きさまらにも味わわせてやる!ゲッターとヤマトの恐ろしさをな〜〜!! 作:桐山将幸
現状はこうだ。
現在、地球軌道上より敵の誘導爆弾と思われる巨大構造物が大量に落下してきている。
落下地点は九州沖、博多、広島、名古屋、長野、東京、そして札幌。
日本における重要都市と軍事拠点……それらが地下に潜った先が、全て狙い撃ち。
九州沖には人類最後の秘密兵器が眠っている。
そして、作戦はこうだ。
日本艦隊はエンジンを爆発覚悟の全力で再起動させ、九州沖へと向かい、秘密兵器を守る。
残る日本人あらゆるすべてよりも、その秘密兵器が大事なのだ。
ゲッターロボはその間に、なんとか東京だけでも救う。
交戦中のガミラス艦隊は九州沖へと向かうだろうが、日本艦隊と近隣すべてから集まった航空機がそれを迎え撃つ、全滅しても構わない。
「……わかりました、沖田提督、やってみましょう」
タケルは笑みを浮かべながら答えて、通信を切った。
「おいススム、おまえ、ゲッターには慣れたか?」
だが、タケルは何もわかってなどいないのだ。
「おう、そいつは何よりだ、じゃあ、やろうか」
そしてタケルはレバーを引き、ゲッターは敵陣の只中で3つに分かれる。
「いいかススム!! 今度はおまえが先頭だ、おまえに合わせる、コンマ5……2秒でいい、まっすぐ飛びやがれ!!」
タケルはわかってなどいない、タケルはかつて愛した仲間たちの守った国、そして、愛すべき現代の戦友たちの故郷に残されたすべてを、その手で守るつもりだ。
古代進にはそれが、タケルの心がすべて感じ取れたように思えた。
《……わかった!》
その時、『了解しました』でも『わかりました』でもなく。
わかったと、古代進は答えた。
ならば、わかったのだと、タケルにはわかった。
そしてその4秒と0.7秒後、激しい空中戦の中に生まれた僅かな敵艦の
敵艦のつらなりとつらなりの間を縫えば、敵艦は誤射を恐れ、そこに明らかな空白地帯が生まれる。
古代進が、ただでさえ英雄であるその男が、ゲットマシンとともにあってそれを見逃すことはなかった。
《チェンジ!!!!》
白いゲットマシンがビームの間隙に突っ込み、その操縦者が叫ぶ!
同時に、そのわずか数十メートルで、マシンの創造主も叫ぶ!
《「ゲッタァァァ!!!!」》
古代進の、その続く言葉を持たなかったはずの叫びに答えるタケル。
数十メートルというその距離は超音速の宇宙戦闘機の世界ではほぼゼロに等しいが、その男はそれを使って、十分余裕を持ってマシンを組み立てられるパイロットだ。
男はコンピューターの力を借りつつ精密極まりないマシン操作を二機分行いながら、三機のマシンすべてを作り変え、新たなマシンを作り上げる。
男は叫ぶ、作り上げるマシンの名を!
「ススム!!!」
ゲッターススム、それが新たなゲッターの名だった。
生まれるはずであったゲッター、彼の手により生まれることのなくなったゲッター、仲間の一人が作り上げるはずだったゲッターと同じ命名規則のそれは、今、作り上げられた。
今完成した、よって今、命名されたのだ。
「わかるなススム、このマシンなら――――」
《行きます!!》
瞬間、あらゆる観測機器がゲッターススムを見失った。
消え去ったのではない。
不可知になったのでもない。
ゲッターススムは既に博多近くにいた。
見上げた空の先、宇宙空間には真っ黒な巨大ミサイルがある。
「計算した、あれはゲッターススムのビームでも照射が十分なら破壊できる、やれ!!」
《ゲッタービーム!!!》
ゲッターススムの白い頭の中心から紅紫色に近い光条が放たれた。
出力を増しつつあるゲッター炉心が生み出す莫大なエネルギーを叩きつけるゲッタービームは、ガミラスが自信を持って送り出した巨大ミサイルの装甲、信管、炸薬、そのすべてをあるいは蕩かし、あるいは蒸発させてゆく。
「次だ、広島のやつをミサイルで撃って、そのまま中日本へ行くぞ!!」
《ああ!》
ゲッターススムが東へと向き直るのと上空のミサイルが爆発するのは、ほぼ同時だったが、その一瞬前から、ゲッターススムの左腕、すなわちドリルは高速回転を始めていた。
その回転方向は、先端から半分が螺旋に合わせた回転、根本から半分はその反対である。
《ドリルミサイル!!》
高速回転するドリル、その前半分のみが飛び出す!
これこそ二番目のゲッターが持つ必殺技、ドリルミサイルであった!
「これで広島は救えた! 長野と名古屋はおれがやる、長野に突っ込みながらゲッターチェンジだ!!」
《了解!!》
遠目に見てすら視認が怪しい速度、地上が生命ある世界ならば決して出せない速度で東へ向かうゲッターススム。
そしてそのまま、ゲッターススムは三つのメカに分離し……次の瞬間には、一つのロボットへとその姿を戻した。
一番目の姿、ゲッターロボタケルである、その腕は変形しながら既に、自らの肩に伸ばされていた。
「トマホークブーメラン!!!」
努めて短く唱えられた名とともに、肩より飛び出したトマホークは名古屋上空へと突き進む。
そしてやはり、それを見届けるよりも早く、ゲッタータケルの腹部はレンズ型のレーザー発振口より緑に輝く煙を吐き出しながらエネルギーを高め、遥か上空を睨んでいた。
ゲッタービームと叫ぶタケルの心は、背にある大地と山々のことを思っていた。
枯れ果てた山肌のどこかにきっと、仲間たちが未来へと残そうとした宝が散らばっているはずだ。
砕け散った山々の奥に、仲間たちがずっと眠らせておこうとした遺産が眠っているはずだ。
(まだここには、おれたちのゲッターがある)
『それは、感覚か?』
(……違う、心だ)
タケルの心には、早乙女研究所が見えていた。
浅間山の雪や土や草木が、見えていた。
空を駆けるゲットマシンもゲッターロボも見えていた。
「ゲッタービーム照射は十分だ、オープンゲットして、次は東京へ行くぞ!!!」
時間にすれば一瞬の逡巡を振り切り、タケルは浅間山を離れる。
ミサイル爆発の瞬間、浅間山が僅かに振動したのを捉えることは、地下に潜む日本政府の施設にも、タケルの超感覚にも、できなかった。
「イソカゼ、カゲロウ、轟沈!」
「ナチ出力低下、このままでは墜落します……!」
「コスモファルコンの攻撃による敵艦隊の損害広がる、しかし、敵艦隊に減速の兆候なし!!」
地球最後の艦隊、その旗艦には悲壮感が駆け抜けていた。
数週間前に吹き払われたはずのそれを再び与える、これまでに見たこともないほどのガミラス艦隊。
それを救えるはずの機動兵器は、今は遥か北東でミサイル迎撃に向かっている。
彼らが守る……そして、彼らにもし生き残りがいたら救ってくれるはずの最終兵器は、未だ空腹の眠りの中にあった。
「海底エネルギー管の復旧はできないのか!!」
「駄目です、何重にも寸断されていて、連絡通路まで……」
「狙い撃ちだ、奴ら、全部気づいていたんだ」
最終兵器にエネルギーを与えるはずだった他国の生き残りと繋がる連絡システムは、攻撃開始から数分で見事に寸断されていた。
唯一の望みは、莫大なエネルギーを供給することのできる試作型ゲッター炉心巡洋艦、アサマである。
「提督、アサマのゲッター炉心は記録にないほど順調です、担当者のグリーンアース教徒によると、これは地球にゲッターロボが戻ってきたからだ、と……」
報告を聞いた沖田は、わずかに北東を意識した後、さらなる報告を促した。
「……ムラクモ、イブキ、アタゴの様子はどうだ」
「は、地上よりショックカノン射撃を敢行した三隻は……残念ながら、オーバーロードによる火災が延焼、乗組員の生存も絶望的とのことです」
「そうか」
沖田は瞠目も瞑目もせず、ただ前を見据えながら言った。
九州坊ノ岬沖へと落下しつつあったガミラスの巨大ミサイルは、巡洋艦三隻の命と引き換えにした艦首ショックカノンの一撃、そして基地航空隊による捨て身の攻撃により破壊されていた。
だが、それだけでガミラスの攻撃は止まらない。
南下してきた朝鮮方面のガミラス艦隊と、更に上空より降下しつつあるガミラス艦隊の攻撃の目標は間違いなく、未だ海底を枕に眠る人類最後の秘密兵器であった。
否、真の狙いは……。
(間違いなく、ゲッターロボの破壊、そのためには根拠地である地球の人類絶滅も厭うまい!)
ガミラスという文明の規模については諸説あったが、冥王星艦隊は最大でも方面軍規模、……希望的観測を捨てれば、おそらく辺境のいち戦線に過ぎないであろう、という認識は共有されていた。
だがそんな兵力でも、ゲッターロボという圧倒的武力によって一つの海戦で消滅したことは、ガミラスに大きな衝撃を与えたに違いない。
その結果として起こったのがこの大攻勢……。
だとしても、沖田の胸にはタケルへのうらみだとか、事がうまく運ばないことへのわだかまりだとかは、まったくなかった。
「山南」
「は」
「ここが正念場だな」
「その通りであるかと」
このような地獄の戦いは、かならず起きるものなのだと彼らは思っていた。
「エネルギー上昇中、波動エンジン起動可能まであと――――」
「――――敵の増援です! ミサイル三、艦船多数!! 上空で待機していたと思われる航空機も含まれます!」
「到達位置はどこか!」
「ここ九州沖、関東、そして北海道……!!」
「ミサイルと艦隊のおかわりだと!? ……このタイミングでか!!」
『ガミラスはこの時を狙っていたというわけか……、私が言うのもなんだが、悪辣な作戦をとってきたな……』
タケルには何が
「連中、最初からその気だったんだ、ゲッターススムの速度は知らなくてもおれたちが日本を守りにかかると……!」
《……ゲッターの力なら、北海道と東京は救えるはずです》
進の言葉は、艦隊の中にいるはずの自らの兄、古代守の生存をあえて無視したものだったが、タケルにはその男気を受け入れるわけにはいかない理由がある。
そのため、タケルは反論を試みた。
「だが……!!」
だが、のあとに続く言葉を、タケルは喉の奥でつまらせる。
この地球にとって、人類にとって、そして今守っている人類にとって最も重要な秘密兵器……船が、九州南西、坊ノ岬沖には眠っているのだ。
それは古代進が本来縁を持つ船でもある、決して失うわけにはいかない船だ。
「あの秘密兵器こそが人類すべてにとっての希望だ、防衛艦隊をすべて失っても、あるいは――――」
そこから続く言葉は、タケルにとって耐え難い言葉だった、絶対に口にするはずのない言葉だった。
だからこそ、それを放たなかったのは、運命か、あるいはそれに近いものか……。
あるいは、そういうものと一つになった人のはからいなのかもしれなかった。
「――――南西に、ゲッター線反応だと!?」
日本艦隊の隊列は崩れ、航空隊は失われるなか、ついにそれがガミラスの刃に晒されようとしていた。
地球の最終兵器、乾いた海底に眠る赤錆びた鉄の塊。
そこに、迫る緑の艦影。
地球駆逐艦、ユキカゼの決死攻撃によりひどく損傷を受けたそれは、地球人には戦艦と呼ばれるガミラスの重巡洋艦、デストリア級――――
「ガミラスの戦艦、沈没戦艦に接近! 衝突する軌道です!!」
「そこまでするか…!」
本来ならば圧倒的な戦闘力と耐久力を誇る究極の兵器も、眠りのままに戦艦の体当たりなど受ければ……。
だが、レーダー主が恐怖に目を瞑るやはりその寸前に、そのガミラス艦の動きは完全に止まった。
「ガミラス艦、沈黙……あれは!!」
思わず顔を上げ、モニターで戦場を見たレーダー主の目には、あり得ざるものが写っていた。
ガミラス艦の艦橋から、銀色の光が生えている。
「あれは、ガミラス艦を貫通しているのは、ゲッターロボです!!」
ゲッターロボの腕が、ゲッターロボのドリルがガミラス艦を貫通し、銀色の反射光を放っているのだ。
「ゲッター2が現れました!!!」
「もう一度確認せよ、ゲッターロボタケルではないのか?」
「……あれはゲッター2です」
レーダー主は、データと映像を交互に見直してから、ゆっくりと返答したが、そう答えた時には既にゲッター2は存在しなかった。
既にゲッター1が、上空を舞っていた。
「ゲッターロボ、ゲッター1に変形し、なおもガミラスと戦闘中!!」
「バカな、再建されたゲッターロボは封印措置を施され、しかも遊星爆弾の本州攻撃で行方不明に……」
「全チャンネルで呼びかけていますが、ゲッターは応じません、あれは誰が……いや、そもそも……」
“あのゲッターロボは、この世のものなのか?”
あれは失われた早乙女研究所の亡霊か?
それともゲッターを、誰かが密かに回収し、仕立て直していたのか?
あるいはグリーンアース教団の語るこの世の真理、真実、神、摂理としてのゲッターがこの場に現れたとでも言うのだろうか。
その問い、あるいは現実への詰問を、その場に存在するすべての人間が共有していた。
だが、そんな疑問をものともせず、ゲッターロボは確かにそこにあった、そこで戦っていた。
ゲッタートマホークがガミラス艦を切り裂くのを止めようとガミラスが包囲を試みれば、ゲッターはオープンゲットで戦場から離れる。
空中で再び合体したゲッターの姿は黄色い機体のゲッター3、蛇腹の腕でデストリアを一つ掴むと、自分の機体よりも遥かに巨大なそれを振り回して別のデストリアにぶつけ、そのまま肩部のミサイルを発射、その炸裂と誘爆はガミラスの戦列を大きく乱し、駆逐艦を数隻まとめて爆沈させた。
「……二百年前の最初のゲッターでも、ガミラスと戦えるのか……!」
「でも、タケルほどの性能じゃない、あれじゃ長くは持たないぞ!」
最初のゲッターが見せた凄まじい破壊力に、地球の戦士たちは驚愕する。
しかし、直接戦場を見たものの中でも、特に眼力のすぐれるものにはそれが長くは続かないものであるとわかっていた。
ゲッターは軽やかに戦闘を続けているように見えるが……ガミラスの陽電子砲は、わずかずつだがゲッターに命中しているのだ。
……否、この語り方には語弊があるだろう。
「提督、ゲッターロボはいくつもの命中弾を受け、その数割は貫通しているようです、それでも動けているのは、あのゲッターの特異性というよりは、ゲッター本来の耐久力に起因するものであるかと」
「ゲッターロボはメカザウルスの攻撃で大きな破損を負っても、直接破損箇所以外は問題なく作動し続けたという、その力が蘇った今でも働いているのだな」
『そのとおりだ、沖田くん』
不意に、聞き慣れぬ中年男の声が沖田の耳を叩いた。
沖田は乗員に不信感を与えぬ程度に周辺に意識を向けるが、そんな男はどこにもいない。
「提督! アサマより入電、ゲッター炉心の出力が急速に上昇、同時に……何やら、彼らは興奮しているようです!」
「興奮?」
「はい、何らかの集団がアサマの内部に侵入して、作業を手伝っている……と!」
ことここに至って、彼らは確信した。
何事かが起こっている……いや、帰ってきているのだ。
それを連れてきた人物もまた、それを確信していた。
「そこにいるんだな!? おまえたちも帰ってきたんだな!? リョウ、ハヤト、ムサシ!!!」
タケルは東京上空で最後のガミラス艦を破壊し、一息に仲間……流竜馬、神隼人、巴武蔵の名を叫ぶ。
続けて、この世の誰にも信じられないことも叫んだ。
「ススム、ゲッターチェンジはいい、ゲッタータケルのまま、向こうに飛ぶ!」
《しかし、それでは戦闘参加が……》
「できるんだ、火星でそういう風に
タケルの目は精神状態を疑うほどに見開かれていた。
それは狂気からでも、精神操作を受けているのでもなく、彼が己に眠っていた記憶を取り戻したからである
「このマシンはおれが作った、そして、二百年……眠りながら直して、作り変えたんだ、おれの手で!」
タケルもゲッターロボタケルの変化にはうすうす気付いていた。
しかし、その変化はゲッターの魔術的力によってもたらされたものだと思い、無視してきたのだ。
……だが、実際は、そうではなかった。
魔術的な力によってゲッターロボタケルが作り変えられたのではない。
ゲッターロボタケルは、ゲッターの力か、はたまた眠る前に聞こえた声の力か、それによって導かれたタケルが、タケル自身で――――
壊れた、未完の、時代遅れのゲッターロボを、タケル自身の手で。
最新式の、完成した、万全のゲッターロボへと作り変えたのだ。
「行くぞススム、そしてゲッターロボタケル、おれの過去と未来の仲間を救い、地球を守るんだ!!」
タケルが大きくレバーを引くと、ゲッターロボはかげろうのように歪み、そのままうすれて消える。
次の瞬間には、九州坊ノ岬沖にこつ然と姿を表していた。
《ほ、本当にワープした……!》
「いくぞススム~~~~!!!!」
ゲッターロボタケルが現れたことによる目に見える変化は二つあった。
一つは、ガミラス艦の動き。
必死に戦おうとするものと、逃げ腰になるものが現れた。
一つは、アサマのエネルギーの加速、本来全世界の生き残りすべてから受け取るはずだった兵器起動エネルギーの残り半分を、アサマはこの瞬間までの数倍の速度で叩き出しつつある。
そして、見るものが見なければわからない変化が一つ。
これまで全方位にまんべんなく気を配って戦ってきたゲッターロボが、突如一方向へと突き進み、敵を蹴散らしながら突撃し始めたのだ。
当然、ガミラスは直前まで苦戦していた敵の見せた隙に向け、攻撃を始めようとする。
「なるほどな、リョウ! ……ススム、全力のゲッタービームを撃つ、おまえもペダルを踏め!!」
《ああ!》
タケルが声をかけるのとほぼ同時に、ゲッターロボはくるりと反転する。
それは、戦場のガミラスすべてを追い越した後であり……ちょうど、ガミラス艦隊は二つのゲッターに挟まれる形になったのだ。
「いくぞ、ススム、……リョウ!!!」
そして、タケルがレバーを握りしめ、ペダルに足をかけて叫べば、重なった心は答える。
「《ゲッタァァァビィィィム!!!》」
ゲッタータケル頭部のクリスタルから吐き出される、数百年ぶりの稲妻のビーム!!
二人のゲッターチーム、二つの心のみのゲッターパワーだが、その増幅度はタケル一人のそれを遥かにしのぎ……。
更に、ガミラス艦の海の対岸から放たれたゲッターロボのゲッタービームが稲妻に突き刺されば、稲妻は更に荒れ狂い、しかし混戦状態にあった地球艦隊を全く傷つけることなく、ガミラスのみを飲み込んでゆく!!
『……まさか、波動エネルギーなしでこれほどまでの力を』
嵐が止んだとき、雲霞の如きガミラス艦隊はほとんど消し飛び、かろうじて浮かぶ艦がわずかに残るのみとなった。
爆散し、あるいは力を失ったガミラス艦の雨を挟んで、二つのゲッターロボが向かい合う。
「やはり、リョウ、ハヤト、ベンケイ、おまえたちはそこにいるんだな」
傷だらけのゲッターロボはその問いかけに答えず……。
否、答えるように、緑色の光に包まれ始めた。
「わかった、おれもここで働いてみせる、どんな残酷な未来が待っていようとな」
タケルの顔には笑みと、涙があった。
その涙をもたらしたのは、ゲッターロボが見せた心だけではない。
タケルの遥か下方より放たれた青白いビームが、ガミラスに残された兵力を次々と貫いてゆく。
人間の作ったもの以外は青空と荒れた大地のみが残る坊ノ岬沖の上空に、ゆっくりとその船が上がってきた。
「……そうだ、これが人類の待ち望んだ――――」
それは、ただ一つ地球で光速を超えて飛べる
「こちら宇宙戦艦ヤマト、みんな、よく守ってくれた」
今、その船と、ただ一つ地球で光速を超えて飛べる機体が並び、空をにらむ。
タケルは通信機を映像モードにして、その船、ヤマトへと語りかける。
「沖田提督、出港おめでとうございます」
「よく守ってくれましたな、大鳥さん、ですが……」
「ええ」
ゲッタータケルと、宇宙戦艦ヤマト。
地球最高の二つのマシンは、ともに大空遥か遠くに起きていることを捉えていた。
……いや、それは、汚染された地上に上がることができる者なら、あらゆる人間が気づけていたに違いない。
大きさにすれば月に匹敵する、あるいは、オーストラリア大陸を
「あれを撃退する方法、あるんですね?」
「今しばらく奮戦いただければ、かならずや」
続けて、これまでとは全く色の違う……青い塗装のガミラス艦が次々と上空から舞い降りてくる。
『まさかガミラスも、ここまでやるとはな、もしやお前たちを警戒する理由でもあるのかもしれん』
(やつらの事情なんか知ったこっちゃねえさ、地球に来るならぶちのめす、それだけよ)
『……おまえならば、我々の罪、我々によって歪んだガルマンの末裔を叩き潰すことができるかもしれん』
タケルは一瞬だけ驚いた顔でサーシャを見た。
サーシャの目にも涙があった、それは……決して温かみのあるものではない、懺悔と憎悪、そして怒りしか感じられない涙だった。
その涙が自分の目にうつることを恐れるかのように、タケルはわずかに、大きくまばたきをするように目を閉じ、そして開く。
「いくぞ~~~~~~!!!!」
地球人類が手にした力。
それは、身を滅ぼしかねないほど大きく、星を滅ぼしかねないほど強い、二つのエネルギー。
一体、何のために与えられた力なのだろうか。
この力はもしかしたら、邪悪な意思に支配されているのかもしれない。
この力はもしかしたら、終わりのない遺恨によって血塗られたものなのかもしれない。
だが、タケルには一つだけ確信があった。
この力を地球人類の手に掴ませたのは、自らの胸に滾る温かいものだけなのだ。
だから……。
愛する人がいる限り。
愛する人のかけらがある限り。
愛する人を見つけられる世界がある限り。
タケルは、ゲッターロボは決して戦うことをやめないのだ。
無限に広がる大宇宙の中で、終わることのない戦いが、始まろうとしていた。
完
本作はこれにて完結です。
あまり長い作品とはなりませんでしたが、お付き合いいただきました皆様、ありがとうございます。
感想評価等々、励みにさせていただきました、重ねて、お礼を申し上げます。
それではまた会う日まで。