Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─   作:タロ芋

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続きました
色々と忙しくて間が空いてます。


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「(ねぇ、アルちゃんアルちゃん)」

 

「(な、なによムツキ……)」

 

「(なんか言ったら? ファンなんでしょ?)」

 

「(言えるわけないでしょ!?)」

 

「(ご飯食べに来たら偶然に独立傭兵レイヴンがいたって嫌がらせ過ぎない?」

 

「(じゃ、じゃあ私が排除しましょうか?)」

 

「「「(それはだめ)」」」

 

「(は、はいぃ!!)」

 

「ねえ」

 

 便利屋の面々がコソコソと話していると、不意にレイヴンから声をかけられる。アルはビクッと身をすくませながら叫んだ。

 

「は、はい!? な、なんですか!!?」

 

「食べないの? 麺、伸びちゃうよ」

 

 言われて気がつく、各々の手元にはラーメンが置かれ湯気が立ち上っているではないか。

 確かに、レイヴンの言う通り食べないと折角のラーメンが伸びてしまっては美味しさも半減だ。

 

「あ、そ、そうですね……いただきます」

 

「ん、替え玉も好きに頼んで。どうせ私が払うし」

 

「えぇ!? そ、そんな悪いですよ!」

 

「別に、いいよ。オーナー、カード使える?」

 

「問題ないぜ」

 

「そういうわけだから」

 

 レイヴンはそれだけ告げ、食事に意識を集中させる。

 アルは何度か逡巡するが、やがて意を決したように割り箸を手に取って食べ始めた。

 

 といっても、憧れである独立傭兵レイヴンを前にして味なんて何一つわからないのだが……

 

 ゴトリ、残っていたスープも綺麗に飲み込み、器を置いたレイヴンは紙ナプキンて口を拭うと同じくらいに食べ終えただろう便利屋に視線を向ける。

 

「それで、なんの目的があってアビドス(ここ)にいるの? 

 ……まぁ、理由はわかるけど。どうせ()()()()からの依頼でしょ」

 

 細められた目は真っ直ぐにアルを見据えれば、それを向けられたアルの背筋は氷を直接当てられたかのような感覚に陥る。

 それは、まるで蛇に睨まれた蛙のように。非捕食者の首筋に捕食者が牙を突き立てる寸前のごとく。

 今、この瞬間に生殺与奪の権利は目の前の鴉が握っていると理解させられた。

 

 張り詰めた空気が流れ、各々は愛銃へと手を伸ばし何時でも対応できるように神経を尖らせ、レイヴンへと注視する。

 だが、当の本人は心底くだらなそうに息を吐いて肩を竦めたことから空気が弛緩し、敵意がないことを示す。

 

「別にそんなことはどうでもいいよ。こんな仕事なんだ、恨むのは筋違いだよ」

 

 レイヴンは言うと、懐から出した端末をテーブルの上に置いて、その画面を人差し指で叩いた。

 その画面にはいくつものゼロが並んでおり、視線が左に行くにつれてアルの顔が益々青を通り越して土気色になる。

 

「あ、あの……レイヴン、さん?」

 

「なに?」

 

「こ、このお金って……?」

 

 アルが恐る恐る聞くが、既に胃がキリキリと痛みを発しており、気を抜けばさっき食べたばかりのラーメンをちょっとパルスプロテクションしそうだ。

 

 ───お願いだから私の胃を破壊しないで!! 

 

 アルはそんな祈りをいるかも分からない神に祈る。だが、アウトローなんてものを目指す悪い子を神様は嫌いらしい。

 

「まどろっこしい話はなしにしようか。単刀直入に言うけど、クライアントを裏切ってこっちについてくれる?」

 

「─────」

 

 例の顔(白目を剥いて)のアル。その横ではムツキやカヨコが画面を見て戸惑っていた。

 

「うわー、これラーメン何杯食べれるのかな?」

 

「……ラーメンどころか、今滞納してる家賃をまとめて支払った後に事務所のビルを丸ごと買っても余裕で余るよこれ」

 

「ど、どうしますアル様……!?」

 

 突然の大金を目の前にして理解の処理が追いつかず、右往左往するさまは愉快だろうが、レイヴンは特になんの感情も抱かない。

 この程度の端金など、レイヴンにとってはなんの痛手にもならないからだ。加えて、アルからの反応がないのでレイヴンはてっきり彼女がまだ足りないのかと判断。

 

「足りない? なら、これくらいでどう?」

 

 故に倍プッシュだ。(尚、アルはレイヴンからの要求に意識が飛んでいるだけ)

 

「「「うわ……」」」

 

「っは! なんだか悪い夢を見たような気がするわね……ハハハ、なんだかゼロが増えてるような気がするわね……気のせい、気のせいよッ……!!」

 

 まさかの増額にアル除く便利屋は引いたように表情が引き攣り、意識を取り戻したアルだったが現実逃避を始めてしまったではないか。

 

『この程度のお金で狼狽えるなんて……この人たちお金稼げてないんですかねレイヴン? まぁ、ラーメンを全員で分けるくらいですから当然ですか』

 

『…………もう少し金額上げようかな』

 

『レイヴン、楽しんでます?』

 

『…………そんなことないよ』

 

 エアの指摘にレイヴンは否定した。これはれっきとしたアビドスの為なのだ。断じてアルの反応がおもしry……ではなく、取引というのは相手の反応を見てやるから仕方ないことなのだ。仕方ないったらないのだ。

 

 ともかく、これからもカイザーがちょっかいを出してくるのならそれに対応する人員が欲しい。

 なにか手がないかと考えていたレイヴンの前にちょうどよく金で雇えてかつ、金に困ってそうな連中が現れてくれた。そう、目の前の便利屋68である。

 

 彼女達の戦闘力は中々のもので、精鋭とも呼べるアビドス対策委員会に対して先生からの指揮があった上でそれなりに持ち堪えていたところからも評価は高い。

 加えて、使い潰しても問題がなさそうなのが評価ポイントだ。

 断られたら、まぁ、残念だ……と思おう。

 

 とりあえず話は彼女からの返答次第だ、とレイヴンは待つことにした。

 

 

 

 ───どうしてこんなことに? 

 

 陸八魔アルの脳内で占める言葉はそれだけだ。

 ブラックマーケットでイカした強盗団に出会ってアウトローを目指したオリジンを思い出し、幸運なことに臨時収入を手に入れ、ラーメンを食べに来たと思ったらそこには憧れでもある独立傭兵レイヴンがいたのだ。

 そこまではいい。その後はなんでか、一緒に食べることになって、レイヴンから奢られるなんて言う貴重な体験だったと思うことにした。といっても、緊張と不安で味なんて何一つわかんなかったが。

 食べ終わったかと思えば見たこともないような金額を見せられて雇い主を裏切れなんて言ってきたのだ。

 

 感情の見えない虚ろな深紅の瞳に見つめられ、アルは緊張で乾いた喉を無意識に鳴らす。

 多分、この要求を持ち帰ることは許されないだろう。今、この場で要求を受け入れるか、否かを答えなければならない。

 

「わ、私……」

 

 多分、この要求は受けた方が自分たちにメリットがあるだろう。金はもちろんだが、レイヴンから直接勧誘されたということは実力を評価されているからだ。

 箔が付く、といってもいい。だけど、本当にそれでいいのか? と、アルはそう思う。

 

 そもそも、自分はまだ立派なアウトローと言えるだろうか? 答えは否だ。レイヴンと再会する時は誇れるアウトローになってからとあの日誓ったからだ。

 

 今は立派なアウトローか? 否だ。

 

 未だに自分は未熟でレイヴンの足元にも及ばない。この人なら風紀委員長ともタイマンでやり合えるだろうが、自分は仲間たちと共に戦っても勝てないと痛感している。

 

 学ぶべきことも多く、痛い目に会うこともしばしば。けれど、だ。けれど、通すべき筋というものがある。

 

 故に、アルはお冷の入ったグラスを掴むと緊張と不安を飲み込むように中の水を勢いよく飲み干してテーブルに叩きつけるよう置くと真っ直ぐにレイヴンを見つめて口を開く。

 

「遠慮するわ」

 

「……へぇ、断るんだ。これでも結構評価してるんだけど」

 

 温度が数段下がったような感覚がした。目を細め、レイヴンはコツコツと細い指先でテーブルを叩く音が響く。

 アルはそれに気圧されそうになるが、踏みとどまって小さく深呼吸を行って落ち着ける。

 

「勘違いしないで頂戴。貴方の提案を断るけど、貴方とは私たちは敵対はしないわ」

 

「ふむ……」

 

 アルのその言葉にレイヴンは続けろ、という意を込めて腕を組むと、意を汲んだアルは不敵に笑い、理想のアウトローを思い描く。

 目指すのは何時だって動じない、不敵な笑みをうかべる完璧で極悪なアウトロー。この程度の会話なんて朝飯前だ、と。

 

「そもそも、今回の依頼は割が合わないもの。アビドス対策委員会だけならまだしも、向こうには優秀な指揮官に貴方がいる。

 対してこっちはうちの社員たちならまだしも、それ以外は金で雇った程度の有象無象…………結果はお察しの通りでしょ?」

 

「……まぁね」

 

 レイヴンはアルの言葉に右腕を軽く撫でる。既に怪我は完治しているが、それはそうと手痛い目にあったのは記憶に新しい。

 

「だから、私たちは手を引くわ。これ以上はクライアントから報酬をさらに貰わないとやってられないわ。けど、相手はあのカイザーでしょう? 

 ごねて変な難癖なんて付けられたら堪ったものじゃないわ」

 

「確かにね。奴らはそういう所がある」

 

「ええ、そういう事だからごめんなさい。今回の話は無かったことしてくれるかしら? 

 もちろん、機会があればなにかの依頼で顔を合わせることになるだろうけど……」

 

 手を合わせにこやかに笑うアルだが、その内心は冷や汗ダラダラで気を抜いたら吐きそうな気分だし、心臓はドクドクとうるさく鼓動している。

 そんな彼女の内心を知ってか知らずか、レイヴンは少しの間だけ考えた素振りを見せた後にテーブルの上に置いていた端末を懐へと仕舞った。

 

「まぁ、今回は運がなかったってことにしておこうか。元々突発的な勧誘だったし」

 

 声色からさして気にした様子もなく、本当にその場の思いつきだったらしいことをアルは察し、山場を乗り越えたことに内心狂喜乱舞する。

 椅子の背もたれに掛けていた上着を手に取り、足元に置かれていた水族館のマークがペイントされたビニール袋をレイヴンは掴んだ。

 

「じゃあまたね」

 

 それだけ言い残し、レイヴンは懐から紙幣を数枚だすとテーブルの上に置いて出口へと向かう。

 

 便利屋たちはそれを見送り、息を吐こうと────

 

「あ、これお節介だけど最低限資金のマージンくらい残しておいた方がいいよ。これ体験談だから」

 

「あひぃ!?」

 

 顔だけ覗かせそんなことを言ってきて、アルは不意打ちに叫び声を上げた瞬間に爆音とともに閃光が走り、意識が途切れるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、アコちゃん。撃っちゃって良かったの?」

 

 インカムを小突く双眼鏡を覗く褐色肌の少女。そのレンズの先には瓦礫の山とかした柴関ラーメンが映っていた。

 

『ええ構いませんイオリ。これもエデン条約のための布石ですから。委員長の負担を減らすための致し方ない犠牲です』

 

「ですが、一応は他校の自治区ですよアコ行政官?」

 

『元、ですよチナツ。そこの土地の現持ち主からは許可は取ってるので』

 

 立ち並ぶのは混沌とした自由を校風としながら、風紀を取り締まるゲヘナ学園の治安維持組織にして最大と暴力装置たる風紀委員。

 

『さて、指名手配犯を捕まえたあとにさっさと目標を確保しましょう。総員、前進開始です』

 

 それがアビドスへとやってきた。

 

 

 

 

「っ……あっ……」

 

 朦朧とした意識の中でレイヴンは周囲を見渡すが、辛うじて見えるのは瓦礫や残骸のみ。

 その中でレイヴンはとあるものを見つけた。

 

「ぬい、ぐる……み……」

 

 水族館で買ったホシノへのお土産のデフォルメされたクジラのぬいぐるみ。それは瓦礫の下敷きとなって生地は破れ、中の綿が飛び出ていた。

 

「ほし、の……の…………」

 

 手を伸ばし、ぬいぐるみを取ろうとするがあと少しの距離が遠い。張って進もうとするが、ちっとも進まずレイヴンの指先は地面を削るに留まる。

 

 ガリガリ、ガリガリ……

 

 小さな音が木霊し、やがて静かになると周囲に小さな声が響いた。

 

「───警告、躯体に深刻なダメージを確認。これより躯体保護のために障害の排除を最優先にします」

 

 ──システム 戦闘モード、起動──




続きません。
見て!またレイヴンがボロボロになったよ!かわいいね。
水族館のチケットをホシノのが渡したせいです。そのせいでレイヴンがボロポロになりました。
ホシノのせいです。あ〜あ
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