

 

コイツ確かワンカップ片手に食事をしていたはずなのに、目の前の女――谷全から酒の臭いが少しもしないことについて考えていた。

瓶の中身は透明だった……それに酒以外を入れていたと考えるのが普通か?

 

ということは、もしかしてコイツはワンカップの空き瓶に水を入れて酒を飲んだ気分を味わっていたのか?

 

「良い所のお嬢様っぽいのに、結構俗というか荒っぽいというか――いや、これはタイミングが良かったと考えるべきででは?」

「………」

「……え?あのー、何で急にかわいそうな生き物を見るような憐れみに満ちた目を私に向けるんですか貴女は?」

 

……これ以上この件について考えるとこちらの精神衛生上よくないと判断して当初の目的を遂行しよう。

そうしないと、俺の心が持たないぜ……こんなの。

 

「失礼しました。突然ですか、質問を行ってもよろしいでしょうか?」

「え?ああ、はい。どのようなことを質問されるのですか?」

「はい、質問というのが、恥ずかしながら御社の製品についてあまり詳しくなく、出来ればお教えいただければさいわ――」

「よくぞ聞いてくれました!!」

「うぉ!?」

 

谷全はとびっきりの笑顔を身を乗り出して、そして大きな声を突然出すので驚いてしまった。

 

「我が社の製品は他のIS企業とは様々な点が異なっております」

「は、はぁ……」

「まずは、武装面の豊富さです、こちらの資料をご確認ください」

 

谷全はそういうと少し大きめのタブレットを俺に見えるようにテーブルの上に置いた。

 

「我が社では様々な武器を開発しており、通常のアサルトライフル、ハンドガン、ショットガン、マシンガンだけではなく、リニアガンやレーザーライフルなど他の企業でもあまり見られない製品があります」

 

そう言うと、谷全はタブレットを操作して自社製品の武器と、他社製品の映し出しどれだけの差があるのか見せてきた。

確かに、一社で70種類を超える武器をそろえており、また同一の製品も少なく多種多様な武器をそろえていることが分かる。

 

「また他の企業にはないレーザーブレードやパルスブレード、パルスシールドなども開発が出来ております。これらの製品を提供できるのは当社だけなのです」

 

谷全は自社しかないという事を強調して説明する。

 

「続いて、ISの機体についてです。これも我が社にしかない独自の設計思想やシステムで構築をしておりまして――」

 

谷全は説明しつつ、タブレットを操作した。

てっきり俺は機体の全体像を見せるのかと思っていたら、頭部パーツだけを俺に見せてきた。

何でだろうと疑問に思い、視線をタブレットから谷本の方へ移す。

……何かを期待するような雰囲気で俺のことを笑顔で見ていた。

 

「……谷全さん、ISの機体についてという話でしたが、何故頭部のパーツだけなんですか?」

「ふっふっふっ、それはですね~、こういう事なのです!!」

 

再度、谷全はタブレットを操作する。

すると、複数の頭部パーツがスライドして出てきたと思ったら、胴体、腕部、脚部といったパーツも流れるように表示された。

 

「これは……A(えー)――」

「驚きましたか?驚きましたよね?」

 

おっと危ない。危うく余計なことを口走るところだった。

各パーツを流れるようにスライド表示をしていたタブレットがいつの間にか機体全体を移すようになり、今度は各パーツを選択するとその部分のみが交換されて、それが機体の全体像に反映される。

 

「そうです!!頭部(ヘッド)胴体(コア)腕部(アーム)脚部(レッグ)、ブースタ、火器管制システム(FCS)、サブジェネレータや武器などの各パーツをそれぞれ組み合わせて(アセンブル)、自分に合わせた、あるいはその時の状況に合わせた機体を作ることができるとても自由度が高い製品となっております」

「………」

「どうですか?ね、ね?凄いでしょう?」

「ええ、本当……素晴らしい製品だと思うぜ……」

 

ああ、本当に凄い。

何せ――

 

(……コイツ、俺たちの世界の兵器の利点をそのままで、こっちの世界に順応させて作り上げやがった!!)

 

嫌な予感が当たってしまった。

……コイツは、この女は、この女が――

 

オールマインドだ。

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