宿儺が増えた日
3人で教室で話していると、五条が転移で現れた。
「……悠仁。ずっとここにいた?」
「そうだけど」
「そっか。君の偽物が出てるんだよね。ちょっと僕、見分けつかなくってさ。今、罠で追い込んでる所だから、念の為、ちょっと一緒に来てくれない?」
「俺の偽物?」
【貴様の目を誤魔化すか。取り逃すとは情けない】
「混ざってるのも、呪力も同じ。もちろん、顔も同じなんだよね。僕が見分けつかないなんて初めて。双子の真希と真依はばっちり区別つくのに」
【混ざってるのも、だと……? 俺以外に受肉はしてないはずだ】
「確かめてみなよ」
「俺も行きます」
「私だけ置いてかないでよ」
そうして、一年生達は転移した。
「うっわ、仲間呼んできた! げっ 魔王メグミンじゃん!! あっ 俺! さすが呪術師汚い呪術師。そこに痺れる憧れない!」
【面倒な、あちらにはしつこい呪術師がいるぞ。呪術師はほんと碌な事をせんな!】
「俺らにだけは言われたくなさそうだけど、な! なんとか逃げらんないのかよ、宿儺!」
攻撃をひょいひょいと避け、虎杖にしか見えないものは頬の口とポンポンと言い合う。何やら恵と冥冥に並々ならぬ叛意を持っているらしい。
「うーん? 口を動かしてるのは偽物だけど体を動かしてるのは宿儺だね。……君、虎杖悠仁のクローンか何かかな?」
【下手に応答するなよ、悠仁! 夏油の時みたく薄い本ばりの展開で借金漬けにされて社畜にさせられてはたまらん。そうなっても逃げるが】
「清々しいぐらい悪意ある言い方ぁ! 俺らだって呪霊所在地のデータハッキングしたじゃん!」
【人手不足だというから手伝ってやったのだ!】
「肝試しツアーがなんだって?」
【ええい五月蝿いわ、どっちの味方なのだ、悠仁!】
「そりゃ宿儺だけどさぁ! あっ 宿儺が縛りで人を傷つけられないなら、俺が代わって戦えば!」
【あっ 馬鹿】
「へー、いい事聞いちゃった♡」
「あっ」【バカバカ悠仁!】
「いや、本当仲良さそうだね。いいよ。悠仁にチェンジしても。かかっておいで」
「えっ 宿儺人傷つけられねぇの」
【そんな縛りを設けるなど正気か】
【こうなったらやれ、悠仁! ボーダー魂見せてみよ!】
「お、おう! 唸れ俺の呪術師に虐められた記憶! フーガ!!」
虎杖の偽物が炎の弓を出す。
「!!」
「はあ!?」
「これは!」
「何よあれ!」
【馬鹿な! 術式を小僧より馬鹿っぽい小僧に預けるだと!? 本当に狂っているのか!?】
【ほお、悠仁。この街中でそんな大技を出すとは、大量虐殺する気満々だな、そこに痺れる憧れない。交通機関には当てるなよ。迷惑だからな】
「お前がやれって言ったんじゃん!? にげてくれないと、撃つぞー!」
【これで貴様も指名手配犯だな。恐ろしい。戸締りしておかないと】
「宿儺、お前も同じ体だから! 手配されんのはお前もだから! っていうかさっきから宿儺適当すぎ! もっと真剣に考えろ!」
【考えたんだが、この世界にトリガーがないならもう生きてる意味ないなって。それか人類殲滅する?】
「どっちもやめようぜ! 諦めんなって! どうにかなるって! どうにかして!」
【煩い。ボーダーなんぞ呪霊呪詛師呪術師全方位に喧嘩売ってなんぼの組織だろう】
「宿儺ぁ!」
「ほんと仲良いね、君ら。会話から察するに並行世界人かな? 傑はこっちでは死んでるし、僕は傑の事を借金漬けになんてしてないからね。でもまあ、呪詛師団体に入った悠仁ってなら、処断させてもらうよ」
「呪詛師じゃねーよ! 俺を呪詛師と一緒にすんな!!」
「でも呪術師の敵って」
プリプリと起こって弓を振り回す偽虎杖。
「俺はボーダーだ!」【呪術使った奴が何か言ってる】「宿儺うるさい」
「何それ」
「ボーダーはボーダーだろ。トリガーを使う団体」
「トリガーって何」
「トリオンを抽出して使う機械」
「トリオンって何」
「ええ……目に見えない心臓付近の器官から出力される力?」
「呪力じゃなくて?」
「わ、わからない……」
タジタジとなった偽虎杖に、偽宿儺が助け舟を出した。
【ハァァ。わかりやすく言えば、ボーダーは非術師のサバゲー団体で、トリガーはその道具だ。呪霊も低級なら狩れる。俺達はボーダーのある世界から迷い込んだのだ。サバゲーの片手間に呪霊を狩るし呪詛師も狩ってるし非術師だから術師とも仲が悪くて全方位と敵対してる。近年呪術師による強引な取り込みが問題化しているがボーダーとしては特に何もしてこない無害な非術師を攻撃はしない。ここへは実験の失敗で放り出されただけでこのことに関しては完全なる被害者だ。わかったらとっとと去れ】
【はぁ? 何故そこまで人に肩入れする?】
言ってることはさっぱりわからないが、宿儺が人に敵意を持っていないのはわかった。戸惑いながらも、五条は念押しする。
「無害な非術師は攻撃しないって縛れる?」
「俺はいいけど。宿儺ももう縛ってるんだし、いいんじゃね? 宿儺?」
【嫌だ。だってもうトリガーないなら人類いても意味ないではないか】
「元気出せって宿儺。そうだ、真依さんの構築術式ならトリガー作れるかも!」
【トリガーと補助脳がなくては真依なんてほとんど非術師な女の子だろう】
「じゃあ直哉さんは? 新しいトリガー作ってたじゃん」
【はぁ。よく聞け。トリガーはトリガーを用いてしか作れん。トリオンはトリガーがないと取り出せん。そして、トリガーにはトリオンが絶対必要なのだ。いくら直哉とて、トリガーがなければどうにもならん】
「メカ丸は?」
【いくらメカ丸でも、見本がなければどうにもならんだろう】
「トリガー、放り出された時に無くしてなければな……」
【そうだな。トリガーさえあったら、2本一組だから最低限の決闘は出来る。そこで真依にトリオン戦で決闘を申し込んで勝って縛りを解除させて人類滅亡させられるのだが】
「どうしてそこで勝てるって思うのか毎回不思議」
【煩いわ。流石にトリオン戦の素人には負けんぞ】
「フラグフラグ」
【ないといったらない! 恵がボーダーに微笑むぐらいない】
「ボーダー禪院家から5人引っこ抜いてるからな……」
【あいつ、いつか俺の次の器にしてやる】
「俺だと檻だもんな。トリオン量は俺の方が多いけど、恵は術式と自由度が高いんだっけ。俺の指を食わせれば乗っ取りできるって聞いたけど」
【協力してくれるか】
「メグミンが怖いから嫌です……。お前ほんとに恵の心とがちんこ勝負して勝てるの?」
【俺だって色々ちゃんと考えているのだ。姉の津美紀を殺すとかすれば折れるかなって。あと、檻用に作られてない恵なら、ほぼほぼ体の支配権は奪えると思う】
「でも津美紀と宿儺仲よかったじゃん?」
【そこがネックだな。でもこちらのはボーダーじゃない津美紀だろう?】
「恵。悠仁から離れといて」
「はい。悠仁。津美紀に手を出したら殺す」
「俺じゃねーって!」
「とにかく、ボーダーの悠仁。面倒だから、悠って呼ぼうか。放り出されたなら、住む場所も困ってるんじゃない? 監視を受け入れるなら保護するよ。宿泊費は呪霊退治で払ってもらうけどね」
「でも……呪術師の世話になるなんて……」
「そっちの僕ら、よっぽどボーダーに酷いことしたわけ?」
「むしろ俺らが呪術規定逆手にとって大暴れしました」
「逆恨みやよくないんじゃない? 素直になりなよ」
「……シャーせんっした!」
「よろしい」
こうして、宿儺が増えた。
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