【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
youtube:https://www.youtube.com/watch?v=ilLir7GPj_M
ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm42840537
今私達はカイナ行きの船のデッキで束の間の休息をとっている。
ジムに挑む前はポチを指導員とした徹底した特訓で、その後のジムバトル、洞窟探索を経て皆の体力ももういっぱいいっぱいだろう。
特にアタシ以外は皆まだ野良の頃の気分も抜けておらず、規則正しい生活というものにもなれていなかっただろうからその疲労も大したものだろう。
だが、ポチの見立ては立派だった。
ジムへの選出メンバーはR・Tとジャック、そして保護者代わりにアタシの三匹だった。
三匹とはいってもアタシ自身は戦力としてカウントしていない。だけどもいざとなればこの身を挺してチャンスを作るつもりだったが、それすら杞憂だったね。
先方のワンリキーはR・Tのねんりきの一撃でKOだった。あの娘はのんびりした性格の割にはなかなかどうして、バラの一撃のような驚きがある。見た目はキレイなのになんて棘だいまったく。
続くアサナンも、こっちには更に驚かされたね。相手のとっておきの技。それが放たれる瞬間に、その技の発動を読んで既《すんで》の所でジャックと交代した。まるで相手の心を読んだかのような交代だったよ。相手の技は肉体を使った技だったからジャックの体をスルリと抜けたね。その拳の衝撃力ったらなかったよ。ボールの中で待機していたアタシにもビリビリと伝わるほどの衝撃。流石にあれは食らったら、アタシだったら一発でアタシの全体力の何倍かは消し飛んでただろうね。
そうそう、驚くといえば交代後のジャックの態度だよ。出てくるなり
「我が身、既に影なり、我が心、既に空なり 天魔覆滅。」
だったかな。いやまさか、初めての実戦であんな事言う準備しておいたとはね。ジムに入る前に必死にブツブツ言ってたから緊張してるかと思ったらこれだもんな、逆に大物に思えてくるよ。
とはいえ、そこからの試合は一方的だったんだよね。アサナンどころか大将のマクノシタの攻撃のその全てがジャックを捉えることはできない。そしてこっちからはナイトヘッド……ジャックが言うには「解放せし脳の未踏領域」だっけか?まぁいい、とにかくナイトヘッドで相手の精神をどんどんと破壊していった。
結果を見れば完勝だったよ。
ジャックはああ見えて、なかなか天晴なやつだ。
この勝利を報告すると言ってポチは船に乗らずに島に残った。
後からポケセンのボックス転送を利用して合流することになっている。
デッキの舳先《へさき》ではハスボーのはすべえの頭のハスの上にタネボーのくりのすけが乗って二人で船の先端の風を全身に浴びている。あの二匹は仲がいい。かつてにポチとソラシドを見ているようだ。
船の側面側にはR・Tとジャックがいる。先のジム戦でのコンビネーションで芽生えた友情なのか、ジャックは事あるごとにR・Tを気にかけるようになった。
船が到着したのは海岸だった。
リゾート用の海岸というの初めてだったけど、なかなかにテンションが上がるね。
R・Tに一緒に砂のお城を作ろうと言われ、思わず了承してしまったよ。普段の私なら絶対にしないのに色々と気が緩んでるんだろう。しょうがないさ、ココ最近は張り詰めすぎていた。たまにはこういうのも良い。
せっかくだからジャックにも手伝ってもらおう。
「フッ、我の助力が必要か?」
あ、今なんかちょっとイラッとした。
「別に良いよ、一人で寂しそうだから誘っただけだから。R・T、二人で作ろっか。」
「え?でもジャックさん口ではああ言ってますけど心はウキウキして」
「あわわわ、ごめんなさいごめんなさい!一緒に作らせてください。」
「ほら、一緒に作りたがってますよ。私も皆で作った方が楽しいと思います。」
「んもう、分かったわよ。ジャック、あんたR・Tに感謝しなさいよね。」
それから作ったお城はなかなかに見事なもんだったよ。
主にR・Tが作ったお城は念力による建築で半ば重力を無視したファンシーなお城になり、城の周りにはジャックが作った漆黒の騎士団が並んでいる。なんともちぐはぐな感じの出来栄えだが二人は楽しそうだからまぁ良いだろう。
そして、そんな砂遊びに興じてる間にゆるくんははすべえとくりのすけを連れてビーチのトレーナーと手合わせをしていたようだ。
その間に二匹はすっかり姿が変わって……っていうか進化していた。男子三日会わざれば刮目して見よとは言うが、まさか三時間合わない間にそこまで変わるとはね。てっきりのんきのうてんきのマイペース二人組かと思っていたが、やるじゃないか。
私もそろそろ隠居できるといいねぇ。