Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─   作:タロ芋

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続きました。ちょっと難産でしたね。
皆さんはブルアカフェス楽しみましたか?わたしはコロナにかかってしまい家に籠ってました。
いやぁ、ただの風邪かと思ったらコレですよ。ビックリですね。
それに、色んな情報の洪水が来てますねぇ。アビドス編第3章きますねー。いよいよ過去のユメ先輩のことか明かされるんですかねー。


閑話

『貴方、向いてないわよメカニックとして技術者としても』

 

 ミレニアムに入学し、エンジニア部に所属して数ヶ月経った頃に先輩から言われた言葉。

 最初は何を言っているんだと思ったし、舐めるなよと思った。

 

 けれど、幾つものコンペやコンテストで自分の出した発明が入賞すら出来ずに落選が続いていくと流石に心にくるものがあった。

 

 グルグルとまとまらない言葉が頭の中を巡る。

 

 先輩の言うことは正しいのではないか? 自分は才能なんてないんじゃないか? と。

 

 そんな折だ。気分転換とインスピレーションを得るためにミレニアムで定期的に開かれる小さな発明品の品評会で彼女と出会ったのは。

 

「……コレ、あんまり面白くないね」

 

 私の発明した作品を手に取って直ぐに彼女はそういった。

 思わず私は反射的とはいえ、声をあらげてしまう。

 

「一体何がわかるって言うんだ君にッ!」

 

 今思えば本当にどうしようも無いと思う。先輩の言葉に腹を立てて、自分の思い通りにならないことに鬱憤を貯めて、そして自分の作品に感想を言っただけの彼女に八つ当たりをしたんだから。

 

「……怒ってる? ……んー、どうした、の?」

 

 普通の人だったら何を言ってるんだこいつ、と思いながらその場を離れるだろうに彼女は私の頬に手を添えて聞いてきた。

 

 感情が見えず、覗き込めば引き込まれるような深紅の瞳に見つめらていると彼女は私に向けて言う。

 

「ん、取り敢えず。話、聞く、よ?」

 

 そう言われ、私たちは人のいない休憩スペースでベンチに座り自販機で購入した飲み物を飲みながら話した。

 といっても、殆どが私の愚痴みたいなものだけれだ。

 

 彼女は私の愚痴を文句ひとつ言わず相槌を返して聞き続けた。

 そうして、ある程度溜め込んでいたものを吐き出してスッキリしたところで私は彼女に聞いてみた。

 

「君の言っていた面白くないってどういう意味なんだい? 

 武器というのは合理的で機能性のみを突き詰めた方がいいはずだろう?」

 

 そう聞くと、彼女はチビチビと飲んでいた缶コーヒーから顔を上げて虚空を見つめ、何かを思い出すよう噛み締めながらゆっくりと喋り出す。

 

「昔……うん、昔にね。私の恩人の、友人の人が言ってたんだ。

『殺しの道具だからこそひとつ笑える必要がある』って」

 

「……笑える必要」

 

 口に出して、胸にストンと落ちた感覚がした。

 そして、思い出したのは私がこの道を志した最初の記憶だ。

 小さい頃から私は機械いじりが好きで好きで堪らなかった。私の作ったものを見せたら笑ってくれる人たちがいて、それで私はもっと喜ばせたくなって……

 

「あぁ、そうだ……私は……」

 

 忘れていた初心を思い出せた。

 そんな私の様子を見てどうかは分からない。隣に座っていた彼女は立ち上がった。

 

「じゃあ、私はもう行くね」

 

「あ、うん……話を聞いてくれてありがとう」

 

「別になんでもないよ」

 

 彼女は素っ気なく答え、出口へ向かう。

 私はその背に声をかけた。

 

「あの!」

 

「ん?」

 

「君の名前は……?」

 

 聞くと、彼女は少し考えた後に口を開く。

 

「……『ワタリ』。そう呼んで。まぁ、もう会うことは無いだろうけど」

 ・

 そう言って彼女はゴミ箱に空き缶を投げ入れると立ち去っていく背を見送った。

 

「また、会えるといいな」

 

 これが彼女との出会いと別れだった。

 

 

 

「白石、貴方にお客さんよ。なんでも、道具の制作を依頼したいみたいよ」

 

 私が不思議な女の子と出会って数日、スランプが解消された私は自分の胸の内に湧く情熱のままに自由に発明をしていたら先輩がそのようなことを言ってきた。

 

「依頼……? ですか?」

 

「そ。貴方の最近の評判を聞いたみたいね」

 

 先輩は言うと、微笑んで続ける。

 

「前までの貴方じゃ任せることは出来なかったけど……今の貴方はいい顔をするようになったわね」

 

「それは……多分、あの子のお陰ですね」

 

「あの子?」

 

「はい。えっと、この前の小さなイベントで会ったんですけど……その子に諭されたんですよね」

 

「そう……なら、その子に感謝しないといけないわね」

 

「です、ね……」

 

「ええ。まぁ、今はその話を置いといてせめて見苦しくない程度に汚れを落としなさいよ白石」

 

「あ、はい。わかりました」

 

 先輩に言われたとおり、私は見苦しくない程度に顔に着いた汚れを落とし、身だしなみを整えて新品の白衣を羽織って待合室に向かう。

 

「えっと、白石ウタハです。失礼します」

 

 扉をノックして名乗った後に扉を開けると。

 

「ふーふー……ズズッ…………苦ぃ」

 

 来客用の部屋のソファに座って出されていたインスタントの珈琲の注がれたマグカップを小さな両手で包み、味に顔を顰めてる彼女(ワタリ)がいた。

 

 まさかこんなにも早く会えるとは思っていなかったからか、これには流石に吹き出してしまう。

 

 そんな笑い声に気がついたのか、珈琲に砂糖を大量に砂糖をかき込みながら彼女は首をこちらに向ける。

 

「…………ん?」

 

「……やぁ、久しぶりだね、ワタリ」

 

 片手を上げて、私は恩人に向けて言葉を投げかけるのだった。

 

 

 そして、その日から私はワタリ専属のメカニックという関係になった。

 彼女はその小さな姿では想像出来ないが、傭兵を生業としてるらしい。(後になって有名なレイヴン本人と知って大層驚いた)

 

 それと姿は見た事は無いが、オペレーターの『エア』と共に行動しており、ワタリとあった最初の頃は私に対して彼女の当たりがかなりきつかった。

 

 それでもめげずに会話を続けていけば少しづつだけれど態度が軟化していき今では時折プライベートな通話をしたりする中にもなった。

 

 そんな日々を過ごしていると、ある日突然に彼女は全身に包帯を巻いて私の前に現れた時は呼吸が止まり心臓が鼓動を刻むのを放棄したような感覚がした。

 

 普通なら病院のベッドに寝ているのが当然の姿なのに彼女は私に頼みたいことがあるといって、アレを見せてきた。

 

 ソレは一言で言えばロボットの残骸だ。

 

 けれど、残骸だったとしてもそれから見て取れる技術の殆どは未知のものである種の技術の到達点と言えるものだった。

 

 ワタリはコレをAC(アーマードコア)という。

 

 詳しいことは説明してくれなかったけれど、彼女はコレを直すには私の力が必要だと言ってくれた。

 

 包帯で片方しか覗いてない深紅の瞳で見つめられ、私の内心は嬉しいという感情が浮かんでいた。

 今の今まで彼女に任されるのは傭兵として仕事に使う道具類のメンテや制作くらいのもので、時折仕事で怪我をする彼女に直接助けになれるようなことが無かった。

 

 けど、この瞬間だけは私を頼ってくれている。私だけを見てくれている。

 

 彼女を直接助けることが出来る。

 

 私は二つ返事で了承した。

 

 初めて見る技術を前にしていたのものあるんだけど、大部分はそんな思いがあったんだ。

 

 私にとって大切な恩人にようやく恩を返せると思ったのだから。




続きません。ウタハとレイヴンとの出会いですかね。


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