きさまらにも味わわせてやる!ゲッターとヤマトの恐ろしさをな〜〜!!   作:桐山将幸

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PART 2 STORM 2199

 人類を救って200年ぶりに目覚めた大鳥タケルを出迎えたのは、称賛の声でもさらなる救いを願う人々の声でもなく、赤いビーム砲の嵐だった。

 

 「な、なんだこいつらは!!」

 

 タケルはとっさにマント状の飛行装置、ゲッターウィングを展開し、ゲッターに『ありがち』な急制動でビームの回避につとめる。

 その瞬間、タケルは自分が大気に包まれた空間には存在せず、しかも重力がないことに気づく。

 初めて体験する空間に戸惑ったタケルは()()()であることも相まって、放たれた全てを回避することは出来なかった。

 しかし、流石はゲッターチームの一員と言うべきか、いくつかのビームを装甲やウィングにかすらせながらも火線をかいくぐり、体勢を立て直ことには成功する。

 

 「まさか陽電子砲とはな、モロに食らうとコトだ、長くお相手するのはごめんこうむるぜ……!!」

 

 隼人や早乙女博士に匹敵するタケルの頭脳と、元来宇宙開発機であり、戦闘のためさらにあらゆるデータ収集に堪えるよう作り上げられたゲッターロボのセンサーは、敵の攻撃の正体を即座に分析する。

 だが、それより分からないのは自分がいる場所と、謎の攻撃をしてきた相手だった。

 タケルを包み込むのは文字通り満天の星空に無重力、これは明らかに宇宙空間だ。

 だが、宇宙空間にしても、そこはとても暗い。

 

 「宇宙なのはいいとして、太陽がやたらと遠いじゃねえか、もしかしてカイパーベルトの辺りか?」

 

 果てしなく遠くにあり、地球大気越しでないこと以外は、ただの太陽。

 そして、どうやら近くに小さい星があるようだが、記憶にある星ではない。

 

 「大ぶりの小惑星……」

 

 頭に引っかかる物はあるが、見た目が違う。

 だが、それより更に気にしなくてはならないのは、自分を攻撃してきた……いや、今も攻撃を続けてきている下手人だ。

 

 「高いテクノロジーに、莫大なエネルギー、宇宙空間で相手するにふさわしいじゃねえか、もしかして宇宙人か?」

 

 タケルの前世の記憶が、『それにしては、妙に小さいぞ?』 とささやく。

 『来るはず』……『来るはずだった』宇宙人たちは、どいつもこいつも、狂ったように大きな船を持っていた。

 それは、タケルならば確実に目視できる大きさだ。

 しかし今は、どれだけ射線を遡って目を凝らしても、見えるのは星ばかり。

 

 「……構わねえ、連中が何者だろうが、とにかくツラをおがんで、気に食わなきゃぶっ飛ばすだけよ!!」

 

 叫びと共に押し出したレバーが、機体をはるか数万キロメートル先まで弾き飛ばす。

 タケルは一息で飛んだ距離のあまりの大きさに衝撃を……受けなかった。

 自分が作った機体だ、だから全てがわかる……。

 わかることにすら、疑問を覚えない。

 

 「見えてきたぞ、あれは……!!?」

 

 だが、遠くに見え始めた緑の艦影は、タケルの脳に十分な衝撃を与えた。

 タケルもそれの存在は知っている、深くは知らずとも、知らないなんてことはありえないとすら、タケルは想っていた。

 それが示す情報は2つ。

 

 「ガミラス艦だと!!? つまりここは、ヤマトの世界で……」

 

 一つは、そこが自分がそれまでいた世界と違う世界に来たか、世界同士が混ざっているというおぼろげな事実。

 もう一つは――――

 

 「――――つまり、あいつらは、人類の敵ってわけか」

 

 人類の敵、すなわち、日本の敵であり、ゲッターロボの敵であり、自分の敵。

 タケルに搭載された頭脳は、極めて速やかにその事実を割り出した。

 ……あれを倒せと、あれを倒して……救うべきなのだ、そういう声も、自らの内から湧き上がってくる。

 それに……。

 

 「……初めてのことじゃねえな、知ってただけの敵と出会って、ぶっ殺すってのは」

 

 タケルにとって、これは二度目の体験だった、であれば、理解も早い。

 かつては知識として知っていただけだった人類の敵を眼の前にして、戦意と命を燃やし、……殺す!

 それをしっかりと認識した瞬間、タケルは一つのスイッチを押した、すると、煙にも見える粒子の漏出とともに、ゲッターロボの()()が開き……タケルが叫ぶ!

 

 「ゲッタービィィィィム!!!!」

 

 座席が僅かに震えるほどの雄叫びとともに、輝く紅紫色の光線が滾れば、それは光速を僅かに上回る速度で宇宙を翔け、数隻のガミラス艦――正式に記すならばデストリア級――の脇腹、頭、腹をえぐり取り、一瞬にして爆沈させた。

 ガミラス艦たちが一瞬、生き物のように体を硬直させたのは、そのエネルギーの轟きか、僚艦の死か。

 

 「きさまらがおれを殺そうとしてるんだから、おれはやりやすくてたまらんぜ、次行くぞお~~~~!!!!」

 

 ゲッターロボの腕が胸の前でクロスし、それぞれの指が、肩の根本をつつく。

 そこにあるのは『ボタン』、マントを留めるボタンのように見立てたそれは、異なる意味でのボタンである。

 すなわち、現れるのは巨大な棘付き棍棒と一体化した斧、ゲッタートマホーク!

 それを2つ持てば、すなわち。

 

 「ゲッターダブルトマホーク――――ブゥゥゥメラン!!!!」

 

 ゲッターロボの圧倒的な推進力、全身の膂力を持って放たれる、高速回転する肉厚幅広の手斧!!

 数十メートルの大きさを持つそれを、軽々と……しかし、全身全霊の力をもって放つ。

 恐るべき質量と運動エネルギーを秘めた究極の実弾兵器を前に、ガミラス艦隊はやはり生物的な反応、すなわち恐怖を見せた。

 タケルは視界の隅、ゲッターのあまり使われないレーダーに表示された光点が不合理に止まり、そして急激に動き出すのを見ながら、ゲッターをジグザクに前進させ、トマホークを追う。

 

 「ビビりながらじゃあおれのトマホークブーメランは避けられんなあ~~~~!!」

 

 ゲッタートマホークは回転しながらもゆっくりとその進路を変え、ガミラス艦をいくつか通過する軌道をとる。

 そして、それは事実、ガミラス艦を通過した。

 宇宙空間で音は伝播しないが、もしそこに大気があるか、いくつもの耳を各艦に出現させられる超能力者がいたのならば、数万個の鉄製テーブルが破砕機に投げ込まれる音や、数十個の火山が爆裂する音が奏でられ、それを数千人の断末魔コーラスが彩る、人間の脳を焼くほどにすさまじい音を聞くことができただろう。

 タケルは、すぐれた計器と並外れた直感でそれを聞き、笑った。

 

 「メカザウルスほどじゃねえが、いい歯ごたえしてやがるぜ」

 

 その言葉とともにゲッターロボがその速度を早めたとき、機体はすでに艦隊の中に侵入していた。

 トマホークとの合流まであとわずかだが……タケルは行きがけの駄賃を取ることにした。

 まず、拳で艦橋を殴り潰すこと、数隻。

 続けて、前腕部小指側に装備された三連の刃、ゲッターレザーで艦体を無造作に切り裂くこと、数隻。

 最後に、ゲッタートマホークを両手で掴みながら、丁度その目前にあった大型艦を三枚におろした。

 

 その大型艦の正式名は、ガイデロール級航宙戦艦『シュバリエル』。

 艦隊旗艦であったこの艦には、艦隊司令にして基地司令ヴァルケ・シュルツが乗船していたが、副司令ゲルフ・ガンツと共に宇宙空間に投げ出された直後、乗艦の爆発に飲まれ即死した。

 なお、作戦参謀ヴォル・ヤレトラーの乗艦していたデストリア級は、ゲッターロボの拳で艦橋を10分の1ほどの体積にまで圧縮され、宇宙を漂流している。

 

 ガミラス冥王星基地、空間機甲旅団の司令機能は、ここに完全に潰えたのであった。

 

 

 

 

 ……国連宇宙海軍第一艦隊は、眼の前で憎き敵艦隊の司令機能が永遠に失われるのを目撃していた。

 ガミラス艦隊が、突如現れた所属不明機体(アンノウン)に攻撃を始めてから、まだ10分も経過してはいない。

 にも関わらず、すでにガミラス艦隊は高等な戦闘機能を完全に喪失し、もはや残骸と化している。

 司令船キリシマ艦内もまた、らしくないどよめきの中にあった。

 

 「アンノウン、手斧にて艦隊旗艦を撃沈!! 敵艦隊は動揺中、アンノウンは周囲を探っているようです」

 

 司令部要員の反応は大きくわけて2つ。

 喜ばしいことだが困惑が勝る。

 困惑しっぱなし。

 その2つである……が、彼らは歴戦の軍人であるから、困惑しながらも、喜びながらも、速やかに一つの事実にたどり着いていた。

 

 「……い、今なら、これなら……、我々だけでも仕留められますよ」

 

 いくつかの喉が生唾を飲む。

 地球艦隊は劣っていても、ただの的などではない。

 敵の士気と統制が破綻していれば、十分に命に届くだけの牙を持っているのだ。

 ――――一年前、それを自ら勝ち取ったあの日のように。

 

 「アンノウンと一緒にやれば、完勝だって……」

 

 「おい、アンノウンが味方かどうかもわからんのだぞ!」

 

 「いや、味方だ……多分な」

 

 レーダー手が確信を持って、声をあげた。

 

 「味方って……誰もアレを知らない、それともあれにIFFが反応してるってのか?」

 

 「している」

 

 次に喋ったのは通信班長だった。

 人のセリフを取るな、とレーダー手が言うが、効果はない。

 

 「正確に言うとやり取りまではできていないが、あれはIFF用信号を発信している、航空自衛隊の、やたら古い種類のやつだ」

 

 「はぁ!? 空自がなんだって冥王星近傍にいるんだよ!! そもそも空自なんてとっくの昔に――――」

 

 通信手は、疑問の声をものともせず、取り憑かれたように言葉を続ける。

 

 「……日本が保有したことがあって、人型機動兵器で、火星からやってくる機体……そんなの、一つしかない……!」

 

 通信手が言いよどむと、数人が息をのみ、数人が更に疑問符を大きくする。

 息をのんだ数人は、更に脂汗までも垂らした。

 それが重い、非常に重い名であることを、理解したからだ。

 誰がその名を口にするべきか、誰も口にするべきではないのか、そんな躊躇が垣間見える沈黙。

 それを破ったのは、艦隊司令、沖田だった。

 

 「あれはゲッターロボだ」

 

 推測の迷いはなく、言いよどむこともなかった。




書き溜めはここまで、以降は不定期投稿となります。
とはいえ、あまりお待たせする気もありません(今作は特に、一話を長大にする気もないので……)なるべく早くの投稿を心がけるつもりです。

感想、評価、誤字報告等々、心待ちにしております。
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