Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─ 作:タロ芋
ちょっと、引越しでドタバタしてるのとネット環境が整うまで更新途絶えるかもです。
レイヴンは過去に依頼で何度か銀行強盗の手伝いをしたことがある。
依頼主の動機は様々だが、そのどれもが共通して言えるのは綿密な計画を立てて尚予備のプランを二重三重とたてていた。
少なくとも行き当たりばったりでやるようなもんでは無いのだ銀行強盗というのは。
そもそもレイヴン自身、金には困ってない。傭兵としての収入に加えて、過去にカイザーの幹部クラスの財産を丸ごとぶんどり、それを元手に色々と手広く取引に手を出してるからだ。
うだうだ語ったが、とにかく言いたいことは衝動的に強盗なんてやるのは辞めようという話である。
「とにかく今は準備が足りない。一応、なんでかシロコが監視カメラの死角や警備員の動線、銀行内の構造を事細かに教えてくれたから助かったけど……。いや、なんでこんなに詳しいんだ? 明らかに前もって準備してたとしか……んんっ、まぁいいや」
「覆面もしてるし服装も変えてるとはいえ些細な証拠から捕まることもある。連中が幾ら表に出せない物品を取り扱ってるとはいえ、捜索の仕方は警察と変わらない」
「だからとにかく身元を明かすようなことは絶対しないこと。つまりは予め、コードネームを決めておこうか。面倒だし覆面の番号で」
「え、私……? 別に、今回は支援に徹するから覆面も必要ないし……えぇ、なんで用意してるの?
じゃあ6番で……ダメなの? ホシノとかアヤネは番号なのに……
……わかったよ。エアが選んでくれたものなら私はなんでも嬉しいから……あぁ、うん。張り切るのはいいけど変なのはやめてね……そういうのはリオで間に合ってるから」
「じゃあ流れはこうだ。私、エア、アヤネこと0号、コユキこと白兎が実働隊の突入と同時に銀行のシステムへ侵入して掌握。
実働隊は素早く目的のブツを手に入れたらさっさとずらかるコトを念頭に置いてね。望ましい時間は凡そ5分程度だ。戦闘は避けられないだろうが、とにかく最小限に。
マーケットガードの連中は数だけは多いから騒ぎを大きくすればそれだけ逃げきれる確率が減る」
「んんっ、一先ずブリーフィングはこれでおしまい。最後に私から皆に言うべき言葉がある。
これはとある男の言葉だ。心して聞くように」
「愉快な遠足の始まりだッ……ってね」
〇
便利屋68社長の陸八魔アルは現在融資を受ける為にブラックマーケットの闇銀行に来ていた。
事の経緯としてはカイザーPMCからのアビドス対策委員会の本拠である校舎を襲撃という依頼を受諾。
高額の前金を受け取り、全てを傭兵を雇うのに使い出来る限りの準備をしたまではいい……結局は敗走し、クライアントには素直に失敗したなどとプライドが邪魔をして言うことが出来ず、挙句には見栄を張って借りたはいいが家賃を払えず首の回らなくなって金を得ようにも口座は凍結されてるので、仕方なくブラックマーケットへ赴いて今に至る……というわけだ。
「お待たせいたしました、お客様」
銀行の職員が営業スマイルと共にそんなことを言ってきたが、アルは待たされた時間を考えて声を荒らげる。
「な、に、が「お待たせしました〜」よっ! 6時間よ? 6時間! ピーク時の病院だってまだ早いわよ!
融資の審査に半日もかかるなんて聞いたことないわよ!? そこらの園児にやらせほうがまだ手際いいんじゃないかしら!
というか明らかに半日かけるほど人いないわよね!?」
アルが視線を逸らし、ソファにいる連れの仲間たちを見た。
「あの子たちなんて待ちくたびれてソファーで寝ちゃってるわよ! 実際無駄に座り心地いいから私も途中意識落ちてたし!」
鬱憤とともに吐き出し、肩で息をするアルに対して心底面倒くさそうという気配を隠そうともしない職員は肩を竦め、頭の悪いクレーマーを相手取るかのように丁寧に返す。
「私共の内々の事情でして、ご了承ください。
……ところで、アル様? 貴方はこちらにそのような態度を取れる状況ではないと思うのですが?」
態度は心底腹立つが、職員の言い分は正しい。こちらはあくまでも融資を頼む側で銀行側は了承する側だ。
理性では分かってはいる……分かってはいるが、感情が納得できるほどアルは成熟しておらず唸るしかできない。
それをわかっているのか、職員は余裕の態度を崩さずにアルへ言い放つ。
「……当行の助けが必要ならば、辛抱強くお待ちいただくことも大事かと。
……あぁ、それとお連れの方にですが、そちらはあくまでもお客様が待ち時間を過ごすための場所ですのでお休みになられては困ります」
職員は指を鳴らし、警備員へ嘲りを含んだ声色で指示を出した。
「セキュリティ、あの浮浪者……失礼、いえお客様を起こして差しあげなさい」
誰のせいだと、アルはそう思っても口に出せず警備員が仲間たちを乱暴に起こすのを見守ることしか出来ず、その横で職員がタブレットに目を通しながら映された情報を口に出し始める。
「さて、では一緒に確認を。お名前は……陸八魔アル様。
所属はゲヘナ学園高等部の2年生ですね。現在、便利屋68子社長、ですか……」
職員は怪訝な表情を浮かべた。
「この便利屋はペーパーカンパニーではありませんか? 書類上では財政破綻と確認できますが?」
「し、失礼ね! ちゃんと稼いでるわよ! まだ依頼料を回収できてないだけで……」
「……では、従業員は社長であるあなた含めて4名のみですが、室長に課長、そして平社員……?
肩書きの無駄遣いではありませんか? 会社ごっこでもしてるのでしょうか」
コツコツとタブレットの背面を小突き、職員は次々と問題点を指摘する。
表に出せない闇銀行であっても、腐っても銀行員。そこら辺はきちんとしているらしい。といっても、アルにとって今はその仕事ぶりが恨めしいのだが。
銀行員からの質問にアルはまともな答えを出せず、遂には黙ってしまう彼女に職員はため息を零して結論を口に出す。
「アル様、これでは融資は難しいですね」
「えっ、ええっ!?」
「まずは、より堅実な職に就いてみてはいかがでしょうか? 日雇いや期間工など、手っ取り早く始められるものもありますが」
「はぁっ!?」
職員の態度や散々待たされた挙句にゃこれだ。流石のアルも我慢の限界でふつふつと怒りが込み上げてくる。
(……このまま大暴れして金庫のお金丸ごと持ち出してやろうかしら?)
浮かんできた衝動的な考えにゴーサインを出そうになるが、寸前で理性がブレーキをかける。
(……いえ、それはダメね。お金を持ち出してもブラックマーケットから抜け出すのは至難の業よ。
加えて、あちこちにはマーケットガードがいるし……)
(……ても、もしかすると、実は大したことない連中かもしれないわね。私たち4人なら全員叩きのめして逃げ切れそうな気も……)
(いえ、ダメね。ブラックマーケットを敵に回す勇気なんてないわ……)
そこまで考え、とある人物のことが思い浮かべる。
(はぁ、何よこれ情けない……キヴォトスいちのアウトローになるってあの人に誓ったのに、私は……)
(融資だのなんだの……こんなつまらないことばかりに悩まされて……
私が望んでいるのはこれじゃない、何事にも恐れず、何事にも縛られない、ハードボイルドなアウトロー……)
(独立傭兵レイヴン……あの人みたいに)
アルの憧れの人物。過去に見た小さな背丈からは想像できないほどの活躍を残すまさに生きる伝説その人。独立傭兵レイヴン。
今己が羽織っているコートに誓ったのだ、あの人と再会する時は立派なアウトローになった時だって。……アビドスのラーメン屋で何故かバイトしてたけど、あれは偶然なのでノーカウントである。本人も人違いと言ってたし。
とにかく、今の自分の姿は果たしてキヴォトスいちのアウトローと言えるのだろうか? いや、言えない。情けなすぎて涙が出そうだ。(本人はアルのことを忘れてる)
「───様、ル様、アル様!」
思考の渦へと意識を埋めていたところを不意に引き上げられる。
「わひゃあっ!? は、はい!? ……何か言った?」
「融資の承認はおりませんでした。お力になれず申し訳ありません」
「はぁ!? ちょ、ま、待って! もう一度──」
職員のその言葉にアルは驚愕し、やり直しを求めるよう言おうとした瞬間に銀行内の照明全てが唐突に落ちた。
「な、何事ですか!? 停電!?」
「い、一体何が! パソコンの電源も落ちてるじゃないか!」
職員たちの慌てぶりと戸惑いの声だけが響いたかと思うと、暗闇の中で激しく主張するノズルフラッシュと銃声が瞬く。
「じゅ、銃声!?」
「うわぁぁぁぁっ!!?」
「ぎゃあっ!?」
「な、何が起きて……いっ!?」
鈍い音と何かの倒れる音、複数人の足音が入ってくる。
そしてまた照明がつき、何事もないように室内を照らすとアルは広がっていた光景に言葉を失った。
覆面の6人組がそこにはいたのだ。
足元には意識を失ってるマーケットガードたちの姿から、恐らくはあの連中がやったことだけは判断できる
そして、不意に6人組のうちの2という数字の刺繍がされた青い覆面が銀行内にいるものたち全員に向けて告げた。
「全員その場に伏せなさい! 持っている武器は捨てて!」
「言う事聞かないと、痛い目にあいますよ☆」
「あ、あはは……みなさん、ケガしちゃいけないので……伏せてくださいね……」
「んー、別にボクとしては抵抗してくれたほうが見せしめに虐めてあげれるんだけどね〜?」
以上の言動から見て、アルは察する。そう、連中は……
「銀行強盗!?」
そう、銀行強盗である。
「非常事態発生! 非常事態発生!」
職員のひとりが受話器を手に持って叫ぶが、奥から返答はない。それに対して1という刺繍のされた覆面が気の抜ける声で説明する。
「うへー無駄無駄ー。外部に通報される警備システムの電源はうちの頼りになる子達が落としちゃったからねー。システムも大半は掌握されてるんじゃない?」
その宣告に職員は引きつった悲鳴をあげることしか出来ない。
「ほら! さっさと伏せなさい! じゃないとあの世行きよ!?」
「みなさん、お願いだからジっとしててくださいね……あうう……」
「うへ〜、ここまでは計画通りかなー? エr……じゃなくて『グレムリン』の言う通り次のステップに進もーう!
リーダーのファウストさん! 指示を願う!」
「えっ!? えっ!? ファウストって、わ、私ですか? リーダー!? 私が!?」
「リーダーです! ボスです! ちなみに私は……覆面水着団のクリスティーナだお♣︎」
「うわ、何それ!? いつからそんな覆面水着団なんて名前になったの!? それにダサすぎ!」
「ちょっと、ちょっとー! うちの会長みたいなネーミングセンスやめてよー! そういうのもう間に合ってるから!」
「(とても傷ついた顔)」
強盗たちは手早く銀行内の職員や客へと伏せるよう命令し、アルはその手際の良さに目を奪われてしまう。
そんな彼女の後ろで残りの便利屋メンバーはなんとも言えない顔で強盗たちを見つめていた。
「ねぇ、あいつらって……」
「なんでアビドスの連中が……?」
「だよね、アビドスの子達だよね。知らない顔もいるけど。……というかここで何やってるのかな? それも覆面なんかしちゃって……」
「ねっ、狙いは私たちでしょうか!? それなら返り討ちにしちゃいましょうか!?」
「いや、ターゲットは私たちじゃないみたい。あの子たちどういうつもり? ……まさか、ここを?」
ムツキとカヨコは強盗たちの正体が誰か看破していた。別の服に着替え覆面をしていても、元の姿を知っていれば詳しく見ることで簡単に判明できる程度の変装だからだ。
一応、自分たちには被害を被っているわけではないためもの陰に隠れて静観に徹することにしたようだ。
「はーい、そこの君〜。そう! そこの机の裏をごそごそしてた君! なぁにやってるのかな〜?」
7という文字を書かれたヤケに気の抜けたネコ科のようなナゾ生物の覆面をした1人が職員のひとりに声をかける。
声をかけられた職員は慌てて両の手を上げて弁明をし始めた。
「な、何もやってません!」
「アハハ、下手くそな嘘辞めてよね〜。大方ベルを鳴らすためのボタンを押そうとしてたんだよね〜? んふふ悪い子には〜お仕置が必要かな〜♡」
「ヒ、ヒ、ヒィィィイイッ!!!?」
7番ことシロナは手に持ったショットガンの銃口を職員に押し付け、引き金を引こうとするが既のところでXの刺繍のされた覆面を被った先生が止めた。
「余計な被害を出す必要は無いよ『メガセリオン』」
「……チッ、はいはーい指示には従いますよー。運が良かったね君〜?」
シロナはつまらそうに銃を下ろすと別の場所へと移動し、それを見送った先生とシロコが職員にバッグを突きつけて要求する。
「さっきの子に頭を吹き飛ばされたくなかったら、このバッグに少し前に到着した現金輸送車の───」
「わ、わかりましたっ! なんでも差し上げます! 現金でも、債権でも、金塊でもいくらでも持っていってください!
だから命だけは助けてくださぃぃいっ!!?」
命の危機を感じたからか、職員はシロコの言葉を最後まで聞かずにバッグをひったくると手当たり次第に近くの書類やら札束やらなんやらを素早くけれど隙間なく丁寧に突っ込んで行った。
「あ、うん……集金記録もあるからいいか……」
「うーん、そうしよっか」
その錯乱ぶりに流石のシロコと先生も戸惑いを隠せない様子だったが、一応目的の書類は手に入れたからか良しとする。
そんな一連の流れをじっと見つめているアウトローに憧れる陸八魔アル。そんな彼女の心は狂喜乱舞していた。
(や、やばーい! この人たちなんなの!? ブラックマーケットの銀行を襲うなんて!
どう逃げるつもりかしら? いや、それ以前に、こんな大胆な計画を立てちゃうアウトローがレイヴンさん以外にもいたなんて!!
手際もすごくいいし、正に超プロフェッショナル! まるでこの為だけに生まれてきたみたい! ものの五分でやってのけるなんて!
か、かっこいい……! 痺れるし憧れるわ! これぞまさに真のアウトローだわ……! わぁ、涙出そう!)
顔を真っ赤に染めてまるでヒーローショー見ているちびっ子の如くといった有様のアルの横でそんな彼女の姿を見てムツキとカヨコはなんとも言えない顔をうかべる。
「……全然あの子たちの正体に気づいてないし」
「寧ろ目なんか輝かせちゃってるよアルちゃん……」
「はぁ……」
額に手を当て、どうしてこうなったとばかりに重々しいため息を吐くカヨコにオドオドした様子のハルカが尋ねた。
「あ、あの、私たちはここで待機でしょうか……?」
「……あの子達を手助けする理由も銀行に助太刀するメリットもない。それに、あの7って数字の覆面は何かしたら嬉々として襲ってくるタイプだからじっとここに隠れてよう。
それに、社長があんな調子だからどのみち見守るしかできないよ」
「は、はい……」
「(はぁ、なんでこんなことに? ……あの子たちがいるってことはレイヴンもいるだろうし……
というか、7番の使ってる銃って恐らくミレニアムの『首輪付き』の奴だよね? なんでミレニアムの黙示録の獣がここにいるの……?)」
カヨコはしっちゃかめっちゃかな惨状に再びため息をつく。
「ねぇ、シロ……じゃなくて! ブルー先輩! ハンドラー! 例のブツ手に入ったかワタ……違う! 『テンダーフット』が聞いてるんだけど、どう!?」
「あー、うん。一応確保した」
「余計なものもあるけどね……」
4号ことセリカの問いかけにシロコと先生は肯定すると、1号ことホシノが言う。
「よーし、それじゃ逃げるよ。全員撤収!」
「アディオ〜ス☆」
「ちぇー、もう終わりかー。もっと抵抗してくれたらいいのに」
「け、けが人は居ないようですね……すみませんでした、さようならっ」
「ご迷惑をおかけしました〜」
覆面水着団はそれだけ言うと素早く銀行の外へ逃げていき、そんな彼女たちが居なくなると職員はすぐに叫んだ。
「や、奴らをとらえろ!! 道路を封鎖! マーケットガードに通報だ!! 絶対に1人も逃がすんじゃない!!」
「……まぁ、そんなことさせないんだけどね」
ハッキングした監視カメラの映像を見つめる覆面姿のレイヴンは呟く。
現在銀行内のシステム全てはエアが掌握しており、職員がマーケットガードへ連絡をとろうとしても繋がることは無い。
「やっぱりエアは頼りになるね」
『ふふん、この程度のセキュリティなんて私からしたらないのも同然です』
「ん、エアは凄い子」
『はい! 私はすごいんですよレイヴン!』
レイヴンの心からの賞賛にすっかりエアは気分を良くしたようで、友人の嬉しそうな声を聞いてレイヴンも少しだけ表情が柔らかくなる。
「……ふと思ったんですけど、別に強盗しなくてもエアさんのハッキング能力さえあれば幾らでも情報を抜き取れたのでは?」
ふと、覆面を被ったアヤネがそんな言葉を漏らすが、それに対してレイヴンはたい焼きを頬張りながら答えた。
「エアはネットワーク上なら幾らでもハッキングできるけど、外部と接続を断たれた場所に忍び込むにはバックドアが必要なんだよね」
『いくら私が完璧で究極なオペレーターでも侵入できなければ無力ですからね……レイヴン、次はタピオカ味をお願いします』
「ん、わかった」
「呑気な会話してるところ悪いんですけど皆さん手馴れてませんかね強盗? ほんとに初めてなんですか?」
そういうのは覆面もしてないコユキだ。
「あ、あはは一応初めてですよ強盗は」
「私は仕事で何度か」
「えぇ……アビドスなんて辺鄙な場所かと思ってましたけど思ったよりもヤバい場所ですね……」
コユキはドン引きしたように言うが、そんな彼女も何気に銀行のセキュリティを鼻歌交えながらエア以上の速度でぶち抜いた大概ヤベー奴である。
「(……黒崎コユキ。確かリオの言っていた要注意人物だっけか)」
レイヴンは友人である調月リオが以前、彼女の事を愚痴っていたのを思い出す。
ミレニアム屈指の問題児の1人で、その能力の危険さゆえに仕方なくセミナーで首輪をつけて保護という名の監視をしてる危険人物。
「(一応、リオに逐一位置情報送ってるけど警戒もしておこう)」
そんなことを思いつつ、新しいたい焼きに手を伸ばし、レイヴンは実働隊の皆が帰ってくるのを待つのだった。
──とある便利屋会話記録──
『ねぇねぇアルちゃん、気になってたんだけどそのコートどうしたのー?』
『あぁ、そういえば社長ってずっとそのコート大事にしてるよね。なにか理由あるの?』
『わ、私も気になります。アル様が良ければ……ですけど。
……あぁ! 私みたいな愚かな存在がアル様に聞くなんてすみません! お詫びとしてすぐに首を吊ります!!』
『別に吊らなくていいわよハルカ!? それくらい教えてあげるから!』
〜〜〜
『というわけで、このコートは2年前に私がまだアウトローに憧れていた頃にレイヴンさんから頂いたものよ』
『レイヴンってあの独立傭兵レイヴン?』
『アルちゃん、その頃から追っかけしてたよねー。それにしてもあの時はそんなことあったんだね〜』
『そ、そうだったんですか……思い出の品なんですね……』
『ええ、そうよ、レイヴンさんは私が立派なアウトローになるのを期待して身につけていたコートを託してくれたの!
その時から私は憧れだけじゃなくてその背中に追いつこうと決めたの!!』
『流石はアル様です! 不肖ハルカ、いつまでもお供します!』
『……でも、あのコート貰った時やけに汚れてたんだよねぇ』
『そうなの?』
『うん、それはもうすっごく汚れててね。すぐに洗濯したけど』
『……案外、処分するのが面倒くさくて社長に押し付けたのかもしれないね』
『アハハハ、有り得そう〜♪』
続きません。
( ゚∀゚)o彡゚ファウスト!
と思った方は感想、高評価お願いします