【ポケモンエメラルド】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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キンセツシティでのジムリーダー戦から2日が経った。
キンセツシティのポケモンセンター横に6つの墓石が並んでいる。
それぞれの墓石にはしょうぐんが摘んできた花で作った花冠をかけている。
ジムリーダー戦に参加できなかったココ、しょうぐん、ひそひそ、ゴソソソはそれぞれの思いを胸に墓石の前に立っていた。
ポチ……正直、あんたが死んじゃうなんて思いもしなかった。先に死ぬならあんたよりよほど弱い私かと思ってたよ。
一昨日の夜、呆然としていたゆるくんを見て全て悟ったさ。
皆にはもう会えないんだなってさ。
ジムリーダー戦の前の日の夜、あんたが渡してくれたボイスレコーダー。昔の仲間のジグザグマが拾って来たんだってね。できれば中身を聞きたくなかったよ。
「もし俺が帰ってこなかったらこのボイスレコーダーを再生してくれ」
ってさ。あの時は何かの冗談かと思ったけど、今となっては受け取って良かったよ。
何もなかったら、今私達はきっとどうしたら良いか分からなかった。
昨日、皆で託されたレコーダーを聞いたよ。あんたが帰ってこなかったからね。
ひそひそはずっと泣いてたよ、あの子は泣き虫だからね。
「このレコーダーを開いた、ということは俺は負けたのだろう。すまない。生存者がいるのであれば、俺の事は良い。忘れて先へ進んでくれ。
もし、誰も帰って来なかった場合は……まずは仲間を集めてくれ。ゆるすぎの事なら大丈夫だ、あいつは何があっても立ち上がって前に進む。強い心で何度でも。
そう、仲間だったな。今回挑む俺達は速度に自信があるメンバーが多い。それが負けたのであれば恐らくは今回の戦いで速度や搦め手と言ったものは役にたたない。単純な力と相手の攻撃を受け止める手段を考えておいてくれ。体力が多い、或いは電気に特別強い者が良い。ジャックと出会った洞窟には岩タイプが出るはずだ。それとなくゆるすぎの図鑑をいじって気づかせてやってくれ」
はぁ~、あんたホントこんな時まで色気無いね。あんたらしくはあるけどさ。
「次の頼みだが、俺以外にも誰か帰っていないのであれば、そいつの墓を作ってやってくれ。墓の中身は無くて良い。石を用意してくれればそれでいい。
これは死者のためというよりは、残されたお前たちの為だ。気持ちの整理をつけろ。忘れることができない者もいるかも知れないが、区切りを付けないと先に進めないからな。
それと、もしくりのすけとはすべえの二匹共が帰れなかった場合はその二匹の墓は隣同士にしておいてやれ、あいつらは仲が良かったからな。
R・Tは……サムライと近くが良いか?雌同士が近いほうが良いだろう」
はぁ~あいつはホンっと分かってないね。
「あの、R・Tちゃんはジャックさんの側が良いかな、って思います」
おや、ゴソソソよく分かってんね。
「アタシもそう思う。あの二匹は隣同士だ」
まったく、男女の関係はさっぱりだなポチ。そんなんじゃ駄目だぞ。ま、それがアンタの良い所でもあるわけだが。
「俺がいなくなって迷惑をかけるのは百も承知なのだが、一つわがままを聞いてくれ。ココ姉ぇ、アンタに俺の代わりのリーダーをやってもらいたい。リーダーに必要なのは腕力じゃない。カリスマだ。あんたにはそれがある。皆をまとめられるとしたらあんたしかいない」
「ぐす……私も、それが良いと思います……」
「僕もココ姉さんなら喜んでついていきます」
ひそひそ、しょうぐん……あんた達……。
「お前たちはゆるすぎという名の船に乗り込んだ海賊みたいなもんだ。世界中のジムのバッジを強奪してくれ。船長ココの元な」
「はははは!海賊って……あんたセンスが……あ~、センス無さすぎて泣けてくる!」
ほんっと、センス無いくせに……アタシらの事ばっか気遣って、泣かせてくれるよね。
「それと最後に一つ。お前たちに俺からの最後の指令を出す。
幸せになれ。
これは、俺の大事な奴と導き出した答えだ。
お前たちが戦うのが嫌なら逃げ出してもいいだろう。ゆるすぎなら戦うことを無理強いはしない。
どんなに足掻いたって最後の時は来る。その時に幸せだったと、そう思えるように生きてくれ。それが俺の最後の願いだ。
俺は……どうだったんだろうな。だが、こうして後を託せる者が居たのは幸せだったよ。
ありがとう」
終わりかい……。
幸せにか……。難しいこと言ってくれるね。同期のソラシドもサスケも先に逝かれ、後輩の奴らも急いで逝っちまった。
この上アタシだけ幸せを受け取ろうとして良いのかねぇ?
でも他ならぬあんたの頼みだ。
「さぁ!あんた達、船長命令だ!アタシについて来たいやつだけついて来な」
「「「はい!」」」
「ありがとよ!あんたら!最初の作戦は、コイツラのための墓石だ!しょうぐん、あんたは花好きだからこいつらそれぞれにあった花を集めてくれ」
なるほど、こうして墓を作って分かったよ。あんたたちの死を受け入れられた。
ところでポチ、ゆる君は元気になったよ。
しばらく遊技場に籠もってたから心配だったけど……なんとか現実と向き合えるようになったみたいだ。
出てきた時にリンリンそっくりなドール持ってた時はドン引きしたけどね。
あれで何をすることやら。
あの愛情をさ……ちゃんとリンリンに与えてやればあいつ喜んだだろうね。
いやぁでもやっぱどうだろうなぁ……リンリンはあれはあれで隠してるつもりだったしなぁ。
ま、精々アタシはズーズーしく自分にショージキに生きさせてもらいますよ。
「んじゃ皆のもの!出航だー!」