【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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博士の娘、ハルカと腕試しをする事になったようだ。
ハルカのポケモンはアチャモ。共にフィールドワークに出ることも多かった。
成長すれば炎の技も扱えるようになるのでいずれは私の天敵になるのだろうが、
今回は互いに大した攻め手も無く、じゃれ合いのような手合わせだった。
そんな稚拙な、戦闘とも言えない手合わせの中でも私は一手一手相手の動きを見極め、最小限の動きで相手に届く手段を模索した。野生での戦いでは如何に相手より早く動くことで相手を仕留めるかが大切だ。早い動きというのは何も肉体的な速さだけではなく、仕掛けるタイミング、攻撃手段における最短距離のとり方、多様な手段で速度を得ることができる。私の、キモリという種族はとりわけ速度を大切にする戦いをしてきたのだろうと自分の中の遺伝子が伝えてきてくれる。
なんとか勝利を得ることができ、マスターは私を褒めてくれた。
撫でてくれる手は私の体に取っては大きく、マーイーカのような匂いがかすかにし、保湿もあまりしていないのかかさつきが気になるそんな手。苦手な人も多いのかもしれない。
だが、私にとってはその手は今までに感じたことの無い温もりを持っていて、変温動物にとってのその熱は私の体だけでなく、心の中にまで伝わってきた。
試合後にハルカは私のマスターに粉をかけてきた。
心のどこかが少しもやもやした。
今までには無い心の動きに私自身が一番動揺した。
傷ついた体は「ポケモンセンター」で無料で癒してもらえた。
どうやら、国営の施設であるこの場では無料でポケモンを治療してもらえる。
50万円以上の所得税を納税している者には瀕死のポケモンですら治療してくれるそうだ。
マスターはその対象者ではない、が、私にとってそれはさしたる問題ではない。
今まで通りなだけだ。負ければ死ぬ。それは自然ではごく当然のことで、むしろ本来死ぬべき傷を追った者が何事もなかったかのように動けるようになることのほうがおかしいのだ。
たとえどんな条件だろうと私は私のマスターを守ってみせる。
だからマスター…たまにで良い。また、その手で私を撫でて欲しい。
今までは愛情なんてものは生きていく中で邪魔なだけのものだと思っていた。
だけど今は…それは確かに力になるのだと、そう確信できる。