【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】   作:null cedar

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#8【リンリン】

youtube:https://www.youtube.com/watch?v=4Ei7AR9KBts

ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm42826657

 

秋の涼しい風がオープンテラスに吹き込んでくる。

目の前にはポケモン用のテーブル。既に料理が運ばれてきている。私の好物の料理だ。

そうだった、ここはポケモン専用のレストランだった。

木の実をふんだんに使った料理はポケモン用の味付けで評判になっているらしい。

ソラシドのオススメで来たのだけど、当の本人は今のうちにポチのところに行くと言って急いででかけていった。

道の向こうからトテトテとジグザグマが走ってくる。私の顔を見つけると、同じ席に座ってくる。

「うっわ。あんたこの料理……ゆるちゃんがよく野宿で作ってくれてたやつじゃん。これ味もメチャクチャだし美味しくないでしょう。」

ひよりさんは席に着くなり、いつもの息もつかせぬ早口で喋ってくる。

「うん、味は美味しくはない……かな。正式な料理でも無いから注文には困ったな。結局料理方法を1から説明しちゃった。シェフも奇妙な顔してたよ。それで美味しいわけないって顔に出てた。でも、私にはこれ以上ないほどの好物。マスターだって「うっま」って、一緒に食べてた。私とマスターの数少ないつながりの一つ。」

ひよりさんはジト目になりつつため息をついている。

「あんんたって本当にゆるちゃん好きよね。あんな奴のどこが良いの?」

「いや好きって!?そりゃあ、マスターあっての私達なんですから慕って当然じゃないですか。好きとかそういうのではなく。」

言葉がうまく出てこない。誤魔化しのために目の前の料理を口に運ぶ。

口に広がる味は火の通り方も完璧とは言えず、塩加減もいい加減で……懐かしい。

頬に一筋の何かが伝わっている。

「ごめん、ひよりさん。今のは嘘……。大好きよ、マスターの事大好き。私は捨て子だった。それから博士に拾われて、それはそれで幸せだったんだけど、でもある日現れたあの人は私を私だけの名前で呼んでくれた。私はそれだけで十分だった。それだけで救われたと思ってた。だけどそれからいろんな物を与えてくれた。」

嗚咽をついて声にもならない声。料理には大粒の涙がポタポタと落ちていく。

「そうね、ゆるちゃんは戦い方が上手いとは言えないけど、私達の事を愛してくれてはいたよね。他のトレーナー、ジムリーダーまでもがポケモンに名前すらつけてない中で私達は皆それをもらった。強者の戦いでは当たり前のようにやられている捨て石戦法もしなかった。ま、ちゃんと保険料払って治療さえできればそういう事も気軽にできるんでしょうけどね。」

「いいえひよりさん。きっと私達が気軽に治療される存在だったとしても、マスターはそんな戦法使わないわ。そんな愛のない事、私の好きなあの人がするわけが無い。」

「好きってあんた、急に惚気けるようになったわね。」

「今更遅いよね。もっと自分の気持ちに正直なれば、良かった。それはちょっと後悔かも。あと、やっぱり皆を守れなかった事は後悔してるよ。私がもっと強ければ。」

「そんな事は無いでござるよ。」

いつの間にか私の横の席にサスケが座っていた。

「拙者の代わりに攻撃を受け止めたリンリン殿には胸を打たれたでござる。全滅というのは所詮は結果でござるよ。確かにあの時のゆるすぎ殿が持っていた道具であれば突破の方法は沢山あった。そこに恨み言が無いと言えば嘘にはなるでござるが、けれど、そんなことよりもリンリンさんが私を守ろうとしてくれた気持ち。それだけあれば私は満足でござる。私は満たされた。ありがとうでござる。これで安心していける。」

それだけ言うとサスケの体はどんどんと薄くなり上空へと吸われて行った。

たった、それだけを言うために。ごめんね、ありがとう。

 

遠くの空でソラシドが登っていくのが見えた。

ポチにちゃんと最後の挨拶ができたのかな。

 

「私達もそろそろいきましょう。あんたを迎えに来るためにちょっと無理しちゃってるんだから!」

「ええ……そうね」

 

マスター、死んでいるのと何も変わらない生の中、あなたは私に明かりをくれた。

あなたが私に命をくれた。だからその生命をあなたの為に使えて良かったよ。

ありがとう、愛してる。

これからもずっと。

だからあなたも、私の愛したあなたでいて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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