きさまらにも味わわせてやる!ゲッターとヤマトの恐ろしさをな〜〜!!   作:桐山将幸

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PROLOGUE ゲッターロボタケル出撃!

 大鳥武、大鳥タケルは漫画版ゲッターロボの世界に転生したことを自覚している転生者だ。

 そこは強大で陰湿な敵、地球環境ごと人類を消し去らんとする敵、それらが複数現れ、繰り返し人類に挑み続ける世界だ。

 それを知ったタケルは恐れ、嘆き、しかし、タケルは愛する故郷のため、自分自信の生存のため、戦いへと身を投じることを決めた。

 文武にはげみ、超人を目指して鍛錬に身をひたしたタケルは、見事ゲッターチームの副メンバーとして採用され、次第にゲッター開発にも関わるようになる。

 人類守護の決意を持つ強力なパイロット兼開発者の加入により、地上の征服をめざすハ虫人類、すなわち恐竜帝国との戦況は大きく人類有利に傾いていた。

 間違いなく、人類有利に。

 

 しかし――――タケルの奮戦、それによって開発の早まったゲッターロボGの参戦にもかかわらず、恐竜帝国との戦争は破局的な結末を迎えつつあった。

 それは、本来不完全のまま出撃し、消滅するはずであった次世代メカザウルス軍団の、完全体による全世界同時攻撃である。

 

 旧世代よりも遥かに戦力を増したメカザウルスによる同時一斉攻撃は、本来地上侵攻で姿を表さなかった多数のマシーンランドの地球全土の有力国家の軍備とスーパーロボットを壊滅させるに十分なものであった。

 残された僅かな軍事基地と非有力国の軍隊、そして生き残ったロボットのみが、人類最後の守護者だが、それもまた、風前の灯火である。

 

 浅間山麓、早乙女研究所。

 基地を守るバリアと強力無比な兵器、そしてゲッターロボという世界最大の戦力によって守られた人類最高の要塞――――そして、ハ虫人類最大の弱点であるゲッター線を握った研究所もまた、今まさに最後の時を迎えようとしていた。

 度重なる恐竜帝国の攻撃は、バリアを幾度も破り、地面をえぐり、基地を破壊し、送り込まれ続ける白兵戦要員は基地を守る兵員と研究員を容赦なく殺戮する。

 その攻撃の密度は、全世界のロボットたちが全滅するにつれ上がり、当初の数倍に達しているのだ。

 

 我らのゲッターロボはどうか。

 初代ゲッターロボ、そしてすでに完成していたゲッターロボGは、日本と早乙女研究所を守るため、連日連夜、獅子奮迅の戦いを行った。

 しかし、2つのゲッターだけで守るには日本という国はあまりに広く、恐竜帝国の兵力は強大だ。

 臨時招集された急造ゲッターチームの操る初代ゲッターロボは最後の自衛隊基地の防衛作戦時に致命的な攻撃を受け墜落、パイロットのうち二人は墜落の衝撃で爆散、残る車弁慶もまた、早乙女研究所内の集中治療室において瀕死の傷を癒やしている。

 流竜馬、神隼人、巴武蔵の操るゲッターロボGは日本全土を駆け巡り、初代ゲッターロボの数倍の時を戦い、数十倍のメカ・ザウルスを撃退したが、13回目の出撃でついにエンジンが火を吹き、ゲッターチームもダメージと極度の疲労から強制的な休息を余儀なくされた。

 

 ゲッターロボGの後継機として研究中の試作ゲッターたちも、今は未完成。

 早乙女研究所の残存戦力は僅かな迎撃兵器と研究員、逃げ込んだ自衛官の肉弾しか残っていない。

 いや――――だがしかし、ここに、もっとも完成に近い、名もなきゲッターロボがあった!!

 

 「タケル! 移植した増幅器の接続は完了したぞい!!」

 

 「了解です敷島博士、残りの作業はプログラムの調整と平行してやっちゃいましょう!」

 

 外壁が破壊され、ブルーシートのツギハギで養生された格納庫内。

 名もなきゲッターロボはその作り主、大鳥タケルの手によって最後の改造を施されつつある。

 あちこちを包帯のような防水布で巻かれた四肢、胴体、パッチワークのように鉄板を貼り付けられた頭部アンテナ……大きく切り開かれた腹部。

 無造作に放り出された、2つのコックピットユニット。

 そして何より目を引くのが――――

 

 「それにしても増幅器の二個積みか、こりゃあ、制御に難があるってことでゲッターロボでもGでも不採用になったもんじゃが、おまえさんはよくゲッターエネルギーを研究しとるしな」

 

 「いえ、制御はできません」

 

 「!?」

 

 敷島博士がはっとして、コンソールを操作中のタケルを見る。

 覗き込んだその顔にあるのは強い使命感と、作り上げつつある強力無比なエネルギー源への期待、そして、若干の恐怖だった。

 

 「制御なんてせず、力任せに突っ込んで敵をぶっちぎって最後は盛大に爆発する、こいつはそういう機体です」

 

 「……特攻か!!」

 

 「根本的な未完成、パイロット欠員による能力低下、こいつをまっとうなやり方で仕上げてもゲッターロボGのかわりは出来ないし、復旧を待つだなんて夢のまた夢ですからね」

 

 「やるなら、敵をまるごとぶっ潰すしか……ない!」

 

 笑み……喜悦の色が望む笑みを浮かべた敷島博士を前に、タケルもまた笑みを浮かべながらも、神妙に頷く。

 タケルの笑みは、ゲッターチームがよく示す、恐怖を跳ね返す好戦の笑みだった。

 

 「これがゲッターチームの交代要員としてここに残されたおれと……おれが作り出した最初で最後のゲッターの働きどころ、そして……死に場所です」

 

 「ク、クク……タケル! わしもがぜんやる気がでてきたわい!!」

 

 「そう言ってくれると思ってましたよ敷島博士!」

 

 二人を中心に、幾人もの職員たちがゲッターへと群がり、その設計者の死に向けてひた走る。

 ゲッターロボに携わるものに、死を恐れるものはいない。

 しかし……タケルを死出の旅へと駆り立てるものはただの使命感だけではなかった。

 

 (おれはいくつもの危機からゲッターチームを救ったはずだった、早乙女研究所の死者も減らし、武蔵と弁慶は先輩後輩で仲良くやってる、ゲッターロボGだって完成した!)

 

 タケルは学び、鍛え、ゲッターに親しみ、チームや早乙女研究所の面々との交流を深め、1974年の対恐竜帝国戦を戦い抜いた。

 ある時は予備パイロットとして、ある時は戦闘員として、ある時は研究員として、ゲッターチームを支え続けた結果、戦況は大きく有利に傾いた……はずだった。

 

 (だが結果はこれだ、マシーンランドによる襲撃を防ぎ、帝王ゴールを撃滅したにも関わらず、恐竜帝国は捨て身の総攻撃を仕掛けてきている……)

 

 本来、眠りのために地下に帰らなくてはならない1975年――――

 ゲッターに勝利したところで、壊滅は避けられない1975年――――

 何故か百鬼帝国が来ない1975年――――

 恐竜帝国は本来『ゲッターロボ』の時代には姿を表さなかったはずの全マシーンランドを投入して人類への攻撃を開始した。

 

 (何を間違えたのか? それとも、()()()()()()のか?)

 

 運命というものがある世界ならば、これも運命の正しい道なのかもしれない……だが、タケルはゲッターエネルギーへの感受性こそ高いものの、未来を見通すことはできない。

 どちらにしろ、やるべきことは一つだった。

 タケルは最後のボタンに指を置き、時を同じくして最後の装甲板を設置し終えた敷島博士に向けて叫ぶ。

 

 「では、火を入れます、いいですね!」

 

 「ええぞい! せっかくの特攻なんじゃ、こーんなところでしくじらんようにな!!」

 

 『言われなくても』という返答を行うや否や――――格納庫全体が、緑の輝きに包まれる。

 

 「エネルギー投入率5%、10%、……20、30……」

 

 ゲッターロボ起動時特有の、全身にゲッターエネルギーが満ちる光が、水底に揺れる太陽のように格納庫の壁をうねる。

 進化のエネルギーが、星々を砕き、そして喰らうエネルギーが血液のごとく、鋼の肉体を巡ってゆく。

 

 「うおっ!!」

 

 そして突如、エネルギーが高まり、それは爆風となって、ゲッターの各所を覆っていた布、鉄、シートを弾き飛ばしてゆく!

 ゲッターロボは自ら装いを脱ぎ捨て、その輝きを増してゆくのだ!

 

 「おお……」

 

 誰からともなく溢れた感嘆が止むとともに、その光は文字通りゲッターの体内へと収まり、一瞬の静寂が訪れる。

 起動は、完全に成功していた。

 

 「さあ、このマシンは足が早い、さっさと乗っちまわねえと……」

 

 「よしきた! わしはここでおまえの出陣を見守っと――――ん?」

 

 敷島博士が首をかしげたその瞬間、タケルの背後の、丁度死角となった角から太い影が現れ、タケルを包み込むようにつかみ上げた!

 

 「ぐあっ……お、おまえ、ケガは……いや、おまえに聞くのも無駄か!」

 

 「へ……へへ……タケルよう、おれたち仲間を差し置いて楽しもうだなんて、水臭いじゃねえか……」

 

 「ムサシ!!!」

 

 「……結局おまえとは何試合やっても勝負はつかなかったな、ゲッターをかけた最後のひと試合、付き合ってもらおうじゃねえか!!」

 

 その言葉とともに、片袖をつかみ、猛然とタケルを引き込むムサシ、タケルはコンソールのヘリに手をかけ……そのまま体を両足と片腕で蹴り出し、武蔵の引く力と合わせて宙を舞った!

 

 「ウオ~~~~」

 

 「なにを、このまま大雪山おろしをかけてやる!!」

 

 ムサシ宙を舞うタケルを更に引き込み、自分の体ごとひねりこむ。

 だがタケルが取った手は、抵抗ではなかった、掴まれた腕を逆に引き込んで加速し、ムサシの望みからはまるでかけ離れた方角へと突き進んでゆく。

 そして、技を外されたことを確信したムサシが手を離すより、タケルの足が地を突き、のどが叫ぶ方が一歩早かった!

 

 「大! 雪! 山! おろし……がえし!!!」

 

 地面との接触で慣性を殺さず、それどころか加速しながら回るタケルの体はそのままムサシを引っこ抜き、風音を立てながら一回転!

 だが、本来あるべき上空への投げ出しはなく、タケルはそのまま、意識を失ったムサシの体を横たえた。

 

 「敷島博士、ムサシが起きたら、勝ちには数えないでやると言っといてください」

 

 「わかった、……こんな体でとは、こいつも男じゃの」

 

 「自慢の仲間ですが、ゲッターを渡すわけにはいかない、こいつはおれのゲッターなんですから」

 

 タケルはゲッターロボを見上げる。

 Gよりは、まだ構想しかない真ゲッターロボに近いフォルム。

 それと同等の思いを込めて作り上げたゲッター2、ゲッター3は無理な改造に食いつぶされ、もはや二度と日の目を見ることはない。

 自分が死ぬ以上、これのデータが次の開発に活かされるということも多分ないだろう。

 このゲッターロボの命脈は、ここで自分とともに尽きる。

 

 「おれのゲッターロボ、名前もつけてやれなかったな、コードネームも、おれが作るもんだからってみんな、タケルのゲッターロボとしか呼ばねえしよ……」

 

 「……じゃあタケル、そんなにこのゲッターが好きなら……その名前をつけてやればええ」

 

 「!! タケル、とですか?」

 

 「おう、こいつはタケル、ゲッターロボタケルじゃ、どうじゃい、わかりやすいじゃろう」

 

 タケルは、敷島博士のその提案――――自分が操るゲッターに自分の名をつける――――に、何故か、敷島博士らしいと感じ、いつの間にか頷いていた。

 

 「では行くぞ、おまえはおれとともに戦い、そして死ぬ、奴らを絶やして人類を守る、おれのゲッターロボ!!」

 

 そして、大きく息を吸い、叫んだ。

 

 「ゲッターロボタケル!!!」

 





はじめまして、お久しぶりです、桐山です。

世界観クロスかつ(現状)オリ主のみのクロスというかなり変則的な形の二次創作ですが、お付き合いいただけると幸いです。

感想、評価、誤字報告等々、お待ちしております。

1話、2話については明日、明後日0時の投稿を予定しておりますので、お楽しみに。
それ以降は……頑張ります。
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