インフィニット・ストラトス RE:PONKOTSU 作:チャイナドレス先輩
「ISを操縦する際の適性というものがありますよね?」
「ああ、確か一般的にはCランク、モンドグロッソなどに出場する選手とかはA+とかSランクとかの適性値がとかがあるアレか」
因みに、俺はこの女に対して敬語は完全に止めるものとした。
「そうです。その適性が高い人を早期の内に確保する為、現在の日本の制度の中には特別に中学生や高校生などの未成年が企業に所属してISのテストパイロットにしてもいいとされております」
そう言うと、谷本は俺に説明した制度について説明がされている紙の資料であったり公式ページだったりを俺に見せてきた。
(まあ、各国の代表候補生で俺と同じ年の奴もいるらしいから、そこら辺の未成年というハードルをクリアするためのものだろうな)
因みに、国に所属している代表候補生の場合は、スポーツなどの強化指定選手のような仕組みらしいが、ISという国の防衛に関わるものなので、その強化指定選手などよりも優遇されている制度らしい。
具体的には一定のISの実技や試験などで成績を修めれば基礎教科以外の勉学免除など。
まあ、ISの実技が体育の代わりの様な扱いになるらしい。
体力をつけるために走ったり、水泳をしたりするからな。
(……俺の数少ない友人がISに学園に入るために頑張っていることは知っているからな)
国家代表のトレーニングメニューを参考にして今日も訓練をしているだろう。
因みに企業所属のテスターという扱いの場合は、社会活動の一環という形になる。
企業所属のテスターで免除される内容が、免除対象者によっては様々ではあるが、やはりISの実技や試験などは必須であるらしい。
「もちろん保護者の同意が必要ですが、未成年の方が企業に所属してISのテストパイロットを務めることは法律的に問題はありません」
谷本は姿勢を正して俺のことを真正面から見る。
「……ですので、どうか弊社にお力をお貸しいただけませんか卯ノ花様」
そういって目の前の人物は深々と頭を下げてきた。
「ふーん」
俺は今コイツが話した内容について記載されたこの国の法律であったり、国際的な決まりなどについての資料をペラペラと読んでいる。
言っている内容と資料を比較してもおかしな点はない。
自分が助かりたいからという、口から出まかせで架空の制度を俺に言っている訳ではないようだ。
国が有能な奴や将来有望な人材を確保したいという考えも理解はできるしな。
「法律的に問題がないこと『は』分かった」
「そ、それでは!!」
その上で、最大の問題があることに俺は気付いた。
「だけど、まず俺のIS適性についてだが、俺は人生で一度もその適性試験を受けたことがないので俺の適性値は分からない」
「……あ」
「あとこの制度の資料を確認したが、この制度は海外などがやっていることを日本でも行おうとここ数年で導入した制度らしいが――俺はこんな制度、今の今まで知らなかった」
「………」
一応、俺もこの日本に住んでいる女子中学生で、クラスの話題でよく上げられるのがISだ。
そんな俺が一度もこの制度について聞いてことがないのだ。
つまり、一般的に認知されている制度ではない。
「確かにIS適性の簡易試験はいつでも受けれるけど、そこで高い数値を出せれば代表候補生になっているよな?」
「………」
「何で一般に認知されていないのかについてだが……まあ日本でのIS企業が少ないって点と、国家に所属すると自動的にIS企業からのサポートも受けれる」
「………」
「これ、どう考えでも企業だけに所属の旨味が少ないよな?」
「………」
「……現状の日本にあまりあっていない制度だな、コレ」
「………」
「とにかく、この制度を利用するのには俺のIS適性が高い値を出さないといけない」
「………」
「このまま話を進めてもいいがこれは俺の適性値にすべてを賭けた勝負をすることになる」
「………」
「
「………」
「ああ、念のために言っておくと、俺はここから出たらもう二度とこの会社に立ち寄るつもりはない」
「――スゥー」
「来年もこの会社があればその時は顔くらいは出しに来るから。それじゃ、来月アメリカでがんばr――」
「お願いします!!多くは無いですけど謝礼はお支払いしますので!!」
「俺の家、金には困ってないから金での交渉は意味ないぞ」
俺の親父はこのご時世で大きな病院の医長とかしてるし、
母親もファッション系の社長で、今度ISスーツの事業を新しく始めるとか言っていたし、
本当にお金には困っていない。
「一回だけ!!一回だけでいいから!!一回だけ私の為にISに乗ってよぉ!!」
「だからァ、そのIS適性値の問題はどうするんだって話だよォ!!」
「基準値を満たしていなくても、それは数値を改竄してなんとかするからぁ!!」
「テメェ、未来ある若者に犯罪の片棒を担がせようとするなァ!!」
「お願いぃ、私を助けてぇ!!」
「ああ、ほらそんなら代わりの奴を連れてきてやるゥ!!俺の友達に
(今度、激辛麻婆豆腐でも蒙〇タンメンでもお奢るから、許せ鈴鹿ァ!!)
俺は心の中で友人である鈴鹿に謝りつつ、
「IS学園に入る一心で努力をしてっから、きっと俺よりもIS適性が高いはずだァ!!」
「……因みにその子は貴女の様な不良?」
「……?いや、大人しめの性格で争いごととは無縁のはずだ。ただ、報酬を提示すれば――」
「……ダメよぉ!!例え、その子の方が適性が高かったとしても、今の所貴方の方が来月は適任である可能性が高いのよぉ!!」
「はあァ!?本当に意味がわっかんねーんだよ、ポンコツがぁ……って――それはどういう意味だ?」
「……あ」
谷全はしまったという表情で慌てて口を手で抑えた。
先ほどまでギャーギャー騒いでいた女が、一瞬でここまで静かになる様子ははっきり言って不気味だった。
(俺の方が適任である可能性が高い?こいつはいったい何を言っているんだ?)
……そう言えば、こいつさっきも俺の怪我の様子や怪我の原因を聞いてタイミングが良いとか言っていたな?
(……来月の武器展示会で何か起きる、ということなのか?)
俺はその可能性に思い至り、眉間に力が入るの感じながら考え込む。
「………」
「えーと、そのー、やっぱり、この件はお断りしますよねぇ」
谷全は来月、争いごとの可能性がある場所に行ってくるという話をしてしまったことで、俺がこの話に絶対乗ってこないと考えて、勧誘を諦めるようなこと言い始めた。
「はぁ……いや、その話乗ってやる」
「ああ、うん、やっぱりね……この件は私がなんとかするから――って、え?」
「オールマインド社のテストパイロットになってやるって言ったんだ」
「えぇ!?急にどうしたんですか!?」
「うるせェ!!俺には俺の事情があるんだァ!!」
「急にキレられたぁ!?」
「企業のテスターが手に入ってお前は黙って喜んでればいんだよォ!!」
……そう、お前にはお前の事情があるように、俺には俺の事情がある。
(今世ではもう味わうことが出来なかった戦いの舞台がすぐ目の前にあることを考えたら――)
このポンコツの思惑なんてどうでも良い物に思えてきた。
まだ俺は戦うことができるのか
この平和な世界で味わうことが出来ない
あの闘争の世界がもう一度味わうことが出来るのか
「……貴女は何で笑っているんですか?」
「おっと、失礼」
そうか、俺は笑っていたか。
「ハハハッ、人生で一番気分がいいかもしれない」
「訳の分から人ですね……」
「それじゃあ、さっそく俺の機体を組み上げよう」
「……その前に保護者と一旦お話をしなくてはいけませんよ」
「そうか、なら今すぐ行くぞ」
「はぁ?」
「善は急げ……いや、俺たちが善という訳はないか――とにかく急げポンコツ」
「さっきから貴女私のことをポンコツって言って失礼で――」
「もしもし、すみません、タクシーを一台……はい、はい、お願いします」
「もうタクシーの手配をしている……ですって?」