【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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少し前からお世話になっているこのチームはオレにとって居心地がいい。
はすべえとは特に馬が合うので一緒に戦っていても戦いやすい。
今までは同じタネボー同士でしか協力したこと無いのでこういうのはとても新鮮だ。
先輩のポチの戦い方も参考になる。どうやら、オレ達のような勝ちに徹する戦い方をするのを人間の間では悪とカテゴライズされるらしい。ポチもその悪に属する。
だがそんな悪の戦いに徹するポチだが、捕獲の練度はなるほど凄い。先程もラクライの体力をうまく調整するかみつきを見せてくれた。普段は怖いが繊細なことができるポケモンだと尊敬する。そのラクライは、サムライと名付けられボックスへ転送された。どんな性格なんだろう。仲良くできると良いな。
その後も間髪入れずにゴクリンを捕獲した。こちらはゴソソソという名前を付けられていたが、どうやらゆるすぎはたまにこういう反射で名前をつけることがあるらしい。オレの名前、くりのすけは……まぁ気に入ってるから良いけどこれはどういう意図なんだろう。
それとポチがする話は色々と面白い。はすべえもああ見えていろいろな事を知っているが、ポチの場合は人間の作った昔話などをよくしてくれる。なんでも昔の仲間が沢山本を読んでいてそのポケモンに色々話してもらったらしい。物語というのは面白い。いずれオレもそういう物語を書けるようになりたいな、とも思う。
そして今、ゆるすぎと知り合いと思われる人間の雌が勝負を挑んできた。
先鋒はポチだったんだが、状態異常に加えて一撃で体力を半分持っていかれるようなのでR・Tと交代していた。交代の瞬間に放たれていた水鉄砲が直撃していたが、
「あら?ココさんから聞いたことがありますが、水に濡れている雌は一部のポケモンに人気なんですっけ?でも私は見ての通りまだまだ子供の体ですからね。ご期待にはそえそうもありませんね」
R・Tさんの周りの空間が歪み、手にエネルギーが溜まっていくのが見える。
それを相手のキャモメに向け放つ。空間の歪みはキャモメを包み飛行を困難にしているようだ。羽は駆動範囲を外れるところまで動き、動きを困難にするだけで無くダメージを与えているのが分かる。
とはいえ、交代の隙に食らったみずでっぽうに加えて今再び半減で浴びせられた二撃目によりR・T側の負傷も無視できないほどに見える。
ウチのゆるすぎはラルトスの痛みを感じ取ったのか急いでバッグを漁っている。多分、回復アイテムを探しているのだろう。バッグを漁っている時にジグザグマのプリントされたオレンジメールがチラリと見えた。
「ひよりさん……」
ポツリと声が聞こえた。恐らくはポチの声だが、負傷もしていて体力も無いためか、声には元気が感じられない。
その後、サイコソーダが取り出されR・Tに飲ませていた。それを見ながらはすべえは疑問を口にする。
「炭酸の一気飲みはしんどくねぇがな?」
「あぁ……オレもそう思うわ。それに炭酸一気飲み何かしたらゲップが出るだろう」
「R・Tさんは女の子だから、流石にこの大勢の前でゲップは……恥ずかしいでしょうね」
ココドラのしょうぐんが更にこの後の事を予測し、気の毒そうに意見する。
なるほど、たしかにそうだ。炭酸を一気飲みしたら出るわな……ゲップ。確実に。
R・Tの方を見ると、いやデリカシーを考えれば見ないほうが良いのかもしれないが好奇心には勝てない、見てしまうとなるほど恥ずかしそうに我慢している。
だが、なにかを決心したのかR・Tは手に力を貯め……そしてスッと平然としたいつもの顔に戻った。
その直後にゆるすぎが大きなゲップをした。あまりの音の大きさに対峙相手の女の子もびっくりしている。
「あぁ、なるほど。そういえばR・Tはエスパーだっだな。自分の胃の中の二酸化炭素……づまりゲップの元をゆるすぎの胃にテレポートさせたみてぇだ」
はぁ~なるほど。だけどそれなら別に他人に移さなくても空気中に転移させれば良いんじゃないか?
「フッ。可憐なR・Tさんの逆鱗に触れてしまったのだろう。花を汚そうとすればハチに刺されるものだ」
あぁなるほど。まぁ女の子にゲップさせようとしたからちょっとオコってことか。
その怒りも籠もっていたのか、次弾のねんりきはキャモメを見事地に伏せさせた。
続くハスブレロも堅牢な将軍が難なく退け、相手の大将であるワカシャモ。
見たことは無いがほのお属性の鳥なのだろう。
「不死鳥の如く帰ってきたぞ。以前とメンバーが大きく変わったようだな。だが手は抜かない!」
「ふ……貴様が大将か。ならばこちらも俺が相手をせねばならぬな」
ウチからはジャックが出されたけど、コイツら自分の言いたいことだけ喋ってんな。
だが、会話……というか言葉のドッヂボールはともかくとしてお互いが一足の間合いで出方を伺っている。何かのきっかけがあればすぐに戦いは動くだろう。
お互いは距離を変えず、同心円上の直径の両端を動くかのように円を描く。一見互角のようだが……こちらの方に分があった。
距離は変わらないが幸い今は日が出ている為、影ができていた。ワカシャモから伸びる影をジャックは踏んでいた。
元より影に生きていたヤミラミの一族のジャックは一度相手の影さえ踏めばその距離を詰めるのにコンマ1秒すら必要ではない。
瞬きするよりも短い間にジャックはワカシャモの背後の足元から飛び出ていた。
「もらったぞ……己が脳の可能性に震えよ。ナイトヘッド」
アイツ、この前とまたキャラ変えたか?しかしまぁよくも毎度毎度いろんなセリフが思いつくな。
ナイトヘッドを食らったワカシャモは、頭を抱えながらジャックと距離を取るように前転し、振り返りざまに手のひらに貯めたひのこを投げつけていた。ダメージを喰らいながらも、ただでは終わらせない。戦闘を積み重ねたものの動きだ。
だが、その火をジャックはかわそうとせずに真正面から受け止める。
「なるほど、良い戦闘センスだ。だが、逃げ腰からの攻撃で俺を止めようと思うのは些か考えが甘かったな」
なるほど、セリフはともかくとして言っていることは的を射ている。重心が前向きであれば威力も十分に乗ったひのこを飛ばすことができただろうが、今のはジャックから逃げる方向に向いたベクトルから放たれたひのこだ。十全とは言えない。
ジャックは自分を攻撃するために放たれたそのひのこを逆に目くらましにし、再び影に潜りワカシャモを攻撃した。
此処から先はもうワンサイドゲームだろう。
ジャックは勝利が決定すると右手の手のひらを自分の顔の前で大きく広げ指の隙間からだけ目が見えるように顔を隠す。
「お前は弱くはなかった。だが運が悪かったな。俺が少し強すぎた」
視線はどうやら……R・Tに向いているようだ。が、当のR・Tは先の戦闘で負った怪我を気にしている。
女の子だもんな……跡が残らないと良いな。
そういえば、その後の戦闘でポチが進化した。どうやらポチの中で色々な気持ちの整理がついたようだ。彼は一体以前に何があったのだろう。
まぁ、何があっても関係は無い。俺はポチのする物語が好きだし、戦闘についても参考になることは山ほどある。大事なチームメイトだ。