Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─   作:タロ芋

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続きました。
そういえば美少女×AC×ソウルライクなゲームがSteamで出たのでやってるんですが結構楽しんでます。
ボスの中でまんまなあんなものが出た時笑いましたね。本作でも出したいです


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「……直撃したのにダメージはないか」

 

 シロコが所有するドローンによるミサイル攻撃が当たり、生じた爆炎か切り裂かれ現れたレイヴン……否、『Te-1es』が姿を見てシロコが険しい目つきで呟く。

 

「───新たな神秘反応を検知。脅威度を測定します」

 

 ジロリと目が動き、『Te-1es』は対策委員会の面々を見やる。無機質な視線を向けられ、背筋が粟立つような感覚に少女たちは顔を顰めるが、セリカは叫んだ。

 

「ワタリ! 何してんのよ!! そんな変なの付けてないで落ち着きなさいよ!!」

 

「そうです、ワタリちゃん! ゲヘナの人達に怒るのは分かりますが周りを傷つけるのは間違ってます!」

 

 続くようにノノミが言うが、レイヴンではない『Te-1es』には響かず返答の代わりに背部のコンテナからミサイルが放たれる。

 

「───測定完了、最低値をノノミ(B)とし、最も脅威度高い者をシロコ(A)と認定します。現状の最優先排除対象とターゲットします」

 

「「「ッ!」」」

 

『皆さん退避を!』

 

『レイヴン、私です! エアですよ! 声が聞こえないのですか!?』

 

 アヤネが呼びかけ、エアが『Te-1es』に向けて語りかけるが反応は無く、先生は物陰に隠れながら指示を送る。

 

「皆、とにかくワタリを無力化することを最優先だけど無理はしないように!!」

 

「「「了解!」」」

 

「アヤネとエアはドローン操作による援護を!!」

 

『はい!』

 

『っ、分かりましたッ……!』

 

「……スゥー、よし。行くよアロナ」

 

『はい、先生!』

 

 恐怖を深呼吸共に吐き出し、先生は意識を切りかえて頼れるパートナーな向けて語りかける。

 理解できないことが沢山あるが、それでも大切な生徒を止めるために先生は自分のやれることを全力で取り組むのだ。そのためには先ず、彼女たちと話さなければ。

 

 

 

「ねえアルちゃん、どうするー?」

 

「どうするって、どうするのよこれ……」

 

 柴関ラーメン跡地で丁度『Te-1es』含む面々たちから死角になる位置の瓦礫の影で便利屋たちは息を殺して成り行きを見ていると、不意にムツキが幼馴染で親友のアルへ尋ねる。

 ムツキからの問いかけにアルは既にいっぱいいっぱいで明確な答えは出せない。というか出せてたまるか

 

 逃げようにもあの明らかにヤバい状態の『Te-1es(レイヴン)』に狙われるため逃げれないし、かといってこのままじっとしてたら絶対そのうち流れ弾に巻き込まれかねない。というかさっきから隠れてる瓦礫に銃弾やらなんやがぶつかって生きた心地がしないのである。

 

「はぁ……アコのやつ面倒なことしてくれたね」

 

 瓦礫に背を預け、気だるげに言うのは騒動の下手人に検討のついているカヨコだ。先の砲撃で負傷したのか、口の端から赤い線ができており雰囲気も僅かに刺々しい。

 

「な、なら私が出て皆さんの撤退する時間を稼いできましょうか……? わ、私が死ぬ気で時間を稼げばそれくらい……」

 

「はぁ、その選択肢は最初からないよハルカ。そもあの子は1人で風紀委員を全滅させたんだからやるだけ無駄だよ」

 

「あぅ……」

 

 相変わらず自分の命が軽い後輩の額を指で弾いて黙らせ、カヨコはどうしたもんかと考える。

 自分たちで『Te-1es(レイヴン)』を倒す……のは無理。隠密行動で静かに逃げる……のは『Te-1es(レイヴン)』と対策委員会の動きが読めないので保留。このまま『Te-1es(レイヴン)』が倒されるを待つ……のは先生の指揮する対策委員会なら出来そうではあるが、最大戦力の暁のホルス(小鳥遊ホシノ)の姿が見えないので厳しい。

 

 ひとつ考えては否定してを繰り返していたところで、

 

「やぁ、少しいいかな?」

 

「……先生?」

 

「え、先生? 先生!? え、なんで!?」

 

「あ、先生だ。やっほー、どうしたのこんなとこにいて」

 

「こ、こんにちわ先生」

 

「うん、この前ぶりだねみんな。あ、ちょっと指示を出しながらだけどいいかな?」

 

 先生は便利屋の少女たちに笑いかけながらも対策委員会たちに指示を送る無駄に器用なことをしつつ、要件を話す。

 

「いきなりで悪いんだけど、協力してくれてもいいかな?」

 

「…………私たちにやるメリットってなくない?」

 

「確かにそうだね。けど、このままじゃいつ巻き込まれるか分からないし風紀委員会が君たちを捕まえに来たけど、私たちに協力してくれたって大義名分があれば私から声をかけて今回は見逃してくれるかもしれないよ? 

 君たちにとっても悪くない考えだとは思うけど?」

 

「…………」

 

 カヨコは脳内でそろばんを弾き、メリットデメリットを比べた後にため息を吐いて視線を後ろへ向ける。

 一応頭脳担当ではあるが、最終決定権はなんちゃってとはいえ社長という肩書きのあるアルのため判断を仰いだのだ。

 

「で、どうする社長?」

 

「ぐぬぅ……」

 

 食いしばるような表情でアルは先生の提案を考える。先生の指揮については身をもって知っている……が、相手はあの独立傭兵レイヴンなのだ。

 なんか今の状態は明らかにおかしいし、いつもの戦闘スタイルの影も形も無い。

 だが、活躍を知っている身としては躊躇ってしまう。というか仲間のはずの対策委員会と戦っているのもおかしな話だ。

 

 便利屋として仕事をしていけば、いつかは銃火を交える筈だろう。それが、遅いか早いかの違いでしかないがそれでもアル本人としては恐怖が勝る。

 考え、考えてアルは長い間の後に口を開いた。

 

「…………わかった、協力するわ。便利屋68はシャーレ及び対策委員会と共同戦線と洒落こみましょう」

 

「うん、ありがとう皆。とりあえず通信のチャンネルを教えとくね」

 

 先生は便利屋たちにチャンネルを伝え、先生はその場から離れる。

 彼が消えたことでアルは覚悟を決め、愛銃の安全装置を解除し戦いへ介入した。

 

 

「死んでください、死んでください、死んでください!!」

 

「───近接兵装起動」

 

「やぁぁっ!!」

 

 ハルカが迫るアームの鉤爪が触れるまえに、体勢を沈めることで交わしすぐ頭上を通過するとすくい上げるようにショットガンを持ち替え、銃床部分で殴りかかった。

 

「───防御外殻を展開」

 

 が、既のところで『Te-1es』を覆う外殻が動き甲高い音を立てて防がれる。ハルカは立て続けに銃床を叩きつけようと振りかぶろうと……

 

『ハルカ、後退して!』

 

「ッ、はいっ!」

 

 先生の指示でハルカは行動を中断させ、後方へとバックステップすると、数瞬後に地面から杭が生えてきた。

 よく見ればそれは『Te-1es』の長い髪で、アスファルトを貫いているではないか。

 

「───マルチロック完了、ミサイルを発射」

 

『ノノミ!』

 

「わかりました!」

 

 ミサイル群をノノミのミニガンによる弾幕で撃ち落とし、誘爆させることで空中に黒い爆炎の花が咲くがそれらを引き裂いてさらにミサイルが降り注ぐ。

 

『ッ、エア!』

 

『私に命令をしないでください!』

 

 エアの操作するドローンからなにやら赤い波動のようなものが放たれ、巻き込まれたドローンたちは唐突に軌道が乱れ爆発することなく地面へ突き刺さるにとどまった。

 

『シロコ、セリカ、イオリ、ハルカの4人は接近しつつ弾幕の形成を! 残りはそれの援護!』

 

『了解!』

 

 先生が戦場の膨大な情報を処理し、生徒たちに適切な指示を送り詰将棋の如く『Te-1es』の手を対処し潰していく。

 

「(──―迎撃を行使…………行動を開始した場合の損害を確認、断念。適した兵装の構築を……リソースの不足を確認。

 ──―ポイント移動を……敵性存在を検知したため移動を断念。要注意存在の接近を確認、近接兵装を起動。

 ──―近接兵装の損傷により稼働率の低下を確認、迎撃を……)」

 

 膨大な情報を処理し、次々と手を打とうとした傍から潰されていく。

 その中で気がつく、こいつらを操る存在を。ギョロギョロと動いていた瞳が止まる。

 

「……なんかこっち見てない?」

 

『先生、逃げてください!!』

 

「────発見、敵性存在の指揮官。目標を変更し、対処を最優先とします」

 

「ッ、先生に気がついた!」

 

「止まりなさいよワタリッ!」

 

「行かせるわけないだろ!」

 

「や、やらせませんから!!」

 

「───防御外殻の一部を爆散除去します」

 

『Te-1es』が呟いた瞬間、その躯体を包んでいた外殻が弾け、その破片が撒き散らされる。

 当然、すぐ近くにいた4人はもろにその破片たちを受けることになった。しかし、キヴォトスの生徒たちはその耐久性からたいしたダメージにはならないが、無数とも言える金属の破片をその身に受けることで堪らずその場でとどまってしまうこととなり、みすみす先生へ接近を許そうと────

 

 ガァァァアァァッッッ!!!! 

 

 耳を劈く轟音と共に無数の弾丸が何処からともかく飛来し、それら全ては『Te-1es』へと突き刺さる。

 

「────ッ!?」

 

 防御すら許さない死角の一撃は確かにレイヴンへと有効的な一撃を初めて与え、黒い煙となって体を覆い尽くした。

 

「これは、どういう状況なのかしら?」

 

 軍服めいた仰々しい制服に包み、禍々しい角を生やした小柄な少女は硝煙登る機関銃を下ろして尋ね、その質問に反応するのは至る所に痣を作ったイオリとチナツだ。

 

「ヒナ委員長!」

 

「どうしてここに……」

 

「2人とも、無事……ではないわね。アコ、聞こえてる?」

 

『────』

 

「……通信ができない? ジャミングかしら。まぁ、いいわ」

 

 ため息をこぼし、ヒナは面を上げて険しい目つきで先程自分が銃弾を浴びせたレイヴンを睨みつける。

 煙が晴れると、顕になったレイヴンの状態は体を包む繭のような殻には罅が走り、接続された兵装も全て破損し、使い物にならない状態だった。だが、

 

「───損傷軽微……特殊兵装に破損確認。兵装を分解し再構築を行います。

 ───修復完了まで防御形態へ移行し、待機します」

 

 そう呟いた瞬間に兵装全てが粒子状に霧散し、そして周囲を漂えば急速に集まりだし『Te-1es』全体を覆う膜を形成しだした。

 恐らく放置してはまずいと判断したヒナは引き金を引こうと────

 

「はぁ、面倒ね。……面倒なのは嫌いなのだけど───」

 

「ワタリッ!!」

 

「?」

 

 唐突に響いた声にヒナが手を止め、視線を向けるとそこには荒い息を吐いて膝に手を付きながらも『Te-1es』に視線を外すことなく注ぐ存在がいた。

 

 誰だ、と思ったところでヒナは気がつく。かつて所属していた組織での要注意人物のリストに挙げられていた存在。

 

「小鳥遊ホシノ……? いえ、今はどうでもいいわ」

 

 とにかく目の前の存在を無力化しない限り、やりたいことも出来ない。ヒナは冷静に優先度の順位付けを行い、即座に引き金を引く。

 

「ッ、止め───!」

 

 ホシノが気が付き、止めようとしたが間に合わず銃口から弾丸が吐き出された。

 

「───障壁を展開します」

 

 先と同じように武装を破壊すると思ったヒナは目を見開く。己の放った弾丸が不自然な起動を描いて『Te-1es』から逸れ、周囲の物体を削る結果に。

 今まで相対してきた存在の中で何人かは己の攻撃に直撃しても耐えたものはいたが、こうして防がれたのは初めてだ。

 

 数秒と経たずにマガジン内の弾薬を打ち終え、銃口を下ろしたヒナは繭に包まれ姿の見えない『Te-1e』を睨む。

 

「(目立った外傷はなしか…………)私はゲヘナ風紀委員会の委員長、空崎ヒナよ。貴方がシャーレの先生ね?」

 

『うん、そうだよ。それで、なんで君みたいな子がここに?』

 

「……私の指示もなく勝手に部隊を動かした部下がいて、それを止めるために来たのよ。そしたら何でかウチの学校の問題児が風紀委員会や見知らぬ学園の生徒たちと一緒に共闘してよく分からない子と戦っていた……

 一応敵っぽかったから撃ったけど、不味かったかしら?」

 

『……幸いと言うべきか、ワタリには傷はついてないから』

 

「それより先生、ワタリは今どんな感じなの?」

 

 話を遮るようにホシノが声を上げると、それに答えるのはエアだった。

 

『レイヴンは恐らくは暴走状態だと予測できます。様々な手を尽くして呼びかけましたが、反応を示さず我々を排除しようとあの未確認の兵装で攻撃を仕掛けてきます』

 

 現在は破損した兵装を修復することに専念してるのか、動きを停止し繭の状態で留まる『Te-1es』にその場の全員の視線が向けられる。

 唐突に訪れた休止状態にひとまず、集まることにした面々は瓦礫の裏で集合して顔を付き合われて会話を行う。

 

『───なので、意識を取り戻すためにはこの特殊な弾頭をあの人の脳に限りなく近い場所……眉間に当ててもらう必要があります』

 

 空中に投影されるホログラムには人体模型のようなものが表示され、エアの声とともに、マスコットめいたロボットのうちの1機がひとつのケースを見せた。

 ガラスの蓋から見える中にはクッションとなるスポンジに包まれた弾丸があり、それはよく見れば弾頭部分が深紅の輝きを持つ特殊な結晶で出来ており、明らかに普通とは違うことがわかった。

 

『ですが、今のレイヴンに攻撃を当てるのは困難であると言えましょう。先の戦闘ではレイヴンはあの不可視のバリアに加えて、大型アームでの防御も可能としています。

 この弾丸を当てるには、レイヴンの不意を着く必要があり、その不意を作るためには生半可な戦力を当てても風紀委員会の二の前です。故に、これにはホシノと空崎ヒナが対処しなければなりません』

 

『けれど、今のレイヴンは2人ですら抑え込めるか不安が残ります。なので、残ったメンバーにはその援護と支援をしてもらいます』

 

 そこまで言ったところでエアは言葉を切ると万感の意味を込めたため息をこぼす。

 

『…………本来、この弾薬は別の用途で使用するものです。加えて、本当に効くかは分かりません……』

 

『ですが、今現在においてこの弾丸に希望を託すしかありません。これでレイヴンが元に戻ってくれれば成功。戻らず、暴走したままの場合は本当の意味での最後の手段を使うことになります。

 ……この手段は私の本意ではありませんし、被害が大きすぎます。そして、ここでは貴方以外に期待値が最も高い存在はいません。故に、これを貴女に預けます。いいですね』

 

『────陸八魔アル』

 

「ええ、私ィ!? 無理よ無理無理無理!!」

 

 エアから名指しされた人物、便利屋68社長陸八魔アルは白目を向いて叫ぶ。風紀委員を鎧袖一触で蹴散らした挙句、あの空先ヒナの攻撃をマトモに受けてロクなダメージを負ってないレイヴンを相手にするどころか作戦の要をやるなんて、とてもでは無いができる自信などない。

 

「なぁ、その弾丸って一応私でも使えないのか?」

 

『銀鏡イオリ、貴方のゲヘナでの狙撃記録は調べています。在学中だった陸八魔アルに比べ、貴方の記録は下回っているのに加えて現在の状態を見れば選択肢にすら入りません』

 

「……あっそ」

 

「あの、もう少し言葉を選んだ方が……」

 

『そもそも、こんな事態になった風紀委員の責任に比べれば温情でもありますが?』

 

「……」

 

 チナツの言葉がエアの皮肉に黙らされる。

 

『…………とにかく、拒否権はありません。陸八魔アル、貴方が作戦の要です。どう言おうと貴方は協力することを示しており、拒否権はありません』

 

 ロボットはアルへと近づき、弾丸の入ったケースを差し出しアルはおっかなびっくりといった様子でケースを受け取った。

 

『では、引き続き先生の指示のもとレイヴン鎮圧作戦を開始します。

 現状のレイヴンを各種センサーなどで計測したところ、まだ動き出すまでに少しの余裕があります。なので、皆さんは準備及び休憩を今のうちに済ませてください』




続きません。

次回、決着・・・・かも?
なんで原作本編ではアビドス編の中間あたりで最終決戦みたいな事してんだろ(困惑)
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