Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─ 作:タロ芋
住んでた家の掃除やらなんやらに加えてモンハンで間が開きました。申し訳ねぇですわよ。
お茶濁しで番外編で許して・・・・
「ガリッゴリッ、バリッボリッ」
アビドス対策委員会が使用している会議室で何かの噛み砕く音が響く。中の空気は何やらかなり重くなっており、対策委員会の面々や先生もなんとも言えない様子でとある方向を見つめていた。
机の上に山積みとなった菓子類。在り来りなものから見たことの無いもの、明らかに高そうなものまで様々な菓子が乱雑に積まれ、それを一心不乱に噛み砕き続ける人物がいる。そう、レイヴンである。
いつもの無表情ではなく、何処か不機嫌のそうな仏頂面で纏う雰囲気も普段のぬぼーっとしたものでは無く刺々しい。
「(……誰か何か言ってよ)」
「(そうしたいのは山々なんですけどぉ……)」
「(……難しいよセリカちゃん)」
「(ん、あんなことされたんだから仕方ない)」
「(さすがにびっくりしたよね。アレは……)」
「(…………)」
レイヴンを除いた面々が思い出すのは昨日の出来事。突発的な強盗をした後に襲撃をしてきた巨大な4脚型兵器とその後の出来事を。
最後らへんのことを頭の中で浮かべそうになって、初心なアヤネは顔を真っ赤にして掻き消し、思考を変えようとして別のことへ意識を向ける。
「(エアさんは……)」
アヤネはチラリとレイヴンへと聞き耳を立てると、咀嚼音に混じるように首筋のチョーカーからエアの声が聞こえ、聞き耳を立ててみたが、次の瞬間に後悔する羽目になった。
『……す…………ぶす……つぶす…………潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す……!!』
あきらかに取り憑かれたのでは? と思わせるほどの怨嗟に満ちた声で同じ音声が壊れたラジオのようにエンドレスで続いており、聞き耳を立てたアヤネはサァーと顔を青くして冷や汗を流し始めながら思った。
───え、怖ぁ……
『あいつ、よくも、あいつ……私だって、私だって……! まだ、まだ……! レイヴンと…………! ふぐぅぅぅぅっっ…………!!!』
───な、泣いたァ────!?
挙句にゃ泣き始めてしまい、場の空気は混沌と化す。これも全部あのキチガイメスガキ娘のせいである。どうしてくれんだこの空間、とアヤネは叫びたい。
この2人(1人の顔は知らない)の距離は大分近い。親愛とかそういうのを超えた感情を常日頃エアはレイヴンに向け、それに対してレイヴンは控えめではあるが返している。
そんな関係の2人に横槍を入れるとどうなるか?
結果はご覧の有様で、まさに地獄絵図という酷いもんだ。
どうしたものかと一同は考えていると、不意にホシノがため息を吐いたあとに徐に立ち上がりレイヴンの近くへと向かう。
「はぁ、会議が進まないからこれでも見てくれば?」
ホシノは言うとポケットから1枚のチケットをレイヴンの前へ置く。
菓子を食べる手を止め、レイヴンは口の端にカスを付けながら首を傾げた。
「……これ、なに?」
「水族館のチケットだよ」
『……何故?』
レイヴンは心底不思議そうに僅かだが更に首を傾げた。表情は変わらないが、動作からかなりの困惑を感じ取れ、エアの声色からも同様だ。
「君らの気持ちも分からないでもないけど、そうやって周りに当たり散らすようなことしてたら空気が悪くなるわけ。
それならどっか行っててくれたほうが助かるんだよね」
「『…………むぅ』」
ホシノの説明にレイヴンとエアは思わず唸る。確かに彼女の言う通り、いくら機嫌が悪くとも周りに当たるようなことはダメだ。
今回の非は明らかにレイヴンとエアにあるため、レイヴンは反省の意と共に頭部の耳と腰の翼を力無く倒す。
「……ごめん」
『私からも申し訳ありませんでした皆さん……』
頭を下げるレイヴンと謝罪するエアだったが、対策委員会の皆は気にした様子もなく寧ろこちらを案じる言葉を投げかけてくる。
「ううん、別に気にしてない」
「そうよ! むしろあんなことして来たアイツが悪いんだから今度会った時はガツンと言ってやるわ!」
「そうですそうです! さすがにあれは非常識です!」
「あれは擁護できませんからね〜。トラウマになってもおかしくありませんしね」
「私の方からもちょっと言っておくからねワタリ」
暖かい言葉に益々レイヴンとエアは申し訳なく思うレイヴン。ここで断って残れるほどレイヴンのメンタルは強くないため、後日なにか埋め合わせをすることを胸の内で誓いながらチケットを受け取るのだった。
「おー、本格的……」
『ですね。ルビコンでは魚なんて見たことはないのに加えて、海を見る余裕なんてこれっぽっちもありませんでしたから』
薄暗い室内にある巨大なガラスを隔てて水の満たされた水槽の中を色とりどりの魚類たちが好き勝手泳ぐ空間でレイヴンは小さな手をガラスに当ててじっとみながら呟く。
ルビコンにも海はあったが、塩水ではなく真水の言わば巨大な湖みたいなものだ。加えて、魚などいたとしてもあの頃はそんなものを見る余裕はどこの陣営でもなかった。
だから、こうしてわざわざ無駄に高い維持費をかけて食料にする訳でもなく、ただ鑑賞するだけという正しく道楽と評せる。
けれど、そんなものを初めて目にしたレイヴンだが、その瞳は退屈というものではなく視線を外すことなく魚たちに向けられてた。
「エア、エア。あれ、あのおっきいの何?」
『あの大きな魚ですか? ふふ、あれはジンベエザメという魚ですよ』
「
『はい。正式には軟骨魚綱・テンジクザメ目ジンベエザメ科・ジンベエザメ属に分類されるサメの仲間です。加えて、この分類に属する生物は現状ではこのジンベエザメだけで、鯨を除けば世界最大級の魚なんです』
交信により、レイヴンの視界内にジンベエザメの情報が表示さるが、レイヴンは視線はジンベエザメから外さずにエアへ尋ねる。
「おー…………じゃあ映画みたいにゾンビになったりトルネードで沢山飛んだりしっぽが触手になったり頭が沢山増えて人間を食べたりすなるの?」
『うーん……映画はあくまでもフィクションですからね。加えて、ジンベエザメはサメといってもプランクトンを主食としますので人は食べないと思いすよ?
それにジンベエザメはビジュアルがパニック向けでは無いので、出てくるとしても基本的には正反対のジャンルでしょうね』
「そうなんだ……残念。それにしてもおっきいね」
『ふふっ、確かに大きいですがレイヴンはこれ以上に大きなものを見慣れてるでしょう?』
「ん、だけどあれらは人の手の人工物だからね。こうやって自然の手で生まれたのを見たことはないから」
『ですね。それにしてもこれほどの巨体をプランクトンだけで維持するのは凄いです。生命の神秘というものでしょうか?』
「すごいね」
『長めのお休みが取れたら海にダイビングでも行きますか?』
「エアは私が泳げないの知ってるよね……?」
生命の神秘を一緒に感じた。
「クエー」
「くえー」
「クァ? クァ、クェー。クァクァクェアー!」
「くわぁー」
黒と白のツートンカラー、ペタペタとヒレの着いた足で動き回り、細長い嘴に真っ黒なつぶらな瞳。
ペンギンたちがたくさんいるエリアでレイヴンは一羽のペンギンの鳴き真似をしており、はたから見たら会話をしてるようにも見える。
「キュー」
「ばいばい」
羽を器用に振ってどこかへ歩いていくペンギンを見送るレイヴン。そんな様子を見てエアが尋ねた。
『レイヴンってペンギンの言葉がわかるんですか?』
「ううん、全然わかんない。なんかどんなことを言いたいかくらいしか分からないけど」
『意外な特技発見ですね〜……』
「ちなみに彼は鯖より秋刀魚が好きみたい」
『グルメなんですね……』
「だね」
意外な特技を知った。
「揺れてるね」
『ゆらゆらしてますね』
小さな水槽がたくさん並んでいるエリアでレイヴンは地面から生えてるような形で水の中を揺れている魚たちを台座の上に乗って水槽を覗き込んでいた。
「チンアナゴっていうんだって」
『変な名前ですね〜』
「なんで砂から生えてるんだろうね?」
『調べてみますねレイヴン……ふむふむ、どうやらチンアナゴは警戒心の強い生物で、外敵から逃げれるように砂に下半身を埋めることでいつでも潜るためにこうした生態になってるようですよ。加えて、警戒心が特に強い個体は1度潜ったらなかなか出てこず、餓死してしまうこともあるそうです』
「生命の知恵だね」
『ですね』
ゆらゆら動くのを真似した。(その姿をエアがこっそり撮影した)
「特盛柴関スペシャル。トッピング全盛りください」
「あいよ! 。それにしても今回は1人なんだな嬢ちゃん」
「ん、気分転換中。今はお昼ご飯。目指せ全メニュー制覇」
「ハハハ、なら腕によりをかけて作らなきゃな。じゃあちと待っててくれるかい?」
「ん」
柴大将が厨房へ引っ込んでいくのを見送り、レイヴンはお冷をひとのみ。
現在レイヴンは水族館を後に、ちょうどいい時間なのと空腹のため柴関ラーメンで昼食を取りにきていた。
『楽しかったですねレイヴン』
「ん、そうだね。今度はウタハ達も誘ってみよう」
『ですね』
エアと共に水族館の感想を言いながらレイヴンは何となく店内を見渡した後に呟く。
「……客が居ないね」
『言われてみれば、確かに居ませんね……』
平日というのもあるが、昼時でしかも手頃な価格のラーメン屋なのに店内は閑散としてるのは些か物悲しさを覚える。
レイヴンのそんな呟きに反応を示すのは調理中の柴大将だ。
「ここも昔は人が沢山いたんだがねぇ。砂漠化が進んでオアシスが枯れてから少しづつ、少しづつ人が居なくなったんだよ」
「ん、昔は砂祭りっていうのもやってたんでしょ?」
「お、それを知ってるなんて物知りだな嬢ちゃん。そうだぜ、それはもう派手な祭りでなぁ。夜に打ち上がる花火が凄い綺麗だったんだよ」
柴大将の声には懐かしい感情が込められ、席から見えるその顔は本当に大切な記憶なんだとレイヴンは理解する。
「ん、他にはどんなアビドスがあったの?」
「ハハ、そうだな。これは俺がまだ小さい頃あった話だが───」
大将の話は分かりやすく、けれど簡潔にまとめれており流石は飲食店のオーナーと言うべきか。そんな感想を抱きつつ、会話を切り上げてレイヴンの前に山盛りのトッピングをされたラーメンがゴトッ、と重々しい音を立ててカウンターに置かれた。
「はいよ、特盛トッピング全盛り一丁! ……注文された手前言うのもなんだが、食い切れるかい?」
「ん、問題なし。頂きます」
割り箸ではなく、フォークを手に持ってレイヴンは僅かに目を輝かせて目の前の巨峰へと挑む。
「モッモッモッモッ」
具は頬いっぱいには詰め込まず、けれど無理がない程度の量を口へと入れてきっちり噛んで飲み込む。次にスープと麺を絡めてパスタのように巻いて食べた。
モチモチとしながらも硬めな食感の麺と濃厚で香りの強いスープからは複雑な味わいが味覚を刺激し、次々と手を動かし口を動かす。
『素晴らしいバランスでまとめられている味ですね。まさに熟練と言った感じの味わいです』
レイヴンの味覚を交信でデータとして味わうエアは柴大将のラーメンを絶賛し、レイヴンは食べながら頷きつつもラーメンの山はみるみるうちに消えていく。
10分程度でスープだけになるとレイヴンは替え玉を頼み、3玉ほど食べたところで。
「今回はきっちり人数分のラーメンを食べれるわよ!」
「寧ろきちんと全員分食べれるくらいには収入を安定させて欲しいんだけどね」
「アルちゃんってば見栄っ張りだからね〜」
「わ、私なんかが皆さんと一緒に食べるなんていいんでしょうか? 私なんてお冷だけでも……いえ! 私は外で待ってた方が!!」
「はぁ、臨時収入はあったから別にいいよ。それよりさっさと注文しない?」
「『うん?』」
「「「「あ」」」」
なにやら姦しい声が聞こえ、視線を向けると記憶に新しい少女たちが入口で立っており、その視線はレイヴンに固定され、レイヴンも麺を咥えたまま固まる。
だが、直ぐにぎこちない動きで啜ると視線を変えて口を開いた。
「・・・・・・オーナー、あの人たちに柴関スペシャル人数分。あと替え玉」
「あいよ! ついでにスープも継ぎ足すかい?」
「ん、お願い」
そして再び視線を戻してレイヴンは言う。
「とりあえず、座れば?」
続きません。
便利屋達はレイヴンとどんな会話をするのでしょう。とりあえずアルちゃんは白目剥くし店は爆散します。
( ゚∀゚)o彡゚ステキダァ・・・という貴方の信用が私との信用を拡大します。だから感想ください高評価もあると私は嬉しい(乞食)