Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─   作:タロ芋

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続きました。
連休最後の投稿です。皆さんフロムのイベントはい来ましたか?私は行けませんでして。地方って辛いねバナージ・・・・


56

 アビドスの砂漠に飲まれかけた瓦礫が彩る街中の中心にその繭はある。不可思議な光沢を持つ半透明な物質で構築されたソレの表面へ風に吹かれ、巻き込まれて飛んできた小石がぶつかった。

 

 殆ど衝撃などないようなものだが、その小石が触れた箇所に小さな、本当に小さな皹が入る。

 その皹が起点となり、繭全体へ網目のごとく無数の皹が走り乾いた風のふく都市へ音を響かせた。

 

 

 パキ、パキパキ……パキャッ……! 

 

 

 皹が走る事に小さな欠片が地面へと零れ、一際大きな入った次の瞬間に辛うじて形を保っていた繭の殻が内部から『Te-1es』の姿が現れた。

 ボロボロだった服は体のラインが出るボディスーツ姿へ変わり、その周囲には小型の円形端末がまるで惑星が公転をするかのごとく滞空していた。

 

 滞空していた端末の幾つかが上下に展開し、内部から明らかに収納しているには無理があるほどの物理現象を無視したスケールの砲門が現れる。

 立て続けに『Te-1es』の体を覆うように外殻が形成され、端末も先程同様に内部から大型アームを生やせば、地面から数センチ浮かび上がり、多少の差異があれど変わらぬ姿を顕にした。

 

 そんな『Te-1es』を前にホシノとヒナの両名は立ち塞がる。

 

「……いける委員長ちゃん」

 

「私は問題ないわ。そっちはどうなの小鳥遊ホシノ」

 

 ショットガンと盾を構え、鋭い目付きでこちらを見ている存在を睨むホシノは視線を外すことなく隣に立つヒナへと声をかける。

 ヒナは逆に尋ねればホシノは鼻を鳴らし、薬室へと銃弾を装填させた。

 

「言っとくけど、ワタリは強いよ」

 

「ええ、知ってるわ。彼女とは何度か演習や問題児に巻き込まれて戦ってるもの。と言っても、あんなことをできるなんて知らなかったけど」

 

 2人に緊張は無く、自然体ともいえた。

 

『時間です、皆さん準備はよろしいですか?』

 

『「「問題なし」」』

 

『そうですか。では、これよりオペレーション『フォールンレイヴン』を開始します』

 

 エアの号令が響き、それと同時に『Te-1es』の閉じられていた目がゆっくりと開かれ、瞳が妖しく光ると徐に唇が動く。

 

「───各種兵装の最適化を完了しました。全兵装をアクティブ状態へ移行。

 ───新たな神秘の反応を検知、危険度Sオーバー……最優先排除対象としてマーキング。全兵力をもって対応します」

 

『皆さん、ご武運を』

 

 

 

 

 

 

 

 両者は同時に飛び出し、『Te-1es』と真っ直ぐに突き進む。

 

「───迎撃を開始しry」

 

 4の砲門が狙いを定め、砲身の奥に光が灯った。

 

『ホシノ、ヒナは直進! シロコ、セリカ!』

 

「ん!」

 

「了解!」

 

 瓦礫の影から飛び出したシロコとセリカ。2人は愛銃を構え引き金を引く。

 乾いた音を立てて弾丸がはじき出され、目標へと直進していく。何も無ければ確実に当たるだろうが、相手は通常では無い異常だ。

 

「───迎撃を中止し、端末による防御を選択」

 

 フリーだった端末が射線の邪魔にならない位置へ移動し、展開すると不可視の力場が形成される。

 弾丸は不可解な軌道を描き、あらぬ方向へと飛んでいき背後の瓦礫や地面を削った。

 

 自分の立ちの攻撃が当たらなくとも、構わずシロコとセリカは引き金を引き続ける表情は確信を得たようだった。

 

「ん、やっぱり攻撃と同時にはバリアは貼れない」

 

「このまま打ち続けて先輩たちが近づく時間を稼ぐ!」

 

 数は少ないが得られた戦闘データから『Te-1es』の力場は使用している時は射撃はできず、反対もしかり。

 こうして攻撃をし続け、2人が『Te-1es』に辿り着けるようにするのが作戦のひとつだ。

 

 だが、当然それを許す相手ではない。

 

「───射出」

 

 滞空していた端末が素早くセリカとシロコの頭上へと移動し、上下に展開すると後方部分から円柱状の物体がせり上る。

 

『ッ、2人とも撃ち方やめ! 待避!!』

 

「「ッ!!」」

 

 先生が叫び、2人は即座に引き金を引く手をやめてその場から飛び跳ねた次の瞬間にその場にいた全員は言葉を失った。

 

 

 ガシュンッ!!! 

 

 

 杭打ち機の如く落とされた物体が端末の中に収まった瞬間、円形に地面が陥没する。

 余りの威力に自分が巻き込まれた姿を幻視したのか、セリカは引きつった悲鳴を漏らし、彼女ほどでは無いが冷や汗を垂らして背筋を震わせるシロコの2人。

 

「いぃ!?」

 

「さすがに予想外」

 

「───迎撃を再開します」

 

 邪魔が消えたことにより、『Te-1es』は即座に中断していた迎撃を再開させる。

 臓腑の底から響くような嘶きが空気を震わせ、見るだけで背筋が寒くなるような物量の弾幕とミサイルがたった2人に向けて解き放たれる。

 

 普通ならば形すら残らなくなるだろう。けれど、対峙している2人は普通では無い。

 

 ホシノが展開したシールドを構え、ヒナがその背後へ回る。その数瞬後に『Te-1es』が放った弾丸とミサイルの並が到達した瞬間にレイヴンの伽藍の瞳が僅かに瞬く。

 

「────……ターゲットへのダメージを確認できず。現兵装では撃破は不可能と判断。適した兵装のデータを検索……検索完了。有効兵装の再構築を行います」

 

 レイヴンが呟くと端末から生えていた砲門と背中のコンテナがバラバラに分解され、端末同士が連結し新たな兵装を作り上げた。

 

 両肩から伸びる2本の長大な角張った銃身は冷たい金属の輝きを放ち、『Te-1es』の瞳にレティクルが表示されるとアンカーのように両サイドのアームの鉤爪が地面へと射出し、突き刺さるとワイヤーを介してその場へと固定させた。

 

「───対神秘抑制貫通弾頭を選択、装填」

 

「───照準計算完了、誤差0.1以内。目標補足、照準固定」

 

「───発射」

 

 ガッ……ァァァアンッ─────!! 

 

 途轍もない衝突音が響きわたり、続けてくぐもった悲鳴がホシノの口から盛れた。

 彼女の持つシールドには貫通した穴が作られ、二の腕付近にえぐれた傷があり、そこから赤い液体が流れ落ちる。

 

「づぅっ〜……」

 

 突然の激痛に体が硬直し、立ち止まりそうになったがそれをヒナが後ろから片腕で支えて無理やり進め、もう片方の腕だけで機関砲を保持して引き金を引いた。

 

「ちょっと容赦なさすぎじゃないかなぁ!?」

 

 凄まじい轟音に負けじとホシノが叫ぶが、ヒナは大して取り合わずに返す。

 

「だったら自分の足で動いてちょうだい」

 

「わかってるよ!」

 

 動かすだけで激痛が走るが、盾を握るには支障はなく我慢出来る。

 そもそもこんな原因になったのなんで誰のせいだと文句も言いたいが、そんなことを言っている暇も無いため漏れ出そうになる悲鳴と一緒に飲み込んで足に力を入れて走り出す。

 

「───ダメージを確認、有効打と判断。これより本兵装を主力と判断。周辺物質からリソースを確保し、追加顕現を行います」

 

「やらせないよ! ノノミ! ハルカ!」

 

「はい!」

 

「や、やりますっ!!」

 

 レイヴンが何かをしようとしたところを先生が潜んでいたノノミとハルカに指示を送り、出番のきた彼女たちはかぶっていた布を投げ捨ててミニガンとショットガン構え引き金を引く。

 

 バララララララララッ!!! 

 

『Te-1es』が行動途中だったため、バリアを張ることはできず仕方なしにに外殻を操作しノノミの銃撃を防ぐ盾とすると、すさまじい音と共に火花が飛び散った。

 

「───射出」

 

 邪魔くさい羽虫を叩き潰すために『Te-1es』は再び端末を飛ばし、2人の頭上へと移動させると展開し先程同様に───

 

「させるわけないだろ!」

 

 展開し、杭が叩きつけられる寸前に脆弱な内部へと弾丸が突き刺さり端末は爆散した。

 それを成したのはチナツに治療を施されたが、全快とは程遠く動きに精彩をかいてる為に後方支援に徹するイオリだ。

 

『Te-1es』は2人に近づかれる事を厭い、加えて他の面々からの攻撃を鬱陶しく思ったのか鉤爪を引き戻すと、その場から移動を開始させる。

 

 宙に浮いているため、地面の瓦礫に足を取られる事なく前を向いたまま射撃を継続し、滑るような素早さで後ろへ移動していると

 

「あれー、どこいくのかなー?」

 

「誘導に従ってくれてありがと」

 

「────ッ!」

 

 背後からそんな声が聞こえた瞬間、『Te-1es』は爆炎に包まれる。

『Te-1es』の移動ルートは予め予想しており、それをなぞるように誘導することでカヨコとムツキの仕掛けた爆弾のエリアへと誘い込まれたことで、まんまと引っかかった。

 

「───……兵装の損傷を確認しましたが、躯体にはダメージがないため戦闘行動を続行します」

 

 爆炎から出てきた『Te-1es』は武装を破損させたが、本体は外殻が殆どのダメージを塞いだために傷1つない。

 けれど、流石に苛立たしかったのかカヨコとムツキへと端末を飛ばして不可視の槌を撃ち落とす。

 

「わーお、真下から爆破したのに頑丈だね!」

 

「初めからそこまで期待してないからね」

 

 その場から駆け出し、背後の空気が叩き潰される中で2人は走り『Te-1es』はそれを追わずに端末を引き寄せた。

 

 

 

『Te-1es』の戦闘を行いながら思考ルーチンの片隅でこのままでは千日手であることを理解する。対処をしても別の手によってこちらの出鼻をくじかれ、それを対処しようにも別の問題が発生する。

 ひとつ、またひとつと詰められていく中『Te-1es』は原因の見当を付けていた。

 

 先の戦闘でも指揮をしていた存在、先生だ。確かに名も無き神々の存在は驚異ではあるが、『Te-1es』自体の性能を余すことなく用いれば簡単にすりつぶすことが出来る。

 それこそ、部分顕現に留めている兵装を完全に顕現させれば容易い。

 

(───否定、統括端末の承認がなければ完全顕現は出来ません)

 

『Te-1es』の持つ権限では部分的に兵装を顕現させることしか出来ない。故に多少のダメージは覚悟し、『Te-1es』は即座に行動へと移す。

 

 先ずは先生(指揮官)を潰す、と。

 

 

 

 

「このっ!!」

 

「ッ、不味い!」

 

 ホシノとヒナが『Te-1es』の狙いに気が付き、止めようとするが彼女達の視界に何かがチラついた。

 何事かと思い、そちらに視線を向けると丁度腹部あたりに端末があるのが見えた。

 

「「(やばッ────!?)」」

 

 端末が展開し、杭が叩きつけられた瞬間2人は凄まじい勢いで空気を引き裂き、離れた建物の壁を突破って奥へと消えた。

 

「ッ、ホシノ、ヒナ!!」

 

「───近接兵装起動」

 

 2つの大型のアームの先にある鉤爪か開かれ、その刃全てが振動し、鼓膜を破りかね無いほどの甲高い悲鳴を上げて先生へと肉薄する。

 

「やらせない!」

 

「止まんなさいよ!!」

 

「ワタリちゃん、やめて!!」

 

 シロコ、セリカ、ノノミが引き金を引いて注意を引こうとするがレイヴンの目線は先生へ変わらず定められ、反応すらしない。

 

「不味ッ……!?」

 

 先生は引きつった表情で逃げようとするが、『Te-1es』はその重武装からは想像がつかないほどの俊敏さで瓦礫を切り裂きながら突き進む。

 瓦礫を盾にし先生は紙一重でかわすが、何度も続くほど先生は体力がある訳でも無く、加えて命の危機というストレスと緊張感が先生の精神をガリガリと削っていく。

 

 案の定と言うべきか、先生は注意から逸れた小石に足を取られて体勢を崩してしまう。だが、幸運にも転んだことにより、先生の頭をミンチにする既のところを躱すことが出来た。

 

「あひぃ!?」

 

 顔面から瓦礫だらけの地面に着地し、情けない悲鳴をあげる先生。

 対して確実に殺ったと思った攻撃をかわされたショックか定かではないが固まっており、加えてレイヴンの鉄面皮めいた表情も僅かに眉根が寄っていた。

 

 しかし、すぐに持ち直してアームを操作し倒れている先生へ振り下ろそうと……

 

 した瞬間にレイヴンの頭上になにかが落ちてくるではないか。

 

「─────」

 

 顔を挙げず、レイヴンはアームを動かして降ってきた物体を切り裂く。

 鉤爪は容易く引き裂くと、その中身が零れ足元に転がるソレを見てレイヴンは目を僅かに見開く。

 

「くふふ〜、素敵な花火の時間だよ〜!」

 

 大量の爆弾と地雷目掛け、ムツキは愛銃の引き金を引く。抵抗なく沈んだ引き金は弾丸の尻を叩き、火を噴いて殺到した。

 ひとつふたつと撃ち抜き、中の爆薬が引火すると周囲を巻き込んで誘爆。レイヴンを包んで盛大に爆破する。

 

「あははは! た〜まや〜!」

 

「……あの、先生巻き込んでると思うのですが」

 

「大丈夫でしょ、多分。それより社長、やれそう?」

 

『わっかんないわよ! でも、私がやらないといけないんでしょう!? なら、やらないといけないじゃない!!』

 

 爆炎を前にして震えながらもアルは叫び、愛銃を握りしめて真っ直ぐ見据える。

 怖い、訳わかんない。けど、憧れの人のパートナーに任されたのだ。なら、やり遂げて見せてやる。

 

『みんな、どうに隙を作って!!』

 

「「「了解」」」

 

「───敵性存在の増援を確認、対処を開始します」

 

 黒煙を切り裂き、ジロリとレイヴンは便利屋を睨みつけて冷徹に告げた。

 

 

 

「いっ、……ヅゥッ〜〜……!」

 

 全身から感じる鈍い痛みと額から流れる生ぬるい感覚にホシノは呻き声を漏らし、頭を振る。

 どうやら気を失っていたらしいが、未だ響く戦闘音からそれほど長い時間は経ってはいないらしい。

 

 廃墟の中から這い出ると少し離れた廃墟から同じように額から血を流した姿でヒナが出てくるのが見えた。

 

「無事?」

 

「この程度問題ないわ。はぁ、久しぶりね怪我したのは……」

 

 口内に溜まった血液混じりの唾を吐き捨て、ヒナは微かにふらつくのを意思でねじ伏せる。

 全身がバラバラになったこと思うほどの衝撃を受けても戦闘を続行できるのは脅威に値するが、流石にあの攻撃を何度も受けたい訳では無い。

 

 痛む体に鞭を打って2人は素早く戦線へ復帰する。

 

 

 

 ホシノ、ヒナの両名が復帰するまでハルカが前衛を担当していたが『Te-1es』の猛攻でダウンした為彼女を後ろへ運ぶためカヨコが戦線を離脱。

 その穴を埋めるためにセリカが突出してしまい、被弾が増えそのカバーのために他のメンバーが前へと出る。

 

 辛うじて持ちこたえてはいるが、かなりギリギリの戦いがくりひろげられていた。

 そして、ホシノとヒナが合流しエアの操作するロボットたちも援護を行うが少しずつ損害が増えていく。

 

「…………スー、ハー……スー、ハー……」

 

 スコープに映る光景にアルは息を潜めて待ち続けていた。

 

『とにかく、貴方の存在は露呈してはいけません。来るべきタイミングまで絶対に隠れていてください』

 

 ブリーフィングで告げられた己の役割を正しく認識してはいる。だが、仲間が傷ついて平気なわけが無い。

 だが、アルは待つ。感情を殺し、ただ意識を目の前に冷徹に平坦に削ぎ落として。

 

 

 

 

 至る所に傷を作り、震えそうになる足で地面を踏み締めホシノは腕を無理やり動かしてシールドを構える。

 

 ガァァアッン!! 

 

 シールド表面を削ってあらぬ方向へ飛んでいく護りを貫く弾丸に背筋を冷やしながらもホシノは突き進んだ。

 

「───近接兵装起動」

 

「アアァァァッッッ!!!」

 

 甲高い悲鳴とともに振り下ろされる鉤爪をホシノは受け止めるが、凄まじい重圧に踏みしめたアスファルトが放射状にヒビ割れ、接触した箇所が赤熱し膨大な火花が飛び散る。

 既に対策委員会たちは限界が近く、無事なメンバーは誰一人としていない。

 ホシノとて変わりなく、右腕の感覚は既になくなって久しく立っているのも限界だ。

 

 視界もピントが合わず、気を抜けば意識が失ってしまうだろう。

 けれど、意地でホシノは立ち向かった。ここで倒れたらあの時と同じになってしまう。あの後悔をもう一度味わうなんてクソ喰らえだ。

 

「ワタリィィィイッ!!!」

 

「────ッ!」

 

「ラァッ!!」

 

「───ッ、近接兵装の出力割合を上方修正します」

 

 ホシノがシールドをかち上げると、弾かれたアームに『Te-1es』は僅かに目を見開きながらも出力にものを言わせて強引に振り下ろす。

 甲高い悲鳴をあげる鉤爪はシールドへと叩きつけられ、接触した箇所が赤熱し膨大な火花が飛び散り、周囲を明るく照らした。

 

「ぐっ……こ、のっ!!」

 

「───対神秘抑制貫通弾頭装填」

 

 途轍もない重圧にホシノの膝が折れ、踏みしめたアスファルトが重さに耐えかねて放射状にひび割れ陥没する。

 未だに潰れない存在に『Te-1es』は眉を潜めると、背中の砲門を稼働させ、ホシノの守りを貫いた弾丸を叩き込むために狙いを定めた。

 

「───はっしry」

 

「今だ、イオリ!」

 

「了解!」

 

 バレルの奥から覗く光が解法されかけた時、そんな声が『Te-1es』の鼓膜(集音)センサーを震わせたかと思うと、次の瞬間に内側から砲身が破裂する。

 

「───ッ!?」

 

「ようやく焦った顔になったわね」

 

「───障壁を……!」

 

 展開しようにも距離が近すぎる、ならば待避を……無理だ。アームがホシノを押さえつけなければこちらが自分を。なら、端末による鉄槌を……時間が足りない。しかし、これなら、無理、無理、無理無理無理ムリムリムリ─────

 

 無数のエラー、どう足掻いても詰み。ならば、せめてこいつらだけでも道連れに。

 

『Te-1es』の生み出された存在意義で躯体のエネルギーを解放しようとしたが、

 

「やらせるわけないでしょ?」

 

 ヒナの銃撃が装備を削り、外殻を砕き、露出させる。至近距離で打ち込まれたことにより、障壁を展開することすら出来ず、無防備な本体が遂に顕となる。

 

「片手でも狙えるんだから!!」

 

 アルは狙いを定め、引き金を引いた。

 

 そして、『Te-1es』の額を深紅の弾丸(コーラル)が撃ち抜いた。

 顔面が勢いよく仰け反り、釣られるように上体が逸れ、勢いに負けて両の足が地面から離れる。

 

 軽い音を立てて『Te-1es』の体が背中から地面へと倒れた。

 

「───迎撃を、私は女王のために」

 

「───せんめ……つ、を…………」

 

 ゆらりと紐につられた人形のように重力を無視した動きで『Te-1es』は立ち上がり、粒子が集まり武装を形成し始めた。

 

 緩慢な動きで歩きだし、軋んだ音を立てて辛うじて形成された砲門が狙いを定めたところで膝が折れ、姿勢を崩した。

 

 伸ばされた指先が微かに動き、全身を軋ませながら立ち上がると伽藍の瞳が真っ直ぐにホシノを見据え、右腕を伸ばしたところで糸が切れたようにその場へ倒れる。

 

 地面へ触れると同時に全ての兵装が霧散し、今度こそ静寂が訪れた。

 

 レイヴンは動くことなく、ただ乾いた音だけが確かに戦いが終えたことを知らせる。




続きません。
思い描いた画を文字にして出力できる才能が欲しいです。
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