Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─   作:タロ芋

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続きました。

うぉおおおおシュポガキィ!!


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 ドォォン…………!! 

 

「なに、砲撃!?」

 

 唐突に響く重々しい轟音と共に窓が微かに揺れ、セリカは目を丸くしながら叫んだ。

 

「っ、前方半径10km内にて爆発を検知しました、近いです!」

 

「市街地で? 襲撃!?」

 

「衝撃波の形状や先の音からして砲撃かもしれません! 詳しい位置を確認します!」

 

 アヤネがPCのキーボードを叩けば画面には望んだ情報がすぐに表示されると、顔をあおくそめる。

 

「場所は……柴関ラーメン!?」

 

「え!? なんで!?」

 

「わ、わかりません! 柴関ラーメンが跡形もなく消えてしまいました!」

 

「どういうことよ!? なんであのお店が狙われるのよ!」

 

「戦略拠点でもなく、重要な交通網でもないのに。一体誰が……?」

 

「ま、まさか私を狙って!?」

 

 シロコが呟き、考察するが情報が少なくどれも確証を得ない。混乱したセリカが世迷言を言ったところで。

 

『皆さん!! 大変です!』

 

 唐突に響き渡る切羽詰まったエアの叫び。声色からしてかなりテンパっているらしいことがわかる。

 先生はその様子からただ事では無いと理解し、彼女を落ち着かせる意を込めて静かに尋ねた。

 

「エア? いったいどうしたの?」

 

『レイヴンが! レイヴンが!!』

 

 次の瞬間にエアが続けた言葉に今はいないホシノを除いた面々が言葉を失うことになる。

 

『レイヴンが砲撃に巻き込まれました!!』

 

 

 

 

 

 

「──────え?」

 

 携帯を耳に当て、ホシノは頭を殴り付けられたかのような衝撃を受けた。

 告げられた内容を上手く頭で処理出来ない。まるで現実離れした自体に思考が纏まらない。

 

「もう一度、おしえて……?」

 

 ヤケに掠れた声でホシノは電話越しに尋ねると、電話の先の声の主は切羽詰まった声で叫ぶ。

 

『ワタリさんが便利屋の方々と共に柴関ラーメンで突然砲撃されたんです!! エアさんがどれだけ試しても連絡が取れないみたいで……!』

 

「なん、で……」

 

 訳が分からない、なぜ、どうして? 

 

 私はただ、あの子たちの気分転換のために……

 

『とにかく、私達も柴関ラーメンに向かってるので先輩も合流を!』

 

 それだけ告げると、通話は切られ携帯のスピーカーからはビジートーンが続く。

 ホシノは手を下ろすが、その場に立ち尽くしていたがすぐにその場から駆け出した。

 

「またッ、また私はッ……!!!」

 

 焦燥に染まる思考の中で忘れることの出来ない後悔が滲み出す。

 

 砂漠に埋もれかけたあの人の姿が過ぎる。どうしてもあの時とダブってしまい、余計に焦る。

 

 街中をホシノは急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ……チナツ、部隊は……?」

 

 荒く息を吐きながらインカムを小突くイオリ。その体は無事なところは無いほど傷だらけで、顔色も悪く気を抜いたら倒れかねないほど消耗していた。

 

『既に撤退ラインは超えてます!!』

 

 同僚の答えにイオリは僅かに胸をなでおろすが、気を抜いた訳ではなく視線は固定されたままだ。

 

「一先ずは優先目標は遂行できたか……問題は」

 

『私たちが逃げれるか、ですか……ッ、イオリ!』

 

 チナツの叫びが響き、立て続けに響く轟音。イオリは素早い身のこなしでその場から飛び跳ねるとついさっきまで自分がいた場所に弾丸が突き刺さり、アスフォルトの地面を砕き、耕す。

 明らかに過剰な威力のそれにイオリは冷や汗を流しながら悪態をつく。

 

「っぶな……!? クソッ、躊躇なしかよアイツ!」

 

 引き金を引き弾丸を放つ。だが、

 

「───障壁を展開」

 

 最初と同じように不可視の力場が弾丸の軌道を逸らし、ダメージを与えることが出来ない。向こうは好きなだけ撃てて、コチラの攻撃は全く当たらない。

 あまりのインチキぶりにイオリは変な笑いが出てきそうだった。けれど、こんな相手に仲間の部隊が撤退できる時間を稼げたのは一重に彼女の実力でもある。

 

 風紀委員でもこれをできる者はそうそういないだろうが、そんな慰めなど今はなんの意味も成さない。

 

 そしてレイヴンの攻撃をかわしながら、苦し紛れにイオリが弾丸を放つと、イオリは違和感に気がつく。

 レイヴンを包む繭のような装甲が動き、弾丸を弾いたのだ。

 

「……なんで、バリアを使わないんだ?」

 

 そういえば、と思い出す。不意打ちをした時、イオリがライフルを叩きつけた時も同じようにあの力場ではなく腰の翼で防いだことを。

 

「───……現兵装では目標の排除まで時間がかかることを想定、現兵装を分解し別兵装へ再構築します」

 

「チッ、考えてる暇はないか!!」

 

 思考に意識をさかれかけた時、聞き逃せない呟きを捉えイオリは止めようと引き金を引いた。

 弾丸は大型のアームに阻まれ、6つあるガトリング砲のうちの2門がパーツ単位でバラバラに散らばったかと思えば、ビデオを早送りするかのような速度でパーツ同士が噛み合い、形を作りかえる。

 

 ほんの数秒程度でガトリングだったものはレイヴンの背中に移動し、箱型の物体へと形を変えた。

 

「───ターゲットロックオン、ミサイル点火」

 

「そんなのありかお前!?」

 

 箱上部が開くと、そこから大量の小型ミサイルが放たれる。

 空中でグネグネと気色悪い軌道を描いて弾頭はイオリ目掛けて飛来してくると思わずイオリは叫び、慌てて瓦礫の陰へと隠れた数瞬後に、周囲を巻き込んで盛大に爆炎の花をアビドスへと咲かせた。

 

「うぉおおおおっ!!?」

 

 すぐ側でとてつもない熱量が炸裂し、堪らず悲鳴を漏らすイオリ。爆発なんてゲヘナに於いて日常茶飯事だが、それでも怖いものは怖いものだ。

 そして爆発が発生しなくなったところで背筋に途轍もない悪寒が走り、咄嗟にその場から身を投げ出せば背を預けていた瓦礫に線が走り、爆発した。

 

「お前っ、今までッ、動いてなかっただろ!?」

 

「───有効打と判断。近接兵装起動」

 

 砂塵のなかから飛び出てきたイオリが悲鳴混じりの叫びに答えるのは、肉薄するレイヴンの2つの大型アームの先端部から悲鳴のように劈くような甲高い音を響かせる鉤爪がイオリ目掛けて振るわれる。

 

「やっば……!?」

 

 これは避けれない、と頭の片隅で何処か冷たい判断があった。

 けれどどうにか避けようとするが、既に鉤爪は避けることが不可能な位置にある。周囲の光景がスローモーションとなり、じわじわと近づくソレに真綿で首を絞めるような感覚にイオリの口の中が乾き、生まれて初めての恐怖に喉がひきつる。

 

「(死ッッ──────!?)」

 

 そして、鉤爪がイオリを切り裂こうと────

 

 した瞬間にレイヴンに小型ミサイルが幾つも突き刺さり、爆発。

 

「うわっ!?」

 

 至近距離での爆発による風圧で吹き飛ばされ、地面を転がるイオリは突然の出来事に目を白黒させるが彼女にとってチナツが駆け寄り急いで瓦礫へと引きずり込んだ。

 

「無事ですかイオリ?」

 

「チ、チナツ……? さっきのはお前がやったの?」

 

「いいえ、あれをやったのは……」

 

『チナツ、友達は無事かい?』

 

「あ、先生……はい。イオリは無事です!」

 

「せ、先生?」

 

 チナツの通信機から聞こえてきた声にイオリが怪訝な声を漏らした。

 先生は今回の作戦の実質的な目標だ。殆ど失敗したようなものだったが、こうして会話をすることになるとは何の因果か。

 

『うん、はじめましてかな。私はシャーレの先生だよ、それで詳しい話は……』

 

『詳しい話などどうでもいいんです。原因は殆どこの連中のせいではありませんか?』

 

『え、エア……』

 

 すると、先生の話を遮るように怒気を滲ませた声が響く。明らかな敵意にイオリはかすかに眉を潜めた。

 

「なんだよお前、いきなり……」

 

『いきなり? 言うに事欠いていきなりですか? 野蛮な連中は自分たちがどれだけ罪深いことをしたかという実感がないようですね!! 

 あのまま切り裂かれて死んでしまえば良かったのでは無いですか? ……いえ、こんな連中の汚い血で私のレイヴンの手が汚れるのはそれはそれで腹立たしいので何処かで野垂れ死んでください、そうしてください』

 

 捲し立てるような言葉にイオリは言葉を失う。命を救われたかと思えば、突然の罵倒に意味がわからない。

 

 そんな彼女の心情を察したのか、チナツが気まずそうに説明を行った。

 

「……実はあの砲撃にワタリさんが巻き込まれたようなんです」

 

「は? ワタリって……あの良く給食部に来てるアイツ? 

 え、砲撃に巻き込まれたって……」

 

 チナツの説明にイオリはエアの態度にようやく合点がいったのか、僅かに天を仰ぐ。

 

「……アコちゃん、やらかしてるじゃん」

 

 表向きの便利屋を確保できず、挙句には関係の無い人物を巻き込んでこの事態を引き起こしたことにイオリは今はここにはいない人物に恨みがましい思念を送る。

 

「委員長に知られたら……って、もう隠蔽もクソもないよなこれ」

 

「……ですね。すみません、先生。今回はほとんどこちらの落ち度です。なんて謝罪をしたらいいか……」

 

『はぁ? 謝るのは先生にではありませんよね? いま、あの場所で暴れてるレイヴンにではありませんか?』

 

『エア、本当に気持ちはわかるけど今は静かにしててね……』

 

『…………チッッッ!!!』

 

 盛大な舌打ちの後にエアは静かになるが、彼女の心情もわかるからか何も言うことが出来ないが先生は口火を切って会話をする。

 

『とにかく、今はワタリをどうにかして止めないといけないんだ。君たちには無理をさせるかもしれないけど、協力はしてくれると嬉しいかな』

 

「……殆ど私たちが原因みたいなものだから異論はないよ」

 

「はい、せめてそれくらいは協力させてください先生。ですが、まずはせめてイオリの治療をさせてくれませんか?」

 

『うん、でも無理はダメだからね』

 

 先生はそれだけを告げると通信を終え、静かになった空間で2人は顔を見合わせる。

 

「……反省文、何枚で済むかな」

 

「考えないようにしておきましょう。それよりイオリ、傷を見せてください」




続きません。

・・・・・話の内容前話と順番変えればよかったかな。あと便利屋の子達はアルちゃんがチキったので瓦礫に隠れてやり過ごそうとしてますね。
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