きさまらにも味わわせてやる!ゲッターとヤマトの恐ろしさをな〜〜!!   作:桐山将幸

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PART6 恐怖の宇宙ミサイル

 敵は四隻、釜山方面より大気圏に侵入。

 構成は『戦艦』一隻、『駆逐艦』三隻の小艦隊、だがタケルには水雷戦隊のように見えた。

 雑な動きだが、妙に迷いなく大気を切り裂いてゆく……。

 

 さて、タケルが一瞬、小勢でしかない敵の分析などに意識を割いた理由は、ただ敵を知りたいという事情だけではなかった。

 

 (さて、かっこつけたはいいが……ゲッターぶん回して帰ってきたらコックピットにムースができてるなんてのはごめん被るな……)

 

 タケルは勢いで動いたことをわずかに後悔していた……が、そこはゲッターチームだ、すぐ不安の種を確かめることにする。

 

 「おい、おまえ、戦闘機パイロットだな?」

 

 《は、はい、訓練は完了していますが……》

 

 「よし、名前は?」

 

 《古代進、国連宇宙軍の訓練生です》

 

 よっしゃ、と心と口との両方でタケルはつぶやき、思い切りエンジンを吹かした。

 

 《ッッッくっ……この加速は……!!》

 

 「喋れるなら上等よ」

 

 『なかなかに過激よのー、……というかあいつ、私を拾った男の片割れではないか?』

 

 (なに、ここでくたばるなら今そうしてやったほうが、やつには優しい仕打ちだぜ)

 

 もっとも、あいつが死ぬとは思えないが……と、タケルは伝えずに思うだけ思い、次の言葉は口から放った。

 

 「おい、指示をするから、双方向通信をオンにするぞ」

 

 《はい、……えっ!?》

 

 モニタの向こうの古代、はタケルの顔を見てその幼さと、艦内で出会ったことに驚いたようだった。

 

 「久しぶり、おれは大鳥タケルだ、教科書でも会ったかな? 落書きしてたなら許さねえぞ」

 

 《教科書……大鳥タケル!?》

 

 「その通りだ、よし、まずは専用の装備をつける、ヘルメットをはずせ」

 

 《し、しかし……》

 

 「この速度、この地上環境、しかも敵は陽電子砲なんか使ってる連中だ、撃墜されたあとのことなんて考えんな、……会敵まで40秒!」

 

 タケルはもう少し促そうとしていたが、古代はそこで観念して、自分のヘルメットを脱いだ。

 その瞬間頭上より、叩きつけられるように頭を覆う帽子状の機械の塊!

 

 「電子頭脳装着完了! 初陣の間はそいつがサポートする、頭が蒸れても外すんじゃねえぞ!!」

 

 《あ、あの、HUDとかは……》

 

 「そんなもんねえよ、マシンを信じて、あとは気合だ! 会敵まで10秒、操縦桿握れ、そっからはどうとでもなる、ジャガー……2号機の自動操縦オフ!」

 

 赤、白、黄で三機斜めに並んでいたゲットマシンのうち、白だけが一気に増速して敵の方にすっ飛んでいく。

 さながらミサイルのようだ、というか、このままいけばミサイルと同じ未来が待っているかもしれない。

 が、タケルはむしろ腕組みをしてそれを見守っていた。

 

 『強大な肉食獣が我が子を谷底に叩き落とし選別する伝承はここ以外の200以上の惑星に記録されているが、それか?』

 

 『お前の大事なマシンも道連れだが……』などと付け加えながら、サーシャは楽しそうにそれを見ている。 

 

 「選別じゃねえ、選定さ」

 

 『なるほど、聖なる戦士を選定する儀式か……』

 

 タケルが脳裏にゲッターロボの軍団をよぎらせて小さくうめくころ、古代進はまさしくガミラスの小艦隊旗艦、地球は戦艦と呼ぶ二ツ目の船の放つ陽電子砲の中に突入しようとしていた!

 

 《うわあああああっ!!》

 

 古代進、絶叫しながらも操縦桿を握り込み、機体をひねる!

 次の瞬間、機体特性と大気圧の複雑な相互作用により、螺旋起動を描く白のゲットマシンは、駆逐艦と呼ばれる小型ガミラス艦を翼で引き裂いて、しかし全く速度は落とさず今度は地面へと向けて加速しだした。

 

 《くくっ……ああぁっ!!!》

 

 古代進、渾身の力をもって水平まで機首を引き上げることに成功!

 

 「やるじゃねえか、行くぞっ!!」

 

 すると、後ろについて勝手に編隊飛行を始める赤と黄色のマシン。

 

 《し、しかし、この操縦特性は……!》

 

 「最高だろう、人間とマシンの良いところを両方引き出せる、人馬一体のマシンだ!!」

 

 『どちらも好き放題する、の方が正しいような…』

 

 事実、サーシャの指摘は正しかった。

 人馬一体というより、双方揉み合ってぐちゃぐちゃの中で混ざり合って一つになるような機体である。

 一体になれなければどうなるのか!

  

 《駄目だ、姿勢を維持できな――――》

 

 「立て直せ、こんなところでハジをかくつもりか!」

 

 ハジをかく、すなわち、ゲッター戦闘用語で死を迎えることになる。

 今度はきりもみ回転を始めた古代機、更に、敵艦隊は残る三隻それぞれ姿勢を立て直しつつあった。

 

 《うわあああああ!!》

 

 駆逐艦の艦砲による対空射撃が古代機を襲うが、そもそも古代はそれにすらまともに認識できていない。

 このままでは、しかし、これを止めた先にある未来は、ハジより恐ろしい不親切だ。

 タケルがオートパイロット作動ボタンに指をかけ、しかし外す。

 息を呑みながら、その動作を素早く二度したところで、タケルは視界外の彼方より飛来する一つ……いや、二つの存在を感じた。

 

 「ミサイルだとお〜〜!!?」

 

 飛来した一つはミサイル。

 それは、タケルと古代の後方、すなわち九州から飛来し、ガミラスの『戦艦』の鼻先へと迫った。

 ……が。

 

 「ガミラスは相変わらず動きがヘボいが、どうやら動くときは動くじゃねえか、だが、ヘタをこいたな」

 

 すんでのところで舵をきったガミラス艦に、たやすく回避される。

 だか、それで十分だった、これでガミラスの命運は尽きたと、タケルは思った。

 

 「持ち直したなススム! おれが助けてやるのはナシだが、こりゃあ天運ってやつだ、生き延びちまった分、働いてもらうぜ!」 

 

 古代進は生き残り、それは天運で、そうなったときもはやガミラスの命運は尽きたのだ。

 古代進の乗る白いゲットマシンはきりもみを抑え込み、水平飛行に戻っていた。

 タケルはそれを追い越すように機体を動かしながら、遥か後方、もう一つの飛翔体に語りかける。

 

 「誰かは知らんが、ありがとよ、戦闘機パイロット!!」

 

 《いえ、先に戦友たちを救ってもらったのはこっちです、大鳥タケルさん》

 

 「おいおい、戦友たちってなら、おれは手柄を横取りしちまった側だぜ? ……しっかしおまえ……」

 

 どこかでおれに会ったことがあるな?

 そうタケルが問うと、戦闘機パイロットの男はわずかに声をなくした。

 

 《……確かに、お会いしました》

 

 「なるほど、だが旧交を温めるのはあとだ、今はこいつを男にしてやらにゃならんのでね!!」

 

 《口説かれたと思ったらさっそくフラれてしまうとは……どうぞ、ご随意に!》

 

 タケル機、赤いゲットマシンは古代機の斜め後ろにつき、黄色いゲットマシンと合わせて編隊飛行を行う。 

 

 「ススム、おまえはパイロットだから荒療治をせずにすむぜ、まずはこいつらをゲットマシンだけで蹴散らす! 行くぞ〜〜〜〜!!」

 

 《しかし兵器の操作は……!?》

 

 疑問を口にした古代だが、次の瞬間には、コンピューターに補助されたその指がミサイルと機銃のボタンに指をかける。

 古代は尻込みの言い訳を潰されてうめきながら、戦闘機動を取るべく操縦桿を強く握り込んだ。

 

 《……やります》

 

 「よし、援護する!」

 

 白のゲットマシンは大気をかき乱しながら鋭く、そして完全なる軌道を描く。

 先程までの有り様を忘れ去ったかのようなその動き、そしてその内部、操縦桿を握る古代進もまた、殺人的の一言では済まされないはずの加速に抗いきっていた。

 

 『……戦士のことには明るくないが、これは凄い人物を選定したのではないか?』

 

 (ああ、折り紙付きだ、こいつと組めば――――)

 

 瞬間!

 タケルの脳裏に浮かぶビジョン、無数のゲッターロボが黄色や青の光線を吐きまくり星々を砕きまくっている!

 だが、タケルは、その悍ましいと言い切れるはずのビジョンに対する嫌悪をあえて押し殺した。

 

 (――――きっと、人間は勝つ)

 

 『ふふふ、お前だけでも勝てるだろうに』

 

 (お墨付きが貰えるほど確実に勝てるなら、勝ち方だって選べるだろ?)

 

 『……選べることが、幸せとも限らんがな』

 

 サーシャがわずかに遠い目をしたのをタケルは見逃さなかったが、あえて飲み込んだ。

 それ以上に語られるべきこと、すなわち、古代進機によるガミラス艦の殲滅が完了したからである。

 

 《ハァ……ハァ……、敵艦隊、全滅……》

 

 「やったなススム! だが、まだまだこれからだ!!」

 

 《そ、それは……?》

 

 これからもゲッターの戦いは続くという意味だろうか、古代が疑問に思いながらも周囲に気を配ると、レーダーに魚群の如き群れが映っていた。

 単なる群れではない、古代の知識に照らし合わせれば、これは地球がかつて出会ったガミラス艦隊丸ごとすべてを上回る大艦隊だ!

 

 《まさかさっきのは威力偵察……!!? い、いや……おかしい!! こ……こんな大艦隊が、どうして……!?》

 

 「連中、地球を今ここで畳んじまう気らしいぜ」

 

 (いや、畳みたいのは俺一人かもしれん)と、タケルは、心中のみで付け加え、続ける。

 

 「なに、ガミラスを追い出し切るならどのみち、宇宙すべてのガミラスを蹴散らすしかねえんだ、やるぞススム!」

 

 《この機体は素晴らしいですが、しかし――――》

 

 古代進は黙った、自分が言わんとしたことに、すでに答えが与えられているということに思い至ったからだ。

 

 「わかってるなら話が早いぜ、ゲッターチェンジだ!!」

 

 《ゲッター……チェンジ……!》

 

 息をつまらせながらの復唱は、やはり、言葉の意味を理解してのそれに違いなかった。

 ゲッターチェンジ、それは、三機のゲットマシンを組み合わせ、空中で合体変形することにより一機のゲッターロボを作り上げる機能である。

 当然その事実は、勤勉なパイロットである古代進にとって常識の範囲内である。

 ……やりたいか、は別として……だが。

 

 「初回は自動操縦で合体するつもりだったが、敵が近い、手動でやるぞ!!」

 

 《…………了解》

 

 古代進の飲み込みは早かった。

 やらねばならないということを理解し、試練であることも理解し、相手がどう見ても年下であるということも受け入れて、ゲッターチェンジを決断した。

 その事実はタケルの胸にも染み入り、いやおうなしにその戦意を戦いへの決意を高めてゆく。

 

 「このゲッターのゲッター1を作る、赤、白、黄の隊列だ、赤と黄の制御はおれがやる、だが、ススム、おれの機体に突っ込むおまえが、この合体のすべてを握るんだ!!」

 

 《はい、タケルさん!!》

 

 「いくぞ、チェェェェンジ!!! ゲッタァァァァタケル!!!」

 

 タケルの駆る赤のゲットマシンの先端が割れ、角と顔を持った人型の胸像へと変身し始める。

 たちまち、超自然的な変形によって200年前と冥王星沖で戦ったゲッターロボの面影が現れた。

 

 《…………!!!》

 

 続けて、古代の白いゲットマシンが赤のマシンに突入、車で言えば『お釜を掘る』形になる。

 次の瞬間、白のマシンより両腕が現れ、黄色のマシンが足に変形しながら、また突入した。

 そして、人型が生まれる。

 赤と白の装甲に緑の発光部、ゲッターロボを知る者ならば、誰もがこれもまたゲッターであると理解するだろう。

 これこそ、ゲッターロボにおけるゲッター1、ゲッターロボGにおけるドラゴン、ゲッターロボ號におけるゲッター號。

 ゲッターロボタケルすべての基礎となる形態、かつてはこれ以外すべてを諦めた姿、ゲッタータケルの再誕であった!

 

 「こいつはおれの機体だ、だからここからはおれがやる、おまえはただ操縦桿を握って見てな、……簡単だろ?」

 

 《……ゲットマシンで戦うよりよっぽど過酷なのでしょう?》

 

 「おまえに待ち受ける運命の中では、いちばんラクな仕事さ」

 

 

 

 ゲッターロボを殺す、その目的のためだけに集められた、銀河間空間と天の川銀河のガミラス軍、その総数およそ300隻!

 その実体は強引に引き抜かれた烏合の衆であるが、ゲッターロボなどという怪物と戦うには、むしろその方が良かったとさえ言えるだろう。

 その理由は――――

 

 「ゲッタートマホォォォック!!! ブゥメラン!!!」

 

 ――――ゲッターロボが持つ、圧倒的な個の強さと機動力。

 

 「とにかく撃ちまくれ!! 奴が動く先すべてを陽電子の雨で包む!!」

 

 「し、しかし艦隊全体がはげしく機動しており……」

 

 「各艦、各砲で配慮せよ、だが、やつを野放しにするよりは()()()()マシだ!!!」

 

 ガミラスが戦う相手、ガミラスにとっての強敵とは、文明的に劣った蛮族の繰り出す、文明のすべてをかけたような決戦艦隊である。

 それをガミラスの文明力の粋を尽くした艦隊を見事に並べ、攻防力、機動力で粉砕するのが、ガミラスの戦い方だ。

 だが、攻防力、機動力で上回った相手に肉薄されたらどうなる?

 どんな艦隊であろうとそんな状況では無傷ではいられないだろう、弱点と呼ぶには酷、しかしそれが、現れてしまった。

 烏合の衆、まとまりがなく、仲間意識の薄いばらばらのガミラス艦隊は、むしろゲッターを相手にするには適したとさえ言える。

 しかし……それでも……。

 

 「ぬるい!! ぬるいぜ、バカ正直に並んでるよりはいいが、こうも遅くちゃな!!!!!!!」

 

 《ぐっ……く……あぁ……これが……合体したゲッターの……!!》

 

 ゲッターの持つ三つの形態の中でも空戦性能に特化したゲッター1、ゲッタータケルは宇宙戦闘に対応するため慣性制御能力を持っていたが、それすら追いつかぬほど機動力が高い。

 しかも、その機動力は犠牲を出して得たものではなく、ありあまるパワーの生み出した攻防一体の機動力だ。

 サーシャは思う。

 

 『(馬鹿げたマシン、馬鹿げたエネルギー、だが……一番馬鹿げているのは、こいつらだ)』

 

 常人ならばそれだけで死に至ってもおかしくないGの中、直感と理性で的確に状況を判断、それに合わせて、縦横無尽にレバーを動かすタケル。

 苦しげにうめきながらも、Gに対応し、状況を把握しつつあるススム。

 サーシャは思う。

 

 『(このマシン、これ一つで戦えと言わんばかりの性能、戦闘機と人型の往復という異常な形式、これら、すべてが……)』

 

 選定。

 もしこれが、最強の人類を見つけ、それにふさわしい武器を与えるためのマシンだとしたら。

 それを作った人物はとてつもない外道か、神がかりか、あるいは……。

 いずれにしろ、サーシャの心には高揚があった。

 

 『いいぞタケル、これならば、あれらを、ガミラスを――――』

 

 「――――待て、空を見ろ!!!」

 

 タケルは急制動をかけ、一瞬だけ機体の顔を空……宇宙空間に向ける。

 自ら見ろと言ったタケルだが、目では見えない、だが、ゲッターのセンサーと感覚は何が起きたのかを理解していた。

 それは、サーシャも同じだ。

 

 『ワープか! それも艦艇ではない、何か大質量の……まさか!!』

 

 「ミサイルが、ひい……ふう……おい、これは……!!!」

 

 続けて、ゲッターロボの通信機に航空自衛隊のチャンネルで無線が入る。

 画面の向こうにいたのは、沖田提督だった。

 

 《大鳥さん》

 

 「すいません沖田提督、勝手に出撃したうえ、パイロットまでさらってきてしまった」

 

 《構いません、我々にあなたの指揮権はない、……しかし、敵のミサイルが迫っています、我々の力で破壊できるのは、一つがいいところでしょう》

 

 「水臭いですね、おれは久々に帰ってきた祖国や母なる星ってやつを守るために、なんでもするつもりです」

 

 沖田は乾いた喉をわずかにすぼめて、口ひげを震わせてから、やっと口を開く。

 それは一瞬の出来事だったが、沖田の心の強さを知るタケルは、それを見ただけで自らも覚悟を決めざるを得なかった。

 

 《……ミサイルは、九州沖、博多、広島、名古屋、長野、東京、そして札幌に向け、飛来しています、到着予想時刻まで、10分もありません》

 

 沖田は、つばを飲んでから続ける。

 

 《我々の戦力は一つを潰すのが精一杯ですが、それは九州沖で使います、タケルさん……私の望みは、既におわかりでしょう》

 

 沖田はつばを飲んだばかりか、額から汗を垂らして、更に続けた。

 

 《いま、一番日本人が生き残っているのは東京の地下都市です、日本政府もまだそこにあります、あなたには、東京を救ってほしいのです、……ゲッターロボなら、間に合います》




お久しぶりです、桐山です。

さて、ついにこの時代での初合体、そして、ゲッターロボタケルとしての初合体が行われました。
作り出されたゲッターロボは圧倒的な武力をもって、地球を襲うガミラス軍を蹴散らします。
しかし、現れた遊星爆弾の数とスピードは、ゲッタータケルをもってしても……?

唐突ながら次回が一応の最終回ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
それでは皆様、ごきげんよう。
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